ある日、死んだと思ったら生き返っていた。
目を覚まして起き上がる。体がやけに軽い。軽すぎる。
知らない部屋。よく片付いていて、整頓された部屋だ。
目を開けると、というか開けないでも情報量がすごかった。
なにこれなにこれなにこれ怖い。
四苦八苦しながら鏡を見て(鏡を普通に見るのすら大変だった)、事情を理解した。
悟じゃん。五条悟じゃん。
ええええええええええ!!!
俺に最前線は無理ですが!??
どうしよう。どうしよう、どうしよう、どうしよう。
そして、俺は思い出した。
はっ 原作でそういえば、五条悟、夏油傑のところに飛べてなかったか!?
これだこれしかない。
っていうかスピード解決しないと暗殺される未来しか見れない。
メロンパンだったら死ぬ気で攻撃、メロンパンじゃなかったらどうにかしてもらう。
先手必勝!
飛ぶのってこんな感じか!?
そうして、俺は飛んだ。飛べた。
「悟?」
「ピャアッ」
なんか化け物がいた! えっこれ夏油傑? まじで?
「どうしたんだ? 今更私を殺しに来たのかな? っていうか、ピャって」
「あ、俺! 悪霊! 乗っ取っちゃって困ってる! 優しく成仏させて!」
「はぁ? ふざけてるのかい……? いや、悟はこんな悪ふざけはしない……」
「お前、この体の親友で最強で頼りになって色々教えてくれる大好きで大事で世界に色がついて何故かいきなり置いてったお坊さんなんだろ!? なんとかしろよ、役目だろ! お人よしなんだから、朝起きたら死んでて人の体乗っ取ってた可哀想な俺を助けて当然だろ! 俺が五条悟とか5秒で暗殺される自信しかないぞ! あっでも痛いのと怖いのは嫌だから優しくな!」
「うーん? ちょっと待って考えるから。え、それもしかして悟の認識な訳? 恥かしいな……」
とりあえず、じーっと夏油傑を見る。
「なんだい?」
「いや、この眼使い方わからないから、お前が化け物に見えるから、噂の塩顔イケメンをなんとか見ようとしてる」
「はぁ、それはありがとう? 君は呪術師?」
「俺は……俺は??? 誰だっけ??? 死んだってのは覚えてる。えっ嘘だろ」
自分の記憶が殆ど穴だらけな事に気づき、オロオロする。
「落ち着け。落ち着けー俺。名前、名前は何だっけ? や……やから始まる名前……いや、やっぱりくだったかも……そもそも俺の死因って何? ど、どうしよう夏油様!?」
「君の顔で百面相しない。その体は丁重に扱いな。あと、傑でいいから。君の口から様づけするな。絶対」
「助けてくれるのか!?」
「うーん……まあ、仕方ないね。君ではなく、助けるのは悟なんだけど。とりあえず、悟はそこにいる?」
「五条悟出てこい出てこい出てこい……ダメだわかんない」
「携帯は持ってきてる?」
「この姿を見ろ。パジャマだぞ、俺」
「はぁ……弱ったな。敵の本拠地に丸腰パジャマで来るとか……おいで」
俺はてこてこと傑の前に立った。
「じゃあ、ちょっと祓ってみるから」
「お願いします!」
俺は腹を殴られた。
「×○△!? げっほいたい! くっそ痛い! いたいよ傑!?」
「ダメだね。単純にショックを与えてダメだとしたら、私には打つ手なしかな」
「そんな! だって傑、ご都合呪霊とか持ってないの? 持ってろよそれぐらい!」
諦めんなよ、諦めんなよマジで!
