ではどうぞ!
「リゼさん、何してるんですか?」
僕は隣で何かやっているリゼさんに声をかけた。
「ラテアートだよ。カフェラテにミルクの泡で絵を描くんだ。」
リゼさんが作ってたラテアートはハート型のものだった。
「すごいですね!」
「この店ではサービスでやってるんだ。」
「描いてみるか?」
「え?ああ、はい。」
僕はラテアートに初挑戦することになった。
「ココアも描いてみるか?」
リゼさんは近くにいたココアに声をかけていた。
「何を?」
「ラテアートだよ。」
「絵なら任せて!これでも金賞もらったことあるんだ!」
「それ、町内会小学校低学年の部…とかじゃなくて?」
「!?」
どうやら僕の言ってた事はあってたらしい。
「まあ、手本としてはこんな感じに…」
そういうとリゼさんは慣れた手つきでラテアートを描く。完成したラテアートは顔だったりハートだったりと様々だった。
「すごい!すごい!」
「そ、そんなに上手いか?」
「上手だと思いますよ。僕にはそんな器用なことは出来ませんし…」
「リゼちゃんも絵上手いんだね!ねえ!もう一個作って!」
ココアはリゼさんに頼む。
「しょ、しょうがないな…特別だぞ?」
「ほんと!?」
「ココア、やり方も覚えないと…」
リゼさんはなんかやばい動き方をしてラテアートを作っていた。
(こんなマジになる人初めて見た…)
そしてラテアートが完成。できたのは砲口から煙を上げる戦車だった。
(戦車!?)
「すごいすごい!!」
「しかも迷彩柄まで再現されてるし…」
「まったく、そんな上手くないって!」
そんなこと言いながらもリゼさんは少し誇らしげに腕組みをしていた。
「上手ってレベルじゃないよ…っていうか人間業じゃないよ!」
「よーし!私もやってみるよ!」
「頑張れ。」
僕たちはラテアートに実践することになった。
ココアは真剣な顔つきでラテアートをやっている。
(うっ、難しい…)
「はぁ…なんか難しい…イメージと違う…」
ココアのラテアートはウサギだった。
((かわいい!))
このとき僕とリゼさんが同じことを思ってたことはすぐに気づいた。
「わ、笑われてる!」
「いやココア、これは多分…」
(僕と同じことを思って、隠しきれなくなったか。)
「そ、そういえばユキはどうだ?」
リゼさんはどうにか隠すために僕の方に来た。
「え、えっと僕のは…」
「どうなってんだ?絵が見えないぞ?」
僕のラテアートは容量をミスってドバッと入れてしまったため、泡ですごいことになっていた。
「あはは、言わないでください…」
この頃隣ではチノさんがラテアートを描いていた。
「ほ、ほら…チノさんがラテアート描いてますし、そっち見に行きましょう?」
「お、おう…」
「できました…」
チノさんの作ったラテアートはどこかで見たことのあるものだった。
「なんか美術館で見たことあるぞ?これ…」
ココアはそれを見た後チノさんの左手を掴んで喜んでいた。
「ココア、多分これは同じにしてはいけない…」
時刻は夕方になり、終業時間になった。僕は3人が着替え終わるのを更衣室の外で待っている。
「じゃあな!」
「お疲れ様でした。」
「バイバーイ!」
「さようなら!」
僕たちはリゼさんが帰るのを見届けると中に入った。
「夕飯はシチューでいいですか?」
チノさんはエプロンをつけて料理を作ろうとしていた。
「野菜切るの任せて!」
「いえ、一人で大丈夫です。」
ココアはそれを聞いた後少し浮かない顔をしたが、何かを思いついていた。
「チーノちゃん!」
ココアが見せたのは僕たち四人を描いたラテアートの写真だった。
「これって僕たち?」
「さっき密かに作ってたんだ!」
その時、後ろにあったドアが開いた。
「何者?」
僕はココアの訊き方が少しアレと感じた。
「こちら父です。」
「やあ、君たちがココア君とユキ君だね。この家も賑やかになるな…今日からよろしく。」
「はい、こちらこそ。よろしくお願いします。」
「お世話になります!」
僕に少し遅れてココアも挨拶をした。
「こちらこそ。」
チノさんのお父さんが頭を下げるとティッピーは父さんの頭に移った。
「チノをよろしく。じゃあ。」
僕は今思った疑問をチノさんに問いかけた。
「そういえばお父さんとは一緒に食べないのですか?」
「ラビットハウスは夜なるとバーになるんです。父はそのマスターです。」
「そうなんですね。」
「悪の世界の情報提供しそうで…カッコいいね…!」
「そんなアニメの世界じゃあるまいし…」
「ユキくんは夢がないなあ。」
「…何の話ですか…」
夢がなくて悪かったな。僕はそんなことを思いながら席に着く。
「お、いい匂いがしてきた。」
「そろそろかな?」
「もうすぐです。」
キッチンの鍋からシチューの匂いがしてきた。
「こうしていると姉妹みたいだね!」
「姉妹…ですか…」
そう言うとチノさんは一呼吸おいてまた口を開けた。
「ココアお姉ちゃん…ですね。」
それを聞くとココアはただでさえ高いテンションがさらに上がった。
「もう一回言って!」
チノさんはその言葉を無視するとシチューを皿に盛って机に置いた。
「「「いただきます。」」」
「お願い、もう一回!」
ココアは水を注ぎながらもう一回願っている。
「ココア、そんなに嬉しかったの?」
「そりゃそうだよ!」
「言ったのは失敗でした…」
チノさんは食べながらさっきの言動を後悔していた。
僕たちが食べ終わるとチノさんは1人で皿洗いを始めた。僕は「手伝いましょうか?」と聞いたが、作るときと同じように断られた。
「お願い…もう一回…」
ココアはまだ言っている。
「ココア、流石に諦めなよ。」
「そんなあ!」
チノさんは皿洗いを終えると風呂に入りに行った。
(僕が先の方が良かったな…)
僕はそんなことを思いながら椅子に座っている。
「ここでやってけるのかな…」
「ねえココア、君はどう思…っていないし…」
ココアの意見を聞こうとした時にはココアはいなかった。
それから少しして、スマホをいじっているとココアたちが出てきた。
「じゃあ入ってきますね。」
「おやすみ、ユキくん!」
「おやすみなさい。ユキさん」
「おやすみなさい、ココア、チノさん。」
僕は2人におやすみを言って風呂に入った。
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風呂から出ると2人はいなかった。僕もすぐに自分が使う部屋に向かった。
「今日は色々な出会いがあったな…」
スマホをいじりながら僕は今日のことを思い返していた。電車で会ったココア、下宿先で会ったチノさん、リゼさん、ティッピー、チノさんのお父さん。
「人間関係に困ることはもうないな。」
初めは友達ができるか心配だった。神戸にいた頃は友達には困らなかったが、ここは新天地、故郷から遠く離れて知っている人のいない新天地だ。だったがココアたちがいたことで心配は一日で消え去った。
「ありがとう、ココア、チノさん、リゼさん。」
僕は10センチ横ですら聞こえない声で呟いた。
ということで終わりです。次回からは二羽目に入りますが、多分ここまで詳しくは書けないです。(二羽目以降は無料で見えませんから)まあ他の方の作品を見ながら大まかなセリフを掴んでいこうと思います。
ではまた次回!