2023/5/7 16:32 文字抜け修正
俺と真昼は2人とも顔を赤くしながらマンションの玄関まで歩いているといつの間にか頬の熱は引いていった。
「あ、そう言えば夕食はどっちの家で食べるんだ?」
「…私の部屋に入りたいんですか?」
俺の純粋な疑問に真昼は意地の悪い返しをしてきた。そう聞かれると俺は少し困る。まあ確かに真昼は美少女で、男なら一回はその美少女の部屋に入ってみたいとは思ったことはあるが、
「…興味はあるが、まあ普通に考えて俺の部屋か」
「興味あるんですか」
「…」
俺はその真昼の質問から逃れるようにして自分の玄関の鍵を出して玄関を開けた。
「まあ、何もない部屋だが入ってくれ」
「はい、お邪魔します」
真昼は綺麗な所作でお辞儀をした。俺と真昼はキッチンまで行き、俺はスーパーで買ったものをキッチンに置いた。
「買ったものでなんとなく分かっていましたけど…本当にろくに使われていないですね」
「…。料理は苦手なんだよ…」
真昼はいつの間にか持ってきていたエプロンに着替えて髪をひと束に束ねている。真っ白な頸を惜しげもなく晒していていつもと違った魅力がある。
「準備が終わるまでリビングでくつろいでおいて下さい」
何もできないでしょうから、と言う副静音が聞こえてきそうな真昼の声に俺は素直に従うしかなかった。俺はリビングに備え付けてあるソファに深めに座り、ふぅと一息つく。
ソファに座ってスマホで電子書籍を読んでいると、食欲をそそるような匂いを感じたので、ふとキッチンの方へ目を向けた。そこには少し楽しそう様子で料理をしていた。
原作で藤宮周が奥さんを持ったみたい、と言う感想を言っていたが今になってこそ良く分かる。確かにこれはグッとくる光景だ。
「…。ゆう君…今、変なこと考えませんでしたか」
「誤解だ」
妙に鋭い真昼に少しヒヤヒヤしたような感心したような俺に、真昼はふふ、と微笑を浮かべて、
「もう少しで出来るので待ってて下さいね」
と言った。俺は真昼のたなしめるような言葉に「ああ」と言って、素直に頷いた。
それから1時間ほどして、食卓に料理が並び出した。今日は真昼が選んだのことだが。健康志向の真昼らしく和食一色だった。
「…美味そうだな」
「ありがとうございます、温かいうちに食べてください」
食卓には煮魚、卵焼き、味噌汁、白米などこれぞ和食というものが並んでいる。そして俺は今日食べたお弁当が美味かったことによって、食事への期待は最高潮に達していた。俺は「いただきます」と良い、煮魚から手をつけた。
煮魚はちょうど良い濃さで、口の中でほろほろとほぐれるちょうど良い塩梅に仕上がっている。まあ一言で言うならば、
「うまっ」
「…。良かったです」
真昼はほっとした様子で、亜麻色の瞳は安堵の色が浮かんでいる。俺は勢いそのままに俺は白米を口に頬張り、味噌汁で流し込む。味噌汁も濃すぎず薄すぎずで鼻にふわりと出汁の風味が広がった。
何を食べても期待を裏切らない味だ。異世界に行っていた反動か、召喚される前に食べたどんなものも今食べてるものに敵わない気がする。
「本当に、美味しそうに食べますね…」
そんな俺の様子をじっとみていた真昼が不思議そうに言う。俺はそんな不思議そうな真昼に俺は素直な感想を述べた。
「実際美味い。今まで食べたものの中で一番美味いと言えるくらいにはな」
「そ、それは言い過ぎではないですか…?」
真昼は俺の率直な感想に、真昼は恥ずかしげにもじもじとしながら、頬を少し赤く染めて潤んだ瞳は行き場を失っている。
「いや、そんな事ないよ。異世界にいた時はこんな食事は出来なかったよ」
「そ、そんなにひどい場所だったんですか?」
真昼はそんな俺の言葉に驚いたようすで俺に異世界について聞いてくる。
「ああ、旅の途中で何も食べれないことなんてザラだったよ」
「…そんな事をして大丈夫だったんですか?」
真昼は俺に純粋な疑問をぶつけてきた。
「ああ、魔法の力で栄養は確保できたからな。食べなくても一応生きていけたんだよ」
「……」
真昼は俺の話を芯のある瞳でこちらをじっと見つめながら静かに聞いている。
