東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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059. 魔王軍との決着

 

中央暦1639年12月21日

トーパ王国 城塞都市トルメス

ミナイサ区域境界の城門前

 

 

「ば、ばかな・・・。わ、我のカイザーゴーレムたちが全滅だと!?」

 

魔王ノスグーラは、目の前の光景が信じられないという顔で茫然としていた。突如、城壁上空に現れた奇妙な飛竜が、あろうことか魔帝様の『誘導魔光弾』に酷似した光の矢を放ち、夜遅くまで苦労して準備したカイザーゴーレムたちを攻撃してきたのだ。

 

驚くべきことは、それだけではない。ヤツの放った誘導魔光弾モドキは、カイザーゴーレムたちに直撃した際、ゴーレムの弱点である胸部のコア中心部へ移動後に起爆するというとんでもない性能をもっていた。

 

苦労して準備した三体のカイザーゴーレムが、たった一匹の奇妙な飛竜に全滅させられたことに激しく動揺する魔王ノスグーラであったが、彼にとって悪夢のような戦況はまだまだ続く。

 

それまで自分たち魔王軍を一歩足りとも侵入させまいと、固く閉じられてた大きな城門がゆっくりと開かれ、その中から嘗て自分たちを追い込んだ忌々しい仇敵が現れたのだ。

 

「な・・・。あ、あれは、まさか!? 我は貴様らを知っているぞ、! 忘れる筈がない! 貴様らのことは、よく覚えているぞ!!」

 

1万年以上前の戦いにおいて、圧倒的な爆裂魔法と雷撃魔法で魔王軍の地上戦力を蹂躙・粉砕し、この北の果ての大陸まで敗走されられる主な要因となった鋼鉄の魔獣たち・・・、。三匹の『鉄の地竜』と五匹の『鉄の蠍』が、さらなる援軍として姿を現した。

 

「太陽神の使者が使役していた『鉄の地竜』と『鉄の蠍』ども!!」 

 

しかし眼前に現れた『鉄の地竜』と『鉄の蠍』は、魔王ノスグーラの記憶の中にある『太陽神の使者』が使役していたヤツよりも大きく、重厚感が何倍にも増したことで以前よりも強大になっているかのようであった。

 

最前列にいた三匹の『鉄の地竜』が、忌々しい爆裂魔法を放っていたツノを自分や赤竜に向けたのがはっきりと見える。

 

「『鉄の地竜』がツノをこちらに向けた・・・、マズイ! 赤竜よ、我の魔力もお前に貸し与える! 前方へ障壁を最大出力で展開しろ!!」

 

魔王ノスグーラが念話で赤竜に指示を送った数秒後、三両の10式戦車から10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)が一斉に発射された。1600m/s 以上の超高速で発射された APFSDS が、赤竜へ直撃しようかという瞬間、空中で弾かれるように停止して手前の地面へと着弾する。

 

スーパーX2改の機体上部から発射された通常の対地ミサイルも、赤竜の頭上で跳ねるように静止し、明後日の方向に弾かれる。

 

「え!? な、何が起こったのだ!?」

 

「目視でも物理防御用の魔力障壁が展開された様子はありません!」

 

「まさか魔力障壁とは別のバリアのようなものを展開しているとでもいうのか!?」

 

自衛官たちに動揺が広がるなか、状況を静観していた百田隊長はスーパーX2改に搭乗する猿渡分隊長へ指示を出す。

 

「猿渡、ヤツの周囲の重力子や光子についてすぐに確認しろ! もしあの化け赤トカゲが『スペースゴジラ』のような能力を持っている特殊生物なら、『フォトン・リアクティブ・シールド』みたいな素粒子のバリアを展開している可能性が高い!!」

 

百田隊長からの指示を受けた猿渡分隊長は、搭乗していた分隊員たちとスーパーX2改のコックピット内に搭載された各種測定機器で、赤竜の周囲の分析を開始する。放射線や電磁波は、殆ど誤差に近い数値しか検出されなかったが、重力子の計器だけが大きく乱れた値を示していた。

 

「百田隊長、ヤツの前方の重力が異常に強くなっています! 念のため追加測定したところ、ヤツの体内から莫大な『タナトニウム』の反応が検出されました! おそらく体内にある『タナトニウム』を使い、局所的に重力を操作しているものと思われます!!」

