先ほどの地震と白い閃光の後、防衛省とGフォースの指令室では天地がひっくり返ったような大騒ぎになっていた。
「日本全国で震度4相当の地震が発生!」
「海外との通信が途絶!!
米国、ロシア、アジア、欧州、いずれも応答ありません!!」
「宇宙レーダーに異常発生! 付近のどの衛星ともコンタクト不能!」
「地表レーダーは異常なし。・・・対馬より緊急連絡、朝鮮半島が消失!!」
職員たちが悲鳴のように状況報告を次々に行う。指令室に息を切らせた黒木が入室してきた。
「状況は?」
「宇宙、及び他国との連絡がすべて途絶しています。また朝鮮半島が消失したと対馬から緊急連絡が入っています。」
黒木は腕を組みながら思案にふける。
『少なくても現時点では日本に宇宙怪獣が襲来した・・・などの事態ではなさそうだ。だが、朝鮮半島が消失したとはどういうことだ?まさか宇宙怪獣ではなく、高度な知的生命体の襲来か??』
そのとき、思いもよらない情報がさらに舞い込んできた。
「宇宙ステーションきぼうとの通信が回復!きぼうから緊急通信と画像が届きました!モニターに映します!!」
オペレーターがきぼうから届いた画像をモニターに映す。モニターに映し出された衛星画像は、いつも実験や観測で撮影されているような鮮明なものではなく、かなりぼやけて見辛いものであったが、指令室にいた職員全員が口をあけてポカンと固まるような衝撃を与えた。
「地球ってこんなにデカかったか?・・・」
職員の一人が独り言のように呟いた。
モニターにはどうみても地球ではない惑星、そして地表に日本列島らしき島々が映った衛星画像が映し出されていた。。。
========================================================================
同日深夜
首相官邸には、次々に人と情報が集まってくる。その一角で、緊急会合が開かれようとしていた。官房長官や防衛大臣、外務大臣など各省の大臣、Gフォース司令、国家公安委員長と錚々たる面子が揃うも、その顔は一様に暗い。
「ただいまより国家安全保障会議、緊急事態会合を開催致します」
麻生総理が重い口を開いた。
「現状を報告してくれ。」
「はい、総理。本日20時頃、日本全国で震度4相当の地震が発生しました。地震と合わせて日本列島全国で凄まじい閃光に包まれたような現象が起こりました。その直後、海外との通信が途絶したままになっています。」
「幸いなことに宇宙ステーションきぼうとの通信が回復し、本現象がどういったものなのか、何が起きたのかある程度把握することが出来ました。」
きぼうから届いた画像がモニターに映される。そこには地球よりも大きな惑星の地表に日本列島らしき島々が映った衛星画像が映し出されていた。
「現時点では憶測になりますが、おそらく日本国は地球とは別の巨大な地球型惑星に転移したものと推測されます」
その場にいた全員があり得ないといった顔で固まる。
「では何かね? 国がまるごと転移するそんなSF小説のようなことが現実に、それもついさっき発生したとでも言いたいのかね?」
「ですが、衛星画像と各所からの報告、さらに日本国に属する領域以外の地域が全く確認出来ないことからもそうとしか考えられません」
全員の議論が白熱するなか、麻生が手を挙げて場を収める。
「なぜ起こったかは今は一旦置いておこう。まずはこれからどうするかを優先的に議論しようじゃないか」
経済産業大臣が手を挙げて話始めた。
「核融合方式に置き換えられた新原発であれば今後も暫くは発電可能です。しかし従来の核分裂方式型は数か月で核燃料が尽きます。石油やレアメタルにつきましても、もって半年が限度です」
続いて農林水産大臣が青ざめた顔で話始めた。
「ご存知の通り、食料自給率は40%程度で米くらいしか自給出来ているものはございません。転移に伴って近海の漁業資源の分布も変化することが予想され、おそらく漁獲量も大幅に低下すると思われます。食物プラントを最大稼働させたとしても早急に手を打たなければ、1年以内に国民が餓死することになります」
麻生が頭を掻きながら衛星写真を見つつ話した。
「まずは食料と資源の確保が最優先だな。この衛星写真には南西およそ1000kmくらいにオーストラリアの半分ほどの大きさの大陸が映っているが、こちらから当たってみてはどうだろうか?オーストラリアと同じように穀倉地帯や天然資源があるかもしれないぞ」
その後、翌日まで議論が重ねられ、日本列島の南西に位置する大陸に使節と調査団が派遣されることになった。