マクロス・フロンティア 迷い子たちのディソナンス 作:soul
破壊された戦闘用航宙艦――データーによればノプティ・バガニス級中型艦隊指揮用戦艦と呼ばれていた船の残骸から何とか航路データーを入手できたクリスとノノは、『実験艦―02』の進路を銀河系中心部へと向けると亜空間超光速航法へと移行する……あの船から経たデーターによれば、この世界での超光速航法は空間湾曲型の航法がメインであるが、亜空間から弾き出された『実験艦―02』がこの世界に辿り着いた事からも、この世界にも隣接する
第三段階の亜空間航法は派手に失敗したが、通常の亜空間航法ならば問題ない。目標である あのノプティ・バガニス級戦艦が建造されてから実戦部隊に引き渡された時のデーターであるゼントラーディの造船施設の位置……当然今の所在地は変更されているだろうが、この銀河系の中心部が近い宙域に漂うこの航宙艦を建造した造船施設なら、いて座*やそれに引き寄せられた恒星の影響を受けない宙域に存在しているであろうと推察したクリスは、一番近くにある比較的安定したポイントへと『実験艦―02』を向ける。巨大なブラックホールである いて座*や、その重力の影響でハンマーのように振り回されている恒星自体の重力の影響を受けない場所など それほど多くなく、戦艦を建造した造船施設を見つけるのはそう苦労はしないだろう……使えるかどうかは別だが。
亜空間航法を行っている間は暇であり、『実験艦―02』の損傷の中でも比較的に修理が出来る所――特に亜空間航行用システムは稼働するがダメ―ジを追っているので早急な修理が必要であり、装備を修理装置に換装したドローンに修理をまかせて、ノノと共に居住施設へと移動したクリスは簡易レプリケーターを起動して、甘みを入れたコーヒーというか砂糖にコーヒーを掛けたような“劇物”を用意すると、テーブルにて待つノノの前にカップを置いて自分も席に座るとコーヒーに口を付ける。
……甘みが身体に広がって、色々な事で思っていたより疲労を感じていた事に苦笑したクリスは視線をノノへと向ける……色々と苦労を“掛けられた”彼女には砂糖をたっぷりと入れたコーヒーを渡しており、一口飲んだノノの整った顔が甘みの暴力に歪むのを見てニヤリと笑った後に投影型のウィンドウを展開する。そこにはノプティ・バガニス級戦艦の記録装置からサルベージされたデーターが表示されていた。
「……あの破壊された戦艦からサルベージしたデーターから分かった事がある――彼らは自らを『ゼントラーディ』と呼称している」
「……ゼントラーディ?」
「遥かな昔に遺伝子操作の果てに生み出された戦闘用種族――10m程の強靭な肉体を持ち、超光速航法である『フォールド航法』を可能にするような高度な技術で造られた戦闘用艦艇を運用している」
「……戦闘って、何と戦う事を想定しているの? やっぱり、あの“甲虫”たちとの戦いを想定しているのかな」
「……いや、彼らのデーターベースには、あの“甲虫”どもの記録はなかった――彼らの戦った相手は『監察軍』と呼ばれる、同じく遺伝子操作によって生み出された、いわば同族だよ」
「――同族って」
「……彼らの戦闘データーにある同じような技術で造られた兵器を運用する、同じような能力を持った敵……同じ技術体系で造られた兵器同士が戦う――いわば、内戦のようなものだろう」
「――内戦って、そんな! 宇宙に出れるだけの文明を持った生命体がそんな――」
「……高度な文明を持とうが、生き物の性からは逃れられなかった訳だ」
そう言って嗤うクリス……その表情は冷たく、感情の支配から逃れられない人間を一頻りに嗤った後、表情を戻して話を続ける……その切り替えの早さに驚くノノだったが、この船が向かう先であるゼントラーディの戦艦が建造された施設へと向かう目的が語られ始めると自然と表情が引き締まる。
「……それじゃ、そのゼントラーディの製造施設を使って戦力を整えるの?」
「――そう、ノプティ・バガニス級戦艦のデーターによれば、ゼントラーディの艦隊は100万隻前後の艦船で形成され、それが数百もしくは数千の艦隊が銀河系で活動している。そして敵である監察軍も同程度の戦力を有している……つまり兵器の製造施設は無数にあると考えられる訳だ」
