異世界から帰ってきたら天使様に世話された。   作:たかたけ

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更新ストップごめんね〜。なんか一回やる気が低下してました。今日はなんか筆が進んだので投稿。これから投稿不定期になっちゃうかもです。

よろしく。まあ受験生だから仕方ないよね!!!(反省しろ(普段から勉強しとけよ(死ね

あ!!!前回の最後のとこ大幅に変わってるんで見て下さい!すいません!!!そうしないと今回と前回で話が繋がらないかもしれないんで!


お雑煮と父親。 その17

 

「んめえ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 悠人は真昼が作ってくれたお雑煮を頬張ってそう言った。こうして悠人の言葉に真昼がお礼を言われる、ということももう見慣れてきたものだ。

 

 悠人が黙々とお雑煮を食べる姿を真昼は柔らかい笑みを浮かべながら見守る。悠人は少しの居た堪れなさを感じて箸を止める。

 

 

「どうかしましたか…?もしかしてお雑煮嫌いでした…?」

 

 

 柔らかい笑みからどこか焦った様に悠人を見る真昼を静止しつつ悠人は口を開ける。

 

 

「いや、それはめちゃくちゃ美味いよ。じゃなくてだな…ずっと見つめられると食べにくいんだが…?」

 

「え?そ、そんなに見ていましたか?」

 

 

 どうやら真昼は無自覚だった様で俺の質問に対して小首を傾げている。

 

 

「ああ、見られてた。俺は視線に敏感だからな………ずっと俺の口を中心に視線が離れなかったのを感じたよ…」

 

「口…ですか……?」

 

 

 そう呟いた真昼は再び悠人の唇を見ると、

 

─ぽんっ。

 

 そんな擬音が聞こえてきそうなほどに一瞬で真昼の頬は赤く染まった。

 どうやらさっきの積極的な行動は完全に勢い任せのものだったらしい。それを今思い出してその行動の恥ずかしさが今顔を出したらしい。

 

──まあ、よく考えるとさっきの真昼、おかしかったよな…。

 

 今になって思うがさっきの真昼はストレートすぎると言うか、度胸?があったと言うか…なんとなく真昼らしく無い行動だなと悠人は思っていた。

 悠人はさっきの違和感の正体を突き止めたことで少しスッキリする。

 

 真昼は羞恥心からかお雑煮を食べている間、結局顔を合わすことさえ叶わなかった。

 

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

 お雑煮を食べ終わった頃には真昼は羞恥心から少し持ち直したのか、ほんのり頬には朱を含ませたままだが悠人と顔を合わせて会話をする事が可能になっていた。

 

……。まあ、顔を合わせるたびに顔を赤くされるのだが…。

 

 

「…そろそろ落ち着いたか?」

 

 

 お雑煮を食べ終わった2人はダイニングからお互いにソファに座り直しており、真昼はクッションに顔を押し付け、悠人はそんな真昼をただ眺めていた。

 そんな時間をしばらく過ごした後、悠人は口を開いた。

 

 

「………はぃ」

 

「……」

 

 

 掠れた声で小さく呟いた真昼の様子を見ると未だ落ち着いた様子には見えないが、真昼がそう言っているなら突っ込むのは少し酷だろう。

 そう思い悠人は本題を切り出した。

 

 

「改めて確認なんだが、真昼って初詣に行くよな?」

 

「はい。振り袖も貰っちゃいましたし、着てあげないと可哀想ですから…」

 

 

 クッションから少し顔を上げた真昼はそっと笑う。どうやら楽しみにしてくれていたらしい。

 

 

「…それでだな、初詣に母さんと親父が一緒に行きたいって言ってるんだが…真昼は大丈夫か?」

 

「ええ…勿論大丈夫ですよ。寧ろ、幸子さん達のお邪魔にならないか少し心配です…」

 

「…親父達はそんなこと言わない人たちだし、万が一そんな事があるなら俺は真昼を取るよ」

 

「ゆうくん…………。嬉しいです…」

 

 

 そう言って蜂蜜に砂糖を練り込んだ様なはにかみを見せる真昼に少し心臓が高鳴るのを感じた。悠人は少し気まずげに視線を逸らす。

 

 

「そう言えば、真昼は初詣以外に行きたい場所はあるのか?」

 

「他にですか……。福袋とか、少し興味はあるんですけどね。…あの人だかりに突撃する勇気はないんですよねえ」

 

「あー…まあそれについては同感だな」

 

 

