下宿先がはちゃめちゃすぎる件   作:日本国民

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どうも。いつの間にか前回から2ヶ月経ってしまいました……時が経つのは早いですね。
ではどうぞ!


買い物とカフェイン酔いする人

「この店のカップって、無地だよね。」

 

ある日、ココアがこんなことを口にした。

 

「そうだね。なんでいきなり?」

 

「シンプルイズベストです。」

 

チノさんはなぜか知らないけどムッとしている。よく見ると頭の上のティッピーもなんか頷いていた。本当に兎か?

 

「だけどもっといろんな色があった方が楽しいんじゃない?」

 

「そうかな?」

 

「それでね!この前面白いカップを見つけたんだ!」

 

「へぇ、どんなのだ?」

 

絶対本題これだなと思いながらココアにペンとメモ紙を渡す。

 

「こんな感じだよー」

 

メモ紙に描かれたのは確実に飲み物を入れるような物ではなかった。

 

「これ、アロマキャンドルじゃないか?」

 

僕は少し呆れて苦笑いを浮かべた。それにしても、カップが少ないのは事実だ。デザインや色は別として買うのも悪くはないだろう。

 

「チノさん、カップも少ないですし買いませんか?」

 

「ユキさんが言うのなら……明日学校帰りに見に行きましょう。」

 

------

 

僕たちは次の日の放課後、カップを買うために市内にある陶器専門店に入った。

 

「わー!可愛いカップがいっぱい!」

 

「あんまりはしゃぐなよ。」

 

店に入るとココアのテンションが一気に上がる。リゼさんがそれを注意するがその数秒後には店内の棚に頭から衝突した。

 

「ココア……」

 

僕はそんなココアに少し呆れた。ちなみに棚にあった写真立てはチノさんがキャッチし、リゼさんがココアを抱きとめたことで大事にはならなかった。

 

「ごめんね……あ!」

 

少々腫れた額を撫でていたココアはチノさんがキャッチした写真立てに注目した。

 

写真にはカップの中に入っているウサギが収められていた。

 

「可愛いね!うちもティッピーでやれば注目度アップだよ!」

 

「ティッピーが入るようなカップなんてあるの?」

 

「ありました。」

 

「あったんですか!?」

 

まさかあるとは……とりあえずその大きなカップにティッピーを入れてみる。

 

「なんか…」

 

「違いますね。」

 

「茶碗に盛られた白米かな?」

 

カップの中に入ったティッピーは食卓に出されても気づかないぐらいには白米であった。

 

「とりあえず……ティッピーを出して買いましょうか。」

 

「え?買うの?」

 

「だってティッピー入れちゃったし……これを売り物にするわけにはいかないと思うよ?」

 

チノさんがカップからティッピーを出すと僕はそれを持ってレジに向かう……結果として僕の財布がすっからかんになった。

 

「あ、これなんかいいかも……」

 

ココアがカップに手を伸ばすと他の人の手とぶつかった。

 

「あ…!」

 

「その……」

 

2人は気まずそうにしていた。僕たちはそんな状況を助けようとせず遠目で見る。

 

「こんなシチュエーション、漫画で見たことあります。」

 

「こういうのってよく恋愛に発展するよな。」

 

「女子同士ですからなんとも言えませんけどね…」

 

そんなことを話しているとリゼさんがとあることに気づく。

 

「あれ?シャロじゃん。」

 

「リ、リゼ先輩!?どうしてここに?」

 

「バイト先の喫茶店で使うカップを買いに来たんだよ。」

 

「お知り合いだったんですか?」

 

二人が話している中でリゼさんに聞いてみる。

 

「ああ、私の高校の後輩だよ。ココアやユキと同い年。」

 

「え?リゼちゃんって年上だったの?」

 

「今更!?」

 

「そういえば僕も知らなかったな…」

 

「ユキも!?」

 

リゼさんは驚いていたが多分だがココアも含めてリゼさんからその旨の話は聞いたことなかった。

 

「シャロも何か買うのか?」

 

「いえ、私は見てるだけで十分なので。」

 

「見てるだけ?」

 

珍しい趣味だなと思いながらも僕は皆の話を聞く。

 

「ウィンドウショッピングってやつですか。」

 

「それは変わった趣味だね!」

 

「いやココアがそれ言うか!?」

 

日本一であろうもふもふ常習犯がそれを言うのか……

 

「二人は学年が違うのにいつ知り合ったんです?」

 

「それは…暴漢に襲われそうになったのを助けてもらったの。」

 

「へぇ〜かっこいい!」

 

「萌香市ってそんなに治安が悪かったのか……」

 

「ん?」

 

僕たちは各々リゼさんに対する感想を抱くが、リゼさん本人は何か疑問があるようだった。

 

シャロさんはその時のことを言っていく。どうやらシャロさんが暴漢に追われ、路地裏に追い込まれたところをリゼさんが銃を発砲して追い払ったらしい……リゼさん、たとえモデルガンでも街中で銃ぶっ放したら補導ものですよ?

