マクロス・フロンティア 迷い子たちのディソナンス   作:soul

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 サヨナラノツバサ編




第46話 New Buster Corps ――新生バスター軍団

 

 遥かなる昔 古代プロトカルチャー文明が興る前より、銀河系には高度な知性と超常の力を見紛うほどの能力を持つ超時空生命体バジュラは存在していた。生身で宇宙空間を飛び、体内で生成される驚異の物質フォールド・クォーツを用いて超光速航法を行い、遠く離れた仲間とも瞬時に繋がる超高等生物バジュラ――その女王の住まう母星が属する恒星系外惑星圏には、巨大な宇宙怪獣が大群をもって襲来していた――その数約2億。

 

 生物故の個体差からか差異に微妙な違いを持って様々な大きさの宇宙怪獣が犇めく中から少数の宇宙怪獣が内惑星圏へと進撃を開始する……少数と言えどその数は100万体を越えて、その壁の如き密度を持つ3000mを越える巨大な巡洋艦級宇宙怪獣の艦隊が向かう先は、バジュラたちの母星のある内惑星圏――惑星を守る為に展開する可変攻撃宇宙空母『マクロス・クォーター』とバジュラの戦闘艦隊。

 

 そして『クォーター』からの通報を受けて『マクロス。フロンティア』船団の暴挙を止めるべく集結し――バジュラの星系にフォールドする寸前に星系内に侵攻している宇宙怪獣の大軍団をキャッチして、『フロンティア』に残留している民間人の救出と新たな脅威である宇宙怪獣の威力偵察へとシフトした『S・M・S』と新統合軍の連合艦隊が、バジュラの母星に降下した『フロンティア』船団の大型都市型移民居住艦『アイランド1』を宇宙怪獣の脅威から守るべくバジュラ母星の衛星軌道上近くに展開している。

 

 『マクロス』の名を冠しているとはいえ400m級と本来の『マクロス』の四分の一の規模の『クォーター』級宇宙空母と、グァンタナモ級やウラガ級などの空母群とステルスフリケードや宇宙巡洋艦で構成された100隻近い連合艦隊。そしてバジュラの戦艦級や空母級それに駆逐艦級が迎撃態勢を取っているが、これだけの戦力では圧倒的な戦力を有する宇宙怪獣の前では無力に等しいと思われた――だが『クォーター』とバジュラそして連合艦隊の周囲には、虹色の光から現れた改型ゼントラーディ自動制御艦隊が展開しており、高性能AIによって制御された彼らはプログラムに従って最前線である艦隊正面にて両腕を組んでいる第六世代型恒星間航行決戦兵器バスターマシン7号を上位存在としてその指揮下に入っていた。

 

 

 『マクロス・クォーター』ブリッジ

 

「――敵巡洋艦級怪獣が急速接近、数は100万体以上!」

「……敵巡洋艦級群から多数の高エネルギー体が射出されました――本艦隊を狙っています!」

「――回避行動!」

 

 宇宙怪獣の本陣から一部の集団が前進して、『クォーター』とバジュラそして連合艦隊を正面から圧し潰そうと無数の光弾を射出して来る――3000mもの巨体を誇る巡洋艦級100万体以上が一斉に放つ攻撃は凄まじい密度を持ち、『クォーター』達はスラスターを吹かして回避行動を行っているが100万体以上から撃ち出された光弾は上下左右に無数に存在し、回避行動を取っている『クォーター』やバジュラの艦艇そして『S・M・S』と新統合軍の艦艇の回避速度では攻撃範囲から離脱するのは難しかった。

 

 そんな混乱する艦隊を尻目に最前線にて迫りくる光る壁の如き攻撃を見据える第六世代型恒星間航行決戦兵器バスターマシン7号ことノノの深紅の髪の頭頂部にある一房――いわゆるアホ毛がまるで意志を持つかのように動くと、それを合図に両翼に展開していた改型ゼントラーディ自動制御艦隊(新生バスター軍団)が前進して、新設された動力炉の膨大な出力による強固なシールドを張り巡らせ――100万体以上から放たれた無数の光弾による攻撃を完璧に防ぎ切った。

 

 事故によってこの見知らぬ世界へと迷い込んだ翡翠とノノは意図せず超時空生命体バジュラと事を構えて、二人だけでこの未知の世界に存在する危うさを認識した――バジュラたちが巣としていた巨大な廃棄艦(中型ボトルザー級機動要塞)の周囲に漂っていた随伴艦の残骸から抜き出したデーターによって、この世界にはゼントラーディと監察軍と呼ばれる二つの勢力による大規模な恒星間戦争が勃発している事を知った。

