東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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056. 砕ける青鬼

 

中央暦1639年12月21日

トーパ王国 城塞都市トルメス

ミナイサ地区

 

 

大講堂に囚われていた生存者たちは、城島分隊と犬神分隊の活躍で速やかに救出された。また学校や議場に囚われていた生存者たちも、既に猿渡分隊によって救出されており、全部で204人の生存者が確認された。

 

現在、ミナイサ地区の西側を除く広場周辺の魔物たちは、城島分隊によって殆どが駆除されていたが、劣悪な環境下で監禁されていたこともあり、助け出された204人の生存者たちの中には、疲労と空腹で動けない状態の人々が多数いた。そのため、アジズ隊長率いるトーパ王国軍騎士団約3000人が、彼らの救護とトルメス城への搬送、そして周辺の掃討を開始していた。

 

 

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● 百田分隊

 

ミッション内容 : 議場周辺の防衛、及びブルーオーガと恐竜型魔獣の討伐

 

 

大講堂や学校などと同じく、多数の生存者が確認された議場周辺には、合流したトーパ王国軍騎士団のほぼ半数にあたる約1500人が投入されていた。大講堂や学校以上に動けない状態の生存者が多く、また議場が位置しているエリアが、ブルーオーガやその騎馬である恐竜型の中型特殊生物が確認された西側地区に比較的近いためである。

 

生存者の搬送作業中に、ブルーオーガや旗下の魔物たちが襲撃してくる場合を想定し、百田分隊は10式戦車や93式ツインメーサータンク改、95式レーザータンク改(いずれも冷凍メーサー仕様)などの戦闘車両を彼らの護衛としてすぐ近くに配備させていた。

 

魔王の右腕であるブルーオーガが、いつ襲撃してくるかもわからない・・・という予断を許さぬ状況下ではあるが、左腕であるレッドオーガをも消し炭にして滅却した『鉄の蠍』こと、90式メーサー殺獣光線車を超える戦力がすぐ近くで護衛している事実に、トーパ王国軍騎士団は緊張感と安心感の入り混じった表情で救護活動を行っていた。

 

 

※ 補足 : 派遣車両のメーサー出力比較

90式メーサー殺獣光線車 : 15万ボルト

93式ツインメーサータンク改 : 200万ボルト

95式レーザータンク改 : 1000万ボルト

 

90式のメーサーが誘導放出型に対し、93式と95式(あと留守番中の92式)のメーサーはプラズマ加熱ミラータイプ型と種類が異なるため、単純な威力の比較はできないが、95式は通常の陸上メーサー兵器群のなかでは最大出力を誇る。

 

 

順調に要救護者の対応を進めていたが、約半数を搬送し終えたタイミングで恐れていた事態が発生する。

 

グォォォォォォォ! ギャァァァス・・・!

 

身の毛がよだつような魔物たちの咆哮が、周囲に響き渡る。それと同時に、何か巨大な生物が地響きをたてながら、こちらへと近付いて来る気配を全身で感じ始める。

 

「魔王様の朝食がなかなか届かずに妙だと思ったら、まさか『食糧庫』が奪還されていたとは・・・。レッドオーガの奴め、たかが人間相手に油断しやがって。」

 

領主館のある西側の方向から、アロサウルスのような獣脚類を彷彿とさせる魔獣『ゴロザウルス』とその頭の上に騎乗した『ブルーオーガ』が、40匹前後のオークの軍勢を引き連れ、こちらに向かって来るのが見えた。まだ距離が離れているため、かなり小さく見えているが、あのシルエットは間違いなく伝説の魔獣『ブルーオーガ』であった。

 

「に、逃げろ~! ありゃブルーオーガだぁぁぁぁ!!」

 

「『世界の扉』を蹴り破ったとかいうデカい魔獣までいるぞ!!」

 

ブルーオーガとゴロザウルスを目にした騎士達はパニックを引き起こし、隊列が乱れる。

 

「トーパ王国軍騎士団の皆さんは、引き続き生存者たちの救護と護衛をお願いします! ヤツらの相手は我々にお任せ下さい!!」

 

百田隊長は渡されていた魔信を通し、騎士団を指揮しているアジズ隊長へ連絡を行い、さらに各戦闘車両へ攻撃命令を下す。

 

「目標! こちらへ接近中のブルーオーガと恐竜型の中型特殊生物、及びその後ろの有害小型特殊群! 生存者たちにヤツらを近づけさせるな!!」

 

「恐竜型の中型特殊生物は、体長約35メートル前後と推定。ジュ〇シック〇ークの T-REX のような見た目だが、大きさはその2倍以上もある! 接近されて暴れられる前に殲滅せよ!!」

 

最前線に布陣した三両の10式戦車とその後方に配備された90式メーサー殺獣光線車1両が、接近中のゴロザウルスに向けて照準を合わせる。またブルーオーガ・ゴロザウルスともに、熱線やビームなどの遠距離攻撃手段の有無については不明であったため、スーパーX2改がすぐ上空で待機し、突発的なエネルギーの発生がないか、警戒監視を継続している。

