東宝世界線の日本国召喚   作:T1001

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090. ルミエス女王の要望

 

中央暦1640年2月2日

第三文明圏の東 大東洋 

日本国 首都東京

 

 

スーパーX改の活躍により、外交官の朝田と篠原が無事に皇都エストシラントを脱出出来た翌日、日本国政府から緊急記者会見を開催し、重大発表を行う旨が報道された。

 

日本国政府からの重大発表は、地球にいた頃は主にゴジラ級の超大型特殊生物の出現、及び日本国本土へ上陸する可能性が高い場合に行われることが多かった。昨年の始めにこの惑星へ転移してからは、国土丸ごと国家転移したという天変地異の発表以来二度目であり、各テレビ局やウェブ配信番組、スマートフォンへの緊急速報などを通し、繰り返し案内された。

 

首相官邸に準備された記者会見場に麻生内閣総理大臣が姿を現すと、新聞記者やテレビクルーが一斉にカメラを向ける。先日の『ニシノミヤコ事変』を発表したとき以上に険しい顔をした麻生首相が演壇の前に立つと、カメラのシャッター音やレポーターの実況などでざわついていた雰囲気が一瞬にして静まりかえる。

 

「日本国民の皆様、本日は皆さまに非常に重要かつ残念なことをお伝えしなければなりません。先日の『ニシノミヤコ事変』を受け、我が国はフェン王国を侵略中の列強パーパルディア皇国に対して実力行使を行い、これを排除しました。」

 

「実力行使は行ったものの、我々は何度も外交による平和的解決を続けておりました。しかし昨日の正午、かの国は・・・、パーパルディア皇国は我が日本国に対して宣戦布告致しました。」

 

「さらにあろうことか、かの国は宣戦布告に付随して民族浄化を・・・、特殊生物を用いて日本国民を一人も残らず全員虐殺することまでも表明致しました。またこの宣言に対し、苦言を呈した我が国の外交官を不敬罪で拘束するという暴挙にまで及んでおります。」

 

「このようにかの国は『自国こそがこの世界すべての中心であり、法である』という極端に偏った中華思想をもち、こちらがいくら対話を求めても価値観の差を埋めることすらできず、決して歩み寄ろうともしませんでした。この結果、戦争という手段を選択せざるをえない最悪の状況となってしまいました。」

 

麻生首相は一旦息を整え、声に力を入れ直して演説を再開する。

 

「日本国政府を代表し、国民の皆様に申し上げます! 私たち日本国政府は、パーパルディア皇国の宣戦布告と民族浄化宣言に対し、自衛権の発動を決定致しました! また特殊生物を用いた虐殺を良しとするかの国に対し、1963年の『ムウ帝国』に次ぐ史上二例目の特テ国、『特殊生物を用いたテロ主導国家』と認定しました。陸・海・空の全自衛隊の戦力に加え、国連G対策センターのGフォースの戦力をもって、かの国からの凶刃・凶弾・凶牙から皆さまを絶対に守り抜きます!!」

 

「日本国政府はこの異常なる異世界において、二度とこのような悲劇を繰り返さないよう、強い意志と決意をもって事態の収束に迅速して参ります。」

 

麻生首相に続き、防衛大臣とGフォースの結城司令官が壇上に立つ。

 

「麻生首相から発表のあった自衛権行使の対象ですが、日本国、及び我が国の友好国へ侵攻してくる敵兵や敵艦、敵特殊生物は当然のこと、軍事基地や工場、その他武力行使に直結するあらゆる存在へ適応されます。」

 

様々な質問が国内外の記者から飛び交い、緊急記者会見は終了した。

 

 

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中央暦1640年2月12日

第三文明圏の東 大東洋 

日本国 首都東京 とある高級マンションの一室

 

 

首都東京にある高級マンションの一室では、元アルタラス王国の王女であり、現在はアルタラス王国暫定政府の君主となったルミエスと付き人の上級騎士リルセイドが、壁に掛けられた液晶テレビのモニターを見ていた。

 

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『皆さん、私はアルタラス王国の王女ルミエスです。現在、我が祖国は、パーパルディア皇国によって占領され、属領の一つとして搾取されている状態です。アルタラス王国は日本国内において臨時政府を置き、私ルミエスを長として、ここにアルタラス王国の正統政府を宣言致します。』

 

『現在、我が国アルタラス王国と日本国は、国交開設と安全保障条約の締結に向け、協議を進めています。アルタラスの民よ! 私の声が聞こえているなら、その刻に向けた準備を進めなさい!! 我が国の民なら誰でもわかる方法で知らせましょう。』

 

