異世界から帰ってきたら天使様に世話された。   作:たかたけ

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超絶眠たい!

面接練習嫌ですね…。

あ、16話後半をかなり改訂しているので見てない方は是非。


初詣と手料理 その18

 

 悠人たちが住んでいる地域から小一時間ほど離れた地域にある有名な神社に到着すると、やはりと言うか人の多さはテレビで見た時よりも幾分か減っていたものの、人の波が途絶えることがなさそうだった。

 

 

「だいぶ人は減ってるけど、やっぱり結構いるわね〜」

 

「ん〜。まあ有名なとこだしこんなもんじゃないか?」

 

 

 悠人は幸子にそう言いつつ車から先に降り、横に座っていた真昼を支えるために手を差し出した。真昼は「ありがとうございます」と言いつつ悠人の手のひらに自分の華奢な手を乗せた。

 

 

「真昼ちゃん、はぐれないようにね〜。いざとなったら悠君に抱きつけば万事おっけ〜よ!」

 

「あ、あはは……」

 

 

 グッと親指を上げる幸子に真昼は苦笑いを浮かべた。悠人は心の中で抱き着いてどうすんだよ…と言うツッコミを入れるが、よくよく考えれば真昼が抱きついた方が早く移動できるまではある。………まあしないが。

 

 しかし実際一番動きにくいのは真昼だろう。悠人も袴を着てある程度動きが制限されているとは言え、女性者に比べれば男性用のものはある程度動きやすい者にはなっているのだ。

 人混みをかき分ける程ではないものの、やはり人との接触などは避けられないだろう。それで転んで怪我でもしてしまうなら、あらかじめ気を配った方がいいだろう。

 

 

「じゃあ行きましょ〜」

 

 

 幸子の先導で人混みの中、まずは取水舎に向かって手と口を清める事になったのだが、やはり真昼に視線が吸い寄せられている人間が多い。その横にいる悠人にまで視線は注がれているので悠人は少しむず痒い気分になる。

 

 着物を着ている人間は少なからず居るし、振袖を着てきた真昼がそう目立つわけでもない、と言うわけでもなかった。

 そもそも何も着飾っていない制服姿ですら人目を引くのだ。清楚系の正統派美少女が和装していて目立たない訳がない。

 

 水で口を清めている姿さえ美しく、どこか色気を感じさせるものなので自然と視線を集めていた。

 

 

「…?どうかしましたか?」

 

「いや、なんでも」

 

 

 少し心にゴワゴワした不快感じみたものを感じたものの、それを顔に出さずに悠人は誤魔化した。悠人も両親たちに習う様にして手と口を清め、前を歩く両親の後をつける。

 

 

 清めた手を持ってきていたハンカチで拭ってもう一度真昼と手を繋ぐ。やはり和装は普段着にでもしなければ袖捌きが難しいらしく、いつもよりも遅々とした進みだ。

 この先はさらに人が混み合うのでしっかり先導せねばと悠人は気を引き締め治した。

 

 悠人はゆっくりながらも自然な流れで人混みをすり抜けていく。真昼もさっきから人混みと当たらないことに気づいたのか目をパチクリしている。

 

 

「……。これ、ゆうくんがやってくれてるんですか…?」

 

 

 真昼が人混みの中を悠人に先導されながら聞いてきた。

 

 

「ん…まあな。武術の延長線上だよ」

 

「そんなに気を使って貰わなくて良いのに…」

 

「俺がやりたいからやってるんだよ。それとも嫌だったか?」

 

 

 そう真昼に聞くと真昼は首をブンブンと横に振る。

 

 

「そうじゃなくて!…これ以上迷惑を掛けてしまうのは、申し訳ないと言うか…居た堪れないと言うか…」

 

「…まあ、真昼が嫌じゃないなら良かったよ。これで嫌って言われたら落ち込んでるとこだった」

 

 

 悠人は軽く肩を上げる。冗談のつもりだったのだが真昼にはそう受け取ってもらえなかった様で少し慌てた様子で口を開く。

 

 

「わ、私がゆうくんの気遣いを嫌うはずがありません!ゆ、ゆうくんが気遣ってくれるのは、その…とっても嬉しいです、し……」

 

 

………………。

 