 俺は昔に見た光景を思い出して頷く。まあ今となってはあんな人だかりなんて意に返す必要すらないんだが、真昼が気が進まないなら良いだろう。

 

 

「まあ思いつかないなら家でゆっくり過ごすか…」

 

「そうですね。自宅でゆっくりするのもお正月でしょう」

 

「そう言えば見てない映画が結構あった気がするな…、真昼も見るか?」

 

「ゆうくんが良いのなら」

 

「俺から誘ってるんだよ。そもそも真昼のお願いを俺が断ると思ってるのか?」

 

「………知りません」

 

 

 真昼もいつの間にかいつもの調子を取り戻し、悠人達はゆったりとしながらも贅沢なお正月を味わっていた。

 

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

──ピーンポーン。

 

 家の中にインターホンの音が響く。それに出ようとソファを立とうとした真昼を抑えて悠人は玄関まで歩く。

 

 

「悠くーん!久しぶり〜」

 

「前来てからそんなに経ってないだろ…。それより親父はどうしたんだ?姿が見えないが」

 

「鉄さんなら車を止めてるわよ?」

 

「放ってきたのかよ…」

 

「あっ!真昼ちゃーん、久しぶり〜」

 

「お久しぶりです幸子さん」

 

 

 悠人と幸子が話していたのを聞いて挨拶に来た真昼に幸子が駆け寄って声をかける。真昼はほんの少し外行き用の笑みを受けべている。

 

 

「真昼…座ってて良かったのに」

 

「幸子さんが来ているのに挨拶をしないわけにはいかないので…」

 

「俺は母さんと真昼がいつの間に仲良くなったのかが気になるよ…」

 

 

 仲良く話す真昼と幸子を尻目に悠人は溜め息を吐く。女同士の話に割り込む勇気は今の悠人にはなかったのである。

 そうしていると開けっぱなしだった玄関に大きな影が映った。その長身の男は玄関の扉に手を掛けてうちに入ってくる。その男の眼光は鋭く俺たちを射抜く。

 

 真昼はその男のあまりの迫力に怯える様に悠人の服の裾をギュッと掴む。

 

 

「ゆ、ゆうくん…」

 

 

 真昼はどうして良いかもわからず少し涙目で悠人を見上げた。そんな真昼に悠人は苦笑いを浮かべる。

 

 

「親父、ただでさえ顔が厳ついんだから圧を出すのはやめてくれ。真昼が怯えてる」

 

「む?すまんな…」

 

 

 その男が申し訳なさそうにそう言うとようやく圧が無くなる。真昼はようやく一息つけたのかホッとしている。

 悠人は真昼にその男について話し出した。

 

 

「真昼、こいつが俺の親父の神坂鉄心だ」

 

「む…悠人!実の父親にコイツとはなんだ!」

 

「うるさい。真昼を怖がらせたんだからコイツで十分だ」

 

「むぅ……」

 

 

 悠人の父親─鉄心は思い当たるものがあるのか唇を一に結んでいる。すると幸子が鉄心に口を開いた。

 

 

「今のは鉄さんが悪いわ。真昼ちゃんに謝りなさい〜」

 

「さ、幸子さん……」

 

「謝りなさい」

 

「はい…」

 

 

 ごめんなさいと真昼に謝る鉄心を尻目に悠人は真昼に耳打ちする。

 

 

「真昼。親父は見た目は怖いが基本的には優しいし、今回は緊張してたんだと思う。いつも母さんの尻に轢かれてるから怖がらなくても良いよ。まあもし怖いなら俺の裾でも掴んどきな」

 

「は、はい…」

 

 

 鉄心の見た目は非常に恐ろしい。髪はオールバックで目元には大きな傷があり、服越しでもわかる筋肉質の体。目鼻立ちは整っているもののそれは人に恐怖心を煽るためのスパイスでしか無い。街を歩けば悲鳴を上げられるし、子供は泣き出すほどの迫力。まるでヤ◯ザだ。

 流石の真昼も怖かったのだろう体半分を悠人の後ろに隠し、ギュッと握られた悠人の袖から離れる気配はなかった。

 

 

 

 

 

 

「ど、どうぞ…」

 

 

 悠人の両親とは言え客人なので当然かもしれないが、真昼はお茶を出すと言って譲らなかったので悠人は彼女に任せていた。

 

 いつもは悠人と真昼が座っているソファに腰をかける幸子とは対照的に鉄心は床に座って胡座を組んでいる。

 

 

「あら〜ありがとうね〜。真昼ちゃん」

 

