東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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022. 終焉の序曲

 

中央暦1639年8月30日 午前7時

ロウリア王国 王都ジン・ハーク北の港

 

 

王都ジン・ハーク北の港では、1000隻の木造帆船が出撃準備を進めていた。既に1000隻の軍船は王都ジン・ハーク北東の海域に展開し、海上の防衛を固めている。

 

海将ホエールは海軍基地の執務室で、4月末にクワトイネ公国の領海で勃発した『ロデニウス大陸沖大海戦』のことを思い返していた。

 

たったの9隻に手も足も出せず、鎧袖一触に2400隻の軍船が海の藻屑された。彼の上司である前海将のシャークン提督も、旗艦ロウを日本海軍に撃沈されて行方不明のままだ。

 

「どうすれば、あの怪物どもに勝てるのだろうか・・・」

 

無念なことに、ハーク・ロウリア34世からも残存艦隊の勝利はまったく期待されておらず、撃沈され全滅することを前提とした足止め要員程度にしか思われていない。

 

そのような名誉の欠片もない作戦のために、死地に5万人以上の兵を送り出さなければならない自分の不甲斐なさを呪っていた。

 

気分転換に立ち上がり、執務室の窓から港で出港準備を進めている軍船を眺めていると、突如、港に停泊していた木造帆船数隻が木片を散らしながら大爆発を起こし、炎上し始めた。

 

状況を確認しようと慌てて執務室のベランダから外に飛び出ると、ロデニウス大陸沖大海戦で青白い光線を放っていた『鉄騎』以上の速さで飛翔する『鉄竜』が目に映った。

 

ワイバーンを遥かに超えた凄まじい速度で飛翔する鉄竜こと『F-2』は、出港準備を進めている軍船や湾岸施設に爆弾を的確に投下し、次々に破壊していく。

 

「ま、まさか日本軍が攻めてきたのか!? 通信兵、王都防衛本部に竜騎士隊の出撃を要請しろ!! こちらだけでは、空からの攻撃に対処できない!!」

 

『ここが攻撃されているということは、リアン海岸沖の1000隻はもう既に・・・』

 

海軍基地の水兵や幹部たちは、何もできない自分たちの無力さを痛感しながら、燃え盛る軍船と湾岸施設への対応に追われるのであった。

 

 

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同時刻

ロウリア王国 リアン海岸沖

 

 

数日前に出撃したロウリア王国海軍の木造帆船1000隻は、リアン海岸沖で広範囲にわたって展開し、日本海軍の侵攻に備えていた。

 

ロデニウス大陸沖大海戦では密集陣形で日本艦隊に突撃したために、異形の敵巨大艦船が放った極彩色に輝く光線により、一気に700隻以上の軍船が撃沈された。このことを踏まえ、艦隊の指揮を任されたアンディ提督には、軍船同士の間隔を広げた索敵重視の陣形を取るよう海将ホエールから厳命されていた。

 

「水平線の先に、船影を確認!」

 

艦隊の最前列に位置していた軍船のマストで警戒していた水兵は、望遠鏡で船を凝視し、特徴を魔信で連絡する。

 

「・・・灰色の巨大艦! 白い布地に赤い丸の付いた旗が掲げられています!! あれは日本国の軍船です!!!」

 

日本艦隊発見の報告を受けたアンディ提督は全船に魔信で連絡し、戦闘配備を取らせた。距離が近づいてくるにつれ、アンディ提督の乗る旗艦リアからも、見覚えのある船影が望遠鏡でくっきり見えるようになってきた。

 

4か月前、たったの9隻で友軍を2000隻以上沈めた恐怖の艦隊が約20km先にいるという緊張感に、全身から嫌な汗が染み出す。

 

「通信兵、リアン海岸砦と海軍本部、そして王都防衛本部への魔信連絡を急げ!」

 

「全艦、あの日本艦隊に向かって突撃せよ。決して密集陣形はとるな! 回り込んで包囲陣形をとるようにして囲い込め!!」

 

20km程度の距離であれば各護衛艦の主砲で砲撃し、ロウリア艦隊の全艦を撃沈させることも可能であった。しかし艦隊を少しでも陸地から引き離すため、ロデニウス大陸派遣艦隊は常に距離を保ったまま、最前列に位置している軍船にのみ砲撃を開始した。

 

 

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同時刻

ロウリア王国 リアン海岸砦

 

 

リアン海岸には上陸防止のために築かれた土塁や防護柵に加え、前線基地にあたる砦が建設されようとしていた。方針が決定して二週間足らずであったため、ギムの町に建設されていたような本格的な砦ではなく、見張り台や魔信用通信室などの重要施設の一部が完成しているだけの状態であった。

 

「沖合に展開するアンディ提督から魔信連絡がありました。『日本艦隊を発見、これより我が艦隊は戦闘を開始する』とのことです。」

 

「日本軍がすぐに上陸してくることはないと思うが、こちらも迎撃準備を急ぐ必要があるな! 見張り台に警戒を常に怠らないよう厳命せよ!!」

 

