気がついたら、呪霊に襲われている状態だったので呪霊を倒す。
体が重い。うまく動かない。呪力が少ない。反転術式で傷を治しつつ、現状把握に努める。
なんとか思い出そうとすると、自分ではない誰かの記憶が掘り起こされた。
「うーん? 多分、これ術式、人格を入れ替えるって奴だね。凶悪……いや、参ったね」
更に術式を探り、分析する。
「元の体にはあっさり戻れそうかな」
しかし、普通の人の視線はこんな感じなのか。とても見やすい。
「……なんとかなるでしょ!」
僕は、新しい体での休暇を取る事とした。
1週間ほど経っただろうか。
十分に満足し、そろそろ戻ろうかと体を入れ替える術式を使う。
布団に傑がいた。布団に傑がいた。
何してくれやがったんだこいつ。
必死で記憶を手繰る。
暗殺者に襲われて、びびって相手ミンチにしてパニックになった。それで夜も一緒にいたいって我儘言ったと。なるほど。
傑は僕が戻り次第、僕の手で火葬する事になってる。は? 絶対に嫌だけど???
何勝手してるんだよ。なんで偽物の方がいい目見てんだよ。
天元様操れるから、殺す未来は避けられない、か。くそっ
しかし、メロンパンってなんだよ? お前は一般家庭だったろ。
嘘八百の割には、宿儺の器とか色々言い当てている。なんだこいつ。
じっと傑を見つめていると、傑が目を覚ました。
「明日……早いから……ちゃんと寝な……」
頭を撫でられる。傑の手。無理だ殺せない。
僕は傑に身を寄せながら、考えた。
朝食の時。
「悟。君が無事で良かったよ」
「なんだよ、昨日の話?」
「今の話。君、本物の悟だろ?」
「……わかっちゃった?」
「まあね。状況はわかる?」
「なんとなく」
「そうか。じゃあ、私の火葬はよろしく頼むよ」
「え。嫌だ」
「悟。私は罪を犯し続けてきた。秘匿死刑は避けられない事だ」
「嫌だ。大体お前、大義はどうしたんだよ」
「悟。わかってるはずだ」
「お前はそれで良いのかよ!」
傑は、笑った。
「……君が」
「?」
「君が、今もまだ。私の事を親友で最強で頼りになって色々教えてくれる大好きで大事で世界に色がついてお人好しって思ってくれてる事を知ったからね。もう、それでいいや。満足だよ」
「傑……俺、違う体で1週間過ごしたんだ」
「うん」
「今のままだと不安があるから、任務二人でこなしてからにしてくれよ。メロンパンだって殺さないとだろ」
「いいよ。君も、新しい情報があったら教えてよ」
「それが、なんか監禁されててさっぱり。ほら、違う体は弱いしさ。なんとか術式使いこなして1週間で逃げてきたんだけど」
「それは……大丈夫なのかい? プチパンは?」
「一応脱出してから術式使ったからなんとかするでしょ。それよかほら慰めて」
「はいはい。でも、現在地とか……」
「わかんね」
そうして、俺は全力で傑に甘えることにしたのだった。