「は、はい」

 

「本当は悠君がしないといけないのよ〜?」

 

 

 おそらくだが悠人が両親にお茶を出したとしても備え付けしている麦茶などだろう。紅茶などを入れても良いものを出せるとは言えない。

 

 

「い、いえ。私がしたかった事ですから…」

 

「あら〜、やっぱり良い子ね〜。ねえ、鉄さん?」

 

「む、ああ…」

 

 

 幸子が胡座をかいて微動だにしなかった鉄心へ話を振る。しかし、鉄心から帰ってきたのは肯定の言葉だけだった。

 

 

「もう!親としての威厳を見せようとしてるのはわかるけど、貴方がやると殺人的なのよ〜?」

 

「………」

 

 

 幸子に殺人的と言われたことに少し落ち込んだ様に見える鉄心に真昼は苦笑いを浮かべている。

 

 

「真昼、ここに座れ」

 

「すいません。失礼します…」

 

 

 悠人は両親が座っている反対側に座布団を二つ引き、その一つをポンポンと叩いて真昼に座る様に促した。

 すいませんと真昼が言ったのはおそらくまだ少し怯えている真昼への気遣いを気にしたのだろう。

 

 

「気にするな。真昼が怖がっているのを見るよりもずっと良い」

 

「……。はい…」

 

 

 悠人の気遣いが嬉しかったのか真昼は少し微笑を浮かべる。眉尻は少し下がり、さっきよりもリラックスできている事がわかったので少し悠人は安心した。

 

 

「あら〜。いつの間にそんなに距離が近くなったのかしら〜?」

 

 

 いつの間にか見つめ合っていた真昼と悠人は一気に現実へと引き戻された。ばっと声の方向に顔を向けると手を頬に当ててニコニコとしながらこちらを見つめる幸子の姿があった。

 

 

「近くなったって…、別にいつも通りだが」

 

「あら〜。じゃあいつもそんなにピッタリとくっついているのね〜」

 

「……」

 

 

 ニコニコと笑って問い詰めてきた幸子。悠人と真昼は最近は大抵今のような距離感になっているので反論のしようがなかった。

 

 

「…………」

 

「鉄さんも黙ってないで、真昼ちゃんに挨拶しなさい〜」

 

「ああ……。椎名さん、さっきは怖がらせてしまってすいません。私は悠人の父の鉄心と申します」

 

「え?あ、はい。私は椎名真昼と申します、?」

 

 

 幸子がさっきから黙り込んでいた鉄心に挨拶を促すと鉄心は敬語で挨拶をし出した。真昼もさっきの印象と違ったのか小首を傾げながら挨拶をし返した。

 

 

「……。なんでいきなり敬語なんだ?親父、そんな言葉使ってるとこ見たことないぞ?」

 

「悠人…。ここは親としての威厳をだな…」

 

「悠人。鉄さんはあなたにかっこいいところを見せたいのよ」

 

「幸子さん……」

 

「カッコいいところ?俺に?なんで?」

 

「悠人……」

 

「ふふ…」

 

 

 そんな話をしていると悠人の横から笑いを堪えた様な様な声が聞こえてきた。横にいる真昼を見てみると肩を震わすのを我慢している真昼がいた。

 真昼は自分が見られていることに気づくと慌てた様に口を開いた。

 

 

「す、すいません…。とても仲が良さそうだったので、つい…」

 

「そうか?まあ真昼が面白かったなら良かったよ」

 

 

 手をパタパタさせながらそう言う真昼に悠人は苦笑いを浮かべた。

 

 

「………」

 

 

 あわあわしている真昼を温かい目で見守る悠人をじっと見つめている視線にふと悠人は気づいた。

 

 

「…親父。さっきからどうしたんだ?」

 

「ああ。……悠人、結婚はいつするんだ?」

 

「────ゲッホ、ゴッホ…ゴホッ……」

 

 

 悠人は鉄心らしからぬ質問に飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。真昼も頬を赤に染めて俯いてしまった。

 

 

「結婚って…!俺たちは付き合ってすらいない!」

 

「…。そうなのか?」

 

「そうだ。変な憶測は止めろ」

 

 

 悠人は鉄心に語気強く言った。…側から見たら俺たちは付き合ってる様に見えるのか?と言う疑問もあったがそれを押し込む。……あの、真昼さん。少し落ち込むの辞めてくれませんかね…?凄く申し訳なく感じるんで…。

 

 

