マクロス・フロンティア 迷い子たちのディソナンス 作:soul
サヨナラノツバサ編
超時空生命体バジュラの女王が鎮座するこの星系で、可変攻撃宇宙空母『マクロス・クォーター』と女王の居る母星を守ろうとするバジュラの艦隊は、突如襲来した億を超える未知の敵 宇宙怪獣軍団と激しい戦いを繰り広げていた。
元々『マクロス・クォーター』は、バジュラたちと戦争状態に突入して起死回生の作戦としてバジュラたちの母星を押さえる為に侵攻した長距離移民船団『マクロス・フロンティア』を止める為にこの星系へとやって来たが、『フロンティア』によってコントロールされて傀儡と化したバジュラたちを解放して一時的に和解出来たは良いが、外惑星圏に突如として起こった空間異常――自らの超・能力によってワープしてきた破滅の象徴 宇宙怪獣の大軍団が現れたのだ。
億を超える大軍勢により宇宙の景色も一変し、遠い星から届く光に彩られた星空が赤い光に浸食されて不気味なモノへと変貌していた――宇宙の景色を変えた赤い光の一つ一つが凶悪な宇宙怪獣が放つ光であり、『クォーター』の10倍はありそうな巨体を誇る警戒色で彩られた宇宙最強の生命体である。
無数のジャックナイフ級の攻撃を退けた『マクロス・クォーター』の前に現れたのは複数の巨大な筒を束ねたような砲台型宇宙怪獣と全体を鏡面処理されたかのように銀色に光る船体を持つ新種の宇宙怪獣の混成部隊。
億に迫る数を誇る宇宙怪獣の一部とはいえ、無数の砲台級と鏡面級とでも言うべき宇宙怪獣の攻撃の前に、劣勢に陥る『クォーター』とバジュラの混成艦隊――単体でも縦横無尽な働きを見せる異文明の決戦兵器バスターマシン7号ことノノの特殊兵装『ファジカル・リアクター』によって周囲の物理法則に干渉して迫りくる高エネルギー弾を停止状態にして無効化して防御圏を形成するが、『ファジカル・リアクター』には効果範囲が限定されるという明確な弱点があり、無数の砲台級から放たれる光弾が恐ろしい密度で迫って来てノノの対応力を越えて無効化出来ずに後方のバジュラ艦や『クォーター』に被害が出ている。
いくら第六世代型の決戦兵器とはいえノノ単体では限界があり、このままでは数の暴力に圧し潰されるのも時間の問題と思われた――だが、その時にノノのセンサーが超空間からこの戦場に出現しようとする複数の物体を感知し――ノノの前にデ・フォールドして来たのは、複数の『クォーター』の同型艦と新統合軍の連合艦隊の姿であった。
『フロンティア』と袂を分かった『クォーター』の報告を受けて、『S・M・S』本部と新統合軍司令部が重い腰を上げてようやく援軍を派遣したのだ。
そしてこの戦場に姿を現したのは彼らだけではなかった――宇宙怪獣軍団と『クォーター』とバジュラの混成艦隊が戦う戦場から少し離れた空間に虹色の輝きが灯るとどんどん広がっていって虹色の大海のように波打ち、深緑の巨大な戦闘艦隊が姿を現した。
虹色に輝く位相変換フィールドより現出する深緑の大型艦による艦隊を見たノノは、それが翡翠と二人で準備していた改型ゼントラーディ自動制御艦隊である事に気付いて驚くノノ……翡翠と二人で見知らぬ世界へと迷い込んで、船の損傷個所を修理出来る場所を探し――破壊された中型ボトルザー級要塞の残骸で超時空生命体バジュラと事を構え、要塞の周囲に漂流している随伴艦から得たデーターにより、この世界にも戦乱がある事を認識した。
この未知の世界で漂着したノノと翡翠の二人だけで戦乱渦巻く銀河を生き抜く為にはそれなりの準備が必要であると考えた二人は、随伴船のデーターの中に有る戦闘艦が建造された場所を探して銀河系中心宙域を捜索して、破壊されて放棄されたゼントラーディ自動兵器工廠衛星を発見して修復しながら彼らが求めるスペックを満たすように改造を加えた“改型”ゼントラーディ自動制御戦闘艦の量産体制を構築して、不測の事態に対処出来る戦力を整える事が出来た。
