異世界から帰ってきたら天使様に世話された。   作:たかたけ

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番外編書いてみたい!→あれ?なんか難しいな…→あ、こんなのしたら面白いかも→かさむかさむ→あれ?短編集でいっぱい作ろうと思ったのに…いつのまにか一つのストーリーに…→6000文字…どうしてこうなった?




番外編1 炬燵。

 

──真昼と炬燵。

 

 

 

 ある日の土曜日。

 日付は一月の下旬。東京では一番寒い時期に差し掛かっていた。

 そんな日に悠人はと言うと朝からあるものを設置するための準備を始めていた。

 

 本来テーブルを設置していた場所にアルミシートを敷き、その上に絨毯を敷く。そしてその上にテーブルを置き、外側を布団で覆って熱を閉じ込められるような構造にする。

 そう、炬燵だ。

 

 なぜこんな時期にこたつを設置し出したのかと言うと特に理由はない。ただ朝のニュースで今日が一番寒い日というのを聞き、そこからあったかいものを想像したらたまたま炬燵が思い浮かんだだけだ。

 

 炬燵の用意はたまたま実家から持ってきたものを使っている。買いに行く手間が省けてラッキーだ。

 

 

「お邪魔します」

 

「ん。おはよう真昼」

 

「おはようございます。ゆうくん…あの、どうして炬燵を?」

 

 

 真昼は小首を傾げながら悠人を見つめる。

 

 

「ああ、今日は東京で一番寒い日らしいからな。せっかくだし出してみた」

 

「そうなんですね」

 

「真昼も使うか?一応電源入ってるから今もあったかいと思うぞ」

 

「……、私はご飯の準備があるので…あとからで大丈夫です」

 

 

 真昼は少し困ったような笑顔を悠人に向ける。悠人はそれを見てなぜかもやっとしたものを感じた。

 悠人はそのままソファの方に移動して腰を深くかける。

 

 

「あ、あの?ゆうくん?炬燵…使わないんですか?」

 

「ん?ああ…俺もあとでで良いかなって。なんか部屋熱いし」

 

「………。そうですか…じゃあ、お昼ご飯を食べてから一緒に入りましょうか」

 

「……おう」

 

 

 真昼は悠人の考えていることが全て分かったようでクスクス笑いながらそう言った。その笑顔は心なしか楽しそうで嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

──真昼と炬燵の中。

 

 

 

「……あったかいですね」

 

「そうだな…」

 

 

 真昼と悠人は対面になるようにして炬燵の中に足を入れていた。炬燵は朝からずっと暖かさを保っていたからか周りの布団まで少し暖かくなって気持ちいい。

 

 

「……!」

 

「……」

 

 

 悠人が持っていた炬燵は数人が使えるくらいには広いものの足を伸ばし切ると足と足が当たるくらいはよくある。

 悠人の伸ばした足が真昼の足にチョンと当たると真昼はびくっと体を震わせた。どうやらいきなり足裏に何かが当たったことでびっくりしたようだ。

 

 

「……そんなにびっくりするか?」

 

「う、うるさいです…」

 

 

 真昼自身もびっくりしすぎていたことを自覚していたようで少し頬を赤らめながら顔をプイッと背けた。

 

 悠人はその真昼の反応が面白くなってもう一度真昼の足を炬燵の中で探す。少し足を動かしていると何かを少し強めに掠ったような感覚を感じた瞬間に真昼から「ひゃん!」と言う声が漏れた。

 

 どうやら足裏を強く掠ったことでこそばゆかったようだ。真昼は意図せずに漏れてしまった声を恥ずかしがってか手で口を抑えてぷるぷると震えている。

 

 

「くくく……」

 

「わ、笑わないでください!」

 

「いや…悪い悪い…。でも、ひゃんって…くくく」

 

「うぅ…」

 

 

 悠人は真昼のさっきの声がツボに入ったようでずっと肩を震わせている。真昼はそんな悠人を見て恨めしそうに睨んでいる。ちっとも怖くない。

 

 

「……うぉ」

 

 

 悠人は突然足裏を何かが掠った感覚を感じてびくりと体を震わせた。

 

 

「…やったな?」

 

「ゆうくんが悪いんですよ?」

 

 

 悠人は元凶である真昼を見つめた。真昼は少しピンク色の舌をぺろりと出してからにこりと笑い、こちらを見つめてくる。

 悠人はその視線に少し気まずくなって視線を逸らした。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 そのまま無言の時間がしばらく続く。気まずい沈黙ではない、寧ろ少し安心できる静けさとでも言うべきか。

 

