学校の門を出た俺は、
松村と一緒に歩いていた。
松村「あ!あれって…」
凛「え?あぁ!あれは、」
「大川や!」
にしき工業高校、進学科2年生。
つまり、俺らの同級生で、俺らと同じ
陸上部に所属している。絵画から
ピアノ、ギターなど幅広い芸術的な才能を持ち、
最近は、幽霊部員として認知されている。
大川「おぉ!中須磨と松村やん!
一緒に帰ろうぜ。」
景さん「おーい!」
景さんが来たみたいだ。
景さんの周りには、のむっちと颯太がいる。
大川と同じ進学科で、これまた陸上部員。
塾に通っていて、物理や数学が得意だ。
跳躍をやらせたら気持ち悪いぐらい
ピョンピョン跳ぶ。
のむっち「やっと追いついた。」
松村「早く帰ろうぜ。もうなんか疲れてもたわ。」
そうだ、そうだ。
疲れていたのを忘れていた。
そういえば、今日は水曜日だったっけ?
水曜日は、近くの"スーパーカクハチ"の
パンの日だ。
最高5割引で、菓子パンを買うことができ、
金欠の高校生にはありがた〜い曜日なのだ。
凛「景さん!今日はパンの日やで!」
景さん「あ〜。確かに。行くか。」
凛「颯太も行くよな!」
颯太「当たり前やろ。」
俺達3人は1年生の秋ごろからほぼ毎週
スーパーカクハチに通っている。
目的は、メロンパンである。
とちおとめクリームメロンパン
菓子パンなどを作る会社である、
季節によってその味が変わるメロンパンである。
ちょうど秋ごろはとちおとめ。
春から秋にかけては、夕張メロン。
他にもチョコレートやチーズケーキ味も
あり、値段も税込95円と最高の商品なのだ!
俺達3人は帰る方向が同じなので、
ちょうどカクハチに寄れるってわけだ。
松村「そういえば、GWは何する〜?」
のむっち「確かに、何も決めてないな〜。」
うーん。何か特別なことがしたいな…
流石に、俺らも高校2年生、17歳だし。
そろそろ旅行とかに行ってもいいんじゃないか。
よし、一か八か言ってみるか!
凛「みんなで旅行しない?」
みんなが目を見合わせて
戸惑っているように見える。
やっぱりだめだったか…
景さん「いいと思うよ。」
松村「俺も賛成」
のむっち「俺も賛成やけど、
日程はどうするん?」
凛「確かに。まぁ追々決めていくか。
ゴールデウィークまでは
あと1週間ぐらいあるし。」
大川「今の話、全部
グループに送っといたぜ。」
仕事はえぇな。流石やで…
俺らは、歩きながらそんなことを話していると、
気付けば駅のホームまで来ていた。
アナウンス「まもなく1番線に、
快速、大石行がまいります。」
いい感じにGWの話が盛り上がってきたな〜!
今年のGWは、楽しくなりそうだ。
松村「じゃぁまたSINEで。」
のむっち「ばいば〜い。」
俺らは手を振る。
あいつらは、ここから別路線だ。
帰りは、みんな疲れているのか、
ほとんど会話もなく、景さんは寝ているし、
颯太もずっと
大川も…Tvitterをしているのか。
そういえば大川は、
インフルエンサーとしての才能もある。
実際Tvitterではフォロワー数は
5000人超えで、車内でも
名前を言えば知っている人が
いそうなくらいだ。
プシューーッ―
ドアが開いて、大川が降りていった。
手を振りながら、降りる準備をする。
大川が降りるのは
スーパーカクハチがあるのは、隣の長尾駅だ。
夕暮れの西陽が車内に差し込む。
もうすぐ日が暮れる。
長尾駅に着いた。
スーパーカクハチは、駅ビルの中にあるため、
いちいち信号を渡ったりする必要はなく、
改札から直接行ける。
颯太「今日は何が売ってるかな〜。」
凛「気になるわ〜」
いち早く異変を察知したのは、景さんだった。
景さん「メロンパンがない!」
俺らは一瞬焦ったが、
そんな焦りは、すぐに消えた。
颯太「なーんや、売り切れか!
びっくりした〜。」
売り切れとわかったのは、値段表だけが
トレーの中に残っていたからだ。
景さん「今日はメロンパンないってことか。」
凛「そうみたいやな…。」
「どうする?」
景さん「自分は、いいかな。」
颯太「俺も。」
凛「じゃぁ、俺も。」
今日はなしだ。出直すとしよう。
颯太は長尾駅が最寄り駅なので、
そのまま帰る。
景さんは、長尾駅から3駅先の野口駅。
俺はその隣、野口本町駅から帰る。
ドアが開き、階段を降りて、駐輪場へ。
もう疲れた。何も考えたくない。
家までは鼻歌を歌ったり、
真っ暗になっていたが、周りの景色を
見たりと、優雅なひとときを自転車の上で
過ごしていた。
凛「ただいま〜」
母「おかえり。」
俺はまっすぐに自分の部屋の布団へと飛び込み、
そのまま寝てしまった。
今回のタイトルは「メロンパン」ということで、
この作中に出てくるメロンパンは、
実在しているんです…
名前は変えてますがね。
本物はとちおとめではなく、
あまおうイチゴで、
社名もPascoです。言っていいのかな?
まぁ多分秋に販売されるので
見つけたら買ってみてください!
ということで鎌黒小話でした!
羽玖⑨