そこでようやく一息付いた所で、ノノと翡翠は超空間を流れる振動として通常空間をも光を越える速度で伝わる波動に気付き――興味本位で波動を辿って見つけたのが長距離移民船団『マクロス・フロンティア』であった。
不測の事故と不幸な事故(……主にノノの所為だと主張する翡翠と、翡翠が無茶した所為だと主張するノノの間で、今だ決着は付いていない)が重なり、未知の世界に投げ出されてから救難信号は発しているが、救助が来るにはそれなりの時間が掛かると思われて時間的に余裕があった為に、直情型な二人にしては珍しく
拠点として確保した住居の隣に住まう少女ランカ・リーこそが、ノノと翡翠が求めた波動―フォールド・ウェーブの発生源だったのだ。
思わぬ形で目的を果たしてしまった二人が、市民生活に溶け込みながら今後の行動指針を決めかねていた時に感知した不穏なる空気――ランカの周りに見え隠れする総合機械メーカー『L・A・I』の影。『フロンティア』行政府とも繋がる大手企業が年端もいかない少女を監視下に置いている……きな臭いモノを感じたノノと翡翠は秘密裏に調査を開始し――超時空生命体バジュラと、それをめぐる二つの移民船団『マクロス・フロンティア』と『マクロス・ギャラクシー』の対立という構造を把握し、二人は――特に翡翠はシニカルな笑みを浮かべて「……どこの世界も同じだな」と皮肉交じりに笑みを浮かべた。
ランカと交流していく内にノノと翡翠――中でも翡翠は妙に絡んでくるランカを邪険にしながらも、懐に入り込んで来るランカを翡翠は苦笑を浮かべていたが招き入れていた……11年前の第117次大規模調査船団壊滅のショックを色濃く受けていたランカは、同じく生き残った調査船団護衛部隊のオズマ・リーに引き取られていたが、壊滅のショックからか内向的な性格となっていたが歌う事を喜びとし、いつか自分も歌手になりたいと願う どこにでもいる一人の少女であった。
――そんなどこにでもいるような少女が――何もない所でコケたり、かわいくないグッズを集めて悦に浸るような素朴な少女が、大人たちの欲望に翻弄されて未来を閉ざされるなど、気に入らない――とにかく翡翠は気に入らなかった――故に翡翠は『マクロス・フロンティア』船団を“見限った”。
――そんな翡翠が、ここで
『……どうして?』
思念波による通信を開いたノノは問い掛ける――『フロンティア』船団を、この世界の人間を見限った翡翠が何故この戦場で人間に組するような行動を取ったのか、帰って来た答えは彼女も感じていた違和感によるものであった――此処とは異なる世界において、銀河系中心宙域に生息していた群体生物が集まり、強力な宇宙艦隊を形成すると知的生命体が生み出す文明が宇宙進出する際に残すワープを含めた超光速航法の残照――超光速機関が生み出すバニシング・ドライブ波を感知して追跡し、接触した文明を滅ぼす恐ろしい存在である。
彼らには知性や意志と言われるものは存在せず、反射や防衛と言った先天的行動をもって活動していると思われていた。しかし今回出現した宇宙怪獣は、億を超える規模を持ちながら相手に殺到する訳でもなく、まるで相手の能力を確認するかのように小規模な―それでも相手にとっては大艦隊だが―部隊で攻撃を仕掛けるかと思えば、ワープでバジュラたちの母星へと直接攻撃を行うなど知性に近いモノを感じる。
そして何より宇宙怪獣を最初に確認したバジュラ空母へと追撃戦の折に見せた、生き残ったバジュラ空母を囲んで嬲り殺すかのようにジワジワと攻撃を掛ける残虐性――それはこれまで確認された事のない明確な意思を持っての行為――悪意を持っての行動に見えた。
『……この違和感。放置すると後々厄介な事になると見た――だから、此処で奴らを潰す』
この違和感が現在相対している宇宙怪獣のみの特性ならば良いが、これが宇宙怪獣全体の変化だとすればこれからの戦いはより過酷なものになるだろう。
『……翡翠…』
『――だからノノねぇ、自動制御艦隊の指揮は任せた』
『――はい? なんで!? 自動制御艦隊は02のコンピューターが制御してるんでしょう――なら、貴方が――』