「ふふふ〜。それくらい悠君と真昼ちゃんが仲良く見えたのね〜」

 

「…初詣行くんだろ?早く準備していこう」

 

 

 これ以上その話題を掘り起こされることを嫌がった悠人は話題を変えた。

 

 

「あら。そうだったわね!真昼ちゃんは振り袖持ってる?持ってないならレンタルするのだけど…」

 

「あ、持ってます。一応…」

 

「そうなのね〜!あ、悠人の袴は持ってきてるから、これに入ってるわ」

 

 

 そう言ってずいっと来た時に持っていた荷物を押し付けてくる。悠人は困惑しつつ幸子に聞く。

 

 

「袴って…俺、そんなの持ってないだろ?誰のなんだよ」

 

「鉄さんよ」

 

「親父?」

 

 

 悠人が鉄心へと視線を向けると頷いているのが見えた。…母さん曰く、親父が袴を着るともうヤ◯ザの組長にしか見えないんだとか。…どんまい、親父。

 

 

「じゃあ、真昼ちゃんお着替えしに行きましょうか!」

 

「は、はい…!」

 

 

 真昼は幸子にそう言われて連れて行かれてしまった。

 

 

 

 

 

「悠人。着替えたか」

 

 

 悠人が幸子から渡された袴に着替え終えたくらいに鉄心から声を掛けられた。

 

 

「ああ。…変じゃないよな?」

 

「…大丈夫じゃないか?」

 

「親父に聞いた俺が間違ってたよ」

 

「…」

 

「…」

 

 

 悠人がそう言ってからきっぱり会話が無くなってしまった。

 一応言っておくと悠人と鉄心は仲が悪いわけではない。ただ、幸子がいないとこの2人の会話は必要なこと以外は無くなるだけだ。

 

 悠人が髪をワックスでセットしているとふと、鉄心が口を開いた。

 

 

「悠人。…この街に引っ越して良かったか?」

 

「は?…まあ、良かったよ」

 

 

 鉄心の突拍子もない言葉に素っ頓狂な声をあげる悠人だがなんとか返事をした。…この街に引っ越してきて真昼と出会えて良かった。口には出さないものの心の中でそう言う。

 

 

「そうか……。悠人、椎名さんを大切にしろよ…」

 

「………。おう…」

 

 

 鉄心が何を考えているかを探ろうとした悠人だったが鉄心の顔を見てそれを辞めた。鉄心が悠人を見る顔はどこか嬉しそうに少し寂しげに口角を上げていた。悠人はさっきの言葉に深い意味はないとすぐに悟ったのだ。

 

 悠人は髪型をセットし終わる頃。玄関の方からガチャと、扉が開く音が聞こえた。

 

 

「おかえり。着付けはできたのか?」

 

 

 悠人が洗面場から顔を出してそう口にする。そしてそこに広がっていた光景に目を見開いた。

 

 着付けを終えたであろう真昼は、前に買ってきた振り袖を見に纏い。亜麻色の長い髪は横髪が一房だけ残されていて、後は上のかんざしによってまとめられている。真っ白なうなじやしゃらりと揺れる飾りが女性らしさを際立たせていてなんとも色っぽい。

 真昼自身の良さが消えずに、引き立たせるようにほんのりと施された化粧も相まって、視線を釘つけにしてしまう魅力を醸し出している。

 

 前にも一回見たが、美しいの一言では完結できないような神聖さを孕んだ真昼に言葉を失う。

 

 

「ど、どうですか…?」

 

 

 いつの間にか近寄ってきていた真昼がそう言う。ほんのり頬に朱を含ませながら一房残った髪を耳に掛ける仕草をする真昼に心臓が高鳴る。悠人は高まった鼓動を抑えつつなんとか口を開く。

 

 

「あ、ああ…。前も見たけどやっぱり似合ってるよ」

 

「あ、ありがとうございます…。ゆうくんもとても似合っていますよ?」

 

「お、おう…。さんきゅ…」

 

 

 お互いに褒め言葉に照れてほんの少し気まずい時間が流れる。しかしそこに割り込んで来る人がいた。

 

 

「悠君〜?もっと他に言えることはないの〜?」

 

「うっせ…」

 

 

 そう言ってヤジを飛ばしてくる幸子に悠人はぶっきらぼうに答える。

 

 

「ふふふ〜。じゃあ私達は先に行って車出しておくわね〜」

 

 

 ゆっくり来なさ〜い。と言う幸子を見送って、悠人と真昼はお互いに目を合わせる。

 

