現代に転生したけど前世で有名な曲が一つもなかったので布教します 作:ulo-uno
さて、先週の出来事を思い出そう。
あの時は勢いでサマーソニアに出場応募を出すなんて言ったがあくまでも予定。
此処から何とでもなるはずだ。
例えばそう学生である今の身分を盾にして学業と折り合いがつかないからとかそう言う事にすればいい。
日本では中卒なんて就職にも困難だったりで大学卒業が世間で推奨されている今勉強と折り合いがつかないと言う事はサマーソニア回避のための立派な大義になるだろう。
そう言う訳で先日妹に嫌な顔をされながらもなんとか教えてもらったSNSでそう言う旨を拡散したのだが。
コメント:なら中卒で良いじゃん
コメント:勉強も大事だがサマーソニアを捨てるのは流石に厳しくない?
マリア・ディーゼル:貴方だったらハイスクールを出なくても一生食べていく分には困らないわよ
近藤 剛:君のその才能なら今の段階で厳しめに見積もっても3000万から5000万は確実だ
と碌に相手されなかった。
いや、年収3000万から5000万はいくらなんでも無理がある。
そもそも親父や爺ちゃんとの約束だって勉学をおろそかにしないことが条件で音楽活動をやらせてもらってるのにその約束を破るわけにはいかない。
今はいいかもしれないがいつか売れなくなったときにその時どうするのかも考えないといけない。
そう考えるとせめて大学は卒業しておきたい。
なんて考えてたがやっぱり帰ってくることは同じでそんなことを繰り返してたらついには現役の歌手の方に自分だけでなく誰もが通った道だと諭され結局はサマーソニアに出る流れになってしまった。
「と言うのが此処一週間の出来事ですかね?」
コメント:SNSの使い方を覚えたのはエライ
コメント:なんでそんなにサマーソニアに行きたがらないのか?これが分からない……
コメント:まぁ、いずれにせよ今日は正式に発表するんでしょ?
「いや、行きたくないわけじゃないし行ってみたいと思うよ?でもぽっと出の配信者なんかがそんな凄いとこに行っていいのかって思うじゃん?」
コメント:まぁ一般人の感性からしたらそうだけどさ
コメント:でももうほとんど出ることになってるよ?
コメント:海外の反応も凄いことになってるし
コメント:ああ、命English.verな
コメント:あの時の切り抜きかなり反響良かったもんな
「ああ、確か特に海外の人に人気だった。あの後他の曲もお願いしますって言われて次何にしようかって考えてんだよなぁ」
コメント:即興であんなことやったくせにそんなに悩むことか?
コメント:確かに極端な話片っ端から英訳していけばいいもんな
「いや、そうじゃなくてSNSの投稿でも何度か言ったけど俺今学生なのよ?本業はしっかりしないと」
コメント:何言ってんだ?
コメント:本業→配信者、副業→学生だろ?
「逆だよ……ったく。俺を何だと思ってるんだ?」
コメント:歌の才能に経験値極振りした天才
コメント:世界の紙BUKURO
マリア・ディーゼル:サマーソニアのデュエットの相手
近藤 剛:サマーソニアのメインイベント担当者の内の一人
コメント:お、来たな
近藤 剛:サマーソニア出場応募可否の結果を聞きにきた
「え、今ここでですか?」
近藤 剛:君自身の言葉で聞きたいと思ってね
コメント:いよいよこの瞬間が来たか
コメント:さぁ如何する
「あ~、ついに来たかその話題が」
コメント:むしろなんで今まで来なかったのか
コメント:そういやマリア・ディーゼルが日本に来る可能性があるって言う事で朝のニュースにも挙げられたぐらいだからな
コメント:そういやそうだったな
「え、マジか。そんなに話題になってんの?」
コメント:なんで本人が知らないんだよ……
マリア・ディーゼル:私も知らなかったわ
コメント:貴方に関してはヨーロッパに居るんだから知らなくても当然と言っちゃ当然でしょ
コメント:にわかがもうヨーロッパツアーは終わってアメリカに帰ったぞ
マリア・ディーゼル:残念でした。いまはお忍びで日本に来てるわよ?
