異世界から帰ってきたら天使様に世話された。   作:たかたけ

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ねむ。あ、明日からテスト一週間前なんで更新多分無いです。(多分)

内申点気にしないと大学行けないんで…。


期末とサプライズ。その12

学校の期末試験の結果が張り出され、生徒たちはそれぞれ掲示板の前まで集まっていた。その俺もいつもの目元を隠す長い前髪に、身長を猫背で誤魔化しながら掲示板へと生徒たちに紛れながら向かっていた。

 

掲示板の前に立ち、期末試験の結果を遠目から眺める。

 

一位 椎名真昼 1197点

 

二位 神坂悠人 1189点

 

三位 ……… 1097点

 

おお、こんな点数とったの初めてだな…。俺は元々は目立たないためによくもなく悪くもなくの点数を取っていたのだが、真昼のおかげで目立つのを恐怖する様なことも無くなったので、俺は普通にテストを受けた。異世界行って魔法の勉強をしたりした方がもっとしんどかった。それに比べたらこっちの勉強なんて天と地ほどの差がある。

 

「椎名さんまた一位だ……」

「流石天使様、頭の出来が違う」

 

そんな話が聞こえてきて俺は少し不快な気分になる。真昼は毎日の弛まぬ努力を元にこの点数を取っている。お前らに何がわかるんだ、とでも言いたがったがその真昼を知っているのは俺だけなので口を継ぐんだ。

 

「そう言えば、神坂って誰だ?この前の順位に乗ってたか?」

「さあ?カンニングでもしたんじゃね?」

「はあ!?カンニングってマジ?じゃあズルしたってことじゃん!」

 

そんな会話に周りがザワザワと騒ぎ出した。「神坂ってやつカンニングしたの?」「クズじゃん」「マジで何考えてんだろうな?こいつ」そんな声に俺は足がすくんだ。あの時と同じだ、異世界で裏切られた時と、周りの人が俺を拒絶していく光景を見るのは。だが…俺は…。

 

「やめてください」

 

凛と鈴が鳴る様な声に生徒たちの喧騒は一斉に無くなった。声がした方を向くと、学校での天使の微笑を消して能面の様な無表情を貼り付けた少女──椎名真昼がいつもの凛とした姿勢で立っていた。

 

「この神坂さんと言う人の点数はカンニング程度で取れるものではありません。何も知らないのに勝手な憶測だけで人を貶めるのはやめてください、不愉快です」

 

そう言い終えると真昼は「失礼します」と言って自分の教室に戻って行ってしまった。さっき俺のことを悪く言っていた生徒も学年一位の真昼にカンニングはできないと言われてしまい何も言えなくなって、罰の悪そうな顔で教室に戻っていった。……。また真昼に大きな借りができてしまったな…、と思いつつ俺は自分の教室に戻って行った。

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

俺は自分の家に帰る前に真昼のテスト順位一位のお祝いとしてショッピングセンターに買い物に来ていた。

 

─やっぱりぬいぐるみか?

 

そう思ったもののこの前ゲームセンターで乱獲したのでこれ以上上げたら真昼の部屋がぬいぐるみだらけになるだろう。ちなみにぬいぐるみの数匹は俺の部屋にある(真昼の抱き枕になっている)。ネックレスやブレスレットなどは流石に重い、期末の結果でアクセサリーなんて渡されたら萎縮するだろう。俺もする。

 

そうしていると俺はとある店が目についた。うん、これならちょうどいいだろう。俺はそこの店でとある物を購入して少し寄り道してから家への帰路に着いた。

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

「あれ?ゆうくん、これ何ですか?」

 

真昼は冷蔵庫を開けて昨日冷蔵庫の中になかったものが入っていたのでそれについて聞いてきた。

 

「ああ、ケーキだよ。テスト一位のお祝いとか、誕生日買えなかったのとか、まあ夕食後にでも食べてくれ。あ、チョコレートケーキ嫌いだったか?」

「き、嫌いではないですけど…、別に毎回こんな物用意して貰わなくても良かったのに……」

「…。はあ、お前がよくても俺は良くないの…、それに、大事な人のお祝いくらいさせてくれよ…」

「ゆ,ゆうくん……」

 

うわ、これちょっと恥ずかしい。大事な人とか言うのやっぱり慣れないな…。だが、俺は彼女を甘やかすことに決めたのだ。他人には世話焼きな一面を持つ真昼だが自分の事にはストイックな一面がある。それも含めて彼女は甘やかされることを知るべきだ。

真昼は少し恥ずかしそうに顔を赤くしている。そして、俺はずっと言おうとしていたことを口にする。

 

「…。そう言えば真昼、今日はありがとうな」

「はい?何のことですか…?」

 

真昼は本当に分かっていないのか、首を少し傾けている。

 

「テストの結果の時だよ」

「…。ああ、あれですか。いえ、あれは私がムカついてしまっただけなので、お礼を言わなくてもいいですよ」

 

真昼はまだ少しムカついているのか形のいい眉が少し寄っている。

 

「いや、それでも俺は嬉しかったよ」

 

これは本当だ。あの時真昼がああ言ってくれたのは本当に嬉しかった。

 

「もう……。じゃあ、そろそろ晩御飯の用意しちゃいますね」

「ああ、頼んだ」

 

俺はそう言ってご飯を作る真昼を見守っていた。

 

 

 

真昼が作った晩御飯を食べ、皿洗いまで済ませてから。真昼はソファに座った俺の横に両手でケーキが乗った皿を持って座っていた。真昼はケーキと俺を交互に見ながら食べていいのか?と言った様子でこちらを伺っていた。

 

「どうぞ」

 

