東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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034. 招かれざる客

 

中央暦1639年9月25日

第三文明圏外東方フェン王国

首都アマノキ

 

 

日本国から派遣された海上自衛隊の護衛艦『みょうこう』と『きょうてん』の火力演習は、剣王シハンをはじめとしたフェン王国の首脳陣はもちろん、軍祭に参加したフェン王国の友好国の武官たちに大きな衝撃を与えた。

 

軍祭のフィナーレとして実施された火力演習の興奮が未だ冷めない軍祭特設会場では、剣王シハンと日本国外務省から派遣された外交官の島田がフェン茶を飲みながら話をしていた。

 

「島田殿、この度は我が国の軍祭に参加頂き、誠に感謝致しますぞ。凄まじいものを見せていただき、まるで童心にかえったかのようであったぞ!全身が躍動するくらい感動したのは、実に数年ぶりじゃった!!」

 

「こちらこそ、まだ我が国と国交が樹立していない貴国の友好国をご紹介いただき、ありがとうございました。明日からの会談では、引き続きよろしくお願い致します。」

 

和やかな雰囲気で明日から予定されている会談予定などについて話していると、同席していた自衛官が困惑したかのような顔をして剣王シハンに尋ねた。

 

「シハンさま、お話の途中すみません。先程、沖合に停泊しています我が国の艦より、西の方角から約60機の飛行物体がこちらに近づいてきているとの報告がございました。本日の軍祭に招待されている国の竜騎士たちでしょうか?」

 

剣王シハンは怪訝そうな顔をしながら、近くにいた側近の侍大将マグレブと顔を見合わせる。

 

「いや、軍祭もそろそろお開きじゃし、参加予定の国はすべて出席しているはずだかのぉ・・・」

 

全員がお互いの顔を見合わせて困惑していたが、何かに気付いた侍大将マグレブがはっとした顔をして叫んだ。

 

「ま、まさか奴らが・・・。パーパルディア皇国の皇国監察軍が攻めてきたのでは!? 皆さん、ここは危険です! すぐにアマノキ城まで避難して下さい!!」

 

「フェン王国馬廻衆、剣王様とここにいる皆様をアマノキ城の地下シェルターまでお連れしろ! 急げ!!」

 

 

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同日

フェン王国首都アマノキ沖合

 

 

イージス艦『みょうこう』のレーダー監視員は、西側から近づく飛行物体に気がついた。約60機ほどがロウリア王国のワイバーンよりも速い 350km/h 前後でアマノキへどんどん近づいてきていた。

 

「フェン王国の軍祭に招待されている国のワイバーンでしょうか?」

 

「今更来たのか? この火力演習がフィナーレって聞いていたが・・・」

 

ブリッジでもクルー全員が困惑した顔をしていたが、通信士が血相を変えた顔をしながら叫んだ。

 

「フェン王国から回答! 飛行物体はパーパルディア皇国の攻撃部隊の可能性があるとのこと!! 現在アマノキ特設会場にいる貴国の外交官や各国の武官たちを避難させている、貴艦も十分警戒されたし・・・以上です!!」

 

通信士からの報告を受け、臨時編成艦隊の艦隊司令は決断を下した。

 

「全艦、対空戦闘用意! 所属不明騎が攻撃して来た時のみ、迎撃を許可する!」

 

「所属不明騎の詳細がわからない以上、対空ミサイルは絶対に使用するな!! 万が一、アマノキへの誤射や軍祭に参加している他国の竜騎士を撃墜したら国際問題になるぞ!!」

 

『きょうてん』の三連装プラズマメーサービーム砲の四基すべてが、漆黒色をした船体から再度姿を現し、他の護衛艦もレーダーで捉えらえた目標とのリンクを開始するなど、迎撃準備が進められた。

 

 

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ワイバーンロード21騎とMN隊40匹で構成されたパーパルディア皇国の皇国監査軍東洋艦隊所属の懲罰部隊は、フェン王国へ懲罰攻撃を加えるために、首都アマノキ上空に到達しようとしていた。

 

軍祭には文明圏外の各国武官が参加しており、皇国に逆らった愚か者の国の末路はどうなるか知らしめるため、敢えて軍祭の開催日に合わせた攻撃の日が決定されていた。これで、各国は皇国の力と恐ろしさを再認識することだろう。皇国に逆らう者の末路、そして服従しない国に関わるだけでも攻撃対象になりえることを蛮族どもに知らしめてやろうと21騎の竜騎士たちは意気込んでいた。

 

「ガハラの民には、構うな。アマノキ城と、そうだな・・・あの黒い巨大船に攻撃を加えろ! レクマイアのMN隊はアマノキ港周辺の屋台や民家に攻撃を開始せよ!!」

 

ガハラ神国の使役する『風竜』は飛竜(ワイバーン)の上位種にあたる。本能的に理解しているのか、ワイバーンの方も風竜を前にすると怖気づいて戦意を喪失してしまう。加えて、パーパルディア皇国の初代皇帝がガハラ神国に「世話になった」らしく、現皇帝である『ルディアス・ド・ラ・エストシラント』からも手出し無用と厳命されていることもあり、攻撃対象から外れていた。