だがゼントラーディと監察軍との戦闘はこの銀河中心宙域でも行われただろうし、数多くの惑星が存在するこの中心宙域は戦争の初期の辺りからの激戦が行われたと推察される。
「――物質の密度も高くて形成された多くの天体には豊富な資源が存在しただろうから、争奪戦が繰り広げられた事は予想出来る。だからこそ、この中心宙域近くには製造施設が多く存在するだろうし、相手の施設を攻略する戦闘も数多く繰り広げられた筈だ」
「……それじゃあ、見つけても使い物にならない可能性も?」
「……十分、考えられるな」
――だが、問題ないと少しは育った胸を張るクリス。
彼女が言うには、この『実験艦―02』には修理や採掘に適した装備に換装出来るドローンを大量に保有しており、艦内に備え付けられた物質変換装置とも言えるレプリケーターを用いれば、時間が掛かるが航宙艦ですら製造が可能だと言うのだ。
「……損傷の度合いにもよるが、完全に破壊されたのでもない限りは修復が可能だろう」
後は到着して現物の状態を確認してからになる……だからこそ、クリスは到着までの時間を有効に活用するべく翠眼を半目にして眼ね付けながら、思わず姿勢を伸ばすノノに問い掛けた。
「……さて、到着までは時間もある事だし――アンタの事を聞かせてもらいましょうか」
新型の亜空間跳躍実験の終盤に突然現れて『実験艦―02』の船体に大ダメージを与えてくれた自立稼働のアンドロイド――彼女は何故あんな場所に居たのか、彼女は何時、何処で、何の目的で製造されたのか、半目のクリスの手には何時の間にかゼントラーディの戦艦の記録装置に接続されたデーターリンク用のコードがあり、それをこれ見よがしに振って存在をアピールしてくる……つまり、話さなければこのコードをぶっ刺して無理矢理調べるぞ、と言う脅しだろう。
……共に居た時間は短いが、このクリスという少女は見た目に反して苛烈な性格をしているようだ――ならば、それ相応の返答をしなければならない。椅子から立ち上がって少し距離を取ったノノは、『……んふふ』と良くぞ聞いてくれましたとばかりに不敵な笑みを浮かべると、わざわざポーズまで取って名乗りを上げた。
「――私は、愛と正義のスーパーロボット、バスターマシン7号!」
「……」
いや、どうリアクションを取れというのだろうか? 恥ずかしげもなく愛と正義などと恐らく本気で言っているだろうノノの名乗りに、白けた表情を浮かべるクリス。ドヤ顔で名乗りを上げるノノの顔を見ていると無性にイラっとしたが、気持ちよく話してくれるというのなら聞く事にしよう……短い付き合いだが、このノノと名乗った“すーぱーろぼっと”とやらは煽てれば多分余計な事までしゃべると思うから……ホント、何を考えてこんなアンドロイドを造ったのやら。
「……で、その“すーぱーろぼっと”が、なんであんな場所に居て、ぶつかってきたのよ?」
「……いや~、それには聞くも涙、語るも涙な事情がありまして」
「――はやく話せ」
「……はい」
ノノが語るには、絶望的な脅威に襲われた『地球人類』が総力を結集して完成させたのが自分であり、『太陽系絶対防衛線』において切り札だったのが自分だと胸を張る姿にイラっとするクリス……とはいえ、また『地球』かと小さく嘆息する――以前『亜空間跳躍実験』の折にアクシデントに見舞われたクリスは、『地球』に属する宇宙戦艦『ヤマト』に滞在していた事があったが、その際に星間国家『ガミラス』と戦争状態であると聞いていた。だが、絶望的な脅威に見舞われていたと言う話は聞いた事は無く、恐らくノノのいう『地球』と『ヤマト』の属する『地球』は別の存在なんだろうと推察する。
「……で、その切り札が、なんで単独であんな所に居たんだ??」
ノノの語った経緯によれば、太古の戦いで撃破したと思われていた敵が長い時間を掛けて復活したばかりか、力を蓄えて惑星サイズにまで成長した敵を撃破したまでは良いが、敵が抱えていた特異点を処理する為に「時空検閲官の部屋」とでも呼べばいいのか宇宙の外側へと迷い込んで眠りについていたと言う。
「……そのままずっと眠っていたのだけど、何故「時空検閲官の部屋」から出られたのかは分からない…」