 

 それを知った二人がとった行動は――この世界にあるゼントラーディの兵器を生産している場所を押さえて自前の戦力を整えるという過激な行動だった……随伴艦の残骸から得た航路図のデーターからこの銀河系中心宙域でも比較的安定している宙域をピックアップしていき、幾つかの空振りはあったが遂に彼女達は戦闘によって破壊されて放棄されたゼントラーディ自動兵器工廠衛星の残骸を発見した。

 

 以前にも似たような経緯で宇宙戦艦『ヤマト』に保護された経験がある翡翠は、保護された当初は脳に損傷を追って記憶が制限されていたが、記憶が回復した後も暫くは『ヤマト』の保護下にあったが、知り合いの教授の無茶な実験に付き合わされる過程で乗り込んでいた船は事故で失い、己が半身と合流するまで不自由な思いをした反動で、新たな実験(……拒否しても教授に無理やり捕獲された)の為に用意される予定の実験艦には詰めるだけの装備を詰め込んだ――まかりなりにも『IMPERIAL(いにしえの帝国)』製の実験艦―02が戦闘能力よりも様々な装備を優先して持っている理由は、翡翠の苦い経験故のことであった。

 

 再建された自動兵器工廠衛星の製造ラインを使って、ゼントラーディ用の戦闘艦の設計データーに翡翠とノノの持つテクノロジィを詰め込んで製造されたのが『改型ゼントラーディ自動制御艦』であった

 

 新設された新たな動力『縮退炉』の膨大なエネルギーに裏付けされた――別世界で一大勢力を誇る惑星連邦の航宙艦のシールドに匹敵する防御シールドで攻撃を完全に防ぎ切った改型自動制御艦隊に向けて再びアホ毛――バスターマシン7号の故郷である恒星系を守護する自立型無人兵器群の司令塔としての機能を持つ彼女が、旗下の太陽系絶対防衛システムである無人兵器群『バスター軍団』を制御する『アドミラル・ホーン』が新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)に指示を出し、司令機として設定されたバスターマシン7号の指示に従って改型ゼントラーディ自動制御艦隊はその身に装備された武装を起動する。

 

 戦いの前面に展開した改型自動制御艦隊の多くはゼントラーディ艦隊において中核となる2000m標準戦艦と呼ばれるスヴァール・サラン級戦艦を翡翠とノノの持つテクノロジィで強化した改型スヴァール・サラン級戦艦が占めている――その改型自動制御艦の細長い潰れた円錐型をした船体の至る所から格納されていた攻撃兵器が展開してその照準を迫りくる無数の巡洋艦級宇宙怪獣群へと向けられる。

 

 2000mという人類にとって巨大な船体をもつ改型スヴァール・サラン級自動制御戦艦だが相手取るのはそれ以上の巨体3000mを誇る巡洋艦級宇宙怪獣――通常のゼントラーディ艦船の主兵装である誘導収束ビーム砲塔では致命傷を与えるのは難しいと思われるが、縮退炉の膨大なエネルギーに裏付けされた改型の誘導収束ビーム砲が発射されると、収束されたエネルギーが迫る巡洋艦級に命中して宇宙怪獣の身体を覆う固い外殻を貫いて肉体にダメージを与える。

 

 ゼントラーディの標準的な兵装である誘導収束ビーム砲は大型の熱核反応炉より動力を伝達されて攻撃を行うが、改型に新設された縮退炉は熱核反応炉の出力を大きく上回って、それに伴い縮退炉の出力を十全に生かせるように再設計された誘導収束ビーム砲は破壊力を増して、そこに翡翠の手も加わって貫通力をも増した見た目とは別物のビーム砲へと変貌していた。

 

 改型スヴァール・サラン級戦艦より放たれる新型の誘導収束ビーム砲は敵巡洋艦級に次々と命中して多大なダメージを与え、ビーム砲による攻撃を行いながら円錐型の船体の各所に設置されたミサイル発射管が開いて凶悪な力を秘めたミサイルが次々と発射された。

 