 

「たかが 20 メートル程度のデカさで『スペースゴジラ』みたいな芸当が出来るとは・・・。つくづくこの世界の生物も規格外の連中ばかりだな・・・」

 

「重力操作か・・・。ということは通常弾頭は勿論、メーサーのような指向性エネルギー兵器すら手前で歪曲され、防御されてしまう可能性もありますね。」

 

百田隊長たちの推察は、的中していた。赤竜はワイバーン程度の知能しかもたない反面、自身に危険が迫るとそれを本能で察し、周囲の重力を操作して防御する。重力を操作できる範囲は自身の周囲に限定されるが、その異端な力そのものは、魔王ノスグーラに匹敵するほど強力かつ厄介な代物であった。

 

嘗て魔王ノスグーラは、この赤竜をグラメウス大陸の奥地、魔族すら近づけない超強力な重力場が発生していた危険な地帯で発見し、自身の手駒として手懐けていた。1万年以上前の戦いにおいて、『太陽神の使者』たちですら、この『重力操作』という厄介な防御能力を突破することが出来ず、数度の交戦の結果、赤竜の撃破が見送られていたほどであった。

 

「危なかった・・・。相も変わらず、恐ろしいほどの威力の爆裂魔法を放ってくる奴じゃな・・・。だが、嘗て同様、赤竜のこの異端な障壁魔法の前には、手も足も出ないようだな!」

 

魔王ノスグーラは、『太陽神の使者』が再び召喚され、魔王軍が壊滅的な状況になっている現状、さらに自身の極大魔法さえも無効化してくる敵の実力を顧みて、赤竜の重力魔法で防御しつつ、グラメウス大陸への一時撤退を考えていた。

 

「赤竜の後方にいる魔物たちが、グラメウス大陸へ向けて逃げ始めています! まさか撤退するつもりなのでは!?」

 

「ここで逃がすと、いつ再びトルメスが魔王軍がに襲撃され、民間人が犠牲になるやもわからない! 一匹たりとも逃がさず、ここで殲滅するんだ!!」

 

「ですが、赤竜の重力をどう突破するつもりですか?」

 

「先程 APFSDS や対地ミサイルを防御した際、ヤツは自身のすぐ近くに到達するまで重力操作を行わらなかった。それに最前列にいる10式にも、重力による攻撃を仕掛けてきていない・・・。つまり、ヤツが重力を操作可能な範囲は広くない筈だ!」

 

「それに今回の派遣部隊には、重力の影響を受けない『通常弾頭やメーサー以外の攻撃オプション』があるだろう。」

 

推察を聞いた城島分隊長は、百田隊長が言わんとしている内容を察し、メーサー部隊に指示を出す。

 

「93式と95式は赤竜に向けて冷凍弾を発射! 全弾使い切っても構わん!! 重力の影響を受けない『温度』の恐ろしさをヤツらにレクチャーしてやれ!」

 

ブルーオーガとゴロザウルスのコンビを撃破した冷凍弾ミサイルが、93式ツインメーサータンク改と95式レーザータンク改に装備された8連装ミサイルランチャーから次々に発射された。

 

「ふん、無駄だとわかっていながら、誘導魔光弾モドキを再び使用してくるとは・・・。やはり頭の悪い下等種どもじゃな」

 

魔王ノスグーラは迫りくる冷凍弾ミサイルに対し、余裕の表情を見せていた。しかし重力魔法によって弾かれ、赤竜の周囲に着弾した冷凍弾から強烈な冷気が発生し始めたことで、余裕綽々であった態度を豹変させる。

 

「なっ!? 今度は氷結魔法を封じ込めた誘導魔光弾だと!? 奴らの狙いはまさか・・・」

 

魔王ノスグーラは百田隊長たちの狙いに感付いたが、時すでに遅し。93式と95式から発射された総弾数32発の冷凍弾ミサイルが、赤竜に向かって流星群のように次々と降り注ぐ。重力魔法に弾かれて彼らの周囲に着弾した冷凍弾からは、氷点下200度以下にも及ぶ超低温の冷気が一斉に吹き出し、うっすらと雪の積もった大地が極寒の凍土へと変貌していく。

