その5がその4になってた、ごめんね
「はい、そこまで」
その教師の言葉のよって教室の中の空気は一気に弛緩する。俺はふう、と全身の力を抜いた。
そういえば、原作で真昼はほぼ満点なんて言う俺からしたらありえないような点数を出していたなとか思っていた。
俺はハッとする、俺って真昼のことばっか考えてね…?最近といえば割としょうもないことでも真昼なら…みたいな事を考えてる気がする。もう俺は真昼に絆されているんだなあって改めて思った。
✴︎ ✴︎ ✴︎
学校に残ってやることも俺には無いので、そのまま真っ直ぐに家に帰る。
「ただいまー」
「あ、お帰り〜」
俺は固まる。今帰ってきたら挨拶は誰のものだ…!?俺はすぐに靴を脱ぎ捨ててリビングに向かう。
そこには妙齢の美人がソファにすわって寛いでいた。
「な、何でいるんだ!?母さん!」
「悠人くーん、久しぶり〜」
神坂幸子─この見た目は20代くらいにしか見えない妙にゆったりとした喋り方が似合うこの女性は俺の母親だ。あ、や、やばい!早く真昼に連絡しないt[ピーンポーン]
「は〜い」
「ちょ、ちょっと待て!母さん!」
母さんは俺の静止を聞かずにドアを開けた。
「すいません、ゆうくん。手が塞がっちゃってて…?だ、誰ですか?」
「あら〜、とっても可愛い子ねえ。もしかして悠斗くんも恋人さん?」
「……手遅れだった」
俺は全てを諦めた。
真昼の持っていた買い物袋を全部持ってやり、その食品を俺は冷蔵庫にぶち込む。真昼は母さんに連れて行かれた…。真昼は尊い犠牲になったのだ。アーメン。「ゆうくん!助けて下さい!」「あら〜良いじゃ無いこれくらい〜」…。俺は何も聞いていない。
俺はゆったりと真昼と母さんの分のコーヒーも入れてやる。真昼は角砂糖一個と、ミルクが少しっと。…。母さんは自分でやってもらおう。
「真昼、お疲れ様。悪いな、興奮した母さんは誰にも止められないんだ」
「ゆうくん…。イジワルです…」
俺はしゅんとしてしまった、真昼の前にコーヒーを置いてやる。一応母さんにも。
「少し見ない間にこんな事になってるなんて〜、母さんとっても嬉しいわ〜」
「はあ、で?母さんは何で来たんだよ…」
「悠人くんがしっかりやれてるのかなあって心配できちゃった!」
…。連絡くらい入れろよ。
「…。今度から連絡の一つくらいくれよ…」
「は〜い」
本当にわかってるのか?この母親は。
「じゃあ、私お邪魔しちゃったみたいだし、そろそろ帰るわね〜。真昼ちゃんもばいばい〜」
母さんはそう言ってそそくさと出ていった…。嵐かよ。
「あ、嵐みたいな人でしたね…」
真昼も同じような感想を持ったようだ。前から母さんはこんな感じだった。まあ変わりなく過ごしているって事はわかったからまだ良いか…。
「あ、ご飯の用意…」
「…。手伝うよ」
俺は料理はできないが具材を切ることくらいならできる。異世界での刃物の扱いの成果(?)だ。
「じゃあ、お願いします」
「ああ、って言っても俺は具材の準備と皿を出すことくらいしかできないけどな…」
「ふふ、それでも助かりますよ」
真昼は俺の言ってることが少し面白かったのか微笑を浮かべている。
「それに、幸子さんにゆうくんのことを任せられたので!もっといっぱい頑張ります!」
真昼はふんす!と鼻を鳴らしてやる気を示している。いじらしい、可愛い。
「じゃあ俺ももっと頑張らないとな…」
「ゆ、ゆうくんがこれ以上頑張るのはす、少しこまります…」
真昼はほのかに頬を赤く染めて俯いている。常人なら聞こえないであろう声量を俺はしっかりと拾うと、
「何が困るんだ?」
「え!?き、聞こえて…。んっ、え、えーっとこ、これ以上かっこよくなるのはすこし困るというか…。ど、どきどきして…」
真昼は先ほどよりも頬が薔薇色に近づく。両手をもじもじさせる真昼は今すぐに抱きしめたいほどにイジらしく、可愛らしい。
「ん?俺の顔が見えたのか?」
「は、はい。魔法を使うときに…チラッと…」
…。これは良いことを聞いたな…。
「へえ、じゃあ真昼は俺が魔法を使った時にカッコいいなあとかを思ってたわけだな?」
「!?」
「初めて知ったなあ…俺は真昼が魔法に見惚れていると思ってたんだけどなあ、まさか俺の顔を見ていたとはなあ」
多分俺はずっとニヤニヤしていると思う。プルプル震えながら耳まで真っ赤にさせた真昼は可愛い以外の言葉が見つからないくらいだ。
俺がクッ、っと笑いを堪えると真昼は俺がからかっている事に気づいたようでぽこぽこと俺を叩いてくる。
「ゆうくんはイジワルです!ばか、ばか、ばか!」
俺は笑いを堪えながら謝る。だが真昼はまだ俺に不満があるのかこちらをムッとしたような表情でじっと見てきた。
「あー、悪かったよ。何をしたら許してくれるんだ?」
「…。膝枕…」
「膝枕…?俺がすれば良いのか?」
