こうやって日日で分けた方がやはりそれっぽいかな、と何となく思った次第です
「……ん?」
周りが、紅い。
暗い。
そんな訳の解らない場所に、キミは、1人。
すぐにキミはこれが夢だと気が付いた。
菜々子と2人きりの、どこかぎこちない空気の夕食を終え、キミは自分の部屋に早々に戻った。
そして、届いていた段ボール箱の処理や、遼太郎があらかじめ買い揃えていてくれていたものの整理を行っていたはずだ。
……その途中で、面倒になって寝てしまった、気がする。
どこまで片付けただろうか。半分?75%?あるいは25%しか?いやいや、そもそも全然手を付けていなかったり?
「……止めだ止め」
何故夢の中でまでここまで悩まねばならんのだ、とキミは首を振った。
思わずぼやきそうになりながらも、改めて周りを見渡す。
赤。
空が、紅い。
夕焼けなんて生温いほどの、赤。
綺麗、とは少し違う感じの、紅。
それはまるで、「血」の様だと……漠然とそう思う。
変な世界、だと思う。
ふとキミは何かが足りないと感じた。
それはまるで、喉が渇いているかのような。
胸にぽっかりと穴が開いたかのような。
身体の中に流れているはずの「何か」が、止まってしまったかのような。
それは最初は小さな違和感だった、しかしやがて大きくなっていく。
まるでキミの身体を蝕むかの様に。
まるでキミの口から、手から、眼から、全身から、どこかへ飛び出して行きたがっているかの様に。
「……歩いてみるか」
身体を動かせば、気も紛れるかもしれない。
そう考え、キミは脚を動かした。
結論から言えば。
「……飽きた」
どこまで歩いても、何も変わらぬ世界だった。
ただ赤く。ただ暗い。
初見では不気味さも感じたであろうその世界は、今となっては少しのスリルも感じず、新鮮味も無い。
それほどまでに……何といえば良いのか。
「単調」であったのだ。
やれやれ、とキミはため息をつく。
歩いて紛らわせた感覚も、またぶりかえしつつある。
「足リナイ」と。
何かが囁く。
「モットモット」と。
何かが頭に語り掛ける。
何がだよ、とキミはぼやく。
訳が分からず、イライラともしてしまう。
何なのだ、この妙な感覚は。
『おや……私を追いかけるのは、君か……?』
そんな時だった。
変な声が、この空間に響き渡ったのは。
「あ?」
『ふふ……随分と何かを探し求めているようじゃないか。真実かい?虚飾かい?それとも愉悦?快感かな?』
「……何言ってんのかさっぱりだけど、姿見せない奴に答える義理も無いんだが」
ぶっきらぼうにキミがそう口にすれば、男とも女とも取れる声はまた、笑いを伴ってこの紅の暗い世界に響き渡る。
『そうかい?ならば……捕まえてごらんよ』
かくれんぼかよ、とキミはぼやく。
よそでやれ、とも思ったが……キミはまぁ良いか、と考え直した。
ようやっと何かしら変化が起きた。
夢はまだ覚める気配が無いし、この妙な感覚も誤魔化せるだろう。
そう考え、直感のままに足を運ぶ。
何も無い世界だ、距離さえ近づければすぐに捕まえられる、そう判断したのだ。
……そうやって歩く事、少しして。
何時の間にか、辺りは一本道。
周囲を紅に染め上げるは、霧。
単調であったはずの世界に、変化が生じていた。
もっとも、変化したその世界もまた、「単調」と呼べるものなのかもしれないが。
そしてキミの目の前に突如現れた、壁。
漠然とだが感じる、壁の向こうにある気配。
どうしようかと手を壁に当ててみれば……壁は真ん中に穴が開き、そこから開いていくように通り道が完成した。
「……ほい、見つけた」
霧に霞んで上手く視認出来ないが、人のシルエットをハッキリとキミの目は捉えた。
