俺と真昼が遊びに行ってから暫く経ったある日。俺は真昼に少しの違和感を感じた。
「…今日の真昼何かおかしく無いか?」
「はい?…別にいつも通りだと思いますけれど…」
真昼自身がそう言っても俺の違和感は拭えなかった。
「すまん。ちょっと、触るぞ」
「え?──ひゃぅ…」
俺は真昼のおでこに手を押し当てた。真昼は突然触られたことに驚いたのか小さく悲鳴を上げていた。
「…。少し熱いな…」
「そ、そうなんですか?」
真昼は俺に隠してた訳でもなく本当に気づかなかったみたいだ。俺は押入れの中から体温計を渡して真昼に体温を測らせてみる。
「37,8度…本当にありました…」
「まあ微熱だな、薬飲んで寝てればすぐ良くなると思うよ。今日は飯は大丈夫だから、今日は早く寝な」
「……。はい…、今日は自分の部屋に戻りたいと思います…」
幸いにも今日は金曜日、土日があればゆっくり休めるだろう。真昼は申し訳なさそうな顔をしながら部屋へ戻ろうとする。が、突然真昼の体がグラリ、と揺れる。
「─危なっ」
俺は間一髪で真昼の倒れる先に滑り込む、彼女のミルクの香りや柔らかな体が俺の本能をくすぐった。彼女はいきなり俺に体重をかける様にもたれかかって来る…いや、脱力していた。
「おい?大丈夫か!?」
「うぅ…」
俺は真昼に呼びかけるが苦しそうに唸るばかりだ。たった今気づいたが彼女の体はさっき触った時より明らかに熱い。
「すまんが、持ち上げるぞ」
俺は彼女をお姫様抱っこで持ち上げ、ゆっくりと寝室へ入り、俺のベットで寝かせ、布団をかける。
「……。す、すいません、ご迷惑をかけてしまって…」
「ああ、起きてたか。だが、まだしんどいだろ、もう少し眠っときな」
「……はい」
彼女は再び瞼を閉じた。おそらく急に熱が上がったのは、真昼自身が体調が悪い事を知らずに学校などに行って、今まで貯め込んでいたものが不調に気づいたことによって爆発したのだろう。病は気からとゆう事だ。
俺はその場を後にする。俺は救急箱を取り出してそこから風邪薬を取り出し、次に洗面台に行ってから清潔な布巾を取って魔法をかける。
「【フリーズ】」
布巾の熱を一気に奪い取る。本来は何かを凍り付かせる魔法だが使い方によっては冷蔵庫やクーラーの様になったりする便利魔法だ。
俺は再び寝室にそっと入ってベットの横に風邪薬とさっき取っていた水のペットボトルを置く。彼女を起こさない様にそっとさっき冷やした布巾をおでこに乗せる。
「……ん」
「!」
…。どうやら突然現れた冷たさに反応しただけの様だ。俺はふう、と軽く息を吐いてそっとリビングに戻り、そのままキッチンに向かう。薬を飲む前に何か食べた方がいいと思い、とりあえずお粥を作ることにした。
俺はボウルの中に入れた米をシャカシャカ洗う、炊飯器でそのまま洗うと炊飯器が傷付くらしい、真昼が言ってた。俺は洗い終わった米を鍋に入れて米:水の割合が1:7になる様に水を入れた。鍋を中火にかけて白く煮たってくるとしゃもじで米が鍋底につかない様に優しく混ぜる。しっかり鍋の中が沸いた事を確認して蓋をして、弱火に落とす。これで30分ほど煮て完成だ。
こんな時、俺が他人に回復魔法がロクにかけれない事を歯痒く思った。異世界の神官ならこんな風邪くらい簡単に治せただろう。
そんなこんなでに初めてから30分が経ち俺は鍋を開けて米の硬さを確認する。…うん、ちょうどいいな。俺は塩をふたつまみ入れてから少し皿に取って味見をする。美味いけど何か物足りない様な気がした、どうやら俺は真昼のご飯に胃袋をとっくに掴まれていたらしい。
俺は出来たお粥を寝室に持って行き、テーブルの上に置く。
「真昼、真昼」
俺は軽く真昼の肩を揺する。
「ゆう…くん…?」
「ああ、熱はどうだ?お粥作ったけど食べれそうか?」
「…。はい…」
そう言ってベットから上半身を起こした真昼の声はいつもよりふにゃっとしていて幼なげだ、目尻も力無くとろんっと垂れ下がっておりいつもより無防備な印象が強い。
「自分で食べれるか?無理そうなら俺がやるが」
「…じゃあ、お願い、します…」
…おお、勢いで言ったもののまさかお願いされるとは思わなかった。俺はレンゲでお粥を一口分掬ってフーフーと軽く冷まし、彼女の口へ運ぶ。
「はい、あーん」
「…あーむ。んむんむんむ……、美味しいです…」
真昼は口をもにゅもにゅと動かしながらお粥を食べる。俺は何だか小動物にご飯をあげている様な気分になった。
「……。ごちそうさまでした…」
「ああ、お粗末さま。薬はそこに置いてるから飲んでもう一回寝な」
「…。すいません…」
「ばーか、お前に寝込まれる方が俺は困るっつうの」
「え…?」
真昼は何かを勘違いしたのか何かを恐れる様な怖がる様な表情だ。俺は頭をポンっと叩く。
「勘違いするなよ、迷惑してるとか邪魔だとかは思ってない。ただ、俺はお前に胃袋を掴まれているんだよ、さっき試食したお粥も物足りなかったんだ。お前の飯以外受け付けない難儀な体にされたもんだよ。本当にな」
