マクロス・フロンティア 迷い子たちのディソナンス   作:soul

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 アンコクノプリンセス編


第72話 対高位存在用最終決戦兵器『ギガ・バスター』

 可変攻撃宇宙空母『マクロス・クォーター』の左舷飛行甲板上に接地設置された特設ステージの空中に投影された大型のウィンドウ内では緑色の船体を変形させた改型ゼントラーディ自動制御艦が『Re:MODELERS・シリーズ』艦の流体金属で構成された船体と融合しつつ、そのままの勢いで集合して幾つもの巨大な構造物となりつつあった。

 

「……これは、大きな手?」

「……あっちは足のつま先……翡翠ちゃん! 一体何を作っているの!?」

 

 問われた翡翠は、んふふと不敵な笑みを浮かべた後に高らかに宣言した。

 

「――これぞ切り札中の切り札――対高位存在用最終決戦兵器『ギガ・バスター』だ!」

「「……はい?」」

 

 翡翠の宣言に目が点になるシェリルとランカ。

 そんな二人の様子に気付かず翡翠は説明を始める……この宇宙に来て甲虫ども――バジュラと接触して、同時に付近に存在したゼントラーディ軍の戦闘艦の残骸からサルベージしたデーターから導き出された事……この宇宙にも戦乱が満ちているという事実。

 

 それを知った翡翠とノノは早急に戦力を整えるべくゼントラーディの自動兵器工廠衛星を確保して自らの技術を組み込んだ独自戦力を構築し始めたのはいいのだが、建造ラインで一隻目の改型ゼントラーディ艦が完成して二隻目の建造が始まった時、途中まで建造されていた一隻目と違って一から建造するとなると、本体である船体を完成させながら各種装備を艤装して完成させるのに古代星間文明の超技術を用いても半年ほどの時間が必要であった。

 

「……それで『新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)』を……」

「……想定外の事が起こるのが世の常だからね……この先、敵対する勢力が現れる可能性がゼロではない以上、それに備える必要があった」

 

 改めて改型ゼントラーディ自動制御艦隊を建造した理由を聞かされたランカが呟く。

 

 そんな理由で戦力構築していったが、そこで船が完成するまでに掛かる期間が問題として浮き上がる…… 一隻の戦闘艦を建造するのに半年の時間が掛かる――本来であれば船を建造すると言うのはそれほどの時間を必要としており、1999年に地球に落下したASS―1の超技術を解析して飛躍的な進歩を遂げた地球の技術でも年単位の時間が掛かる。

 

 ましてや建造しているのは当時ASS―1と呼ばれたマクロスよりも巨大なゼントラーディの主力艦を改造した宇宙戦艦であり、それだけの巨艦をたった半年で建造する古代プロトカルチャーの高い技術力には目を見張るモノがあったが、戦艦と言うモノは特に宇宙での戦いにおいて単艦で運用するよりも集団で運用する方が効率的であり、事実仮想敵であるゼントラーディ軍も数千から数百万の大艦隊を編成して運用している……これは戦う相手である監察軍の規模に対応しての事だろう。

 

 乗艦である『実験艦―02』の修理も完了して修復した建造ラインも稼働し始めた頃、翡翠は最大の懸案事項を解決する為に奇策(イカサマ)を用いた――すなわち、虎の子である『クロニトン』魚雷の使用である。

 

 時間的性質をもつ亜原子粒子『クロニトン』を搭載した魚雷を使用する事で、確保したゼントラーディ自動兵器工廠衛星を相対的な過去へと送り込み、艦隊を編成するだけの戦闘艦を確保するのに掛かる膨大な建造期間を解決したのだ――過去に送った事で時間的余裕が出来た事により、先行して建造された改型キルトラ・ケルエール級惑星揚陸強襲艦を使用して、事前に周辺宙域を探査した時に目星を付けていた宙域に赴いて発見した他の破壊廃棄された自動兵器工廠衛星を確保して満載されていた修復用ドローンを用いて使用可能な状態にした結果――合計8つの自動兵器工廠衛星を確保したのだ。