 深緑の船体から放たれた無数のミサイルがそれぞれ的を定めて突き進んで行って巡洋艦級宇宙怪獣へと到達すると、内包する凶悪な破壊力を解放して激しい爆発を起こして3000mはある巨体を砕いていく――このミサイル群は翡翠とノノが持つテクノロジィで強化されたミサイルであり、縮退物質を使用した光子魚雷の直撃にも耐える宇宙怪獣を守る外殻に対して衝角状の切っ先で突入して相手の装甲の構成物質をエネルギーに変換してその破壊力をもって破壊する侵食魚雷の内部に搭載された物質反物質反応によって生じる破壊力によって対象を破壊する光子魚雷や、真空フィールド・チャンバー内に格納された時空連続体膜と零点フィールドより抽出されたエネルギーを解放して対象を破壊する量子魚雷など、これまでに出会った勢力が使用している魚雷を小型化して内部に突入させて破壊する……翡翠とノノが討論の末に悪ノリした結果を、ゼントラーディ自動兵器工廠衛星の圧倒的な工業力が具現化した極悪兵器と化したものである。

 

 

 第六世代型恒星間航行決戦兵器バスターマシン7号の指揮の下、一万隻の新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)は内に秘めた凶悪な戦闘能力を遺憾なく発揮しながら縦横無尽な働きをして迫りくる巨大な宇宙怪獣群を粉砕する……新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)と共に襲い来る宇宙怪獣群を迎撃している『S・M・S』と新統合軍の連合艦隊や、ランカとシェリルの歌声に込められたフォールド・ウェーブによって拙いながらも連携のような行動を行うバジュラの戦闘艦たちと共に迎撃する『マクロス・クォーター』のクルー達は、襲い掛かって来る宇宙怪獣に対処しながらも前面に展開したゼントラーディの改造艦……戦闘前にこの場に居る全ての艦――驚いた事にランカ嬢やシェリル嬢によればフォールド・ウェーブに乗せられて強烈なイメージがバジュラたちへと向けて送信されていたらしい。

 

 既存のゼントラーディ艦を問題にならないほど強化された誘導収束式ビーム砲塔から放たれるビームは強固な外殻を持つ宇宙怪獣にダメージを与え、続いて放たれたミサイル群は宇宙怪獣に接触すると外殻を溶かすように侵入して宇宙怪獣の肉体そのものにダメージを与えるように大爆発を起こして数発で新マクロス級をも上回る巨体を持つ巡洋艦級宇宙怪獣を葬り去った。

 

「――なんて威力なの……私達があんなに苦戦した宇宙怪獣を簡単に葬るなんて……」

 

 『クォーター』の舵を預かる操舵士のボビー・マルコーは迫るジャックナイフ級の突撃を避けながらも、視界のはるか先で次々と火球へと変わっていく巡洋艦級宇宙怪獣を見ながら呟く……ジャックナイフ級のような比較的“小型”な敵ならば、こちらの火砲でも対処出来るが、それ以上の敵 巡洋艦級クラスになると肉体に強固な外殻を持ち、こちらの攻撃――それこそ『マクロス・キャノン』やバジュラの戦艦タイプが放つ重量子生体ビーム砲ですら弾かれてダメージを与えられなかったのに、と。

 

「……見かけはゼントラーディの標準型戦艦だとしても、中身は別物になっているようね……」

 

 同じく『クォーター』のブリッジで管制業務に付いているキャサリン・グラスが見詰めるホロ・スクリーンには、巨大な巡洋艦級宇宙怪獣を葬り去るバスターマシン7号ことノノと新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)の雄姿が映る……深緑の船体に装備された誘導収束型ビーム砲は敵巡洋艦級怪獣の硬い外殻を撃ち抜き、次々と発射されるミサイルは残った外殻を溶かしながら抉り込むと大爆発を起こして巡洋艦級宇宙怪獣を次々と撃破していく……虹色の位相空間よりゼントラーディ艦隊のようなモノが出現した後にこの宙域に居る全ての艦艇――ランカの話ではバジュラに対しても行われた演説――異文明よりの来訪者であるバスターマシン7号と、それをサポートする新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)……あの翡翠と言う一見普通の少女と共に彼女達は準備していたのだろう、この世界で生きていくための力を。

 

 ……それにしても、これは“やりすぎ”じゃないかしら。

 

 深緑の艦の異常性はその攻撃力や敵の攻撃を完全に防いだ防御力だけでなく、『クォーター』の後方で方向転換して再び襲おうとしていたジャックナイフ級に半透明な複数の槍状の機動兵器が幾重にも突き刺さり、一際大きく痙攣をしたジャックナイフ級は進路を変更して――同じジャックナイフ級に襲い掛かっていた……あの半透明の機動兵器も深緑の船体から放出されていた事は確認している……どうやら兵装だけでなく搭載された機動兵器も規格外(極悪)のようだ。

 

 

