現代に転生したけど前世で有名な曲が一つもなかったので布教します 作:ulo-uno
あの契約からまた一週間が経過した。
此処一週間は今までで一番忙しかったように思う。
あの約束後、俺は近藤さんの契約を正式なものとするために一旦都内に向かい一緒に契約内容を考えていた。
まぁ、こう言う事に不慣れだったためにこう言う事には詳しくない俺は一から親切に教えてくれたあの人にはもう足を向けて寝られない程だ。
……今後はこう言う事もちゃんと学ばないとな。
そして、何故だかその場にマリア・ディーゼルさんも来ていた。
二人は海外ツアーがどうのこうのと言う話で盛り上がっていたようだから近いうちに誰か海外の有名な人がツアーに来るのかもしれない。
そして、肝心のレコードについては先に俺の実家で収録したものを使うよりももう一度もっといい設備の所で取り直すそうだ。
まぁ、所詮は元防空壕を改築しただけの小さなスタジオだったし。
ああ、そうだ。
実家のスタジオで思い出したんだがあのスタジオを作る際にスタジオの設備などを紹介してくれたのがなんと近藤さんだったらしく近藤さん曰く家の爺ちゃんと小中高通しての古い幼馴染であるそうだ。
……だから、金があるとはいえ家の中にスタジオなんか作れたのか。
あのスタジオ建設の謎がこんなところで解けるとは。
まぁ、これも古い縁なのだろう。
ほら、人との縁は大事にすべきって言うじゃないか。
そんなこんなあって収録することになったんだがレコードと言えば一つや二つなんかじゃなくもっと多くの曲が収録されているのが一般的だ。
そうなると俺の今まで歌ってきた曲で足りるかどうか。
もし足りたとしても洋楽と一緒に混ざってしまう事になるだろう。
俺としては洋楽は洋楽でまとめたいところである。
となると必然的に洋楽の数が足りないことになってくるのだがそこはほら……そう言うの俺いっぱい知ってるし。
って言う事で初めてではあるが実家にあるスタジオとは比べ物にならないような設備の下で洋楽を新たに何曲か収録することになった。
「と言う訳で今日はこのスタジオを使いながらの配信なんだけど……やっぱり俺がいつも使ってるスタジオよりも明らかに格が違うんだよなぁ」
コメント:当たり前だろjk
コメント:まぁ、実家にあるものと比べたらそりゃね?
コメント:と言うか実家にスタジオがあったのか……そりゃ何処のスタジオか分かる訳ないな
コメント:実家教えてください
「教えないよ?と言うかスタジオって特定されるん?」
コメント:まぁ、スタジオ関係者の家族からポロっとて感じかな?
コメント:いくら隠してる人が居たとしても人の口に戸は立てられないからね
コメント:まぁ、だからと言って実家にスタジオ作るのはどうかと思う……
「まぁ、作らせたの俺じゃないけどね?」
コメント:え、じゃぁ誰が作らせたん?
「俺の爺ちゃん。俺爺ちゃんっ子だから昔から音楽とか爺ちゃんと一緒にやってたんだよね」
コメント:【速報】紙BUKUROの起源は祖父だった
コメント:この紙BUKUROの祖父か……
コメント:お爺さんは昔から音楽やってtんですか?
「昔から……ではないかな。昔から好きではあったけど嗜む程度だったらしいから。本格的に始めたのは俺が小学校に入ってからだな」
コメント:へぇ、昔から音楽に関わってた人かと思ってた
コメント:でもまぁそのお爺さんのおかげで今があるわけだし
コメント:確かに、そう考えると凄いよな
「ああ、そうだ。なんだかんだ言って俺がこうやって動画投稿を始めたのも爺ちゃんに勧められたからだな」
コメント:その言い方ではもし勧められなかったら今も一人でこんな名曲をため込んでたと
「まぁ、そうなるな。だって最初は動画に出そうと思ってなかったし」
コメント:マジか
コメント:こんな名曲が未だに世に出てない可能性があったなんて……。
コメント:そう考えると紙BUKUROに投稿を進めたお爺さんはマジでファインプレーだったと言う訳か
コメント:紙BUKUROの曲がないとか想像できないんだけど
「そうか?案外他の誰かが考えてるかもよ?」
コメント:いや、人類をお前と同じと考えるな
コメント:そうだぞお前みたいな音楽星人は他にはいないんだ
「音楽星人って……お前ら俺の事をどう思ってんだよ」
コメント:音楽星人
コメント:音楽に経験値を全振りした天才
コメント:外宇宙から音楽を広めに来た宇宙人
「碌なもんがねぇな」
コメント:そりゃぁ……ね?