突然改型ゼントラーディ自動制御艦隊の指揮を任されたノノが驚きのあまり思念波通信ごしなのを忘れて猛抗議するが、当の翡翠はのらりくらりと躱している……思念波による通信だけでなく直接翡翠への映像通信を開いて映像に映し出された翡翠の顔を凝視するノノ……映像の中の翡翠は思ったよりも真剣な表情を浮かべていた。
『……ノノねぇも気付いているでしょう? ノノねぇから提供されたデーターと、今対峙している宇宙怪獣どもとの差異を……間もなく自動兵器工廠衛星壊滅時のデーターから導き出した宇宙怪獣どもがこの世界に初めて出現したポイントに、事前に射出した探査プローブが到着する』
バジュラの母星に侵攻した『マクロス・フロンティア』船団を止める為に『マクロス・クォーター』と協力体制を取った後で、翡翠の無茶ぶりでノノはランカやシェリルと即席の音楽ユニットに組み込まれ、実験艦―02に戻った翡翠は確保していた8つのゼントラーディの自動兵器工廠衛星が宇宙怪獣の攻撃を受けた方角を調べて、その線が重なる所を特定して――そこは自分達がこの世界に出現した場所であると突き止めた。
『……02が開けた穴を通って奴らはやって来ていた……だが我々『
それを探る為に切り札である改型ゼントラーディ自動制御艦隊を投入した。
『――ノノねぇ、君は奴らを叩き潰して……私は敗走する奴らを追跡して発生源を特定する』
億を超える数で襲来した宇宙怪獣軍団の一部――それでも5000を超える大群の砲台級と鏡面級の圧倒的な攻撃力によって劣勢に陥っていた『マクロス・クォーター』の前に現れた『S・M・S』と新統合軍の連合艦隊――『フロンティア』船団と袂を分かった後に、『S・M・S』本部と新統合軍司令部へと『フロンティア』の動きを通報した結果、『フロンティア』の暴挙を止めるべく艦隊を派遣してくれた事を喜んでいた『クォーター』のクルーだったが、その後に戦闘宙域の後方に所属不明の艦隊が出現した事により再び緊張状態へと陥っていた。
『マクロス・クォーター』ブリッジ
「『クォーター』の後方、バジュラの母星の衛星軌道近くに虹色の発光現象が発生――これは実験艦―02の亜空間潜航と同様の現象です!」
「――虹色の位相変換宙域より無数の航宙艦が現出して来ます……艦影照合……現出したのはゼントラーディ艦ですが、細部に微妙な変化があります…」
「……現出したゼントラーディの戦闘艦ですが、スキャンした結果 エネルギー数値が通常のゼントラーディ艦を遥かに上回っています……これはむしろ実験艦―02と同等のエネルギー数値です」
虹色の光の大海から姿を現した無数のゼントラーディ艦隊の解析に参加していたオペレーター三人娘が次々とセンサーによる解析結果を報告してくる。
「……なんでこんな所にゼントラーディの艦隊が? 近くにはぐれゼントラーディが確認されたなんて聞いた事がないわぁ」
「……それにアレは本当にゼントラーディの船かしら? 船体の細微に微妙な変化がるのが気になるし、なにより動力炉の出力が“あの”実験艦と同等と言うのが気になるわ」
突然現れたゼントラーディ艦隊に疑問を浮かべるボビーの言葉を聞きながら、キャシーは実験艦―02特有の技術と思われる亜空間潜航能力や かの船と同等の動力を持つ一見ゼントラーディと思われる未知の艦艇が出現したタイミングを考えれば、あの翡翠と名乗る少女の仕業であると考えた方が自然であると考えた。
戦闘宙域の後方に出現した虹色の位相空間より通常空間へと姿を現す改型ゼントラーディ自動制御艦は次々と姿を現し――遂には大艦隊となってその威容を示す、その数1万隻の戦闘艦隊は本来なら凶悪な力の象徴としての威容となる筈であった。
だが対する宇宙怪獣は億を超え、総数は2億を超える正しく数の暴力の前には蟷螂の斧でしかないと思われていた……『クォーター』から送られていた追加の通信により『S・M・S』と新統合軍も事前に情報を得て、新たな敵勢力との遭遇も考慮した戦力を編成してバジュラの母星へと連合艦隊を派遣したのだが、バジュラの母星のある星系にフォールドする前の事前探査により星系内に無数の未知の勢力が展開している事を掴み、『クォーター』より報告のあった未知の生命体である宇宙怪獣の勢力は彼らの予測を遥かに超える規模を持つ事が判明した。
