ペルソナ4 G×D   作:ドラゴマキナ

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4月12日 Ⅲ

 

昼頃。

今日は半日授業により、昼飯の前に帰る事が出来るのだとキミが知ったのはついさっきである。相変わらず学校の事情云々については無関心であった。

 

「よし、今日はここまで。明日から平常授業が始まるからな」

 

『先生方へお知らせします。只今より、緊急会議を行います、至急職員室へお集まりください。また、全校生徒は各自教室に戻り、指示があるまで下校しないでください』

 

諸岡が出て行こうとした瞬間に、アナウンスが響き渡る。マジかよ、とキミは声に出さないままで愚痴る。帰ってのんびりしつつ段ボールを片付けていきたいのだが。

 

「うむ、良いか?指示があるまで教室を出るなよ」

 

そう言い残し、出て行ったと同時、教室は騒がしくなり始めた。

 

「あいつ……マジしんどい」

 

「何か事件?すっげぇ近くね、サイレン?くっそ、何も見えねぇ。何だこの霧」

 

「最近、雨降った後とかやけに出るよな」

 

「そういや聞いた?例の女子アナ」

 

「ね、そういえばさ雪子。前に話した奴、やってみた?」

 

「あ、ごめん、やってない」

 

ギャーギャー騒ぐ声が凄まじい。よくみんなそこまで騒げるな、とキミは机に突っ伏しながら思う。

横目で見れば、転校生仲間である神無月は本を読んでいた。どうも、彼女もマイペースに行っているらしい。まぁ自分にとってはどうでも良い事だが。

 

『全校生徒にお知らせします。学区内で事件が発生しました。通学路に警備員が動員されています。出来るだけ保護者の方と連絡を取り、落ち着いて、速やかに下校してください。くれぐれも警備員の邪魔をせず、寄り道などしないようにしてください。繰り返します――――――』

 

放送が再び入った。これまた面倒事だ……事件と来た。これは一体どういう事だろう。キミは巻き込まれるのは勘弁だから、言われなくても真っ直ぐ堂島家へ帰るつもりだ。

 

事件と聞いて興奮している自分の後ろの席の男子生徒へはあえてノーリアクションのまま、鞄を抱えて立ち上がる。

 

「あ、帰り1人?良かったら一緒に帰らない?」

 

そこへ、キミへ声をかけてくる女生徒が1人。朝に助け舟を出してくれた奴だとキミが気付くのに時間はかからなかった、緑のジャージが何とも印象的だからだ。

その後ろには赤のカーディガンを来た黒い長髪が特徴的な女子。更には神無月もいた、意気投合したのだろうか。女3人集まれば姦しいってあったな、等とどうでも良い事をキミは思い出す。

ほんとはさっさと帰りたいし断りたいとも思うキミだったが……彼女に意図があったかどうかは解らないとはいえ、救われた恩がある。その誘いを断れそうには無かった。

 

キミが了承の意味を込めて頷けば、よっしゃ、と彼女はガッツポーズ。中々気力溢れる女子の様だ。

 

「あたし、里中千枝。んで、こっちが天城雪子。美穂ちゃんは……もう知ってるよね」

 

「あ、初めまして。なんか、急でごめんね?」

 

早くも下の名前呼びである。やっぱ打ち解けるのも速いのかね、等とキミが考えている間にも、赤のカーディガンの女子……天城が申し訳なさそうに言えば、緑のジャージの女子、里中が決まり悪そうになる。

 

「のぁ、謝んないでよ。何かあたしが失礼な人みたいじゃん……ちょっと話を聞きたいなって、それだけだってば」

 

わたわたする里中。それをぼんやりと眺めつつも、それじゃ帰るか、とキミが振り返り、3人と共に歩き出した、その目の前に。

 

「あー……えーと、里中さん」

 

茶髪の男子が顔色を悪くし、妙に引きつった表情で歩み寄っていた。

見覚えがある男子だ。今朝、豪快に目の前で事故ってくれた事はキミの記憶に鮮明に残っている。自己紹介の時に見つけ、同じクラスなんだと知った時は、また何という偶然と思ったものだ。

今もまだ、事故の痛みが残っているのだろうかとも思ったが、ふと彼はDVDケースを取り出した。

 

「これ、スゲー面白かったです。技の操出が流石の本場、っていうか……。……うん、申し訳ない!事故なんだ!今月のバイト代が入るまで待って!」

 

最初は何とか笑顔のままで話していたが、表情が崩れ、必死な顔になって早口で話すと同時、彼は里中にケースを押し付け。そしてそのまままるで逃げるように走る。

……のだが。

 

「待てこら。貸したDVDに何した」

 

里中という名の問屋はそうは下ろしてくれなかったらしい。こちらも一気に走ったかと思うと、走る彼の背に跳び蹴りを喰らわせた。吹っ飛んだ彼は机に激突、またもや股間を抑えて悶絶する。……角をぶつけた様だ、キミも同情せざるを得ない。

 

「あ――ッ?!何で!?信じらんない!ヒビ入ってんじゃん!あたしの『成龍伝説』がぁぁぁぁ……っ!」

 

悲痛な声にキミが目を向ければ、里中はケースを開けたまま震えていた。成程、確かに入っているディスクには白の模様……ヒビがくっきり刻まれていた。

視界の外から、「俺のも割れそう……」と掠れ気味の声が聞こえてくるのには、心の中で合掌しておく。

 

「だ、大丈夫?」

 

「結構、強くぶつかったみたいだけど……」

 

「あ、あぁ……心配してくれんのか、2人とも……」

 

天城と神無月の声に、感極まった様に返事する男子。もっとも、うずくまりっぱなしで、声は震えている時点で色々と残念な風景なのだが。

 

「良いよ、雪子、美穂ちゃん。花村なんてほっといて行こ」

 

里中がスタスタと歩き去り、女子2人も続く。

……頑張りな、とキミも呟くだけ呟いて、後へ続くのだった。

 

 





変わらず日常シーン。

周回してても思いますが、非日常に踏み込むまでの時間が長いですよね。長い、というか結構日常が崩れていく様をゆっくりかつ多く詰め込んでいる印象があります。
あくまで私の印象ですが、だからこそ非日常がより強調されると思うとやはりすごいなーと。

DXのオープニングだと、日常はあっさり壊れる印象なので、えぇ。
殺されたりトラック突っ込んで来たり……HAHAHA。

さて、まぁ色々とありますが、もう少し日常を彩りましょう。
その後に、醜くも綺麗で、汚くも美しい、非日常が待っているはずですから。

……感想や意見、お待ちしております。
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