 

「……そんなに工場衛星を確保して、一体何をするつもりだったのよ」

 

 あきれ顔のシェリルの突っ込みに肩を竦めた翡翠は種明かしをする事にした――ゼントラーディ自動兵器工廠衛星で改型の戦艦の建造を行う間、乗艦である『実験艦―02』の修理と並行して可動可能な探査用ドローンを飛ばして近隣宙域の情報収集しながらも尚も暇を持て余した翡翠とノノは、雑談と言う形ではあるがお互いの世界の事を話してお互いの価値観などのすり合わせを行ったのだが。

 

「……そんな雑談の中でノノねぇ本来のサポートメカである『バスター軍団』の話になってね」

 

 第六世代型恒星間航行決戦兵器であり太陽系絶対防衛システムの司令塔である『バスターマシン7号』ことノノをサポートする為に生み出された彼女と同じ第六世代の技術によって生み出されたサポートマシンの総称である『バスター軍団』……彼女が『時空検察官の部屋』とも言うべき場所で眠る原因となった恐るべき敵エグゼリオ変動重力源との戦いの渦中で失われた彼女の忠実な手足として長い年月を共に戦ってきた仲間だった。

 

 その『バスター軍団』の集合体である『太陽系防衛システムの集合構造体』が、惑星サイズの太陽系絶対防衛線用最終決戦兵器『ダイバスター』であった。

 

「……話を聞いた時には、惑星サイズの人型兵器なんてナンセンスだと思ったけど……実際に惑星クラスの敵が現れると、案外有効な手段なのかもしれないね」

 

 肩を竦める翡翠……惑星規模の巨体を持つという『ダイバスター』の有効性に半信半疑だったが、こうして惑星クラスの敵戦力が出て来ると意外と悪くないのではないか……念の為に『改型ゼントラーディ自動制御艦隊』と『Re:MODELERS・シリーズ』艦隊の双方に変形合体機能を搭載していて正解だったと己が先見の明に自我自賛する……とはいえ巨大人型兵器を再現するにあたって、一つ大きな問題があった。

 

「……大きな問題?」

「巨大なモノを形作るには、それなりの時間が必要と言う事さ」

 

 ノノの話では広大な太陽系全体をカバーするだけの数の『バスター軍団(無人バスターマシン兵器群)』の全てが集合合体する事で惑星に匹敵する身体を造るのに半年もの期間が必要だったと言う……さすがに敵を前に半年もの期間を掛けて合体作業を行うのは妨害してくださいと言っているようなモノだ。

 

 そこで翡翠の考えた対策は、巨大人型決戦兵器のサイズをスケールダウンする事だった……自己修復・自己進化機能を持つ無人バスターマシン群は長い年月をかけて天文学的な数にまで増え――司令塔であるノノの望みを叶えるために惑星規模のボディを形成した……だが現在の翡翠のカード(手札)である改型ゼントラーディ自動制御艦隊や『Re:MODELERS・シリーズ』艦隊は双方合わせても2万隻前後しかなく、とても惑星質量を形成するにはたりない(・・・・)

 

 そこで考えたのが、新規に建造を開始していた『Re:MODELERS・シリーズ』艦の設計に変更を加える事だった――新たに確保したゼントラーディ自動兵器工廠衛星の生産能力を用いて密かに建造を開始していた翡翠独自の戦力である『Re:MODELERS・シリーズ』艦の船体を従来の強化素材を加工した合金から大量の素材を使う流体金属へと変更し、『Re:MODELERS・シリーズ』艦自体を合体時の衝撃の緩衝材兼巨大人型兵器のボディを形成するパーツとなる改型ゼントラーディ自動制御艦同士の隙間を埋めてパーツ同士を繋げる役目を果たす事で迅速な合体を可能とする。

 