 

ガハラ神国の『風竜』の前ではヘコヘコペコペコしていながら、他国のワイバーンやフェン王国の民間人など自分より弱い相手に対しては、水を得た魚のように威圧的かつ執拗な攻撃を行う。余談ではあるが、パーパルディア皇国のワイバーンロードのこの行為は、海上自衛隊に同行していた日本国のTVクルーに一部始終をばっちり撮影されていた。日本国でこのシーンが報道された後、ウェブ掲示板や SNS では『ゴマすりクソロード』という蔑称でワイバーンロードが呼ばれるようになったのであった。

 

部隊長から魔力通信機で指示を受けたワイバーンロードの竜騎士たちは、上空で二つに分かれ、一つはアマノキ城に向かって急降下を開始した。アマノキ城の中庭で給仕していた奉公人や警備中の侍たちが急降下してくるワイバーンに気付き、訝し気な顔で見上げた。

 

「天守閣近くまで飛んでくるとは、一体どこの国の飛竜だ? 軍祭はそろそろお開きの時間の筈だが・・・」

 

次の瞬間、急降下していた10騎のワイバーンたちが、口内に形成された火球をアマノキ城の天守閣や櫓、中庭に向けて発射した。粘度の高い可燃性物質で形成された導力火炎弾が着弾した天守閣や櫓は、木製であったこともあり、大きな煙をあげて炎上し始めた。

 

また特A級竜騎士のレクマイアが指揮するMN隊こと『メガニューラ』隊は、軍祭を楽しんでいたフェン王国の一般人や屋台を出していた商人、参加していた周辺国の観光客など、アマノキ港周辺を手当たり次第に襲い始めた。

 

メガニューラたちは、尻尾の先についた針のように鋭い吸入管を逃げ遅れた人に突き刺し、体液を吸収していく。やがて血液をはじめとした体液を吸い尽くされた人は、ミイラのように干からびた状態となり、次々に絶命していく。

 

このように圧倒的な力でフェン王国に恐怖を与え始めたパーパルディア皇国の懲罰部隊だが、黒色の巨大船こと海上自衛隊の『きょうてん』に接近したワイバーンロードたちは一足早く、『日本国の洗礼』を受けることとなった。

 

「所属不明のワイバーン部隊が二手に別れました! そのうちの片方がアマノキ城に火球攻撃を行いました! アマノキ城は炎上中!!」

 

「『きょうてん』に向かって所属不明のワイバーン10騎が急降下中! 口内に火球の発生を確認!!」

 

「巨大なトンボのような生物40匹が、アマノキ港周辺の民間人を襲い始めました! 民間人の被害が拡大中です!!」

 

特殊生物を用いて無関係の民間人にもお構いなしに攻撃する卑劣な行いに、軍祭へ派遣された臨時編成艦隊の司令や自衛官たちは、怒り心頭に発しようとしていた。

 

「『きょうてん』が攻撃を受け次第、即座に全騎を撃墜せよ!! あの蚊トンボどもを含めて全て叩き落とせ!!」

 

『きょうてん』や各護衛艦では、攻撃対象が重複しないよう、目標を共有して割り振られる。同時に FCS 射撃管制システムにより、各艦の主砲やプラズマメーサービーム砲の砲身が、寸分違わない調整が行われる。

 

断頭台のギロチンの刃が首元に突きつけられているとは露とも知らず、10騎のワイバーンロードの竜騎士たちは、愚連隊のような叫び声をあげながら『きょうてん』に向かって急降下を開始した。

 

「全騎、あの妙な形をした黒い船に火炎弾攻撃を開始せよ!!」

 

「ヒャッハー!! 皇国に逆らうヤツは一人残らず消毒だぁ~!!」

 

次の瞬間、10騎のワイバーンロードから導力火炎弾が発射され、全弾が命中した『きょうてん』は爆炎に包まれた。撃沈を確信した竜騎士たちであったが、煙が晴れた先にいたのは、傷一つ付いていない異形の艦がこちらに魔導砲を向けた姿であった。

 

ゴジラの放射熱線すら無効化する超耐熱耐圧合金『NT-2D』と『ブルーダイヤコーティング』が施された『きょうてん』の装甲に対し、ワイバーンロードのたかが数百度程度の導力火炎弾はまったくの無力であった。

 

お返しと言わんばかりに、『きょうてん』からプラズマメーサービーム砲が、各護衛艦からは主砲がワイバーンロード隊に炸裂した。護衛艦の主砲が直撃したワイバーンロードは、竜騎士諸共、跡形もなく木っ端微塵に消し飛んだが、これはまだマシな死に方であった。『きょうてん』のプラズマメーサービーム砲が直撃したワイバーンロードは、『ロデニウス大陸沖大海戦』でメーサーヘリと戦闘したロウロア王国軍のワイバーン同様、一瞬にして表皮細胞が焼き尽くされ、黒焦げになって爆散した。

 

こうして海上自衛隊の派遣艦隊に襲い掛かった10騎のパーパルディア皇国の懲罰部隊は、数分もしない間に全滅したのであった。

 

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