……目の前で云々唸るノノを尻目にクリスの額に一筋の汗が流れる……彼女が参加していた『亜空間跳躍実験』その最終段階でもある『水の回廊』。幾重にも重なった亜空間の中でもエネルギー密度の高い『水の回廊』は言わば宇宙にもっとも影響を与える空間といって過言ではなく、実験によって『水の回廊』を航行していた艦は激しい振動に襲われた――つまり『水の回廊』内をかき回した余波が、「時空検閲官の部屋」というかノノが居た特異空間まで伝わり、彼女が吐き出されて来たのではないか。
そこまで考えが行き着いた時、クリスは盛大に汗を流すことになる……つまり、あのまま『水の回廊』を航行して居れば自分達の宇宙だけでなく、どれほどの宇宙に悪影響を与えていたか分からないと言う事になる。
「……それにしてもお腹がすきました」
「――アンタは、アンドロイドでしょうが!」
「――アンドロイドだってお腹がすくんです!」
ボケた事を言うノノに突っ込みを入れるクリス――あまりに無駄な高性能っぷりを発揮する“すーぱーろぼっと”に脱力したが、そういえば自分も事故やら襲撃やらで何も食べていない事を思い出して、レプリケーターにて軽食を二人分用意したクリスは自分の分を置くと、もう一つをノノの前に置く……その際にあの砂糖にコーヒーを混ぜ込んだ“劇物”のお代わりも用意してやったら、ノノは涙目になって喜んでいた。
「……この“劇物”は置いておいても、フードディスペンサー? これは凄いですね、料理を転送……ではなく、分子配列を組み立てる事によって料理を作るんですね」
「まぁね。一定の文明レベルに到達すれば、珍しくもない技術だよ」
レプリケーター。これは無から有を生み出す物質創造装置ではなく、材料となる分子の原料から必要物資を組み立てる、言わば物質変換装置である。原型となる対象物はスキャンされて情報としてコンピューターに蓄積されており、端末から要求があると必要な原料がビームになって導波管システムを通じて運ばれ、コンピューターのイメージにしたがってチャンバー内部で再生されて、対象物――この場合は料理として再現されている。
「レプリケーターが有ると色々便利だよ……食料などの貯蔵スペースを節約出来るし、食べ物以外にもスキャンしたデーターさえ有れば、大体のモノは再現出来る」
前回の亜空間跳躍実験の際に宇宙戦艦『ヤマト』と衝突した事により乗っていた船を失ったクリスは、『アルテミス』が合流するまで技術的なサポートを受けられずに不自由な状況に陥った。幸いと言うか『ヤマト』の保護を受けることが出来たおかげで人としての生活を送る事が出来たが、亜空間から復帰する際に航宙艦と衝突すると言うあり得ないような事態に陥った事の反省から、クリスは新たに用意された『実験艦―02』に予期せぬアクシデントに遭遇して孤立無援となっても対応出来るような装備を求め、強靭な船体と何重ものシールド技術を持ち、換装する事であらゆる事態に対処出来るドローンとレプリケーター技術を乗せる事により、たとえ未知の世界に漂着しても生きていけるような装備を持つ船を見たプロフェッサーに失笑されてもクリスはそれだけのポテンシャルを持つ航宙艦を用意したのだ。
この並行世界で一大勢力を持つと予想されるゼントラーディの戦艦の残骸からサルベージした記録から、彼らの兵器製造施設を求めて亜空間超光速航法にて銀河系中心部へと向かったクリスとノノは、記録上では艦船の製造ラインを持つ工廠衛星が存在している筈のポイントへと到着したが、そこには何もなかった。
「……何もないね」
「……仮にも軍事施設だ。定期的に移動をして観察軍とやらに捕捉されるリスクを避けているんだろう」
とは言え、戦艦を建造できる程の工廠衛星となればかなりの規模を持つ筈である。この世界の一般的な超光速技術『フォールド航法』は、原理的に重力制御で空間を折りたたんで出発地点と目標地点を隣接させて艦の周辺空間ごと転移する。故に大質量が転移するにはそれ相応のエネルギーを必要とし、目標である工廠衛星をフォールドさせるにはかなりのエネルギーを消費する筈だから、頻繁には行えないだろうし、転移距離もそれほど離れてはいない筈である。