「飢えが我慢できない時は雑草を食べて凌いだし、食えたとしても塩辛くて硬い干し肉とかだったな。俺は料理下手でいつの間にか食事自体に無頓着気味になってたからな…」
俺の懐かしむような様子で言った話、を真昼はしっかりと聞いていた。だから、と俺は続ける。
「真昼の弁当も久々にご飯が美味いって思ったんだよ、だからさ俺真昼に感謝してるんだ」
俺からあの世界を忘れさせてくれて…、と言う言葉はつくむぐことはなかった。そんな俺に真昼は目尻を下げ、柔らかく笑いながら言った。
「私は、あなたに救われました。本来なら感謝するのは私の方なんです、ですのでこんなものが貴方の力になるのなら、それは私の本望です」
「……」
そんな彼女の言葉に俺は心は、むず痒いような気持ちになる。俺はそんな気持ちを誤魔化すように頬を掻いて真昼の顔から目を逸らした。
「あ……。ふふ、ゆう君顔、赤くなってますよ?」
「う、煩いなあ、ほっておいてくれ」
真昼の何か愛おしいものを見るような視線に俺は耐えきれずに悪態をついてしまう。俺は恥ずかしさをを誤魔化すようにして残りの食事にありついた。
✴︎ ✴︎ ✴︎
俺が真昼が作ってくれた食事を食べ終わった後に俺は食べ終わった後のお皿を洗っていた。真昼は「私がします」と言っていたんだが、ソファに無理やり座らせてクッションを押し付けてようやくおとなしくなった。……。あの、真昼さん?クッションに顔を埋めるのちょっとやめてくれません?ちょっと恥ずかしいんだが…。
俺は皿洗いを素早く終わらして真昼が座っているソファの空いている部分に腰を下ろした。真昼はクッションに埋めていた顔を少し上げてこちらを見つめてくる。
「…。そう言えば。ゆう君って何で髪の毛を伸ばしているんですか?」
真昼はふと気づいたように聞いてくる。
「…。あー、まあ目立たないようにするためだよ。異世界に行った反動かな?」
俺は少し異世界の話を濁しながら答える。
「目立たないようにするため…、ですか?」
「ああ…そうだよ」
俺は頷く。俺はずっと逃げ続けている、家族からも、自分自身からも異世界でみんなから怖がられたようなそんな目を向けられてから。期待が裏返る瞬間が、俺を見る目が、それが怖くなった。だから俺は全てを避けた髪は伸ばしたし背筋も曲げて、ただただ目立たないように、期待されないように、逃げ続けている。それは今でも…。
真昼に俺の秘密を言えたのは、彼女の弱さを知ったから、原作を知っていたから。俺は、彼女の優しさに漬け込んで利用しているんだ。
そんなことを考えているといきなり真昼が俺の服をくいくいと引っ張る。俺が何なんだ?と真昼の方を見ると、真昼は自分の腿をぽんぽんと叩いている。
「?どうしたんだ」
「……。分かんないんですか?」
そんなことを言いながら、真昼は俺の腕を引っ張ってくる。真昼は倒れない俺にムッとして「倒れてきてください」と言ってくる。俺の体から何故かフッと力が抜けて真昼の方にパタリと倒れる。
俗に言う「膝枕」の状態になってしまったが、俺の動揺なんて気にした様子のない真昼は何故か俺の髪の毛をすくようにして撫で出した。
「…真昼?何でこんな事を?」
真昼は答えた。
「いえ、ゆう君が何だか見当違いな事を考えている気がして」
「何だそれ…」
「ふふ、何でしょうね」
彼女が笑ったような気がしたが今俺は上を向くといたたまれない状況になりそうなので、それを確認することができなかった。
「……。私、やっぱりわがままみたいです」
「?」
彼女は突然そんなことを言い出した。わがまま?彼女にわがままを言われた事なんてほぼなかったように感じるが。強いて言うなら今の状況を作り出した事だろうか。そんな俺の心情なんてつゆ知らず真昼は続けた。
「私、ゆう君の全部を知りたいって思っています。異世界のことも、魔法のことも教えてもらいました。これ以上貰うのなんて我儘だとも言いました。でも私は知りたい。貴方のことを、いっぱい知りたいんです。…。ゆう君が私を救ってくれた時のように、私は貴方を救いたいってそう思っているんです」
「それ…は…」