 

 そのまま永遠のようにも一瞬のようにも感じれた時間は皮肉にもさっきと同じ理由で破られた。

 

 

「……!」

 

「……」

 

 

 もぞりと動かした真昼の足が悠人の足に当たる。真昼はまさか当たると思わなかったのかぴくっと足が震えたことが感じられた。

 

 そうすると真昼はこちらをチラリと見つめてくる。そして同時に悠人の足に何か当たったような…いや、撫でられているような、足の形を剃ったような動きでその何かは動いている。

 

 まあ、その犯人はもちろん…。

 

 

「…何してるんだ真昼」

 

「いえ…ただ、足がおっきいな…と。何センチくらいあるんですか?」

 

「今履いてる靴は29だったな…」

 

「そうなんですね…」

 

「………」

 

「あの?…ゆうくん?…っ」

 

 

 真昼は黙り込んだ悠人を覗き込むように首を傾げるが突然足に感じたものにびくりと体を震わせた。

 

 

「っ…あ、あの?ゆうくん?…こそばゆい、んですけど…?」

 

「真昼は足がちっちゃな」

 

「え?あ、ありがとうござい、ます?」

 

 

 俺のマイペースな言葉に真昼は少し困惑気味だ。俺はそんな真昼に気付かぬふりをしながら続ける。

 

 

「足首も細いし、ちょっと力を入れたら折れそうだ」

 

「え?、え?」

 

「ふくらはぎも、しなやかさがあって良いけど少し細すぎないか?」

 

「あ、はい?そうです、か…?」

 

「…あ、そういえば昨日実家からみかんが届いたんだよ。真昼も食べるか?」

 

「え?あ、はい」

 

「ん、じゃあ持ってくるからちょっと待っててくれ」

 

「あ、わかりました………………、え?」

 

 

 

 

 

──真昼とみかん。

 

 

「ほれ、持ってきたぞ」

 

「あ…ありがとうございます」

 

 

 悠人は持ってきたティッシュ箱を机に置いてからさっきと同じ位置に座り直す。ティッシュは手が汚れることとか机に引くのを予期して持ってきたものだ。

 

 悠人はみかんの皮を乱暴に剥いて中に詰まった大粒な実を一口頬張った。その身を噛み締めると中からジュワッと果汁が溢れ出てきて口の中に柑橘系の優しい香りが鼻に香る。果汁は砂糖を入れたかと言うほどに甘く何個でも食べれそうだ。果物の甘さと言うのは不思議で全然しつこくない。

 

 ふと真昼を見ると彼女は綺麗に皮を剥いてから身についている白い何かを剥がしていた。

 

 

「真昼はその白いやつは取るのか?」

 

「はい、まあ取るのは食べる時に気になる大きめのものだけですが。維管束も栄養ですしね」

 

「維管束?」

 

「白いやつのことですよ。ここから栄養を身に運んでいるらしいです」

 

「へえ〜、初めて知ったな…」

 

 

 真昼は非常に博識だ。基本的なことからマイナーな事まで聞けば大体答えられる。なんでそんなことを知っているのかを前に聞いたことがあるのだがその時は「常識です」と答えていた。どこがだよ。

 

 

「ん、酸っぱい…」

 

「え?俺のは甘かったけどな…」

 

「じゃあコレが外れだったんですね…」

 

 

 少ししょぼんとした様子でみかんを頬張る真昼。やはり彼女は甘いものの方が良かったようだ。

 

 

「ん、じゃあ俺の食べるか?」

 

「いえ、それは少し悪いので…」

 

 

 ほんと、変なところで律儀というか…真面目というか…。悠人はみかんを一粒取って真昼へ向けて突き出す。

 

 

「ん」

 

「え、えっと…これは…?」

 

「食え」

 

「────」

 

 

 真昼は俺がそう言った後にぴしっと固まってしまう。

 

 

「…この体勢意外と辛いから早く食べてほしいんだが」

 

「………。じゃ、じゃあ…いただきます………」

 

 

 そう言って真昼は控えめに口を開いてみかんを食べようとする。しかし何の意図などかはわからないが目をぎゅっと瞑りながら。

 

 

「!?」

 

 

 パクリ、と真昼は悠人が持っていたみかんを食べる。その時にふにゅ…と何か柔らかいが指に当たった。

 

──唇だ。

 

 

「!……甘いです」

 

「お、おお。なら良かったよ」

 

 

 悠人の指に自分の唇が当たったことに気づいていない様子の真昼は目を細めてみかんを味わっている。

 悠人は思わず自分の指をチラリと見る。

 

