東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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第2章 忍び寄る列強と復活の魔王編
030. 折れかけの刀剣


 

中央暦1639年9月7日

 

 

日本国がこの惑星に国家転移した際、事前確認とはいえクワ・トイネ公国の領空を侵犯してしまったことを踏まえ、経済水域外への哨戒機による偵察は極力控えるようしていた。クワ・トイネ公国・クイラ王国の両国と国交締結したことにより、国家転移という未曽有の危機に一筋の光明が差したギリギリの状況下において、他の現地国家と不幸なすれ違いを起こし、紛争に発展してしまうリスクを避けるためであった。

 

加えて静止軌道上に移動した影響により、不鮮明で荒い画像しか撮影出来なくなっていたとはいえ、『宇宙ステーションきぼう』から凡その位置が把握出来たロデニウス大陸とは異なり、偵察衛星や気象衛星などをすべて喪失した日本国にとって、第三文明圏のフィルアデス大陸(特にパーパルディア皇国勢力圏)周辺は、まさに未知の領域であったからだ。

 

そのため新たな国と国交を結ぼうとした場合、既に国交が成立していたクワ・トイネ公国やクイラ王国を通し、両国の大使から紹介して貰う形式をとっていた。ロデニウス大陸近くの島国であるナハナート王国やフィルアデス大陸東の島国であるアワン王国がこれに該当する。アワン王国の場合、北海道に漂着した同国の漁師を送り届けることと合わせてといった背景もあったりする。

 

実際、第三文明圏の覇者であるパーパルディア皇国は、周辺の文明圏外の国々に対して領土割譲や奴隷献上などの要求、酷いときは半属国のような扱いで『許可なく新たに国交を締結することを禁止する』通知さえ行っていたため、この方式を取ったことはある意味正解であった。その背反で新たな国交の開拓に時間がかかり、数ヶ国と国交開設した時点でロウリア事変が勃発してしまった。

 

しかしロウリア事変後、ロウリア王国を鎧袖一触で蹴散らした新興国として日本国の存在がロデニウス大陸以外の地域にも周知されるようになったことで、事態は好転する。これまで紹介後に日本側から各国に出向き、現地調査をしてから国交を申し込んでいたが、ロウリア事変終結後は向こうから国交締結を求めて日本大使館を訪れる国々が増えた。

 

シオス王国のようにこれから伸びていくであろう貿易相手国として、トーパ王国のように既に日本と国交を開設したアワン王国の紹介で、神示で日本の存在を把握しつつも、ロウリア事変を通して日本国のことを見極めてから接触してきたガハラ神国など、背景や目的はそれぞれ異なっていたが、順調に国交締結した国々は増加していった。

 

 

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同日

第三文明圏外東方

フェン王国 首都アマノキ

 

 

フィルアデス大陸の東側の海域、日本国の対馬から西に約500km付近には、勾玉の形をした島国が2つ存在している。1つは既に日本と国交を締結したガハラ神国、もう1つはそのすぐ西隣に位置し、ガハラ神国を鏡映しにしようような形状の国土を有したフェン王国である。

 

フェン王国を一言で表現すると、日本の戦国時代に登場するような『武士の国』である。四国とほぼ同じ面積の島に住む70万人の国民全員が剣術を学び、剣に生き、剣に死ぬような生き様を是としている。そのため魔導士や魔法を使用した技術が殆ど発展しておらず、生活レベルは低くて経済的に貧しい国である。さらにワイバーンのような航空戦力も所有していないため、この世界では武力的にも弱小国家である。しかし国民の精神的なレベルは高く、誰もが礼儀正しいことで知られており、日本では忘れられた『真の武士道』が存在している。

 

首都アマノキを一望可能な小高い丘の上には、日本にあるような天守閣をもった和風の城が聳え立ってる。王城であるアマノキ城では、城主である剣王シハンや文官、フェン王国軍の武官たちが集まり、神妙な顔をしながら話し合いをしていた。『第三文明圏の列強国『パーパルディア皇国』から戦争を仕掛けられるかもしれない』というフェン王国の存亡に関わる緊急事態に瀕していたからだ。

 

なぜフェン王国がパーパルディア皇国に戦争を仕掛けられそうになっているか・・・について、某アニメ的に簡単に解説すると以下の通りである。

 

パ「おうフェン太、お前の持っている400㎢の森林地帯を俺様に寄こせ。領土を渡して俺様の子分になれば、他のヤツから侵略されなくなるぞ。」

 

フ「酷いよパルディアン、そんなの無理だよ~」

 

パ「じゃあ500年の間貸せよ、俺様は寛大だからちゃんと代案も考えてやったぞ。」

 

フ「無理だよパルディアン、お前の土地は俺様のものって言ってどうせ返してくれないじゃないか~」

 

パ「俺様の考えた素晴らしい提案を断るなんて、フェン太のくせに生意気だぞ!」

 

といった感じで、顔面にパンチが直撃するまで後数秒のような状態が、現在のフェン王国である。

 

実際に投入可能な兵力や兵器の質も、両国で雲泥の差がある。ワイバーンや風竜のいない空は勿論、海では手漕ぎの木造船 VS 魔導戦列艦隊、陸でも剣や弓が主力の武士団 VS 魔導マスケット銃や魔導砲を装備した屈強な皇国兵 & 強大な魔導獣(通称魔獣)部隊・・・とどちらが勝つかは誰がどう見ても明白だった。

 

格下の国家に対して高圧的な態度で無茶な要求を行い、相手から資源や領土を搾り取る、もし要求を拒否されれば、武力をもって滅ぼす。パーパルディア皇国のこのような行為は他の文明圏外国家に対しても実施されており、既に日本と国交締結しているアワン王国も、日本がこの惑星に転移する数年前に領土割譲要求に屈してしまった過去がある。もっとも、生産性が低すぎるために開発は行われず、左遷地扱いされてしまっているが・・・。

 

隣国のガハラ神国に援軍を要請する親書を送ったりするなど、剣王シハンは可能な限り対応しようとしているが、パーパルディア皇国軍がフェン王国に押し寄せるのも時間の問題と思われていた。

 

そんな折、日本国を名乗る国の大使が、国交締結の協議のためにアマノキ城を訪れている報告を受けた。数日前にガハラ神国の大使と雑談した際、『列強をも超える超文明をもった日本国という国と国交を結べた』と話していたことを思い出した剣王シハンは、『折れかけの刀剣』のような行き詰まった現状を打破できる可能性を考え、日本国の大使と直接会ってみることにした。

 





この後の展開予告

フ「にほエモン、助けて~」

日「パ皇解体消滅爆弾~ テレレテッテレー」
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