現代に転生したけど前世で有名な曲が一つもなかったので布教します 作:ulo-uno
梅雨が明け本格的な真夏の時期へと移り行くとき。
この時期のイベントと言えばもう皆分かるだろうか?
そう、修学旅行である。
定期試験が終わり夏休みまでの一か月間にある青春の思い出の一ページ。
そんな時期が差し迫った今日この頃修学旅行とは無縁の俺はと言うと……。
「あちぃぃ……」
放課後の学校の机にへばりついていた。
いや、もしかしたらもう既に溶けて癒着してるかもしれない。
未だに太陽はその鳴りを潜める気配はなくもうしばらくはこの熱戦を人類に浴びせ続けるのだろう。
もはや何を考えてるのかえ覚束ないこの猛暑の中で俺はただ孤独を味わうのだった。
「何言ってんだお前?ついに頭に熱さやられたっすか?」
暑さにやられてるのはお前の方だ。
頭と暑さがが逆で何を言っているのか訳が分からん状態になってるぞ
「おっと確かに俺もヤベェっす。と言うかこの暑さでよく机にへばりついてられるっすね?」
仕方が無いだろう。
最近はサマーソニアが近づいてきて平日も練習に呼び出しを喰らうんだから。
「……それ俺以外に言っちゃだめっすからね?最悪暴動が起きますよ?世界の紙BUKUROここにありって」
そう言うお前はどうなんだ。
最近10万人突破したじゃねぇか。
お前も同類だろこのチョリィースが。
「うわ~心外だわ~。と言うか10万人の方は上井君の御蔭っスからね?いや、この場合は紙BUKUROと呼んだ方が?」
やめろ。
他の奴らに聞こえたらどうするんだ。
俺は静かな学校生活を送りたいんだ。
「……まぁ、気持ちは分からなくもないっすね。最近になって媚び売ってくる奴も増えてきたんで」
お互いにため息をつく。
この男もこの男で中々に厄介なのだろう。
「あ、そう言えば紙BUKUROの新曲聞きましたよ?Witch。あの曲マジでよかったス」
有難う。
そこは素直に感謝しておくよ。
「でもまたこれで心配事増えましたねぇ……っす」
口調がおかしくなってるぞ。
まぁ、確かにまたこれで色々知らないところで騒がれて……
『prrrrrr━━━』
ン?
こんな時間に電話か?
なんか嫌な予感がしてきたぞ……
『出るの遅いこの陰キャクソメガネ兄』
コイツ……!!
実の兄に向ってひどい言い草である。
まぁ、妹の方が圧倒的に俺なんかよりも強いので何も言い返せないんですが。
で、何の用だ?
『今晩オムライスにするから卵買ってきて。後30分くらいでセール始まるからヨロ』
あ、ちょっと待っt━━━『pu-pu-pu-』電話切りやがった。
え、嘘だろ?
この猛暑の中走って卵買いに行くのか?
片道チャリで20分の道のりを?
ふと目の前に視線を向ける。
「ご愁傷様っす」
Nooooooo!!!
クソッ行くしかないか!!
◆◆◆◆
結局間に合わなかったのでちょっと遠いが別のスーパーまで買いに行った。
正直言ってオムライスは食べたい。
なんせうちの台所事情は妹が実権を握っている。
そりゃ俺だって料理ぐらいはできるが妹の腕には負けるのだ。
……しかし、セールがあった店までかなり走ったせいかかなり体力を消耗した。
しかもその後遠くの店までその足で直行するという狂気じみた内容だ。
正直なんでもいいから何か飲みたい。
出来れば涼しいところで。
と、ふと道角に二つ交差点を進んだところにラウンジがあるのが見えた。
まぁ、ラウンジの中なら此処よりも涼しいはずだ。
そう思い店の中に入る。
ラウンジ内はステージ以外の照明は暗くしているのかいきなり外から入ってきた俺にはいささか暗すぎた。
しかし、ラウンジか……。
当然ではあるが今までそんなところで歌ったためしはない。
……まぁ、歌おうとしたことがないとも言えるが。
取り敢えず何か一杯飲んでいこう。
ついでに演奏者の人も見ていくか。
幸い妹が部活から帰るまでにはまだまだ時間に余裕があるためしばらくは落ち着けるだろう。
とそんな思いは唐突なアナウンスと共に打ち砕かれた。
「それでは今日の特別ゲストを紹介します!最近日本にわたってきてサマーソニア出場を控えるアメリカの歌姫、マリア・ディーゼル!!」
口に含んだ飲み物を吹き出しそうになった。
ま、マリア・ディーゼル?!
何でここに居るんだ?
て言うか何でこんなところに居るんだ?
