中央暦1639年12月21日
トーパ王国 城塞都市トルメス
ミナイサ区域境界の城門前
魔王ノスグーラは、この決戦のために昨夜に夜なべして準備したカイザーゴーレムの出来栄えに満足していた。自分を生み出した魔法帝国様が運用されていた『二足歩行型陸戦兵器』をベースに、魔導火器などをオミットした簡易型のモンキーモデルではあるが、あの程度の城壁の攻略程度であれば十分に思えた。
だが同時に、魔王軍へ抵抗しているトーパの民をはじめとした人間たちの実力について、違和感も感じ始めていた。対抗してきたエルフの魔導士たちの実力は、自分を封印したかつての勇者たちには到底及ばず、この危機的な状況になっても竜人族や属性竜どもはまったく姿を現さない・・・。
魔王ノスグーラは現在の状況に釈然とせず、カイザーゴーレムたちの操作に専念していたが、城壁上空に奇妙な飛竜が姿を現した。魔力反応も全然感じず、羽ばたいていないどころかそれ以前に翼のようなものすら付いていない・・・。『ブーンという音を発生させながら鼻先が回転している姿』であった太陽神の使者が使役していた鉄竜とも異なり、実に奇天烈な輩であった。
城壁内側から出現したということから、トーパの民どもに味方している魔獣の一体だと考え、また遠距離攻撃手段を持たないカイザーゴーレムたちで空を飛ぶ敵を相手するのは厳しいため、早めに始末しておこうと極大閃熱魔法を放った。
だがその奇妙な飛竜は、ぱっくり真っ二つに割けた頭部で極大閃熱魔法を受け止め、それを反射させてきたのだ。ただ単に、反射してきたのではない。最も近くにいたカイザーゴーレムの弱点である胸部をピンポイントで狙い、そこを消滅させたのだ。
「ば、ばかな・・・。我の極大閃熱魔法を弾き返しただと!? あの奇妙な蚊トンボは一体!?」
衝撃のあまり、仰け反るような体制になった魔王ノスグーラは、改めて城壁前を飛行しているスーパーX2改の全体像をじっと凝視すると、機体底部に特徴的な模様を見つけた。
「あ、あの赤い丸の紋様は、ま、まさか!?」
そこには、日本国旗の特徴である『赤い丸』が描かれていた。1万年以上も前の戦いにおいて、魔王軍を完膚無きまでに叩き潰された忌々しい記憶が呼び起された魔王ノスグーラは、全身から冷や汗が出始めた。
「た、太陽神の使者!! おのれ人間どもめ・・・、今回も太陽神の使者たちを召喚していたとは! 道理でオーガたちがやられたわけだ。まさかゴロザウルスもヤツらの手に・・・」
魔王ノスグーラの記憶にある太陽神の使者は、あのような奇妙な飛竜は使役していなかった。だが、あの特徴的なマークは、太陽神の使者のものに間違いない!
次の瞬間、奇妙な飛竜の背中から何かが発射され、残った二体のカイザーゴーレムたちに向かって高速で飛んで来るのが見えた。
「あれは、まさか魔帝様の誘導魔光弾!? そ、そんな、筈があるものか!!」
魔王ノスグーラは、カイザーゴーレムたちを操作し、両腕で胸部を守るような姿勢を取らせ、迫りくる光の矢に耐えようとした。
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「巨大ゴーレム一体の沈黙を確認! モア殿の助言の通り、ヤツの弱点は胸部だ! ネオファイヤーミラーを展開しつつ、ミサイルランチャーでの攻撃を開始する。」
「沈黙したヤツの残骸を見るに、ヤツらは岩と瓦礫の塊で出来ているようだ。通常火器では、分厚い瓦礫に守られた内部コアまで有効なダメージを与えられるか不明だ。弾種は 推進式削岩弾 D-03 を使用し、確実に破壊せよ!」
ネオファイヤーミラーを展開したまま、スーパーX2改の機体上部から、特殊弾頭『推進式削岩弾 D-03 』が発射された。発射された特殊弾頭は、カイザーゴーレムたちの腕部に直撃し、着弾の衝撃で腕部を形成していた瓦礫や岩の破片が周囲に飛び散る。
「まさか、魔帝様の誘導魔光弾モドキまで使用してくるとは恐れ入ったわ・・・。だが、我のカイザーゴーレムを破壊するには威力不足であったようだな!」
誘導魔光弾モドキを防げたことで、魔王ノスグーラは安堵の表情を浮かべるが、姿を保っているカイザーゴーレムからは、キュイーンと何かが高速で回転するような音が不気味に響き続けている。
「どうやらあの奇妙な飛竜は攻撃魔法の反射能力を持つが、我のカイザーゴーレムを破壊できるほどの力は無いようじゃな・・・。下手に我が魔法を使用すると、あやつに利用されてしまうから、このままカイザーゴーレムたちで叩き落してくれよう!!」
「ゆけ、カイザーゴーレムたちよ!!」
魔王ノスグーラが指示を出し、カイザーゴーレムたちが歩き始めた瞬間、二体の胸部が大爆発を起こした。胸部が爆散したことで、カイザーゴーレムは真っ二つとなり、上半身が前方に落下しながら瓦礫へと変貌していく。
「え!?」
今回使用された推進式削岩弾 D-03 は、MOGERA に装備された『スパイラルグレネードミサイル』をベースに開発された特殊削岩弾である。ミサイルの先端に装着して発射され、命中直前に推進起動部と装甲が分離。そして標的に命中した後、高速回転するドリルによって標的の内部まで進行し、内側から破壊するという性質をもっている。
そのため、腕部に着弾後も弾頭はそのままゴーレム内部を進行し続けており、胸部中心にあるコア近くまで到達した瞬間に起爆した・・・というわけであった。
「こちら猿渡、残った巨大ゴーレム二体も沈黙! 残すは魔王と赤竜のみだ!!」
「こちら百田。こちらの陸上戦力も到着した。連携して総仕上げといくぞ!!」
城門が開かれ、三両の10式戦車を先頭に、五両の陸上メーサー部隊が姿を現した。
※ 推進式削岩弾 D-03
出典 : ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年)
MOGERA に装備された『スパイラルグレネードミサイル』をベースに開発された特殊削岩弾頭。ミサイルの先端に装着して発射され、命中直前に推進起動部と装甲が分離。そして標的に命中した後、高速回転するドリルによって標的の内部まで進行し、内側から破壊するという性質をもっている。
スーパーXなどの特殊兵器群はもちろん、対艦ミサイルや護衛艦などにも搭載可能であり、利便性を高めた汎用型スパイラルグレネードミサイルともいえる。
新生児の育児をしながらのため、更新速度がかなり下がっています。