 

「そ、そうか…?なら、良かった…」

 

「は、はぃ……」

 

 

 頬に朱を含ませながら上目遣いでちらちらと悠人を見てくる真昼にかなり照れてしまう。

 普段であれば少し照れるくらいで済んだのだが、今現在真昼は髪の毛を後ろで纏めているので、普段は少し隠れている耳が赤くなってる所を見るとこっちまで恥ずかしくなってしまったのだ。

 

 悠人は恥ずかしさで真昼から視線を外してぽりぽりと頬をかく。結局参拝の時までまともに顔を合わせることは叶わなかった。

 

 

 

 

 

 

「そう言えばお賽銭って何円入れれば良いんだ?」

 

 

 賽銭箱までもう少しというところまできたとこで悠人は財布を取り出しながらそう呟く。ただ疑問を口にしただけだったのだが真昼はそれに答えてくれた。

 

 

「基本的には何円でも良いそうですよ?ただ10円と500円が駄目らしいです」

 

「へえ、ちなみにそれはなんで?」

 

「確か…、10円が『とうえん』と読んで『遠い縁』になるから、500円がこれ以上硬貨(効果)はないからだそうです。逆に5円は『ご縁』があるから良いらしいです」

 

「……駄洒落かよ」

 

「ふふ…そうですね。でもこういうのって、なんとなく信じちゃいません?」

 

「まあ、確かに…」

 

 

 全く根拠もない話だが駄洒落だったとしてもその事柄につながるということはなんとなく避けたくなる。特にその年の運勢などを決めるものになると考えると余計だ。

 

 悠人は財布から5円玉を取り出してから財布をしまった。横目で真昼を見るともう既に硬貨を用意したのか前でお願いをしている人が終わればすぐに入れる様に準備していた。

 

 

 

 軽く混じりと雑談しながら順番を待っているとすぐに参拝の順番は訪れた。

 まず鈴を鳴らす。これによってはらいを清めるらしい。そして2人は賽銭を軽く賽銭箱に投げ入れ、二拝二拍手一礼でお参りをする。これは神様への感謝ではなく礼儀として必要なものなのだそうだ。…まあ、これら全て真昼から聞いたものなのだが。

 

 悠人は真昼と両親の無病息災と、今の様な生活が続く様に祈る。自身の無病息災を祈ったところで自分で治せるものを祈っても仕方が無いのだ。ならばいつもお世話になっている真昼の無病息災を祈るのは必然となってくる。

 

 

「……」

 

 

 チラリと、横目でずっと祈っている真昼を見つつ俺は少し異世界でのことを思い出していた。

 向こうでは年越しを祝うだなんて概念はなくただ人々は生きるために必死…そんな風だった。

 唯一俺が召喚された王国で建国祭の様なお祝い事もあり、その時は人々は生活を忘れて酒を飲み、踊り、騒ぐ。俺たちは生きていると、そう叫ぶ様な人々の喧騒に悠人は初めは衝撃を受けた。

 それが悠人がその国、いや世界を救うきっかけの一つともなったのは今でも懐かしい。

 

 だからこそとも言うべきか、この日本に帰ってきてこの様な日々を過ごしていると平和というものを全身で感じると言う時が多々ある。

 

 

「─くん。─ゆうくん!お祈り終わりましたよ?」

 

「ん?ああ、すまん」

 

「何か考え事してた見たいですけど…何を考えていたんですか」

 

「あー、ちょっと…な…」

 

「………。そうですか」

 

 

 真昼はジトっとした瞳で悠人を見つめる。その姿はまさに私、不機嫌ですとでも良いたげな雰囲気だ。おそらくだが言葉を濁されたことが癪に障ったのだろう。

 悠人はその瞳に耐えきれずに話題を変えた。

 

 

「真昼は随分長く願ってたみたいだけど何を願ってたんだ?」

 

「私ですか…無病息災ですかね」

 

「おお…無難なやつだな」

 

 

 そう言われると真昼らしいお願いだなと思う。

 真昼は基本的に物欲や金銭欲やら名誉欲などはないので何を願うかと思っていたので、予想の範疇のものだった。

 まあ彼女の性格的に「自分でできることを何故お願いするのですか?」とでも言いそうだな…。なんて考えてはいた。

 