俺はケーキを食べる様に促すと、真昼は「いただきます」と言ってフォークを持った。真昼は何だか慎重な手つきでケーキをフォークで一口大に切って口に運んだ。

 

「!」

 

一応母さんが美味しいって言っていた店で買ってきたので味は大丈夫なはずだ。その証拠に口にした真昼が目を少し丸くして、それから微かに口許が緩んだ。

 

目を細めながら柔らかい表情を浮かべながら味わう様にケーキを食べる姿はどこか絵になっていた。

 

「?どうかしましたか」

「いや、絵になるなあって思ってな」

 

真昼はじっと見られていることに気づいて俺に質問してきたので俺は素直に答えた。

 

「そ、そうですか…?あ、ゆうくんもケーキ食べますか?美味しいですよ」

「ああ、じゃあ少しもらおうかな」

 

俺は席を立ってキッチンにフォークをとりに行こうとすると、真昼がケーキを一口分フォークに切り取ってこちらに差し出してくる。

 

「…。真昼、これは?」

「ケーキ、食べたかったんですよね」

 

真昼はフワリと微笑を浮かべながらこちらにフォークを差し出している。…。これ絶対に分かってやってるな…。こうなったら乗っかってやろうと思った俺は、真昼のフォークの持った手を逃さない様に握りながら俺の口に運んだ。

 

「…うまい」

「そ、そうでしゅか…」

 

真昼は俺の行動に驚いたのか喋る言葉は甘噛みだった。俺はその後にそう言えば、と続ける

 

「今の、間接キスだな」

「!…。うぅ…、ゆうくんはイジワルです…」

 

真昼は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「俺を揶揄おうとするなんて5年早い」

「はぃ…」

 

真昼は消え入りそうな声で返事をしてぱくぱくとケーキを頬張っている。俺は少しやり過ぎたか?と思いまひるを慰めるために頭を優しく撫でていた。

 

真昼がケーキを食べ終わった時にはもう恥ずかしさが抜けたのか顔の赤みは引いていた、俺はケーキの皿を受け取って洗う。皿を洗い終わると俺は今日買った物を入れた紙袋を真昼に渡す。

 

「はい」

「…これは?」

 

真昼は紙袋を両手で受け取りながら聞いてきた。

 

「まあ、誕生日とかしっかりとしたプレゼントあげられなかったからそれだよ」

「…開けてみていいですか?」

 

俺はああ、と返事をする。真昼は丁寧に袋に付いていたテープを外して中を覗き込んだ。

 

「これは…?」

「ハンドクリーム、水を使ったりするし、寒くなって手も乾燥するかなって思ってな」

 

真昼が取り出したハンドクリームが入った箱には綺麗なラッピングを店員さんにお願いしている。

 

「あの、もう一つありますけど…それは?」

「あー、ハンドクリームだけじゃ味気ないかなって思って、ぬいぐるみを買ったんだ」

 

箱ではなくポリエステルの袋に入った、それ。大きさは、丁度真昼が両腕に包める程度。

 紺のリボンで縛られていて、真昼がこれを丁寧に外すのを眺めている。封を解いた中身を両手で丁寧に中身を持ち上げた真昼は、本当に意外そうにぱちくりと大粒の瞳を瞬かせている。

 

「……くま?」

 

真昼は目をぱちぱちさせてぬいぐるみを見つめている。

 

「あー、前のでもう要らないなら捨ててくれてもいいぞ?」

「そ、そんな酷いことしませんっ!」

「…それなら良かったよ」

 

真昼は艶やかな亜麻色の髪を横に振った後にぎゅっとクマのぬいぐるみを抱きしめている。そして真昼はふふ、と笑いだした。

 

「大切な物、また増えちゃいましたね…」

 

とろりと溢れ出しそうな幸せを含んだ笑みを浮かべる真昼に俺は少しドキッとした。間近で真昼の笑顔を見ると心臓に悪いな…。

 

「そんなので幸せが買えるなら安い物だがな」

「そうですか…?」

 

これ、高いんじゃ…と呟く真昼に、

 

「値段とかじゃなくてだな…、真昼の幸せそうな笑顔の方が俺としてはずっと価値があると思ってるってことだよ」

「っ!」

 

真昼は頬をまた赤く染めた。真昼が「不意打ちはヒドイです…」と呟いていたが俺は何のことかわからなかったので聞かなかったことにした。真昼は少し神妙な顔で喋り出した。

 

「……。私、前まで誕生日が嫌いだったんです。毎年誰にも祝って貰えなくて、いつも寂しさが募っていくだけで心が痛くなる日でした…」

 

真昼は少し遠くを見るようにして、何かを諦めた様な表情だ。真昼はでも、と続け、

 

「私、誕生日好きになっちゃいました」

「…」

「他でもない、ゆうくんがそうしたんですよ?また、来年も祝って欲しいって思っちゃいました。…やっぱり我儘ですかね?」

 

真昼は俺を上目使いで見た。年相応の気の抜けた様なあどけない表情に俺は視線を引っ張られた。俺は衝動のままに真昼の頭を撫でる。んっ…、と甘い声が真昼から漏れる。

 

「来年だけと言わず、再来年もその次も祝ってやるよ」

「……!はいっ!」

 

真昼は太陽の様な眩しい笑顔で返事をする。俺は真昼の笑顔に当てられて少し微笑む。

2人の影は今日も寄り添っていた。

 

 

 

「あ、そう言えば、ゆうくんの誕生日はいつなんですか?」

「俺は6月9日だな」

「じゃあ、また来年ですね」

「…祝ってくれるのか?」

「はい、勿論ですっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誰か天使様の二次創作増やしてくれないかなあ…。

やっぱりオリジナルの回って欲しい?

  • 欲しい!
  • 要らない
  • どっちでも
  • まひるんに手を出すなカス
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