後は戦艦の残骸から得た航路データーと銀河系中央部に位置する恒星の分布図から推察するに、重力や放射線の影響を受けない宙域は限られており、長距離センサーにて探査すると比較的近い距離にある二つは空振りに終わったが、三つ目の探査宙域で大量の金属反応を感知して目的の工廠衛星の可能性を確認するべく、『実験艦―02』は亜空間跳躍航法へと移行する。
アクシデントにより船体に損傷を負っている『実験艦―02』。船の亜空間跳躍機関もそれなりのダメージを負ってはいるが、ゼントラーディの工廠衛星を捜索する間は何とか機能停止せずに超光速航法の負荷に耐えてくれた――そのおかげもあり、今『実験艦―02』の眼前には目的地である巨大な人工物の威容が見える――それは巨大な塊のようであった。小惑星規模に匹敵する人工の創造物であるが、無数の被弾の跡が見えて内部から爆発した形跡すらあり、動力を失って放棄されて久しい事が伺える。
放棄されているとはいえ未だに防衛機能が生きている部分もあるかもしれないし、悪辣な罠が仕掛けられている可能性もゼロではない。低速でゆっくりと放棄されたゼントラーディの航宙艦の工廠衛星へと近付く『実験艦―02』……放棄されて久しいだろう工廠衛星の表面から見るだけで使い物ならないほどの被害を受けているのは分かる……『実験艦―02』のセンサーから得られたデーターからも機能は完全に死んでいるようだ。
「……完全に破壊されちゃっているね」
「……こりゃ苦労しそうだ」
一応の警戒をしながらも何とか原形を保っている港湾施設に接近して、罠の類いのものは無いと判断したクリスは『実験艦―02』を湾岸施設に進めると比較的損傷の少ない係留設備の近くで停止する。
さあ、ここからは運頼みになる――この破壊しつくされた工廠衛星の中に無事な、もしくは修復可能な製造ラインが残っているか否か、センサー群を強化した探査装備に換装したドローン群を放出して工廠衛星内の状態をスキャンさせる……初期スキャンによれば全長50キロを超える巨大な工場プラント内部を完全にスキャンするには時間が掛かるが、それは仕方がないと割り切ったクリスは、『実験艦―02』のAIに監視は怠らない様に命じた後、ノノと二人で後方の居住施設へと戻ると二人分の特製ドリンクをレプリケーターで造ると、ノノに渡そうとするが青い顔をして首を横に振って固辞する……アンドロイドの癖に顔色まで変えられるとは、無駄に高性能を発揮する『実験艦―02』の不調である原因兼相棒らしき存在になりつつあるノノを見ながらも、クリスはこれからの事を思案する。
太古に栄えた星間文明によって生み出されたゼントラーディと監察軍と呼ばれる二つの勢力による星間戦争が繰り広げられているこの並行世界に孤立無間で流れ着いた自分達は、身を守ると言う意味でも早急に対抗する術を手に入れなければならない……そして、あの巨大廃棄艦――ゼントラーディではフルブス・アンファレス巨大母艦とカテコライズされている移動要塞の残骸に巣くっていた甲虫ども……一体一体は大した力は持ってはいなかったが、生物である以上はこれからどんな進化をして能力を獲得するか分からない――今まで以上の戦闘力を持った甲虫どもが群れを成して襲い掛かって来る光景を想像して……そのあまりの面倒さに眉を寄せて美麗な顔を歪めるクリス。
そんな事を考えている内に、ドローンからのスキャン結果を受信し始めたようだ……工廠衛星をめぐる攻防はかなり激しかったようで、建造施設は殆ど使用不能まで破壊されていたが、その中でもいくつかは修理すれば稼働可能になるようだ……だが、その建造施設を稼働させる動力源である大型の反応炉は損傷が激しく、よくもまあ工場ごと爆発四散しなかったものだとある意味感心する……。
「……なるほどね、造船設備は修理すれば使えるが、動力がない……これは困ったなぁ」
調査結果を受け取ったクリスは、待機しているドローンに修理用の装備へ換装する指示を出した後、換装が終わったドロー達が順次飛び出していく……比較的損傷の少なかった製造ラインの修復作業に掛からせると、残った問題である損傷の激しい動力炉の修復である。
