東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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033. 異世界での火力演習

 

中央暦1639年9月25日

第三文明圏外東方フェン王国領海

首都アマノキの西海域

 

 

パーパルディア皇国東端部の沿岸にある『工業都市デュロ』を出港した皇国監察軍の東洋艦隊は、第三文明圏外東方の文明圏外国『フェン王国』の領海に到着していた。本日開催されているフェン王国の軍祭に乱入し、『列強国のメンツを潰した無礼者のフェン王国』と『無礼者国家と友好的な愚かな蛮族国家』たちへ懲罰と再教育を行うためである。

 

東洋艦隊は、魔導戦列艦隻19隻と竜母と呼ばれるワイバーンを搭載するための空母によく似た軍船3隻で構成されている。3隻の竜母では帆が畳まれ、飛行甲板に設置された魔石に魔力が注がれるなど、フェン王国の首都アマノキを攻撃する準備が進められていた。発艦準備が完了すると、船内からワイバーンの品種改良型である『ワイバーンロード』が姿を現した。通常のワイバーンよりも大きな体躯に加え、飛翔するときの最高速度は通常のワイバーンよりも 100km/h 以上も速い 350km/h という第三文明圏における空の覇者である。

 

ワイバーンロードに騎乗した竜騎士たちが次々に竜母から飛び立ち、約20騎の発艦が完了すると、監察軍東洋艦隊司令官のポクトアールは、残り2隻の竜母へ魔信で指示を出す。

 

「竜騎士隊は全騎出撃が完了したようだな。レクマイアとMN隊を発艦させろ。」

 

残り2隻の竜母から、最初にワイバーンロードに騎乗した特A級竜騎士のレクマイアが発艦し、その後、ワイバーンとは様相が大きく異なる約40匹の大きなトンボのような生物が次々に大海原の空に飛び立っていく。

 

「勇猛なる皇国の竜騎士たちよ、これより我々はフェン王国首都アマノキへの懲罰作戦を開始する。軍祭に参加している蛮族どもに皇国の力と恐ろしさを骨の髄まで思い知らせてやれ!」

 

首都アマノキで開催されている今回の軍祭には、『規格外の戦力』が参加していたのだが、何も知らない21騎と40匹で構成された懲罰部隊は、意気揚々と東に向かって飛翔していった。

 

 

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同日

フェン王国首都アマノキ上空

 

 

隣国のガハラ神国は、フェン王国首都アマノキに開催されている軍祭に風竜3騎で参加していた。ガハラ神国には飛竜(ワイバーン)の上位種である『風竜』が多数生息している。属性竜の一種で真竜種である『風竜』は、念波を介して騎手と会話することが可能なほどの非常に高い知能に加え、風に関するありとあらゆる魔法攻撃が行えるほどの隔絶した魔力量をもつが、それ故に普通は決して人に仕えるような存在ではない。

 

しかしガハラ神国では、魔法と異なる力である『神通力』により風竜たちと契約を交わして使役することに成功し、国民と共存しているため、文明圏外国でありながら列強国からも一目置かれる珍しい国の一つである。

 

軍祭に参加していたガハラ神国の風竜騎士団長スサノウは、相棒の風竜に騎乗し、アマノキ上空から沖合に停泊する場違いな大きさをした灰色の艦隊を眺めていた。約一か月前に国交締結した日本国の海上自衛隊とかいう海軍の艦隊である。ガハラ神国の元首である神王ミナカヌシから、異世界より召喚された国家と国交を締結した旨を聞かされたときは半信半疑であったが、眼前の常識を逸した巨大艦を見て、その認識を改めた。

 

『眩しいな』

 

相棒の風竜がスサノウに話しかけてきた。

 

「確かに、今日は快晴だな。雲一つない絶好の祭日和だ」

 

『いや、違う。太陽ではない。あの下の灰色の巨大船から、線状の光が様々な方向に高速で照射されているのだ。それがワシには眩しく見えるのだ」

 

「船から光? そのようなもの出ているか? 私には何も見えないが・・・」

 

『フッ・・・。我々が遠くの同胞たちと会話をする際に使用する光だ。其方ら人間たちには不可視の光じゃ。何かが飛んでいるかを確認することも出来る。その光に似ておるのだ。』

 

「お主が風竜だから判るのか? どれくらい遠くまで判るのだ?」

 

『ワシは大体120kmくらいの距離までなら判るかのぉ。あそこにいる軍船7隻すべてからワシのそれより遥かに強く、収束した光が出されているようじゃから、おそらくそれ以上の距離だと思うぞ』

 

「ミナカヌシ様はとんでもない国と国交を結ばれたのだな・・・」

 

 

スサノウが海上自衛隊の艦隊に驚愕しているのと同様、軍祭に派遣された海上自衛隊のイージス艦『みょうこう』の艦橋でも、ガハラ神国の風竜からレーダー波に酷似した電波が照射されている事実に自衛官たちが面食らっていた。