 

レッドオーガと交戦した城島分隊の報告によると、ヤツが展開した魔力障壁は、89式装甲戦闘車の35mm機関砲ですら、なんとか防げる程度の強度であったらしい。そのため百田隊長は、10式戦車の主砲 : 44口径120mm滑腔砲であれば、ブルーオーガが展開する魔力障壁を余裕で貫通可能だと考えた。万が一、耐えられたとしても、90式のメーサー砲で追撃すれば、展開された魔力障壁は意味を成さない・・・と想定していた。

 

一方、ゴロザウルスの頭上に騎乗したブルーオーガは、見えてきた人間の軍団の前に、嘗ての仇敵がいることに酷く動揺していた。

 

「あ、あれは!? 間違いない、あの特徴的な形は、『太陽神の使者』が使役していた『鉄の地竜』!! まさかこの時代にも召喚されていたとは・・・。だが、今回は魔帝様が我らに授けて下さった『ゴロザウルス』がいる! 1万年前の我らと同じだと思うなよ!!」

 

ブルーオーガは、小さく見えてきた『鉄の地竜』たちの様子を、人とは比べ物にならないほどの視力と動体視力でじっと凝視する。1万年前に戦った『鉄の地竜』と比較すると、平べったくなった反面、重厚感は何倍にも増しているようにも見える。

 

強大な爆裂魔法を放っていた細長いツノが、自分たちの方へ向いたのが遠目からでもわかる。かつて戦った『鉄の地竜』たちと同じ種族であれば、おそらく・・・。

 

次の瞬間、三両の10式戦車から10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)が、初速1600m/s 以上の超高速で発射された。APFSDS が発射された瞬間、その長いツノの周辺に小さな炎と煙が発生したのを、ブルーオーガは見逃さなかった。

 

「今だゴロザウルス、飛び上がれ!!」

 

ブルーオーガから念話で指示されたゴロザウルスは、その長い尻尾をバネのように使い、太く発達した後肢で大きく跳躍した。三両の10式戦車から発射された APFSDS はすんでのところで回避され、後ろから追ってきていたオーガの群れに直撃する。

 

三発の APFSDS が直撃したオークの軍団は、その大多数が豚ミンチと化して壊滅状態に陥るが、10式戦車の主砲を回避された事実に自衛官たちは驚愕する。

 

「マジかよ・・・。あの恐竜野郎、10式の主砲を避けやがった!!」

 

「90式、ヤツが着地するタイミングでメーサー砲を照射!!」

 

ゴロザウルスが着地したタイミングを狙い、90式メーサー殺獣光線車がメーサー砲を照射するが、ブルーオーガは自分とゴロザウルスの有する魔力を使用した二重の特殊防御型の魔力障壁を展開して防御する。

 

「やはりな・・・。あの『鉄の地竜』は爆裂魔法を使用する際、ツノの中で炎と煙が発生する。発射タイミングさえわかれば、ゴロザウルスの俊敏性と跳躍力でギリギリ避けられる! どんなに強力な爆裂魔法でも、当たらなければどうということはない!!」

 

「『鉄の蠍』の光線も、我だけではとても防げそうにないが、ゴロザウルスとの二人掛かりの魔力障壁であれば、なんとかガードできる。このまま一気に肉薄し、太陽神の使者たちを蹴散らすぞ!!」

 

10式戦車の砲撃を回避し、90式メーサー殺獣光線車のメーサー砲を防いだブルーオーガは、歓喜に震えていた。魔王様が仰られていた通り、魔帝様の力はなんと素晴らしいのだろうか。ゴロザウルスがいれば、太陽神の使者たちに1万年前の復讐が出来る!! 

 

一方、今の状況に対して、百田隊長の方はいたって冷静であった。この程度の『想定外の事態』は、地球で二代目ゴジラをはじめとした強力な特殊生物たちと戦ってきた際、何度も経験していたからだ。

 

いくら俊敏とはいえ、相手は30メートルを超えるデカい的であり、また10式戦車の装填速度であれば、三両の連携で直撃させることはそれほど難しい課題ではない。しかし、このまま戦闘を続ければ、10式の流れ弾でミナイサ地区を壊滅させてしまう恐れがあった・・・。

 

「93式、95式は装填されている冷凍弾を発射後、冷凍メーサーを照射準備! 魔力障壁で防がれても構わん! ヤツらの周囲を極寒の氷河期にしてやれ!!」

 

「10式と90式は、こちらの指示があるまで攻撃を一旦中止!」

 

93式ツインメーサータンク改と95式レーザータンク改に装備された8連装ミサイルランチャーから、ゴロザウルスに向けてミサイルが次々に発射された。

 