とそこで一寸の出来事であったがマリア・ディーゼルと目が合った。
如何やらあちらも驚いている様子を見るに後を付けていたとかではなく偶々ここに居るのだろう。
と言うか確か今日何かの収録があった気がするんだが。
そう思い視線で問いかけるとうっすらと笑って返してきた。
……あぁ、
なんとなく察したわ。
と言うかよく逃げれたな。
その根性は素直に尊敬する。
そんな思いをよそに彼女が歌いだす。
曲名はI'm still alive today
彼女が最も得意とする曲の一つだ。
そして彼女が最も気に入っている曲の一つでもある。
ふと誰かの肩が当たった。
此方に気づいてはいないようだが彼女の歌に感動している様子だった。
……まぁ、見るからになんとなく察しは付く。
感動する彼女の眼にはクマが出来ていた痕跡があり何かに強く思い悩んでいたのであろう。
そう言う時こそマリア・ディーゼルの曲は響く。
彼女の歌声には人の心を動かすだけの力がある。
そう俺は感じている。
俺があの時Was goneを歌った時のように。
と彼女の曲が終わる。
いけない、しばらく見入ってしまっていた。
時計を見るとまだ20分くらいだろうか。
まだ妹が帰るまでに余裕があるとはいえここにいすぎるのも得策じゃない。
何故なら今俺は激しく嫌な予感に襲われているからだ。
ふとマリアと目が合う。
被れと言っている様な気がした。
冗談じゃない。
今俺は学ランだぞ?
ここらじゃどこの学校とまでは特定できんだろうが学校の帰りにいきなりそれはまずいだろう。
彼女がほほ笑む。
あ、これアカン奴や。
急いでバックから紙袋を取りだす。
幸い後ろの方に居たため誰も此方に注意がない事が幸いだった。
「Hello~日本の皆さん。今日は私の歌を聞いてくれてありがとう。でも次の曲に映る前にちょっとしたサプライズがあるの。ほら、もうすぐ私はサマーソニアに出るでしょう?そのおかげである人とデュエットを組んでいるのだけれどちょっとその練習を披露しようかな~って。と言う訳でCome on!!紙BUKURO!」
あ~あ、やっちゃった。
いきなり後ろを指した彼女の先に何があるかって?
制服を着た紙BUKUROさ。
全く流石に今のは無茶ぶりが過ぎる。
人がモーセのごとく割れていきステージの上に向かう。
上がる途中先程の女性と目が合う。
……俺と同じか少し下ぐらいだろうか?
まぁ、こんな少女が何か知らんが思い悩んでたと考えるとこの世界も罪深いというものだ。
だからこそこの一時の間だけでもその悩みから解放されることを願うとしよう。
ステージに立つ。
こう言う空気も悪くない。
初めてにしては盛り上がりな気もするがまぁ、サマーソニアの予行演習だと思えばちょうどいいだろうか?
改めて先程の少女を見る。
横でマリア・ディーゼルに一目ぼれでもしたのか?とからかわれたが軽くあしらっておく。
前世も含めるととうにおじさんの俺があの年の少女に欲情するわけないだろうに。
……まぁ、そんなことは知らんだろうが。
と言う訳で改めて歌う事に脳を切り替える。
思いを乗せて歌う事には今の気分はちょうどいい。
それに誰に届けたいってのも明確にあることだしな。
さぁ、君はこの歌に何を感じてくれるのかな?
◆◆◆◆
自殺しようと思った。
家の事とかいろいろ複雑でどうしたらいいのかもわからなくて。
だから死んで楽になろうと思った。
でも楽には慣れなかった。
楽になる前に見知らぬ人が私を止めたからだ。
その時何を考えていたのかはあまり良く覚えていない。
なんとなくその人について行ったのだけは覚えている。
「今日は特別ゲストが来てる。……死ぬのはその後にしろ」
その時は何のことかと思った。
その特別ゲストが何なのかもわからなかったし分かったところで何になるのかとも思った気がする。
ただ一つ確かなのはその考えはいい意味で裏切られたこと。
たった一人の歌手。
その人の歌声に感動した。
今迄の悩みが全て吹き飛ぶような気がした。
そしてその後の事だ。
いきなりその歌手の人がサプライズと言って新しい歌手を招いた。
制服に紙袋を被った不思議……いや、怪しい人。
一瞬目が合った気がした。
不思議と悪い気はしなかったが。
むしろ、なぜか心配してくれるような気がした。
そしてステージの上の二人が歌いだした。
先程とは違う曲だが響いてくる。
私の心の奥に確かに響いてくる。
ふとまた紙袋の人と目が合った気がした。
感じたのは幸せを願ってくれているかのような感情。
なんと表したらいいのか分からないけどすっごく嬉しかった。
……あの人達といつか。
あの人達といつか並びたい。
一緒に歌いたい!!
この時初めて私はそうなりたいと思ったのでした。
やっと原作のキャラを出せた……。
まぁ、原作開始まだ年単位で前だけど……。
此処からさらに物語を加速させていくぅ。
あとここになって結構不安なのですが時間的にガバになってくるかもしれません。
作者のイメージ曲
Witch→ロ○ワー
※あくまでも作者のイメージです※