何でそんなことを知ってるんだ?、と言う俺の疑問に真昼はすぐに答えた。
「最初会った時、貴方の髪の隙間から目が見えた時分かったんです。“この人は、私と同じだ”って、大切な人に裏切られたような絶望の中に居るって。分かったんです」
──俺と同じだ。俺も真昼にあった時にそんなことを漠然と考えていた。だから俺は彼女を助けた、どこか俺と同じな気がしたから。……。ああ、今、やっと分かった。俺が彼女に何故肩入れしたか、俺と似ていたからだ。俺は彼女を助けた、同じような痛みを知っている彼女なら俺を救ってくれるかもなんて、そんな他人任せな希望を抱いて。
「話して欲しいんです。──
ずっと俺が欲しかった言葉を、
──貴方のことを。──
彼女は簡単に言ってのけた、
──私に、貴方を救わせてくれませんか」
「─!!!」
ふと気づくとツーっと顔に何かが流れていくのを感じた。それは真昼の着ているズボンを濡らす。そこで俺は涙を流していることに気づいた。
俺はバッと起き上がり、「ごめん」と言う。そしてすぐに涙を拭って何事もなかったふうに俺は装った。
真昼は俺に正面からぎゅっと抱きついてくる。絹のような髪はさらりと揺れ、鼻いっぱいにミルクのような香りが広がった。
「…椎名?」
「聞かせてくれませんか貴方のこと」
俺に断る理由なんて無かった。俺は二度ほど深呼吸してから、ゆっくりと口を開いた。
俺は話した異世界でのことを、魔王を討伐したこと、みんな喜んでくれると思っていたこと、みんなに畏怖の目で見られたこと、全部話した。
真昼はその間、俺の目をじっと見ながらその話を聞いていてくれた。話終わった後、椎名はゆっくり口を開いた。
「私は、貴方を今すぐ助けることはできないようです。私が口だけで貴方を怖がらない、裏切らない、貴方から離れないそう言ってもただ口だけに聞こえるでしょう。──だから、私はこれから先、ゆう君のそばにずっといたいと思います。それが私にできる最大限の“証明”です」
「!」
これから先俺のそばにいる。それは彼女の人生の大半を決めてしまうことになるかもしれない言葉だ。
「そんな事をしたらお前の人生g「違います」」
「これは私がしたい事なんです。私は貴方に命を救われて、生きる希望を貰いました。この救われた命、私は救ってくれた貴方のために使いたいんです。」
お前の人生が決められてしまう、その言葉は真昼に遮られてこれ以上話す事が出来なくなってしまった。椎名はそれに、と言って。
「私、好ましく無い人にこんなこと、言いませんよ?」
と、真昼はふんわりと揶揄うように笑った。そして、
「いっぱい甘やかして、ダメにしてあげますから、遠慮なくダメになってくださいね?」
落とし文句のように、真昼はそう言った。
✴︎ ✴︎ ✴︎
昨日は意外にもあっさりとした感じで俺と真昼は別れた。俺は明日真昼と何を話せば良いのかわからないままにその日は眠った。
次の日、俺は真昼と何を話せば良いものかをずっと考えていたが、そんな考えは特に意味をなさなかった。
「おはようございます。ゆう君」
「ああ…おはよう。真昼」
俺と真昼の日常は概ね変わらなかった。朝にお弁当を貰って、一緒に登校して、必要があるなら買い物して、一緒に夕食を食べる。だが少し違かったのが俺と真昼の距離感だった。明らかにあの日よりも近づいていた。まあそれ以外特に変わらなかったから俺としては少し安心だった。
まあ、そんな感じで、俺と真昼の日常は過ぎていった。
眠い、寝るわ。今日中にもう一回書くかも?(矛盾
やっぱりオリジナルの回って欲しい?
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欲しい!
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要らない
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どっちでも
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まひるんに手を出すなカス