 

「…あ〜。真昼、その振り袖よく似合ってる。その編み込まれた髪も、化粧も、いつもと違って新鮮で…。いつも綺麗だと思ってたけど、今日はそのいつもよりも、綺麗で素敵だと思う」

 

 

 乏しい語彙力を振り絞り真昼を褒める言葉を考えたものの上手い言葉は見つからずに終わってしまった。

 見たすぐに褒められたら良かったんだが、流石に両親の前で褒めると言うのは恥ずかしがった。

 

 素直な感想を言った悠人に真昼は頬をさっきよりも赤く染め、耳まで真っ赤になっている。

 

 

「……ありがとうございます」

 

 

後半時行くほど声が小さくなる真昼に少し苦笑いを浮かべる悠人。顔を赤くして恥ずかしがる彼女は可愛らしい。

 

 

「…俺はカバンに必要なもの入ってるけど、真昼は?」

 

「私はこのバックに入っていますので…」

 

 

 少し俯き気味に答える真昼の頭を髪が崩れない様に優しく撫でる。

 

 

「い、いきなりなんですか…?」

 

「いや…これで落ち着くかなって…」

 

「……。髪型が崩れない様にして下さいね…」

 

 

 気持ちよさそうに目を閉じる真昼。どうやらやって正解だった様だ。悠人は少しの間真昼を撫でて最後にポンポンとする。

 

 

「行こうか。親父たちも待ってるだろ」

 

「あ、その前に少し良いですか?」

 

 

 玄関を出てエレベーターに向かおうとする悠人に真昼は手をちょいちょいとしてしゃがむ様にジェスチャーしてくる。

 

 

「どうした?髪でも崩れてたか?」

 

「いえ…そうではないんですけど…耳を、貸して下さい」

 

 

 そう言われた悠人は真昼に言われるがままに膝を曲げる。すると真昼は悠人に一歩近づいて、膝を曲げても少し真昼には高かったのか背伸びをして桜色の唇を悠人の耳に近づけた。

 

 

「その…ゆうとくんも、袴姿。大人っぽくてとてもカッコいい、ですよ…?」

 

 

 そう、真昼に甘い声で囁かれる。吐息が悠人の耳を掠めてこそばゆく、そこを中心に恥ずかしさで熱を帯びていく。

 

 それだけ囁いて、横をすり抜けて早足にエレベーターホールに向かおうとする真昼の手を悠人は握って止める。

 

 

「ゆ、ゆうくん…?」

 

 

 いきなり手を掴まれた真昼は目を白黒させながら悠人を見つめる。さっき言った言葉の影響か真昼の頬は少し蒸気し、悠人を見つめるために少し上目遣い気味だ。いつもと違って髪を上げているため真っ白のうなじが無防備に曝け出されているので悠人の鼓動はさらに早まった。

 

 

「急いで転んだらどうするんだよ。ただでさえ動きずらいんだから、手を繋いで行くぞ」

 

「え、な…なんで、今…、」

 

「なんだ?」

 

「い、いえ…なんでも、ありません…」

 

 

 悠人の有無を言わせない言葉に真昼は折れる。真昼はさっきの言葉を言った反動で逃げ出したい気持ちでいっぱいだったのだろう。

 

 悠人が言ったことは半分ぐらいは本音だった。しかし他の半分は…。

 

 

「うぅ……」

 

「(言えない…、真昼が可愛すぎて手を繋ぎたくなったからとか…。言えない…)」

 

 

 頬を赤くして俯いたままの真昼に罪悪感を感じつつ心の中でそう吐露した。しかし、真昼が俯いたままで良かった…。

 

 何故なら、

 

 

 

─今の自分の顔は火照って真っ赤だろうから。

 

 

 

 

 

……………。

 

──先に駐車場へ向かった夫婦の会話。

 

 

「ふふ〜。やっぱり悠君と鉄さんって親子よね〜」

 

「…どうしてそう思うんだ?」

 

「だって、誰かと一緒にいる時に素直に誰かを褒められないの、どこかの誰かさんにそっくりだもの!」

 

「………」

 

「あら?黙っちゃってどうしたのかしら?…ふふ、来年また一緒に振り袖デート、しちゃいます〜?」

 

「…………………する」

 

「は〜い」

 

 

 この夫婦、未だ熱々である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………。

 




おつおつ〜。おやすみ〜。いい夢を!!!

やっぱりオリジナルの回って欲しい?

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  • まひるんに手を出すなカス
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