 

「そう言うゆうくんは何をお願いしたんですか」

 

 

 真昼は悠人にそう聞いてくる。

 

 

「俺か?俺は真昼と両親の無病息災と、今の生活が続きますように…とかかな?」

 

「……い、色々言いたいところはありますけど…。まず、なぜ私の無病息災をお願いしたのですか」

 

「え?そりゃあ病気とかかっても自分で治せるしな」

 

「じゃ…じゃあ、今の生活が続きますように…と言うのは?」

 

「…それを聞くのか?」

 

 

 正直面と向かって言うのは恥ずかしいというかなんというか…。まあ別に言っても良いのだが。

 

 

「駄目ですか」

 

「いや、別にダメってわけじゃ…………、まあ…なんと言うか…真昼と一緒に過ごす時間が多くなってるだろ?俺はその時間を楽しいって思っていて…だな。この時間が続く様に祈ったんだが…気持ち悪かったか」

 

「いえ、そんなことないです。とても、嬉しいです」

 

 

 真昼は首を横に振って否定した。髪の飾り付けがシャラシャラと小気味良い音を奏でる。

 真昼の表情はいつも見ているものよりも柔らかくどうやら本当に嬉しいと言うことが伝わってきて悠人は一息つく。

 

 

「あ、あの…」

 

 

 真昼が少し俯き気味になりながら悠人の袴の袖を掴んだ。

 

 

「ん?どうした。疲れたか」

 

「いえ、そうではないです。…お、お願い事…実はもう一つしていて…」

 

「ああ」

 

 

 真昼は何やら恥ずかしいのかこちらを見ては視線を逸らす…と言うことを繰り返している。そして覚悟を決めたのか口を開く。

 

 

「ゆ、ゆうくんと、穏やかな日々を過ごせます様にってお願い…しました」

 

「…………お、おお」

 

 

 一瞬思考が止まった。そう言った真昼は頬を少し赤らめ、唇をきゅっと固く閉ざし、よっぽど恥ずかしいのかカラメル色の瞳は悠人から逸らされている。そんな仕草がいじらしく可愛い。

 

 

「じゃあ…お揃い、だな」

 

「お揃い、ですね…」

 

 

 なんとなく目を合わせることができずに視線を彷徨わせる2人。その2人の頬は寒い時期にも関わらず紅潮しており、羞恥心を隠し切れていない。

 他の参拝客はその様子をほっこりしながら見守っていた。

 

 

 周りに見られていることに気づいた2人は急いでその場から離れる。真昼の柔らかい手をとって人混みを抜けていく。先にお参りを終え少し離れた位置で待っている両親のところに着くまでに転ばれても困るのだ。

 

 そういい意味で手を繋いだのだが、さっきの羞恥心が抜け切っていない彼女は恥ずかしそうに瞳を伏せて悠人の手を握り返した。

 

 

「2人とも〜、こっちよ〜」

 

 

 そう言いながら手を振る幸子。

 促されるように2人で両親の元に向かえば、幸子はこちらを見てニヤニヤしている。

 

 

「あら〜良いわね〜。あ〜あ私も誰かにエスコートして欲しいな〜」

 

「……」

 

「やった〜」

 

 

 鉄心から差し出された手に喜ぶ幸子を見ると少し幼い印象を受ける。……。と言うか今、両親がいちゃつくためのきっかけにされたよな…。

 

 

「あ、真昼ちゃん。温かい飲み物買おうと思ってるんだけど、おしること甘酒どっちが良い?」

 

「じゃあ、お汁粉でお願いします」

 

「悠君は?」

 

「…甘酒にする」

 

「は〜い。じゃあ少し待っててね〜」

 

 

 鉄心にエスコートされながら出店に向かう両親を尻目に、悠人と真昼は軽く雑談を始めた。

 

 

 

 

 

 

 ほどなくして、出店から帰ってきた幸子がそれぞれの注文をした品を手渡してくるので、真昼と悠人は繋いでいた手を離してその品を受け取った。

 

 渡された甘酒に早速口をつけた。甘酒は栄養素が豊富なことから「飲む点滴」と呼ばれてているが、米の甘味やコクはホッと染みる味で、つい感嘆と安堵が混じった吐息が漏れる。