コメント:え、マジっすか?
マリア・ディーゼル:ええ、マジよ。今は近藤と一緒にこの配信を見てるわ
コメント:ええ、……
「フットワーク軽すぎだろこの歌姫」
マリア・ディーゼル:でも目的は果たせそうにないわね
コメント:目的?
コメント:ああ、前言ってた紙BUKUROと歌いたいってやつですか?
「え、あれマジだったんすか」
マリア・ディーゼル:マジに決まってるじゃない。私はリップサービスは余りしない主義よ?
近藤 剛:まぁまぁいいじゃないか。それよりもサマーソニアの参加はどうするんだい?
「あ、サマーソニアですか。……まぁ、色々と考えもして迷ったんですが……」
コメント:おっと、この流れはまずいんじゃないか?
コメント:頼む~参加してくれ!!
コメント:ここに来て非参加とかやめてくれよ
近藤 剛:そうか……一応来年に期待しておくよ
「ちょっと待って、誰が参加しないって言った?」
コメント:お?
コメント:あれ?
コメント:まさか……
「色々と考えた結果今年のサマーソニアに応募すると言う事を正式に発表させていただきたいと思います!!」
コメント:うぉぉぉおおおおお!!!?
コメント:来たァア!!
コメント:よっしゃー!
近藤 剛:ふぅ……良かった。私の早とちりだったか
マリア・ディーゼル:決まったわね
コメント:あ、そうか!!
コメント:と言う事は
コメント:まさか
マリア・ディーゼル:今年のサマーソニア私も参加させていただくわ
コメント:よし、よしッ!!
コメント:今年のサマーソニア絶対行くわ
コメント:拡散してきます
コメント:あ、俺も
「うわぁ、コメントが凄まじい速さで流れていく」
コメント:サマーソニア応募記念に何か歌ってください
「お、来たな。今日の為にいくつか曲を用意してたんだ。ジャンルは何がいい?」
コメント:落ち着いた感じの曲でお願いします
「落ち着いた感じの曲……オーケー。ではお聞きください、魂色」
コメント:待ってました
コメント:来るぞ……
「━━━~♪」
コメント:おぉ……
コメント:心が……心が浄化されていく
近藤 剛:素晴らしい歌唱力だ
マリア・ディーゼル:相手の心にまで響かせる……まさに名曲ね
「━━━~~♪━━━~♪」
コメント:あれ可笑しいな、涙が止まらない
コメント:ああ、俺もだ
「~~♪……有難うございました。以上、魂色でした」
コメント:あぁ……心を感じる
コメント:涙が次から次へと溢れて来る
近藤 剛:まさに魂の歌とでも呼ぶべき名曲だった
マリア・ディーゼル:やっぱり私の目に狂いはなかったわね。こんな素晴らしい曲を有難う
「て、照れるな……そんなに褒めたってなにも出ないぞ///」
コメント:紙袋被った男が照れても何も興奮しない
コメント:確かに
コメント:次の曲お願いします
コメント:見事な手のひら返しである
「全くだよ……で、次はどんな曲がいいさ?」
コメント:英語なら何でも
コメント:そういやこの前の命English.verもいいけど他のも英訳して欲しい
コメント:確かに海外の人が見に来る割にあんまり英語で歌われてる曲はないよな?
コメント:あんまりじゃなくて命しかまだない
「あ~、確かに英語の歌ってのは難しいからな」
コメント:あ、やっぱり?
コメント:え、でも前は即興でやらなかった?
コメント:今回は英語の歌無し?
「いや、ちゃんと音源も用意してるよ?」
コメント:お、やった!!
コメント:準備がいい紙BUKUROは好きだよ
コメント:で、どの曲?
「ん?どの曲って英訳の方が聞きたいのか?」
コメント:お?