 話している間にも特設ステージに開かれた大型の投影型ウィンドウ内では改型ゼントラーディ艦が変形しながら次々と『Re:MODELERS・シリーズ』艦と合体して複数の巨大なパーツとなり、その巨大なパーツ同士も合体して更に巨大な姿へと――巨大な人型を形作っていった――それは機械的な曲線で構成された巨大な女神像――既存のゼントラーディ艦に多く見られえる深緑のボディと、『バスター軍団』の司令塔であるノノとよく似た顔立ちを巨大なバイザーで覆い、『Re:MODELERS・シリーズ』艦で構成された流れるような深紅の長い髪を靡かせるその姿は戦いの戦女神であった。

 

 


 

 

 別の宇宙との結節点である二つの『光の回廊』より出現した全知的生命体の天敵である宇宙怪獣軍団――銀河系の命運を賭けて迎え撃つは、かつて地球人類を滅亡の淵から救った『マクロス』の名を冠する強者達と、異界の技術によって改修された最強の矛と盾『新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)』と『Re:MODELERS・シリーズ』艦隊。

 

 宇宙怪獣達が湧き出る『光の回廊』を破壊して、別の宇宙との繋がりを完全に断ち切るべく果敢に進撃する強者達の前に大量の光子や放射能が湧き出す次元回廊から二柱の巨大な影が現出する――恒星間空間を漂っていた自由浮遊惑星に大量の宇宙怪獣が寄生して同化変質させた移動要塞惑星――その一撃は強者達を守る最強の盾である『Re:MODELERS・シリーズ』艦隊に甚大な被害を与え――二撃目が放たれる直前に、超空間をフォールドしてきた超時空生命体バジュラが張った『フォールド断層』によって破滅の一撃は辛くも防がれたが、移動要塞惑星の表面では三度目の砲撃の兆候が見られ――翡翠はもしもの時の為に用意していた切り札中の切り札を切る――対高位存在用最終決戦兵器『ギガ・バスター』を。

 

 『新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)』と『Re:MODELERS・シリーズ』艦隊、約2万隻の大型航宙艦が結集して作り出された巨大な集合体――その大きさは千Kmを超えるだろうか、新統合軍や『S・M・S』で運用されている戦闘航宙艦は約4,500m級が主流であり、移民船団において旗艦である新マクロス級ステルス空母で1600m。

 

 巨人種族であるゼントラーディが運用する戦闘用航宙艦ですら有名なブリタイ艦と呼ばれるノプティ・バガニス級中型艦隊指揮用戦艦でも4000m級でしかない……例外としては、人類が遭遇した中でも最大の規模を持つ基幹艦隊用総旗艦ゴル・ボドルザー級機動要塞ですら600Km……それを考えれば千Kmを超える『ギガ・バスター』は規格外と言えるだろうが、相手は惑星クラス――地球と同規模の1万キロを超える自由浮遊惑星に寄生して同化変質させた起動要塞惑星が二柱……言うなれば日本列島の本州と同サイズである『ギガ・バスター』をしても相手の方が遥かに巨大であった。

 

「……確かに大きいんだろうけど、相手が相手だけにね……“アレ”なら勝てるの?」

 

 投影型ウィンドウに映し出さられるに二柱の惑星規模の敵の威容の前では、翡翠が切り札と呼んだ『ギガ・バスター』が風車に挑むドンキ・ホーテや山に挑む小さな人間のように見える……誰もが不安に思う中、少しは育った胸を張った翡翠が自信に満ちた表情で振り返る。

 

「なに、サイズ的には負けているが『ギガ・バスター』には私とノノねぇの技術と趣味と情熱が込められているからね――そう簡単には負けないさ」

 

 『新生バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)』と『Re:MODELERS・シリーズ』艦隊にはそれぞれ縮退炉が搭載されている――約二万基の縮退炉を同期させて莫大な出力を得るといのは現実的ではないが、それならそれで“やりよう”があると口角を釣り上げる翡翠。

 

「……悪い顔して笑っているわね、一体何を仕込んでいるの?」

 