ここまで破損が酷いと新設した方が良い様に思えるが、そんな施設に心当たりがある訳もなく、星間戦争を繰り広げている巨人達の争いに何時巻き込まれるか、あるいは新たな甲虫どもの群れと接触するかもしれず、製造ラインの回復に長期間が掛かるのは望ましくない……ならば最後の手段である、この『実験艦―02』の主機関である『縮退炉』を接続して製造ラインを再起動するしかないかと腹を括った時、恐る恐るといった感じでノノが話しかけて来る。
何でも彼女の能力を用いれば、施設の再建――特に動力炉の修復が可能かもしれないというのだ……どういう事だと聞くクリスにノノは語る――第六世代型恒星間航行用決戦兵器である彼女の能力を。
ノノの世界では、銀河系の中心部に生息する生態系そのものが知的生命体を殲滅するという悪意ある進化を遂げ、知的生命体を滅ぼすべく巨大な宇宙怪獣という群体を作り上げて増殖し、億を超える大軍団となって地球に襲い掛かって来たと言う。
圧倒的な戦力と物量を誇る宇宙怪獣に対抗する為に、地球は持てる力の全てを賭けて起死回生の反抗作戦を敢行して絶滅の危機は免れたが、残存する宇宙怪獣残党の攻撃に悩まされた地球が残党から太陽系を守る為に生み出したのがノノだという――そのノノも変動重力源を取り込んだ宇宙怪獣残党との決戦で勝利したが、その結果宇宙から弾き出されて、何処でもあり何処でもない空間で眠りに付いていたと言う。
……生態系そのものが知的生命体を滅ぼす為に要塞の様な群体を造り上げて襲い掛かって来るなど、そんな事があり得るのか? そんな話は聞いた事が無いし、翡翠が今までに出会った高位存在といえども そこまでの悪辣さは見た事が無い。
だが、そんな話の中でノノが語った彼女の能力『フィジカル・リアクター』――周囲の物理法則を書き換える事により、望むモノを生み出す事が出来る物理法則書き換え機関……説明を聞いた時、クリスの表情が微妙に引き攣った――それは言わば物質創成機関ではないかと。周囲の物理法則を書き換えて望む物質を、膨大なエネルギーを生み出す神の如き能力……それが銀河間航行すら実用化していない低レベルな文明が生み出したと言うのだから、一体どんなブレイク・スルーがあったのやら……宇宙怪獣とかいう圧倒的な力の前に、ノノの地球が存亡をかけて抗った結果生み出されたのだろう。
つまり『フィジカル・リアクター』とやらを使えば、この破壊された工廠衛星そのモノを物質変換能力で新生出来るのかと思えば、どうやらそう上手い話は無いようだ。ノノの説明によれば、彼女の機能『フィジカル・リアクター』の効果が及ぼせる有効範囲は狭いらしく、この工廠衛星そのものを再生するのは無理の様だが、強力な動力機関――マイクロ・ブラックホールを利用した『縮退炉』の製造を可能にするかもしれない。この世界において古代星間文明の流れをくむゼントラーディや、敵対する監察軍の主要動力は核融合反応炉であり、『縮退炉』を製造すれば既存の戦力に対してかなりの優位性を確保できるだろう。
(……流石に『
翡翠の半身でもあるリバィバル級殲滅型戦艦『アルテミス』は、異なる並行世界から用立てたそれぞれ違う性質を持つ中性子星8つをリング状にして起動させる事によりエネルギーを得る『
そうなれば、話に聞いたノノの能力のアホ毛……アドミラル・ホーンにより無人のバスター軍団を手足のごとく扱えたらしいが、宇宙怪獣との戦いでバスター軍団は失われたらしいから、その代用品には丁度いい。何なら製造される艦艇の設計図に此方の技術を加えて、強力な戦闘艦を作るのも良いかも知れない……それこそ、惑星連邦の航宙艦の技術を再現しても良い。
「……『ヤマト』でも量産してやろうかしら」
そう呟く翡翠は、悪い顔をしていた。
どうも、しがない小説書きのSOULです。
未知の世界に飛ばされた翡翠達を謎の宇宙生物が襲い、脱出した彼女達はこの世界において行われている星間戦争のデーターの一部を入手しました。
寄る辺のない状態ではジリ貧になる事は明白で、早急に戦力を構築する事を第一に動きます……『迷い子達のアンサンブル』にて初代実験艦は爆発四散し、身一つで『ヤマト』に保護された翡翠は『アルテミス』と合流するまでは出来動くことも出来なかった反省から、今回はイロイロ持ってきております。
そして判明した同行者の正体(バレバレだが
彼女と組んでこの世界で生活する翡翠だったが……
次回第4話コンタクト 5/21 0時投稿予定です。ではでは~。