マリア・ディーゼル:と言う事は
コメント:まさか
「なんかすごい連携するじゃん……まぁ、予想通り最初から英語オンリーの曲です。ではお聞きください、what the say」
「━━━~♪」
コメント:おお……何言ってるか分からんが落ち着いた感じの曲調か……
コメント:動物の声?なのかな
マリア・ディーゼル:その解釈であってるわよ
「━━━~~!!♪」
コメント:⁉
コメント:⁉
コメント:⁉
コメント:いきなり曲調が変わった!?
マリア・ディーゼル:なるほどね……今までと完全に別のジャンルから攻めてきた感じね。こんなに分野が広いなんて
「━━━~~♪━━━~!♪」
コメント:サビがめっちゃ耳に残る
コメント:今までも力強い曲はあったがここまで力強いのはなかった
コメント:うおッ!?チャンネル登録者数が一気に跳ね上がってる……
「━━━~!♪」
マリア・ディーゼル:今までは洋楽が無かったから見るにとどまっていた海外の視聴者が流れ込んできたのね
近藤 剛:どうやったらこんな曲が思いつくのやら……まるで彼の底が見えてくる気がしないな
コメント:excellent!!
コメント:he is amazing!!
「~~♪……以上what the sayでした」
コメント:スゲー!!
コメント:fantastic!!
コメント:海外の方も流れてきてる
「いや、こういった激しめの曲はリクエストされなかったものでちょっと緊張してます」
コメント:緊張してる奴の歌唱力じゃない
コメント:でも楽しんでたでしょ?
コメント:才能が異次元過ぎる
コメント:天才は居るんですねぇ
近藤 剛:この完成度ならツアーも夢じゃないな
「ツアーって……まだ自分学生ですよ?」
マリア・ディーゼル:私の居る国じゃ高校に入らずに歌手目指してる子だっているわ。貴方もそうしてら?
「いや、無理ですよ此処日本ですし」
コメント:welcome to our country!!
コメント:that's a good idea!
「いや行かねぇよ」
コメント:紙BUKUROが連れていかれなくてよかった
コメント:そうだぞ紙BUKUROは日本の宝だぞ
コメント:国宝級だぞ
「いや、そこまでは言い過ぎだって」
マリア・ディーゼル:でもこっちに来たらハイスクールにはいかなくてもいいわよ?
近藤 剛:はは……勧誘はできればやめてくれ
「いや、勧誘されても行きませんよ」
マリア・ディーゼル:あら、そうなの?残念
コメント:ふぅ……良かった
コメント:ああ、そうだな
「ま、そろそろいい時間だし今日はこの辺で!!グッバイ!!」
◆◆◆◆
『ま、そろそろいい時間だし今日はこの辺で!!グッバイ!!』
配信が終わる。
雑談も含めて大体一時間と少しと言うところか。
これが他の実況者ならまだ続いていたのかもしれないが画面の向こうの彼は意外と時間にしっかりしている。
今週の楽しみが一つ終わってしまった。
「それで?やはり彼に会ってみたいか?マリア・ディーゼル君?」
配信の余韻に耽っていると目の前の初老の男、近藤 剛がそう問いかけて来る。
「ええ、そうね。今日の配信でより強くそう思ったわ」
「ああ、私も全くの同感だよ」
目の前のPCに目を落とし彼のチャンネルを調べる。
そこにはすでに先程歌った曲が上がっていた。
「本当に底が見えないよ彼は」
「会ってみたいものね」
まぁ、どこのスタジオか特定もできやしない状況で会いに行くことなんてほぼ不可能なのだが。
とその時近藤が思いがけないことを言い出した
「なら会ってみるかね?」
「は?」
思わず変な声が出てしまった。
「縁とは大事にするものだというがその意味がこの年になってよく分かったよ」
そう言って彼が持っていたスマホを見せて来る。
そこには初老の男と肩を組んで映る紙BUKUROが写っていた。
「それも古い縁はなおさらな」
作者のイメージ曲
魂色→AN〇MA
what the say→the F〇x
※あくまでイメージです※