『現在パーパルディア皇国の支配により、苦しんでいる各属領の人々よ!! フェン王国を侵攻していたパーパルディア皇国正規軍は、日本とフェン王国の前に完膚無きまでに叩きのめされました。列強パーパルディア皇国軍は確かに強いですが、無敵ではありません!! 時期がくれば、あなた方の「力」が必要となるでしょう!!!」』

 

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「姫様、何度見ても素晴らしい演説でした! あの後、日本国の柳田さんという外交官から、日本国政府がアルタラス王国正統政府を承認し、友好国各国にもアルタラス王国正統政府の承認を働き掛けていく意向を表明してくれました。後は安全保障さえ締結できれば、再独立も夢ではありませんよ!」

 

『ニシノミヤコ奪還作戦』が決行された先月27日、ルミエス王女はテレビやラジオなどの電波放送と魔導ラジオで上記演説をしていた。リルセイドは、映像付きで報道されたテレビ番組をブルーレイディスクに録画しており、毎日のように見ていたのであった。

 

「先日の記者会見では、日本国が宣戦布告に加えて民族浄化まで宣言されたと報道されていました。日本国の力は本物ですが、果してどうなるやら・・・」

 

あの演説後、なかなか外務省から連絡を貰えないことにやきもきしていたルミエス王女であったが、その翌日、再び霞が関の外務省庁舎へと招待されるのであった。

 

 

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中央暦1640年2月13日

第三文明圏の東 大東洋

日本国 首都東京 霞が関 外務省庁舎

 

 

「単刀直入にお伝えします。アルタラス王国政府との安全保障条約ですが、我が国の現行憲法とその解釈では、難しいと言わざるをえません。」

 

日本国外務省の柳田が申し訳なさそうに伝える。

 

「そ、そうですか・・・」

 

ルミエスたちの顔が強張る。柳田はルミエスたちをあまり落胆させないよう、すかさず代替案を提案する。

 

「安全保障条約は難しいですが、代案はございます。一つはクワトイネ公国やフェン王国などと同じく、『対特殊生物に関する相互協力条約』を締結することです。これを締結することで、今後パーパルディア皇国のような悪意をもった国家が特殊生物を用いた侵略を行ってきた場合、我が国が協力して対処可能となります。」

 

「ですが、未締結の今の状態に対しては、これを適用することはできません。そこで、もう一つの代案がこちらです。」

 

柳田がアルタラス島からフェン王国周辺までを撮影した衛星画像を取り出し、説明を続ける。

 

「我が国への侵攻、ならびに日本国民への民族浄化宣言を掲げるパーパルディア皇国に対し、皇国軍の基地や軍事施設に対する攻撃を検討しています。我が国の入手した情報によると、この度フェン王国を侵攻した部隊は、一部はアルタラス島を出撃し、ここにある工業都市で補給を行ったことが確認されています。」

 

「今後も、アルタラス島にある基地が使用される可能性を加味し、早めに潰しておこうと考えています。アルタラス島を支配しています皇国軍の大部分について、我が国が『掃除』するというかたちで、貴国の再独立を支援致します。」

 

「再独立を支援するにあたり、二点ほどルミエス殿にお願いがござます。まず一つ目ですが、アルタラス王国政府が全島の実効支配力を回復した後、アルタラス島北部にムー連邦が建設した空港を、我が軍の基地として利用する許可を頂きたいのです。」

 

「この空港を使用できれば、皇都エストシラントが『通常の』航空機でも攻撃可能となります。そして二つ目ですが、皇国との戦争終了後も、この基地を引き続き使用させて頂きたいと思います。」

 

アルタラス島は第一文明圏『ミリシエント大陸』や『ムー連邦』のある第二文明圏『ムー大陸』を結ぶ通商航路のチョークポイントという地政学的に重要な位置を占めているため、戦後を見越した日本政府からも重要視されていたのだ。

 

「なるほど・・・、承知致しました。我が国が再び独立する事が出来るのであれば、日本国が島内にある全ての空港を使用する事を許可致します。空港の設備強化や基地としての拡張も『ムー連邦』からの許可に基づいてご自由になさって頂いて構いません。」

 

「ただし、基地設備について一つだけ私からも要望がございます。先月、横須賀という地区で見せて頂いたあの巨大な魔光砲台を・・・、『マーカライトファープ』を我が国に建設する基地へ設置して頂けませんでしょうか。もう二度と、皇国に我が国を蹂躙させないために!」

 

アルタラス王国政府との会談はルミエス女王が一つの要望を出したこと以外は早期にまとまり、アルタラス王国に進駐するパーパルディア皇国軍を早期に攻撃する事が決定された。

 

 

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