見張り台で警戒する兵は、望遠鏡で沖合を、目視で海岸を監視していた。沖合にはアンディ提督が指揮を執る艦隊の一部が、砂粒程度の大きさで見える。海岸は押し寄せる波の音以外はせず、いつものように美しい砂浜が広がっていた。

 

「異常なし! 司令殿も心配性だな。日本軍が噂に聞くような超巨大船で攻めてくるなら、こんな所から海岸を眺めなくても望遠鏡で見たらすぐにわかるっつーの。」

 

「そんなこと言っているのがバレたら、また罰として便所掃除させられるぞ」

 

望遠鏡で沖合を監視していた同僚に苦言を呈された。

 

「だってよ、上陸するならある程度母船で海岸に近づいてから、小舟を出してビーチングするが普通だろ。そのくらい俺でもわか・・ん!? 何だあれは!?」

 

海岸を眺めていると、砂浜から四本足の謎の生物が複数上陸してこようとしているのが見えた。一見すると蟹のようにも見える『それ』はハサミを持っておらず、甲羅の上に筒のようなものを背負っていた。

 

「指令室、こちら見張り台! 蟹のような形をした鉄の魔獣がリアン海岸から上陸中!! 数は・・・」

 

上陸しようとしている鉄蟹の数を伝えようとした瞬間、甲羅上の筒から発射された光の矢が見張り台を直撃し、木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

「見張り台の破壊を確認。このまま敵砦の主要施設に対し、攻撃を開始する。」

 

リアン海岸から上陸を開始した水陸両用四足歩行型戦闘車両『岩蟹』10機は、築かれた土塁を踏破し、リアン海岸砦への攻撃を開始した。

 

 

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同時刻

ロウリア王国 工業都市ビーズル

 

 

陸路でクワトイネ・クイラ連合軍や日本国が逆侵攻してくる場合、工業都市ビーズルが最前線となる。そのためビーズルのすべての監視塔では、現在24時間態勢に監視が強化され、敵の早期発見に努めていた。

 

朝日は既に昇っているが、この時間帯は夜の間に冷えた外気により霧が発生しており、周囲の視界は非常に悪い状態であった。

 

監視塔で周囲を警戒していた見張りの兵の一人が、霧の中で緑色の何かが動いたのを見つけた。平原に生えた草の色と同化して見え辛いが、確かに何かが動いている。

 

後輩に取りに行かせた望遠鏡を使って確認すると、角ばった体とツノを生やした緑色の物体や馬のいない荷馬車のようなものが、砂埃を巻き上げながら動いているのが見えた。

 

「指令室、こちら第17監視塔! ここから北側約10km地点の平野部に、正体不明の物体を多数確認!!」

 

連絡を受けた司令室では、兵舎全域に出動準備指令をかけ、また王都防衛本部へ緊急の魔信連絡が行われた。

 

「敵が城壁に接近次第、バリスタで迎撃せよ。また魔導士部隊と弓兵は城壁上で待機し、有効距離に入り次第、連続攻撃を仕掛けよ! ここを死守するぞ!!」

 

緊急事態を知らせる半鐘がけたたましく打ち鳴らされ、ビーズルを警護するロウリア兵たちに緊張が走る。また各監視塔では、複数人による望遠鏡と肉眼での監視が行われ、馬一頭、人ひとりさせ見逃さないように厳重な索敵が行われていた。

 

霧の中で動く正体不明の物体を監視していると、何かが爆発したような赤い炎が発生したのが見え、周囲の霧が押しのけられたように大きく流れた。

 

ヒュルルル・・・・という甲高い音が聞こえはじめ、次の瞬間、第17監視塔が轟音とともに爆発し、強固に作られた石の城壁ごと粉々に崩れ落ちた。

 

陸上自衛隊第7師団の特科連隊の放った155mm榴弾の直撃を受け、工業都市ビーズルの第17監視塔とその周囲の城壁は、砂糖菓子のように崩壊した。

 

 

この日、日本国ロデニウス大陸派遣部隊による『ロウリア王国 首都鎮圧計画作戦』が開始された。

 

 

 

※ 水陸両用四足歩行型戦闘車両『岩蟹』

出典 : 蒼き鋼のアルペジオ

 

特殊生物の上陸を阻止するために開発された水陸両用四足歩行型戦闘車両。浅瀬や海岸線で特殊生物を食い止め、メーサー隊をはじめとした陸上戦力の迎撃態勢を整えることが、本機の主な任務である。

 

ゴジラクラスの超大型特殊生物ではなく、カメーバのような中型サイズまでの特殊生物戦が想定されているため火力は比較的低めだが、四足歩行が採用されていることで悪路での踏破性が非常に高い。

 

ある潜水艦のユニットを換装して母艦仕様にすることで、水中からも迅速に展開することが可能。

 

武装:

小型魚雷

ガトリング砲

ロケットランチャー

 

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