 その表情にドン引きしたシェリルが問い掛けると、翡翠は「――こんな事もあろうかとって奴だよ、シェリルおねぇちゃん」と んふふっと嗤う……先代の実験艦にてプロフッサー主導の新型亜空間航行実験を行っていた際に超空間内で未知の航宙艦と接触して大破爆発し、翡翠は未知の船の外部装甲と激突して意識を失って衝突した航宙艦――宇宙戦艦『ヤマト』に保護された事がある。

 

 その船――宇宙戦艦『ヤマト』で保護されて生活していた翡翠の面倒を見ていたのは衛生士の女性であったが、他のクルーの中にも翡翠と交流を持つ者もおり、経験豊かな熟練のクルー達からは幼い風貌を持った翡翠は可愛がられ――その中には『ヤマト』の副長を兼任していた科学士官もおり、不器用ながらも分かりにくい彼とそれなりの交流を持ち――そんな彼と妙にウマが合った翡翠は多大に影響を受けていたのだ。

 

「こんな事もって、どんな事を想定していたのよ?」

「……そこはノリと勢いって奴だよ、シェリルおねぇちゃん」

 

 ジト目で突っ込みを入れるシェリルに、何時ものように後頭部をポリポリと掻いた翡翠は てへペロと誤魔化そうとしたが、これまでの所業故か周囲に居る全ての者達の視線が冷たくなっていく……流石にこのままでは不味いと思ったのか、焦りながら話題の変更を試みる。

 

「……いや、『新バスター軍団(改型ゼントラーディ自動制御艦隊)』と『Re:MODELERS・シリーズ』を合体させて『ギガ・バスター』を構成するのには結構苦労したんだヨ、何が苦労したかって特にデザインが……オリジナルがレオタードって何の冗談かと……」

 

 本来のノノの決戦兵器は、無数の無人バスターマシンで構成される『太陽系防衛システム』が集合して惑星サイズの超巨大人型決戦兵器『ダイバスター』になる訳だが、その戦闘データーをみせて貰った翡翠は絶句した――『ダイバスター』の姿が惑星サイズにまで巨大化したノノその物だったから。

 

 姿を似せるのは分かる、戦闘を想定している以上は自分がイメージしやすい姿の方が何かと都合が良いから……だが、何故にレオタード? もう少し造形に凝っても良いんではないだろうか。

 

「……そこで『ギガ・バスター』の造形には凝ってみたんだけれど……」

「……どんな風に?」

「……頭部はノノねぇをメインに、両横にランカねぇちゃんとシェリルおねえちゃんの顔を付けて『サン・バスター』と呼称してたんだけど、グレイスとブレラに物凄い反対を受けてね……」

 

 太陽と同じ名前を付けて、周囲に恒星が有る時にはその放射エネルギーを集約して必殺の『〇ン・アタック』とか構想してたんだけど……解せぬ。

 

 ……あまりのセンスの無さに無言になる周囲を見ながら、何が悪かったのだろうと腕を組んで首を捻りながら考える翡翠……その背後には何時の間に帰艦したのだろうか、白いに紅いラインの入った戦闘服を着たピンクの髪を持つ女性が立つと、握り拳を作って翡翠の両こめかみを挟むと――思いっきり叫びながら握り拳を高速回転させた。

 

「――解せないのは、貴方の脳内回路よ!」

 

「――みぎゃぁあああ!?」

 

 握り拳を高速回転させてこめかみを抉られた翡翠は悲鳴を上げて頭からプスプスと煙を出しながら倒れ込み、翡翠(悪ふざけ娘)を成敗したノノは ふんっと鼻息を荒くしながら煙を上げて倒れている翡翠に向けて言った。

 

「……そんなゲテモノに誰が乗ると思っているですか!」

 

 

 




 どうも、しがない小説書きのSOULです。
 完結に向けて書いていたんですが、この話はどう考えても決戦前の話に成るので急遽UPしました。


 では今度こそ本当にまとめて投稿出来るまでお待ち下さいね~。
 では、では~。
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