一つの恒星系を埋め尽くすかのような猛烈な勢いで増殖する巨大な宇宙生物の群れを見た連合艦隊上層部は、『マクロス・クォーター』の報告にあった宇宙怪獣の脅威を実感し――その報告あった宇宙怪獣は、今の人類文明を支える超光速航法フォールド航法――重力をを用いて時空を歪めるという空間湾曲型超光速航法の性質故にフォールド・アウト時に発生する時空震動を感知して、その発生源へと殺到する「走FD性」ともいうべき特性を持つ可能性があると報告されていた。
――ゼントラーディ基幹艦隊という無数の戦艦による蹂躙劇を辛うじて切り抜けた地球人類にゼントラーディ以上の脅威が降り掛かろうとしている。
連合艦隊上層部は、新たな脅威である宇宙怪獣の脅威を認識した事で、当初の目的である知的生命体の可能性を持つバジュラへ攻撃を仕掛けようとしている『マクロス・フロンティア』船団の暴挙を止める事から、宇宙怪獣の特性や戦力の情報を収集しつつ『フロンティア』船団と共に宇宙怪獣の脅威から撤退――もしくは『フロンティア』船団に残留している民間人を救助しての戦闘宙域からの離脱へとシフトしていた……そんな連合艦隊や『マクロス・クォーター』のみならずバジュラの母星で地上戦を繰り広げられている『フロンティア』所属の新統合軍艦艇に強力な出力を持つフォールド通信が繋がる。
「――なんだこれは? 一体何処からの通信だ!?」
「――分かりません! 外部からの何らかの手段で通信設備が強制的に起動させられました!?」
バルキリー隊にフォールド・ブースターを装着して戦闘宙域に強襲を掛けて、『MDE弾頭』の一斉掃射によって橋頭保を確保してのフォールド航法により出現した連合艦隊の各艦艇のブリッジでは通信設備が謎の暴走を起こして、無理やり叩き起こされた通信機が発信源不明の通信を受信して各艦艇のブリッジ内に映像通信を流し始める――ホロ・スクリーンに映し出されたのは、どこか鍾乳洞を思わせる青い光に包まれた水晶のような素材で構成された場所で、広い空間に水晶のような素材で出来た椅子に座る一人の少女の姿であった。
栗色の髪をミディアムウルフにカットした幼さが残りながらも整った顔立ちをした少女は、その深紅の瞳をまっすぐに向けて不敵な笑みを浮かべていた唇を開いた。
『――勇敢にも正道を外れた者を諫める為にやって来た『マクロス』の名を冠する者や人類を守護する
少女が立ち上がると同時に映像が切り替わる――切り替わった映像の中にはカラフルな警戒色に彩られた無数の蠢く巨大な肉の塊――強固な殻に覆われながら隙間から見える肉が脈打って生命体である事は伺えるが、その肉体は既存の航宙艦を凌駕してゼントラーディで運用されている分岐艦隊指揮用戦艦に迫るほどの巨体が整列している姿が映し出された。
『悪意の塊が群雲の如き大群をもって襲い掛かろうとしている……だが、恐れる必要な無い――此方には世界を宇宙怪獣どもの脅威から守り続けた守護の女神が居る』
再び映像が切り替わり、新たにホロ・スクリーンに映し出されたのは一人の女性の姿――真空の宇宙空間においても長く伸びた深紅の髪を靡かせ、女性らしいフォルムを白を基調としながらも赤いラインの入ったボディスーツで包みながら、宇宙怪獣の大軍勢を前にしながらも腕を組んで迎え撃つかのように真っ直ぐに顔を上げた威風堂々とした姿。
『――悪意の塊である宇宙怪獣どもを、全ての知的生命体の守護者バスターマシン7号を中核とした
どうも、しがない小説書きのSOULです。
……翡翠には扇動者の資質もあるかもしれないと思う今日この頃です。
こんどこそ次回 第46話 New Buster Corps ――新生バスター軍団 10/26 0時更新予定です。ではでは~。