 強大な敵と戦っている『マクロス・クォーター』のブリッジに備え付けられた艦長席に座るジェフリー・ワイルダーは、前面に展開して恐ろしい規模を持つ宇宙怪獣群の襲撃を迎撃し続ける異世界の決戦兵器であるバスターマシン7号ことノノ嬢と彼女の手足として縦横無尽の活躍を見せる新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)の姿を映し出したホロ・スクリーンを見ながら難しい表情を浮かべている。

 

 推定で2億を超える規模を持つ宇宙怪獣の大集団を相手に人類が持つ対抗手段はあまりに少ない……半世紀前に人類が経験したゼントラーディ基幹艦隊襲来という絶望を遥かに超える規模の敵を前に、『クォーター』を始めとした連合艦隊に出来る事と言えば敵の詳細なデーターを入手しつつバジュラの母星に降下した大型都市型移民居住艦『アイランド1』に残留している民間人を収容して星系外へと退避するしかないかと思われた。

 

 そんな圧倒的な絶望の前に虹色の位相空間から現れた“1万程度”のゼントラーディの改修艦が加わった所で焼石の水のようなものでしかなかった――だがその1万程度の“小規模”艦隊の戦闘能力は此方の予想をはるかに上回っていた――100万をこえる巨大な宇宙怪獣の攻撃を完全に防ぐシールドを展開し、反撃に使用された誘導収束型ビームや放たれたミサイル群は恐ろしい威力を以て100万を超える宇宙怪獣の集団を撃ち減らしていった。

 

 ――それが呼び水になったのか、先ほど索敵を担当しているモニカより外惑星圏に展開している敵の本隊――2億を超える宇宙怪獣の本隊が此方に向けて進撃を開始したとの報告が入った……赤い星が満ちる宇宙そのものが迫るかのような状況の前に、たった1万の改修型戦闘艦では進撃を止める事は出来ないだろうと考えたジェフリー艦長は、戦線から離脱してバジュラの母星から取り残された民間人を収容して速やかに離脱する決断をしてラム軍曹に『マクロス・フロンティア』に通信を送るように指示しようとした時、周辺宙域の索敵を担当しているモニカより改修型ゼントラーディ艦隊の隊列に変化が起こった事を報告して来た。

 

「――改修型ゼントラーディ艦隊の一部が前進、巨大なリングを形成しています!?」

 

 


 

 

 襲い掛かって来る宇宙怪獣群を迎撃していたバスターマシン7号ことノノと、彼女の指揮によって迫る宇宙怪獣を撃ち減らしていた新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)は、巡洋艦級で構成された100万もの集団を排除したが、それを見た宇宙怪獣の本隊が遂に動き出した。

 

 外惑星圏にて静観していた敵宇宙怪獣の本隊の全てが一斉に内惑星圏――バジュラの母星が存在する宙域へと向けて進軍を開始したのだ。

 

 当然それを察知しているノノは、頭頂部にあるアホ毛――アドミラル・ホーンを用いて旗下にある新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)に指示を出し、それを受けた改型スヴァール・サラン級戦艦の一部が先行して巨大なリングを形成する――その中心に居るのはバスターマシン7号ことノノだ――彼女の両手に深紅の光が灯り、大きくのぞけって力を溜め込むと共に深紅の光は強烈な輝きとなって一気に振り抜いた。

 

 バスタァァア・ビィイイイイム!!

 

 フィジカル・リアクターによる純粋数学での物理法則を書き換えて精錬されたビームが最大出力で放たれ――リング上に展開した改型ゼントラーディ自動制御艦群の中心を通り――リングの中に展開されている“何らかの”フォールド内で増幅されて極大な深紅の星となって、紅い尾を描きながら深紅の彗星は迫りくる宇宙怪獣軍団へと向かって進み――進路上に存在した数百万の宇宙怪獣を蒸発させた――これぞ、翡翠とノノが徹夜明けの壊れた状態で考案した切り札中の切り札――『バスタービーム・THE・COMET』……徹夜明けで考えたネーミングなんてモノは、こんなものである。

 

 




 どうも、しがない小説書きのSOULです。

 以前にも書きましたが翡翠にネーミングセンスは有りません。(おい

 翡翠とノノの謎技術(悪ノリともいう)による魔改造を受けた新生バスター軍団が猛威を振るい、圧倒的劣勢にあったクォーター達は息を吹き返し、宇宙怪獣軍団に強烈な一撃を加えます。

 新生バスター軍団の活躍により、優勢に戦いを進めるクォーターと『S・M・S』と新統合軍艦隊――その裏で翡翠は敵の本拠地を割り出すべく行動を始める。


 では次回 第47話 Inexplicable withdrawal――不可解な撤退 10/27 0時更新予定です。ではでは~。
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