……このまま食べて良いのか?何回かは間接キスなるものを真昼としたことがあるが、今回は何故だかそのことを強く感じてしまう。すぐだったからか?それとも自分の指だから?そんな思考がぐるぐる回る。

 

 

「…?どうかしましたか」

 

「いや、何でも…」

 

 

 真昼は心配そうに悠人を覗き込んだ。悠人はそのことを誤魔化すようにみかんを一口食べる。

 

──甘っ。

 

 そのみかんはさっきよりもずっと甘い気がした。

 

 

 

 

──真昼と眠り。

 

 

「ん?真昼、どうしたんだ?」

 

「…はい?」

 

 

 悠人はさっきよりも真昼の様子がおかしいことに気づいた。実際今返事した真昼の声は吐息を含んだような力の入っていない声だった。

 目もさっきからしぱしぱさせて猫のようにくしくししていたのを思い出す。どうやら眠いようだ。

 

 

「真昼。眠いならソファかベットにしろよ。ここで寝たら風邪引くぞ」

 

「ん……。らいじょうぶです…ぉきてます…」

 

「いやもう半分は寝てるだろ…呂律も回ってないぞ」

 

 

 普段規則正しい生活を送っている真昼が昼寝をすることは珍しい。あってもよっぽど疲れている時だけだろう。いや、それほど炬燵の誘惑なるものをは強力なのだろうか。

 

 気づけば真昼もこくん…こくん…と船を漕いでいる。もう限界のようだ。悠人は仕方なく炬燵を出て真昼のそばに行く。

 

 

「真昼…寝るならソファかベットに寝かすけどどっちが良い?」

 

「………ゆぅくんの、ベット……」

 

「はいはい…了解しましたよ、お姫様…」

 

 

 悠人は真昼の肩と膝裏に腕をまわして持ち上げる。持ち上げた拍子に力のない頭部が悠人の胸に倒れてくる。それによって真昼のミルクのような優しい匂いがふわりと香る。それに、炬燵の入っていただろうか…真昼は普段よりも体温が高いように感じ、それが悠人の心臓をさらに刺激する。

 

 真昼の顔を見てみるとふにゃふにゃになっていて安心し切った表情だ。…俺の気も知らないで。悠人は異世界で鍛え上げた鋼の精神力で何とかそれを耐え切った。

 

 自身の部屋のベットに真昼を乗せて毛布を掛ける。一気に体温が下がると風邪になるかもしれない。そして例によって例のごとく真昼の頬を撫でてからその部屋を後にした。

 

 

 

 

──真昼とゲーム。

 

 

 それから数時間、悠人は夕ご飯の用意をしていた。真昼はというと未だ夢の中だ。幸にも今日は真昼がカレーを作ることは知っていたので悠人でも用意ができる。簡単だしね。

 真昼のカレーは市販品のカレールーを使う。真昼曰く『素人がどんなに頑張っても市販品のものには負けます』だそうだ。真昼らしい…。

 まあ真昼もタダでは終わらないようでカレーペーストを入れてスパイス感を出したりと色々あるがなんだかんだ簡単に作れることには変わりない。

 

 悠人がカレーの準備が終わり後は煮込むだけ…というところまで来た。部屋の中にはカレーのいい匂いが充満しており非常に食欲をそそる香りだ。寒い日に熱々のカレーを熱々の白米にかければそれはもう……無限だ。

 あ、ちなみにカレーの中の肉は悠人からのリクエストで鶏肉だ。最高。

 

 そんなことを考えていると悠人の自室からドタドタと何か慌てたような足音が聞こえた。その後にバタッと扉が開くような音が聞こえた。

 悠人がそこを見ると目をぱちぱちさせてこちらを見ている真昼の姿があった。どうやら本当に急いでいたようで寝癖がついたままだ。

 

 

「おはよう。よく眠れたか?」

 

「─あ、はい…。おはようございます…」

 

 

 真昼は何故か落ち込んだような申し訳ないような、どこか思い詰めたような表情だ。

 悠人はそれを見て急いでつけていたエプロンを外して真昼の側に近づく。

 

 

「真昼…どうしたんだ?」

 

「あ、いえ…。ゆうくんって料理できたんだな…と…」

 

「まあ、作り方を見たらあらかた?」

 

 

 そういうと真昼の顔が曇った。いや、仮面を被ったと言うべきか、何かを隠すための貌、しかし悠人にはその変化が違和感でしかなかった。

 

 

「そう…ですか……」

 

「………真昼、ゲームしよう」

 

「─え?あ、はい…」

 

 