コメント:人類皆がお前の様にはなれない
コメント:投稿する曲がオリジナルな上にその全てがヒットする……そんな異端児が人間なわけがない
「お前等ぁ……。まぁいいや、じゃぁそろそろ今日の本題に入って行くぞ」
コメント:待ってました
コメント:リクエスト受け付けてますか?
コメント:いや、新しい曲の発表だろ
コメント:そういや今日は洋楽縛りか……
コメント:今日も配信しながら収録ですか?
「いんや、今日は別に洋楽縛りって訳でもないぞ?もう一応収録は終わってるからあとはレコードが完成するのを待ってるだけって感じだな」
コメント:早いな!?
コメント:まさかのもう終わってたなんて
「まぁまぁ、あとそれと宣伝になっちまうが来週あたりに俺のレコードが出回るらしいからどうか欲しい奴は買ってくれると有難い」
コメント:これは宣伝なのか……?
コメント:宣伝下手っすね
「うるせぇやい。俺は今までこんなことしてこなかったからやり方が分からねぇんだよ」
コメント:もう他の動画投稿者にお願いしたら?
コメント:確かにその方がいい
コメント:こんな奴でも歌が上手いから何とかなりそうな気はする
「他の動画投稿者?そういや身近に一人いたな。まぁ向こうは俺のこと知らんけど」
コメント:マジで?
コメント:紙BUKUROのこと知らんとか嘘やろ?
コメント:だれ?
コメント:と言うかいるのかよ
「いや、あいつ自身学校で俺の曲聞いてるから知らないってことはないだろ。ただ、紙BUKUROが俺だって言う事を知らないだけで。そう言えばチャンネル登録者数がどうのこうのってこの前言ってたな」
コメント:割と話したりするん?
コメント:何系の動画投稿者ですか?
コメント:その人今どのくらい登録者居る?
コメント:その人も音楽やってる?
「まぁ、名前は出せんけど合言葉?挨拶?は……これ言っていいのか?」
コメント:ええやろ
コメント:別に悪く言う訳でもないしなぁ
コメント:身近にいるってだけやからそんな難しく考えんでも……
「じゃぁ一応あいつのよく使う言葉だけな?チョリィーッス!!てやつ」
コメント:もうそれは答えやんけ
コメント:え、だれ?
コメント:分からん
コメント:俺分かったわ
コメント:え、めっちゃ意外なところから来たんだけど……
「お、結構分かれたな」
コメント:まぁ、登録者894万と3.1万だしな
コメント:知らん人はマジで知らんやろ
コメント:調べたけどマジで知らんかった……
コメント:まぁ、音楽系の配信者ではないから此処にいる連中の中で見ない人が居るのもうなずける
コメント:いったいどういう関係なのか全く予想できない
「アイツとは普通に小中の頃の同期だった」
コメント:マジかよ
コメント:世界は意外と狭いって言うけどマジで狭かった
「まぁ、そう言う事もあるだろ」
コメント:今某チョリィースに報告してきた
コメント:まさかの速報
コメント:ついでに投げ銭してきたから確実に読んでくれると思う
コメント:現状確認完了。泡喰ってました
「お前等虐めてやるなよ……てか今何の配信してた?」
コメント:海外のチータの動画を見てた
コメント:おおむねそんな感じ
「はぁ……後で謝っとこ。お前等今後よそ様に迷惑かけるなよ?あっちだって予定があるんだから」
コメント:ゴメンナサイ
コメント:なんで片言なんだよ
コメント:コイツ反省してないな?
「反省してない?……ならもう動画は出せないな」
コメント:本ッッ当にすいませんでした!!
「よろしい。今後はしないでくれよ?」
コメント:ハーイ!
コメント:素直でよろしい
「と言うか今丁度配信中だったのか」
コメント:チョリィースは結構な頻度で配信してるゾ
コメント:ほとんどノリと勢いな気もするけど以外に会話のネタとか多いから会話に詰まることはない
「まぁ、昔からあいつはそんな奴だったからな」
コメント:そう言えば投げ銭で思い出したのですが紙BUKUROは収益化はしない感じ?
「今のところする気はないねぇ。だってまだ学生だし一応はうちの高校バイト禁止だし。……まぁ、隠れてやってる奴は多いし学校の先生はそれとなく注意するだけで終わるし」
コメント:結構緩い感じだな
コメント:まぁ、今の時代バイトするなって言うのもな
コメント:と言うか動画の収益化ってバイトなのか?
コメント:さぁ?