『ふふ……やってごらんよ……』
目の前のシルエットは、相変わらず響くような声で笑いながら言葉を返す。
今度は鬼ごっこか、とキミは微妙な顔になった。
だがまぁ折角の夢だしいちいち気にしても仕方ないか、と思い直す。
これでも運動神経は悪くない方なのだ。
足先を軽く曲げ、そして息を深く吸って、吐いて。
それから、一気に駆け出した。
相手は逃げる様子が無く、あっさりと伸ばした手はシルエットの肩を掴む。
キミが拍子抜けに感じた、その時だった。
『へぇ……この霧の中でも、少しは見えるみたいだね……』
何時の間にか、掴んだはずの感触は消え、シルエットはキミの右手の方向へ移動していた。
キミが驚いている間にも、響く声は笑ってつづける。
『ほら、こっちだよ……捕まえてごらん』
……何となく、いらっとした。
言われた通りに走り、今度はその腕を掴む。かなり力を込めてしまうがしょうがない、逃がさない為だ。
『成程……これは、中々。変わった素養だ……』
だがその狙いは叶わず、また捕まえたと思えば、その感触はすぐに消え去り、シルエットはキミの左の方向へと現れる。
「……おいお前、それはフェアじゃないんじゃねーの?」
夢の中に不思議もフェアもあったものではないとも思うのだが、それでもムカついてキミは思わず愚痴を口にする。
『ふふ……簡単に捕まえられないよ。君が真実を求めるんだとしたら……尚更、ね』
紅の霧が濃くなり、シルエットすらも見えなくなってしまった。
笑い声は変わらず、からかわれているようで癪に障る。
そもそも真実がどうした、とキミは内心でぼやく。
真実を手に入れ、何か得する事があったか。
『誰だって見たいものを見て、信じたい様に信じる。そして、霧はどこまでも深くなる……』
まぁそりゃあそうだろ、とキミは頷いた。
普通見たくないものを態々見ようとする者はいないし、信じたくないものは信じたいとは思えない。
そんな事をするのは、よっぽどのマゾか何かじゃねーの、とも思う。
それか余程お気楽なのか、冒険家なのか。
どちらにせよ、自分には縁が無い。
『さて……それはそうと、君。後ろの存在には気が付かないのかい?』
言われて思わず、え、とやや間抜けな声を出しつつ振り返った。
かなり濃い紅の霧の中、はっきりと見えるシルエット。
真っ黒なその姿はまるで、影の様。
はっきりとした違和感に、何とも言えない不気味さに、やや身体が強張る。
そして、キミは気付く。
キミの足元と、目の前の黒の人影の足元が、黒い線で繋がっている事に。
何だこれは、とキミは目を疑った。
これでは、まるで。
『いつかまた、会えるのかな。こことは、別の場所で……』
そこから先の思考は、言葉によって遮られた。
それと同時に、キミの意識が遠くなっていく……。
『ふふ、楽しみにしてるよ……』
相変わらずの笑い声。
そして目の前の影の、裂けた様に笑う、紅い、朱い口。
それを感じた直後、キミの意識は完全に途切れたのだった。
やや遅れてしまった感がありますが、第3話。
まさか夢の話でこれ位になるとは思わなかったんや(ぁ
タイトルに?がついているのは、これが夢の中だから(つまり12日にも成り得るから(
それに、夢の中という不思議さを出す為でもあります。
本編を知っている方は、本編主人公こと、番長との違いを理解していただけるかと思います。
まぁぶっちゃけ異質寄り、奇妙な素養でありやや捻くれた性格です。
さっさとペルソナやらなんやら出したい処でもありますが、もうしばらく(表向きは)何も無い日常が続くんじゃよ(ぁ
良ければ、お付き合いください。
感想などもお待ちしております。
追伸
P4Gのアニメ化はやっぱり良いモノだと再認識。
足立……