真昼は首を横に振る。
「真昼がしてくれるのか?でもそれは俺に取ったらご褒美だぞ…?」
「じゃ、じゃあ頭もふもふもつけます!」
「……」
真昼自身が納得しているんだこれ以上は何も言うまい。まあともかく、
「晩御飯作っちまうか、膝枕は食べ終わった後のデザートに取っておこう」
「そうですね」
俺たちは立ち上がってキッチンに向かった。
✴︎ ✴︎ ✴︎
「あ、膝枕の前に少し良いですか?」
夕飯を食べ終わって洗い物まで片付けたところで真昼はそう言ってくる。
「ああ、まあ良いが何をするんだ?」
「ゆうくんと一緒にテストの採点をしようかと…!」
あー、テストか。今日はドタバタしすぎて色々忘れていた。
「OK、準備持ってくるから少し待っててくれ」
俺は自分の部屋に置いた鞄からテスト用紙を全て取り出してリビングに戻る。すると真昼はテストを広げて準備満タンだったので俺もすぐに用意した。
30分くらいで全ての丸つけが終わり、俺は真昼に膝枕をしてもらっていた。
「ご加減はどうですか?」
「ああ、やわらくていい感じだ」
おそらく真昼は撫でている手のことを言ってきたんだろうが、俺はあえて真昼の腿について答える。真昼は案の定「そっちじゃありません!」と言ってくるので予想通りすぎて笑ってしまった。
真昼はむぅ、と膨れて不機嫌さを表している。
「私を揶揄う悪い子にはこうしてあげます」
そう言って真昼は俺の前髪を分けた。
「!」
「で?どうだった?俺の顔は」
自慢じゃ無いが俺はかなりのイケメンだ、まあそうじゃなかったら俺は前髪なんて伸ばしてないんだが。
「しゅ、すごく、かっこいいです…」
真昼は熱に浮かされたように俺の顔を見ての感想を言った。ああ、本当に真昼と会ってからずっと救われている。今度はまた俺が返す番だな。そんなことを考えながら、俺と真昼の夜は過ぎていった。
✴︎ ✴︎ ✴︎
テストの日から特に何もなく平和な時間を過ごし、今日はテストの結果が張り出される日だ。
紙の一番上には椎名真昼という名前が書かれている。どうやら今回も真昼が一番だったらしい。周りからは「流石天使様だね」とか「やっぱり生きている次元が違うよね」だとかしっかりと真昼を評価しようとし無い声が多数ある。俺はその言葉に少なからずにイラつきを覚えた。
「何も知らないくせに」
俺の呟きは誰にも聞こえていなかったようで誰も俺のことを見る事はなかった。
俺は帰るときにせめて俺はしっかりと祝おうと一切れのケーキを買って帰る。
真昼は夕飯を食べ終わった後にそれに気づいた。
「あれ?ゆうくんこれって何ですか?」
「それは、ケーキだよ」
「ケーキって、今日は何かおめでたいことでもあったんですか?」
「ああ、真昼がテストで一番になったって言うおめでたい日だな」
それは真昼のものだよ、と伝えて俺はソファに座る。すると真昼はケーキを皿に取り出してフォークを一つ取り出してから、真昼は俺と肩が触れ合うくらい近くに座った。
真昼は一口分ケーキをとりわけ自分の口に運んでいく。パクリと食べた後に美味しかったのか、目を少し丸くしてその後に口を緩ませた。
「…?どうかしましたか?」
「いや、美味しそうに食べるなって思ってな」
すると真昼は俺がケーキを欲しがっていると勘違いをしたのかケーキを一口分取ってこちらに差し出してくる、俗に言うアーンと言うやつだ。
「…これの意味わかってるのか?」
「はい?」
どうやらわかっていないようだ。俺はパクッと真昼に差し出されたケーキを食べた。俺は真昼の持っていたフォークを奪いケーキを切り取ってそれを真昼に差し出す。
「え、えっと…何を…?」
「食べろ」
「…」
少し強めの口調で言ったせいか真昼はおずおぞとした様子で俺の持っているフォークをパクリと口に入れた。
もぐもぐとしながら真昼の頬は少し赤くなった。
「どうだった?」
「と、とても美味しいです」
「違う。食べさせられた気分は」
「と、とても居た堪れないような…とても恥ずかしいです…」
真昼はよっぽど恥ずかしかったのか、ほとんど喋らずにもぐもぐとケーキを食べ続け、感想を言ったことで更に赤く染まった真昼の顔を俺は微笑ましく思いながら眺めていた。
お眠り〜。
zzz〜。
やっぱりオリジナルの回って欲しい?
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欲しい!
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要らない
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どっちでも
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まひるんに手を出すなカス