「いや、そんなことはどうでもいいんだよ。と言うか今日の企画はサマーソニアの曲を何にするかって言うのを決めようって話だったよな?」
コメント:せやで
コメント:そういやそんな話してたなすっかり忘れてた
「まぁ、話が脱線しすぎていたことは確かなんだし何ならその原因は俺だけどさ。そんなことは忘れてなんかリクエストある?」
コメント:忘れて(現況本人)
コメント:自己完結型の星人
コメント:リクエスト何でもありっすか?
「特に何か縛りがあるわけでもないしな。でもマリア・ディーゼルさんとのデュエットってことを考えてな?」
コメント:ああ、……ならWhat the sayは選曲から外さないとな
コメント:確かに歌姫が得意としている曲とは違うもんな
コメント:じゃぁ取り敢えずWas goneは固定かな?
コメント:確かに、Was goneは紙BUKUROの代表曲だもんな
「オーケーWas goneね。それはそうとWas goneが俺の代表曲?」
コメント:え、違うの?
コメント:今まで歌ってきた中で最も評価貰ってるのはあの曲だぜ?
「ん~まぁ、他に代表曲にしたい曲はないけどさ」
コメント:じゃぁ取り敢えずで代表曲と言う事で
コメント:で、他のは?
コメント:確か命のEnglish.verもマリア・ディーゼルは歌えるのかな?
「確か歌えたはずだ」
コメント:ならそれも候補に入れてほしい
「了解……ほかに何かある?」
コメント:洋楽orEnglish.verだからなぁ
コメント:そんなに数がないのが……
コメント:せめて新しいのがあればなぁ……。
「あるぞ」
コメント:え、あるの!?
コメント:いつ!?いつ作った⁉
「ほら、此処に居る理由」
コメント:あ、そっか!!
コメント:今日新しく収録したのがあったのか!
コメント:それって今聞くことって……
「どうだろう?少なくとも発売まではできる限り未公開にしてくれって言われてるし」
コメント:無理か……
コメント:残念だ新しい曲が聞けると思ったのに
「まぁまぁ……それにほら来週と言ってももうあと一日二日じゃないか」
コメント:そっか今日土曜日だったわ
コメント:曜日感覚仕事で消え失せてた
コメント:これが社会の闇か……
「怖いこと言うなよ……まぁ、そう言う事だからこの続きはまた来週と言うことで良いか?」
コメント:オッケー
コメント:了解です
コメント:ハイオケ―(イケボ)
コメント:畏まった
コメント:統一感ゼロだな……
「ハハハ……じゃぁそう言う事でまた来週な!!バイバイッ!」
◆◆◆◆
配信が終わり自分の持ち込んだPCを閉じる。
本当はスマホとかでやればいいのだろうが個人的な好みもあって配信をするにはいつもPCを使っている。
そして、配信が終わりその後かたづけをしていると後ろから足音が近づいてきた。
「最初は渋ってた割には楽しそうじゃないか、紙BUKURO君?」
「あ、こんにちは近藤さんお疲れ様です。いや~、せっかくこんなとこを使って収録ができるんです。楽しまないと損ってもんでしょ?」
「そう言って貰えたなら此処に誘った甲斐があったというものだよ」
そう言う彼の顔は朗らかな笑みを浮かべていた。
実際に契約を結ぶ時もそうだが見た目に反してかなり親切で優しい人なのだ。
見た目に反して。
「ところで、すまないな。本当は今すぐにでも公表できればサマーソニアの予定も早く立てれるというのに」
どうやら彼がここに来た目的は先程配信で俺が言ったように未公開の曲があると言う事について謝りに来たらしい。
「別に構いませんよ。一生秘蔵のままにするわけでもないですし」
そう俺が言葉を返すと彼は何処か安心したような表情で言った。
「そうか、それならばせめて公表してからは私の腕の見せ所だ。存分に振るうとしよう……まぁ、私などいなくとも今や世界中の人が君に関心を寄せているが」
「言い過ぎですよ。俺なんかが世界中を相手にできるとでも?まぁ、にぎわうとしてもこの国に収まるでしょね」
そう言って帰る支度をする。
今日はホテルを取り明日の朝始発の電車で実家まで帰るのだ。
今日は早めに寝るとしよう。
そうしてスタジオに背を向ける。
だからこそその言葉に気付かなかった。
「案外君はもう既に
此処からちょっとした報告。(すっ飛ばしても構いません)
先ず投稿が遅くなり申し訳ありません。
と言うのも今筆者が居る場所が海の上と言う事もあり中々電波が届かないor全くない状況にあります。
その為更新頻度が安定せずにいます。
なるだけ毎日更新を心掛けておりますが航海の都合上一月以上電波が取れない又は安定しない状況が続くため先にお知らせした次第です。
ご不便な思いをさせてしまうかもしれませんが以後も何卒宜しくお願い申し上げます。