「あのね? 術式を持ってる呪霊なんて殆どいないから。とにかく、これですぐ解決ってのは無理みたいだね。ラルゥ!」
「あら、気づいてたのね、傑ちゃん」
「ああ。聞いていた通り、悟が困った事になっていてね。とりあえず調べられても大丈夫な携帯を用意してほしい。私はちょっと電話してくるから。悟を守っていてくれないかな。一応、呪霊の護衛もつけるし」
「傑、帰ってくるよな? 大丈夫だよな? 信じていいんだよな?」
「さて、ね。君の記憶はなんて言ってる?」
「傑がいれば絶対大丈夫」
「っ 言っておいて悪いけど、悟の記憶は無闇に読まない、内容は人に教えない。守れないなら助けてあげない」
「守る、守ります! だから早く帰ってきて!」
「すぐ戻るよ。君を放っておくのは不安だからね」
そうして、傑は出かけて行った。
ラルゥは俺に向き直る。
「さて、貴方、悪霊って言ったけど。呪霊ではないの?」
「死んだ記憶がある? あった? と思うので、人間……だと思う! もし万一呪霊でも、人権は認めてほしいなって」
「はぁ。五条悟を助けるって事は、貴方は消えるって事よ。それはいいの? 手に入れた最高の体を活用しようと思わないの?」
「来世に期待。っていうか最高じゃねーよこんな呪いに浸かった体。方々から呪われまくってるし、目は見えすぎてろくに見えないし。特に視界、抽象画かよ」
「ふぅん? 六眼って大変なのね」
「とにかく、一般人が戦えると思うなよ! なんなら虫殺すのも嫌なくらいだからな!」
「それなのに良く五条悟を乗っ取れたわねぇ」
「それな。謎。ほんと謎。呪術界のお宝は大事に守られててください、マジで」
「盗んだ貴方が言わないの」
その後、ラルゥは色々と俺の事を聞いた。俺の素性を見つければどうにかなるかもしれないと。
でも俺、多分憑依者だからこの世界に素性なんてないと思うんだよなぁ。知らんけど。
不安に押しつぶされそうになる頃、傑が帰ってきた。
「傑! どうにかなりそう!?」
「あはは。どうにもならないね! いや、困ったね。一緒に百鬼夜行する?」
「ええええええ。俺は成仏する意欲はあるんだよ! 優しくしてくれれば!」
「自分でなんとか悟に体返せないの?」
「できたらとっくにやってる。どうすんだよ、スピード解決しないと暗殺RTA始まっちゃうじゃん。呪詛師とかメロンパンとか呪霊とかメロンパンとかあとメロンパンとか」
「君はメロンパンに呪われてでもいるのかい……?」
そこで俺は閃いた。
俺はメロンパンの部下って事にすれば、原作知識の理由づけが出来るのでは!?
思い立ったら即行動だ!
「一個思い出した! 俺の上司くっそクズでさぁ」
俺が愚痴と共に怒涛の原作知識を喋ると、アイアンクローを食らった。
「じゃあ何か? 私の大義は君の上司が誘導したものかもしれないということかな?」
「ならこの事態もそのメロンパンの策略ではないの?」
「そうだったらもっと最悪の事態になってただろ。つまりこれはイレギュラー! ザマァ!」
「ザマァなめにあってるのは君と悟なんだけどね。はぁ、だとしても私はもう戻れる所にはいないし、ああ、くそっ 悟を封印? 日本壊滅? ひょっとこみたいな呪霊だったら面白い? ふざけるなよ」
「傑は大人しく火葬されてどうぞ」
今度はラルゥにアイアンクローを食らった。
傑は肩を落とした。
「はぁ。そう、だね。それも仕方ないのかもね。でも、私が死ぬのは、悟を助けてからだ」
「傑ちゃん……」
それから、傑は「家族」達と長い間話し合っていた。
憎しみで人が殺せるなら、俺はミミナナに殺されてるんだろうなってぐらい睨まれた。
体は無事に確保せねばならないという理由で傑が止めてくれたけど。
そういうわけで、傑は色々縛った上で投降する事となったのだった。
俺のせいでほんとごめん。
「お前の作品はキャラ崩壊が酷すぎてテロレベルだからこれから悟テロタグをつけろ(意訳)」と幽霊さんに脅されるめっちゃリアルな夢を見ました。怖かった。生き霊かな?
でも悟テロは別の意味になってしまうと思うんだ。
ちゃんと毎回アンチタグを付けてる(多分)ので、それで勘弁してください。