 

既に討伐されたゴロザウルス同様、変温動物であった赤竜は、炸裂した冷凍弾の引き起こす極低温な環境により、体表が凍結しながら休眠状態に陥り始める。

 

「クソ、奴らの狙いは重力魔法で防御出来ない超低温で赤竜を無力化することか! このままでは我まで氷漬けになってしまうわ!! 無念だが、我だけでも落ち延びねば・・・」

 

魔王ノスグーラは凍結しかけていた体表の氷を振り払うと、背中に生えた漆黒の翼で勢いよく飛び上がり、上空へ避難しようとする。

 

「魔王が空に逃げます!」

 

「逃がすな!!撃ち落とせ!!」

 

「目標補足! メーサー照射!!」

 

90式、93式、95式の全五両のメーサー部隊が、上空へと退避した魔王ノスグーラに照準を合わせ、各メーサー砲を照射し始めた。オレンジ色に輝く灼熱の光線と青白く輝く極低温の光線が、城塞都市トルメスの空に六本の鮮やかな線を描きながら魔王ノスグーラに迫る。

 

「ぬ、あれは『鉄の蠍』の怪光線か!? クソ、避けきれない!」

 

魔王ノスグーラは両手を全面に突き出し、特殊防御型の魔力障壁を展開する。飛行するための最低限の魔力以外をすべて使用しており、オーガたちの展開していたものよりも明るく、煌びやかに輝いている。

 

一両の90式メーサー殺獣光線車の照射した誘導放出型メーサーが、展開された魔力障壁へ最初に直撃する。一方は科学、もう一方は魔法で精製された強大なエネルギー同士がぶつかり合い、周囲は眩い光に包み込まれる。

 

魔王ノスグーラはギリギリのところで持ち堪えているが、魔力障壁から漏れ出た熱エネルギーが、少しずつ左手の掌を焼き焦がし始めていた。

 

「ぬぅ、なんという熱量だ! 嘗ての『鉄の蠍』とはエネルギー量が桁違いだ・・・!」

 

追い打ちするかのように、残り二両から放たれた誘導放出型メーサーも加わったことで、魔王ノスグーラが展開していた魔力障壁はついに突破された。

 

「い、いかん! もう、持たない・・・」

 

魔王ノスグーラは、ギリギリのところでメーサー光線の直撃コースから逸らすことには成功したものの、回避しそこねた左腕が焼き尽くされる。

 

「ぐわ・・・、わ、我の左腕をよ、よくも・・・」

 

怨嗟の声をあげながら、激痛に顔を歪める魔王ノスグーラであったが、自衛隊は攻撃の手を緩めない。

 

片腕を喪失して強度が大幅に低下した魔力障壁へ、93式ツインメーサータンク改と95式レーザータンク改から照射された冷凍メーサーが直撃した。

 

魔王ノスグーラは残った右腕で必死に抵抗するが、90式メーサー殺獣光線車以上の出力を誇る両機の冷凍メーサーを防ぐことは出来ず、最大出力を誇る95式の冷凍メーサーが下半身に、93式の冷凍メーサーが右腕と片翼に命中し、極低温の光線であっという間に細胞レベルで凍結される。

 

これらの部位を構成していた魔王の細胞は瞬間凍結されたことで壊死し、魔王ノスグーラは固い凍土と化した城塞都市トルメスの大地に向けて自由落下を始める。冷凍弾により休眠状態になった赤竜の手前へと落下し、地面と激突した衝撃で凍結された部位は粉々に砕け散る。

 

「お、おのれ・・・。我をこのような目に合わせて・・・。許さぬ、絶対に許さぬぞ・・・」

 

全身がズタボロの満身創痍になった魔王ノスグーラは、恨みがましい顔で『鉄の蠍』たちを睨みつけるが、その目に映ったのは、三匹の『鉄の地竜』が忌々しい爆裂魔法を放っていたツノを再度、こちらに向けている姿であった。

 

三両の10式戦車の主砲 : 44口径120mm滑腔砲が火を噴き、ダルマ状態になった魔王ノスグーラと休眠状態に陥った赤竜に直撃した!

 

 

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