 甘酒の味だなんてもう忘れていたし、そもそも飲んだかも覚えていなかったが。なかなかに行ける。

 

 チラリと真昼を見てみると、穏やかな顔で紙コップに入ったおしるこを少しずつ飲んでいる。

 

 

「おしるこ美味しいか?」

 

「美味しいですよ」

 

「少しもらって良いか」

 

「どうぞ。私も甘酒貰いますね」

 

「ああ」

 

 

 悠人と真昼は持っていたコップを交換してそれぞれ口をつける。

 

 柔らかく漂う小豆の香りを嗅ぎながら口に含むと、舌にトロリとした濃厚な甘味が広がった。おしるこもなかなか行ける。

 特に真昼は甘いものが好きらしいので、ちょうど良いのかもしれない。

 

 

「おいしい」

 

 

 真昼は甘酒が気に入ったらしく、微かに目尻が下がった笑みが浮かんでいる。

 

 

「あら〜、お熱いわね〜」

 

「お熱いって、何がだよ」

 

「それくらいあなたが考えなさい〜」

 

「…」

 

 

 好き勝手言って、自分で考えろと言われた悠人は怒るほどではないものの頬がぴくっと動く。

 

 結局なんなのかは分からずにずっと頭を悩ませていた。その様子を不思議に思った真昼は首を傾げていた。

 

 

✴︎ ✴︎ ✴︎

 

 

「ごめんね〜真昼ちゃん。食事まで用意して貰っちゃって」

 

「いえ、ゆうくんのご両親ですからこれくらいはさせてください」

 

「真昼ちゃんは本当に良い子ね〜。私の娘にしたいくらい!」

 

 

 初詣から帰ってきて少し休めばもう夕方で、真昼は着替えていつものように夕食の準備を始めたのだが……悠人の家に一泊する幸子は真昼の料理の手際を観察するためにキッチンにいた。

 

 

「真昼ちゃん、料理うまいわね〜」

 

 

 真昼の料理への手際の良さが節々に出ていたのを幸子は感じ取ったのだろう幸子はそんなことを口にしていた。

 

 

「ありがとうございます」

 

「本当、女子高生なのに上手ね〜。私が女子高生の時なんてこんなに出来なかったわ〜」

 

「母さん今でも真昼よりできないだろ」

 

「悠君?」

 

「なんでもない」

 

 

 幸子のただならぬ気配を感じ取ったのか悠人はすぐに取り消した。悠人の横にいる鉄心に至ってはソファに座りながら腕を組んで微動だにしない。

 

 今キッチンの方向に話しかけるのは危険だと察した悠人は幸子と真昼が楽しそうに話しているのを見ながら時間を潰した。

 

 

 

 

 

「美味しい〜。ねえ鉄心さんもそう思うでしょ?」

 

「ああ」

 

 

 幸子と鉄心の真昼の料理への評価はなかなか高いようだ。真昼もその評価に安堵したのか息を吐いて体の力を抜いている。

 調理実習でもない限り手料理を悠人以外に食べさせることがなかったらしく、些か緊張していたようだが…杞憂だったらしい。

 

 

「こんなに料理が上手いなら一人暮らしでも結婚しても困る事はなさそうね〜」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 そんな真昼と幸子の会話を聞きながら悠人は味噌汁を啜る。

 出汁の効いた慈悲深い味は随分馴染み深くなってきたものの。真昼の味付けに慣れてしまうと真昼の手料理以外少し物足りなく感じるのが、毎日手料理を食べる際の難点だろう。

 

 

「悠君。感想は〜?」

 

「今日のも美味いよ。ありがとな」

 

 

 後で言うつもりだったのだがこう言うと幸子に急かされたから言ったように感じてしまうだろう。

 

 今回もいつものように褒めたのだが、真昼はなんだかそわそわ、と言うか居心地が悪そうに身じろきしつつ「……はい」と小さな声で返事した。

 

 ほんのりと頬が朱を含んでいるのは、恐らく両親がいるからだろう。しかし、それを幸子は悠人がいつも言わないことを言ったから照れていると思ったらしい。

 

 