俺はそう言って軽く笑う。真昼の自分の勘違いに気付いたのか少しの微笑を浮かべた。
「…。それじゃあ、早く良くならないとですね…」
「ああ、俺が餓死しちまう前にな」
「…ふふ」
「はは」
俺は軽く冗談を言うと彼女は笑う。俺もつられて笑ってしまった。俺は最後に彼女に薬を飲むように伝えてリビングに戻ろうとすると、真昼から声を掛けられた。
「…。ゆうくん…」
「ん?どうしたんだ?」
真昼は俺の服の裾をクイっと引っ張って、
「…。あの…手を、握ってくれませんか…?」
「…!…。ああ、いいぞ。好きなだけ握ってやる」
俺は少し驚いた。あの頼る事を知らなかった真昼がこうして俺を頼ってきてくれたことが、少し驚いたが俺は嬉しかった。
俺は真昼が寝ているベットの横に椅子を置きそこに腰をかける。そして真昼の小さな手を包み込む様にして握る。
「…。ゆうくんの手、おっきくて、ひんやりしてて、気持ち良いです…」
「…真昼の手があったかいからじゃ無いか?」
真昼は俺の言葉に反応することもなく微睡んでいる。俺の手を握って安心したのかは分からないがそのまますんなりと眠ってしまった。…。俺はこれからどうしたらいいんだ…?と路頭に迷っていると、
「どこにも…行かないでください……」
「!」
俺は真昼を見ると、寝ていてもわかる美しい顔立ちの少女の閉ざされた瞼をから一筋の涙が流れていた。俺はその涙を指で掬って、
「俺は、どこにも行かない…」
俺は握っている真昼の手をぎゅっとさっきよりしっかりと握る。俺はここに居ると、俺は離れないと、そう証明するように。
こうして夜は更けて行った。
✴︎ ✴︎ ✴︎
俺は朧げな意識の中で目の前にあったあったかいものを抱き枕の様に抱き寄せる。抱き寄せたそれはどこを触っても柔らかく、俺はそれに顔をうずめて鼻いっぱいにミルクの様な甘い香りを吸い込んだ。それはとても安心する様な匂いでもっと匂いたいという欲求に狩られる。
「んっ…」
そうするとどこか艶の入った声が耳にはいって…?声…?俺はそこでガバリと体を勢いよく起こす。そして俺がさっき触っていたそれ…彼女は俺の横で規則正しい寝息を立てながら眠っている。そんな彼女の髪はフワリとベットの上に広がっており、朝の太陽を浴びてキラキラと輝いている。寝ていても分かる端正な顔立ちも含めると本当に天使のようだ。
俺は彼女が起きていないことに少し安心して、ゆっくりとベットから降りて寝室を後にした。
「………。ゆうくんの、ばか…」
俺はリビングのソファに座り込んでいた。真昼の体を抱き寄せた時の柔らかさや、甘い匂いがまだ体に残っている気がする。俺も今はなんだかんだと言って健全な男子高校生ださっきの刺激は少し強過ぎたらしい。
俺は煩悩を忘れるために異世界でしていた瞑想をする。戦闘に無駄な思考は要らないと良くしていた事を思い出す。そんな事をしているといつのまにか一時間ほどが経っていた。それから俺は昨日眠ってしまって出来なかった洗い物や、洗濯物を片付ける。そんなこんなしていると部屋の時計はもう9時を指していた。起きたのは7時くらいなので2時間は経っている。
俺は真昼が起きているか確認するために部屋をそっと覗いた。どうやらまだ真昼は俺のベットの上で眠っている様だ。
俺は徐々に真昼に近づいて髪を解く様に撫でる。俺は大事なものを愛でる様に撫でる。すると眠っている真昼の頬が少し赤らむ。
「…ゆうくんって撫でるの、好きなんですか?」
「ん?何でだ?」
「昨日も撫でていたので…」
「…まあ、真昼の髪はサラサラで気持ちいいから撫でたくはなるな。手入れとか大変そうだな」
「手入れには余念はありませんので」
そう言って真昼は俺のベットから起き上がり、
「ゆうくん、おはようございます」
「ああ、おはよう。もう熱も大丈夫そうだな」
「はい、おかげさまです」
「じゃあ、いきなりだが朝食を作って貰おうかな?」
「こんな時間からですか…?お昼ご飯食べれなくなっちゃいますよ?」
「昨日は晩御飯食べてないからな、余裕だよ」
俺は肩をすくめる様にして言う。そんな俺に彼女は軽く微笑を浮かべて、
「じゃあ、早く用意しちゃいますね。ゆうくんのお腹の虫に怒られたら大変ですから」
そういって彼女はキッチンに向かった。
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寝る
やっぱりオリジナルの回って欲しい?
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欲しい!
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要らない
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どっちでも
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まひるんに手を出すなカス