 

この惑星に転移する前、つまり地球にいた頃から多種多様な特殊生物たちと相対してきた自衛隊であるが、生身の生物でありながら認識可能なほどの大出力の電磁波を照射していたのは、純粋な宇宙怪獣であるスペースゴジラとグランドギドラの二体だけであったためである。

 

120メートル級の超大型であった上記二体と比較してかなり小型にも関わらず、航空機以上の出力で電磁波を照射可能な飛行生物が確認された。これは日本国にとってまだまだ未知の領域である各文明圏において、これらを大量に運用可能な国家が存在する可能性を示唆していた。これにより、転移により凍結されていたステルス機の開発計画が、軍祭後から急ピッチで再開されることとなるのであった。

 

 

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同日

フェン王国首都アマノキ

軍祭特設会場

 

 

アマノキ港に設けられた特設会場では、剣王シハンと側近たち、そして軍祭に参加したフェン王国の友好国の武官たちが、日本国から派遣された護衛艦の行う攻撃デモンストレーションを今か今かと待ち侘びていた。

 

「あれが、日本国の戦船か・・・。まるで海に浮かぶ城だな」

 

「いやはや、ガハラ神国から事前に情報は得ておりましたが、まさか会談時の資料にあった魔写の戦船がこれほど巨大なものだったとは・・・。私も何度かパーパルディア皇国に行ったことがございますが、あのような巨大な戦船は見たことがありません」

 

剣王シハンと側近の侍大将マグレブが感嘆の声をあげる。

 

「剣王、そろそろ日本国の護衛艦が、標的船に対して攻撃を開始する時間です。」

 

「おお、いよいよか! 廃船まで大体5kmくらい離れているが、あの巨大船がどのような攻撃を行うか実に楽しみじゃのぉ」

 

剣王シハンは子供のような無邪気な顔をしながら、望遠鏡を覗き込んだ。日本国からは『イージス艦』と呼ばれる戦船一隻が最初に攻撃すると伺ってる。望遠鏡越しにこんごう型護衛艦『みょうこう』を凝視していると、艦の前方に装備された54口径127mm単装速射砲が廃船の方向へ旋回を開始した。

 

「まさか、あの距離から砲撃するつもりか!?」

 

次の瞬間、日本国の戦船前方に装備された魔導砲から煙が吹き出るのが見えた。ダン・・・・ダン・・・・ダン・・・・と三回、砲弾が発射される音が特設会場にいるシハンたちの耳にも音が届く。それと同時に、標的の廃船三隻は猛烈な爆発を起こし、木っ端微塵となった。海面から水飛沫をあげ、船の残骸が空を舞う。

 

「な、なんと!? たった一回の砲撃で全弾を命中させただと!?」

 

「それにこんな短時間で連続発射できるとは、なんという魔導砲だ!!」

 

剣王シハンと側近たちフェン王国の中枢、そして軍祭に参加したフェン王国の友好国の武官たちも、目の前で見せられている光景が信じられないという顔をし、驚嘆の声をあげる。一隻からの攻撃で、とてつもない速さの連続攻撃で三隻をあっさり沈めた。列強パーパルディア皇国でも、そんな芸当は絶対に出来ない事をここにいる誰もが理解しており、日本国が昨今出来たような新興国ではなく、彼らの話していたように『異世界からの転移国家』であることを証明していた。

 

剣王シハンたちが驚きの余韻に浸る間もなく、螺旋状の巨大な衝角のようなものが艦首に付いた異形の軍船が動き始めた。漆黒色をした船体に格納されていた三連装プラズマメーサービーム砲が姿を現し、残った一隻の廃船に照準が向けられる。

 

次の瞬間、砲塔から紫色に輝きつつ、稲妻状に蛇行する光線が発射された。光線が直撃した廃船表面の木製甲板は瞬時に発火点を超え、火柱をあげながらあっという間に轟沈した。

 

先程の『みょうこう』の砲撃だけでもフェン王国をはじめ、各国の武官たちにとっては凄まじい衝撃であったが、『きょうてん』のプラズマメーサービーム砲はそれ以上であった。この世界において、砲撃とは基本的に魔導砲のような『砲弾を発射する攻撃』を意味しており、実体のないエネルギーで行う攻撃は卓越した魔法技術をもつ魔導士個人の攻撃魔法くらいしか概念がないためである。

 

※ 例外中の例外で、古の魔法帝国こと『ラヴァーナル帝国』にはエネルギー兵器があるが、その存在を知っているのは古代兵器の発掘に成功した数国だけである。

 

「・・・これは・・・言葉も出ないほどだ、なんとも凄まじい」

 

剣王シハンは日本国の力を認め、『対特殊生物に関する相互協力条約』を含めた条約の締結に向け、協議に取り掛かるのであった。

 

 

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