 悠人はすぐにゲームの準備をする。真昼にはすでにコントローラーを握らせた。

 ちなみにやるゲームはスニッパ◯ズ。1人でもできるが2人でも可能な脳トレ切り取りゲームだ。

 

 

「─よし。やるぞ」

 

「え?私、操作の仕方わかりませんよ!?」

 

「いけるいける。やり方はやりながら教えるし、そんなに難しくないから」

 

「そ、そうですか?」

 

 

 そうしてゲームを始めた。2人モードは初めてなので最初は簡単でチュートリアルのようなものだ。それをクリアすると真昼はすっかり要領を理解した。

 

 

「よし、ここから本格的に協力しないとクリアできないぞ。真昼、いけるか?」

 

「は、はい、がんばります…!」

 

 

 そんな風にして順調にステージをクリアしていった。

 

──♡の形にピッタリはまれ!

 

「ハート…ですか…」

 

「ふむ…これは強力な敵だな…」

 

 

 真昼は少し考え込んだのち答えを見つけ出した。

 

「─をこうすればいいんじゃないですか?それから私がこの形に切って……」

 

「おお……流石だな…」

 

 

 悠人は感嘆する。悠人は最初は適当にちょきちょき切ってギリギリクリア…と言う感じだったのだが。

 

 

「こんなにピッタリなこと初めてだな…」

 

「え?そうなんですか?」

 

「おう。俺のやり方、見てみるか?」

 

 

 そうして悠人はそのステージをもう一度ロードした。

 

 

「私は何をすればいいんですか?」

 

「真昼は操作をしなくていいぞ」

 

「え?」

 

「ここからは俺1人でするからな」

 

 

 そうして悠人はそのステージの攻略?を始めた。

 

─チョキチョキチョキチョキチョキチョキ。

 

「あ、あの…ゆうくん…何を?」

 

「見てわからないか?連打and微調整だ」

 

 

 そう、悠人はカットのボタンを連打しつつ微妙にジャンプしたり向きを変えたり、まるで美容師のように少しずつ理想の形に近づけていった。

 

─CLEAR。

 

そんな画面が表示され、悠人は思わずガッツポーズをとる。

 

 

「どうだ?」

 

 

 真昼は考えもしなかった荒技に思わず呆けてしまう。しかしそれはすぐに笑いに変わった。

 

 

「ふふふ…。何ですか…それ…?」

 

「俺が一番最初に考えた攻略法」

 

「そんなのするの…ゆうくんだけですよ…?」

 

 

 真昼は肩をプルプルさせて笑いを堪えている。我慢のし過ぎからか目尻には涙がたまり頬には朱を含んでいる。

 

 

「はは…。まあ、俺って1人だとこんなのだよ。ズボラだし適当だし。真昼みたいに何でもきっちりこなすことなんて出来ないよ」

 

「ゆうくん……?」

 

「真昼が何考えていたか全部わかるわけじゃないけどさ…。これだけは言える。“俺には真昼が必要だ”……。まあ言いたかったのはこれだけ。さ、カレー食べよう。味は保証できないけどな」

 

 

 悠人はソファから立ち上がってキッチンに行こうとする。すると後ろからガバッと何かが抱きついてきた。

 

 

「真昼?なにを─「ゆうくん、ありがとうございます」…さあ、何のことだか」

 

「…ふふ。やっぱりゆうくんは、やさしいです…」

 

 

 真昼は腕に少し力を入れて悠人のお腹辺りをぎゅっと抱きしめてくる。真昼の体温がジワリと服越しに伝わり、洒落着く猫のようにぐりぐりと頭を背中に擦り付けてくる。

 

 悠人はふぅ…と小さく息を吐くと真昼の抱擁を受け入れるように、真昼のお腹に回された手を軽く握った。

 

 

 

──その後。

 

 

「…あれ?なんか苦い?」

 

「ん…確かに。少し焦げてますね…」

 

「げ…ちゃんと作れたと思ったんだが…」

 

「ゆうくんって料理、どのくらい前にやりました?」

 

「どのくらいって…真昼にお粥作った時だから…2〜3ヶ月前?」

 

「その前は?」

 

「その前は…6年前くらい?」

 

「……やっぱり、ゆうくんに料理を任せることはできませんね」

 

「ええ…そんなにか?」

 

「はい…。だからこれからはずっと私が作りますから」

 

「─え?あ、お、おう…」

 

 

 

 

 

 

 




次回 未定が予定!お楽しみに!(訳:何を書こう…

やっぱりオリジナルの回って欲しい?

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  • まひるんに手を出すなカス
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