現代に転生したけど前世で有名な曲が一つもなかったので布教します   作:ulo-uno

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プロローグ

「あ~、久々に知ってる音楽聞きてぇ……」

 

高校一年の春ふとそんなことを思った。

 

自分が転生したと気づいたのは幼稚園の頃。

サッカーをしている時に転んだ自分の頭に相手の子の足があたったことが切っ掛けだった。

 

ありもしない記憶の数々。

見知らぬ家族。

そして何よりも鮮明に覚えているのが前世で好きだった曲の数々。

 

特に歌に関しては前世でかなりどっぷり沼にはまっていたようで少しながら自作の曲も作って動画に投稿していたらしい。

何なら今でもまだ歌えるだろう。

……恥ずかしくて歌う気はないが。

 

しかし、何よりもその時の自分の印象に残ったのはその前世の歌の数々。

その歌に圧倒された。

今でも忘れない……忘れることができないくらいに。

 

小学一年生の頃音楽が好きな爺ちゃんと一緒に音楽の勉強を毎日した。

爺ちゃんについては元々音楽が好きだったこと、若いころから大手グループの外航船の船長であったことからお金の心配もなくすっかり沼にはまった様子だった。

如何やら今世の親父と一緒でかなりため込むタイプの人間のようだ。

 

俺が中学を卒業するころには実家の元々防空壕だったところを拡張して地下のこじんまりとしたスタジオを作っていた。

 

爺ちゃん曰く暇があったらいつでも使っていいそうだ。

よって早速使ってみることにした。

 

と言うかこういう機材がしっかりしているところで歌う機会は流石に前世を通しても初めてでちょっと……いや、かなり興奮する。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

さて、こうして実際にマイクの前に立ったはいいが何を歌うべきかと悩む。

前世でのヒット曲は履修しているし全てほぼ完ぺきに歌う事ができる。

一人カラオケで鍛えられた技術は伊達ではない。

 

だが本当にそれでいいのか?

ヒット曲を安直に歌う、それもいい事なのかもしれない。

しかし、本当に歌いたい曲はそれじゃない。

自分の歌いたい曲を歌う方がしっかりと聞き手に“響く”。

 

やはり、こういうのは歌いたいと思った曲を歌ってこそだと思う。

 

爺ちゃんに目線で合図を送る。

音源は俺がほとんど一人で何回も取り直したものを使う。

こう言うのってやっぱり気分が乗ることが大事だからね。

 

一周目は軽く鼻歌交じりでリズムを会わせる。

元々二周目からの打ち合わせだ。

タイミングは逃せない。

 

……よし、じゃぁいっちょかますか!!

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 

あの後、爺ちゃんが興奮気味に動画投稿サイトに投稿しようと言われその勢いに押され動画サイトに投稿した。

一応身バレしないようにばあちゃんが差し入れを持ってくるのに使った紙袋を被ってもう一度動画を取るために歌った。

そのせいで絵図が紙袋を被った不審者がスタジオで歌っているといういかにも奇妙なサムネになったしまった。

 

まぁ、その時はこんな無名が稼げる再生数なんて精々1000回良ければジャックポット(大当たり)だろうな~程度に考えていた。

 

登録者数10人もいけるかなぁ……。

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