ブルーオーガとゴロザウルスは、少しずつ『鉄の地竜』との距離を詰めつつあった。爆裂魔法を回避されたことに驚愕したのか、前方にみえる三匹の『鉄の地竜』は沈黙を保ったまま、少しずつ後退している。この程度で戦意喪失したのかと疑ったが、複数の飛翔物体が、超高速で自分に向けて接近してくるのが見えた。

 

ブルーオーガは先ほど同様、ゴロザウルスとの二人掛かりで今度は物理防御型の魔力障壁を二重に展開する。ゴロザウルスの前には淡い金色に輝く光の壁が出現し、迫る来るミサイルの着弾を防いだ。着弾時の衝撃は展開した魔力障壁でガードすることができたが、その直後、強烈な冷気がブルーオーガとゴロザウルスに襲い掛かった。

 

通常のミサイルは、着弾後に爆風と熱によるダメージで追撃するが、今回発射された弾種は、1996年の『デストロイア事変』において活躍した冷凍弾であった。体内の核エネルギーが暴走し、全身が真っ赤に燃え滾る『バーニングゴジラ』と化した二代目ゴジラをも数時間にわたり凍結させ、活動停止に追い込んだほどの尋常ではない冷気が周囲を包み込む。

 

「クソ、まさか太陽神の使者が氷結魔法まで使用できるとは・・・。だが、この程度で我らを封じ込められると思うな! いくぞゴロザウルス!!」

 

ブルーオーガが鼓舞するが、ゴロザウルスは先ほどの俊敏性がウソのように動きが鈍くなる。

 

「どうしたゴロザウルス!? 先ほどの勢いはどうした!?」

 

哺乳類をベースに創られた魔王ノスグーラやオーガと異なり、ゴロザウルスは恐竜型爬虫類をベースに創られた魔獣であった。そのため巨大な体躯を得たのと引き換えに、周囲の気温が低い場合には体温も低下し、活動が鈍くなるという変温動物の特性を引き継いでいたのだ。

 

「やはりな。ゴジラになる前の『ゴジラザウルス』と同じ変温動物で、冷気には弱かったようだったようだな・・・。とどめだ! 冷凍メーサーの照射で完全凍結後、そのまま10式の砲撃で粉微塵に粉砕せよ!!」

 

動きが鈍くなり、体表の一部が凍結し始めているゴロザウルスに向け、93式ツインメーサータンク改と95式レーザータンク改から冷凍メーサーが照射される。

 

体の半分が既に凍結しかけているブルーオーガは、必死に特殊防御型の魔力障壁を展開する。しかし、90式メーサー殺獣光線車以上の出力を誇る両機の冷凍メーサーを防げる筈もなく、あっさり貫通して青白く輝く超低温の光線が直撃した。

 

「ま、魔王様・・・。」

 

ゴロザウルスとともに、ブルーオーガは苦悶の表情を浮かべたまま全身が凍結し、カチコチの氷像と化す。まったく身動きがとれなくなった両者に向け、三両の10式戦車から再度 APFSDS が発射された。徹甲弾はブルーオーガとゴロザウルスに見事命中し、細胞レベルで氷漬けとなっていた両者は、ガラス細工のように粉々に砕け散って絶命することとなった。

 

こうして魔王ノスグーラを除く魔物の主力はすべてが駆除され、西側エリアを除くミナイサ地区は魔王軍から解放されることとなった。

 

 

 

・ 93式ツインメーサータンク改

出典 : ゴジラvsモスラ(1992年)他

 

局地戦防空車両として開発された次世代メーサー兵器。93年の第二次モスラ事変から実戦投入された。メーサー小隊の戦闘指揮車両としての役割を持ち、本機1台に対して92式メーサー2台、90式メーサー3台か95式メーサー1台の部隊編制が多い。

 

92式のようなパラボラ式ではないためメーサーの集束力に欠け、メーサー出力では92式に劣るが、仰角は大きく、主に対空戦で活躍した。

 

こちらも92式同様、超低温レーザーを装備した冷凍仕様にも換装が可能。

 

武装:

200万ボルト高射メーサー砲(通常メーサー/超低温レーザー)2基

8連装ミサイルランチャー2基

 

 

 

・ 95式レーザータンク改

出典 : ゴジラvsデストロイア(1995年)

 

 

96年のデストロイア事変において投入された超低温レーザータンクを改修し、次世代のメーサー兵器として正式運用されたメーサー兵器。元々は超低温レーザー(通称、冷凍メーサー)を装備した冷凍仕様がベースであるが、通常メーサー仕様にも換装が可能なように改修されている。

 

特徴的なレーザー発射部のパラボラは4枚の反射収束板で構成されており、通常のメーサー兵器群のなかでは最大の出力を誇るが、同じ牽引式である90式の3倍超という高コストな点がネックとなっている。

 

 

武装:

1000万ボルト高出力メーサー砲1基(通常メーサー/超低温レーザー)1基

8連装ミサイルランチャー2基

 





回避型の敵には、空間範囲攻撃が一番!
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