「悠君、いつもちゃんとお礼言ってるの?そう言うところきっちりしないとダメよ〜」

 

「…いつも言ってるんだがな」

 

「じゃあ足りないんじゃないの〜?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください…!こ、これ以上褒められたら私がおかしくなっちゃいます…」

 

 

 いつの間にか大変なことになりそうな予感を感じて真昼は慌てて止める。そこでようやく誤解と気づいたのか幸子はなぜかニヤニヤし出した。

 

 

「真昼ちゃんは可愛いわね〜」

 

「母さん」

 

「いやね〜、ただほんのちょっとピュアな子だな〜って思っただけなのよ〜」

 

「そ、そんなことありませんので……」

 

「………。まあピュアっていうか純情なところはあるな」

 

「ゆうくん!?」

 

 

 ぬいぐるみプレゼントされて大切にしたりとか、他にも様々だ。

 

 真昼は思わぬところからの射撃に驚愕を隠し切れていない。

 

 

「悪い悪い。冗談だよ。………半分くらいは」

 

「……その半分はなんなんですか」

 

「さあな」

 

「むむむ……」

 

 

 揶揄われている自覚がある真昼は机の下で腿をペシペシ叩きながら、頬を赤らめてこちらをほんのり睨んでくるので「ごめんごめん」と返せば端正な容貌をむっとした表情が浮かぶ。その仕草が妙に可愛らしくて、悠人は笑いを堪えたものの結局真昼に見つかって怒られてしまった。

 

 

「鉄さん、悠君をこっちに引っ越させて良かったわね…あんな柔らかい表情私でも見た事はないわ」

 

「ああ……」

 

 

 

 

「今日はありがとうな。母さん達の分まで作らせちまって…今度お礼するよ」

 

 

 夕食を食べ、二時間ほど談笑したところで、お開きとなった。と言っても両親は家で寝るので真昼のみ帰宅という形だが。

 

 

「私がしたくてやった事ですからお礼はなしです。後、楽しかったですし」

 

「そうか」

 

 

 真昼が楽しめたなら悠人は良かったと思った。

 

 

「…………それに…」

 

「それに?」

 

「……少し、家族のしあわせを、感じれた気がするので」

 

 

 か細い声で吐息にも似た呟きを口にした真昼が浮かべるのは、どこか哀しみを伴った笑みだった。

 風が吹けば無くなってしまいそうな、そんな儚い笑顔。瞳に憧憬のようなものが混じっているのは彼女の家庭環境によるものが大きいだろう。

 

 吹けば飛んでいってしまいそうな彼女を捕まえたい欲求に悠人は駆られた。

 

 

「真昼」

 

「はい?」

 

「抱きしめて良いか」

 

「…はい!?」

 

 

 返事を待たずに悠人は真昼を抱きしめる。抱きしめると折れてしまいそうな華奢な体は程よいしなやかさを持ちつつ柔らかい。彼女の顔はちょうど悠人の胸板に埋もれるようになる。抱き寄せた時にふわりと香った甘いミルクのような香りが少し悠人を安心させる。

 

 

「あの……。どうしてこんなことを」

 

「嫌だったか」

 

「別に、嫌というわけでは…こうしてると少し安心、できます、し…」

 

「そうか、なら良かったよ」

 

 

 間近で見上げてくるカラメル色の瞳にはさっきの悲壮感染みたものはすっかり消えており悠人は少し安堵する。

 左手を真昼の肩に回し、右手で優しく絹のような髪を丁寧に撫でる。

 

 

「……ゆうくん、他の人にはこんな事しませんよね」

 

「……ああ。真昼だけだよ」

 

「……そうですか」

 

 

 そう真昼が言うと、真昼はゆっくりとこちらに体重を預けてくる。そして恐る恐る悠人の体に両手を回してきた。それによって2人はさらに密着する。真昼の吐息や体温すら感じられる距離感に悠人の心臓は早鐘を打つ。

 

 

「……」

 

「……」

 

「……もう少し、このままで良いですか」

 

「……ああ」

 

 

 結局2人が離れたのはそれから10分後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………。




眠たい。7000文字くらいでした

やっぱりオリジナルの回って欲しい?

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  • 要らない
  • どっちでも
  • まひるんに手を出すなカス
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