 

「違う!そんなことは言っていない!本当は…」

 

「ああ!言っちゃダメです!」

 

リゼさんが待ったをかけるとリゼさんがその時のことを言い始めた。

 

本当はシャロさんの前にいかにもガラが悪いうさぎが道を塞いだところをリゼさんが追い払って助けたらしい……うん、だいぶ脚色したね…

 

「うさぎが怖くて…悪い?」

 

僕たちの視線に耐えられなかったのかシャロさんが言う。

 

「いや、うん……この町で過ごすの大変そうだなぁと…」

 

まぁシャロさんからしたらそのうさぎは暴漢だったのだろう。

 

「あっ!」

 

シャロさんは振り返って後ろにあるカップを取ると僕たちに見せる。

 

「こ、このティーカップどう?」

 

「話を誤魔化そうとしてますね。」

 

「違うの!」

 

チノさんの鋭いツッコミにシャロさんはかなり慌てていた。

 

「ほら見て、この形。香りがよく広がるの。」

 

「カップにも色々あるんですね。」

 

もうこれ以上の追求は流石にダメだと感じ、向こうの話に乗ることにした。

 

シャロさんはまた別のカップを取って見せる。

 

「こっちは持ち手の触り心地が工夫されてるのよ。」

 

「わぁ〜気持ちいい、なるほどね。」

 

「詳しいんだな。」

 

「上品な紅茶を飲むにはティーカップにもこだわらなきゃです!」

 

僕はなるほどと思いながらシャロさんのティーカップの話を聞く。非常に勉強になった。まぁ紅茶飲めないんだけどね…

 

「確かに、カップをそういう方向性で見たことなかったかも。」

 

「うちもコーヒーカップは丈夫でいいものを使っています。」

 

「私のお茶碗は実家から持ってきたこだわりの逸品だよ!」

 

「何張り合ってんだ?」

 

「さぁ?」

 

三人の張り合いを僕たちは困惑しながらも見る。まだチノさんは分かるが……ココアのは千歩譲っても分からない気がした。

 

「でも僕たちは喫茶店ですからカップもコーヒーカップでないといけませんね。」

 

「えっ!?そうなの!?リゼ先輩のバイト先行ってみたかったのに……」

 

「あれ?もしかしてコーヒー苦手?」

 

ココアがもしかしてと尋ねるとシャロさんは頷いた。

 

「砂糖とミルク一杯入れれば美味しいよ?」

 

「まさか僕と同じタイプだったとは……」

 

シャロさんも苦いのが苦手だと思ったらシャロさんは違うと言った。

 

「に、苦いのが嫌いなわけじゃないのよ……ただ….カフェインを摂ると異常なテンションになるみたいなの…」

 

「コーヒー酔い!?」

 

「そんなのあるんですか!?」

 

「あるにはありますが…日本人では珍しいですね。」

 

日本人は日頃から緑茶などカフェインの入った飲み物を飲むためカフェインには少々強いと言われているが……

 

「飲めなくてもいいから遊びに来なよ。」

 

「うちの喫茶でもカフェインレスのを取り扱った方がいいかもしれませんね。」

 

話がひと段落するとココアの意識が他のものに移り始めた。

 

「あ、このカップオシャレ!って思ったら高い!」

 

「5万……」

 

「流石に買えないですね。」

 

「アンティーク物はそれぐらいするわよ。」

 

そんなことを話しているとリゼさんが何かに気づいた。

 

「あっ、これ…」

 

「どうしたんですか?」

 

「昔、的にして撃ち抜いたやつじゃん。」

 

「「「「えっ…」」」」

 

これまでリゼさんによって撃ち抜かれた物の総額はいくらになるのだろう……僕はそんなことを考えてしまった。

 

------

 

「チノちゃん!お揃いのマグカップ買おうよ。」

 

「私物を買いに来たんじゃないですよ。」

 

色々あったことでココアは本来の目的を逸脱した行動を取りはじめ、チノさんとマグカップを買おうとしていた。

 

「……」

 

リゼさんはそんな二人に羨望の眼差しを向けていた。そしてシャロさんはそれを見て心配していた。

 

「マグカップ、リゼさんと買ってきたらどうです?」

 

「えっ!?」

 

僕はシャロさんに提案する。

 

「リゼさんもきっと喜びますし、良いのでは?」

 

僕の提案を受けてかその後すぐシャロさんはマグカップを持ってリゼさんに近づいて行った。

 

「これなんて色違いのセットで…か、可愛くないですか?」

 

「ああ、それ可愛いな!」

 

(ってこれよく見たら恋人用!?)

 

シャロさんはなぜか赤くなっていた。

 

「よし、買うか。シャロに一つあげるよ。」

 

だがそれもリゼさんの返事を聞くと笑顔に変わっていた。

 

「わぁ〜…、あ、ありがとうございます!」

 

「シャロちゃんは高いカップにも詳しくてお嬢様って感じだね!」

 

「お嬢様!?」

 

シャロさんはココアの放った言葉に大袈裟に驚いた。

 

「カップとお嬢様は関係ないだろうけど…確かにそうだね。」

 

「その制服の学校は秀才とお嬢様が多いと聞きます。」

 

「おまけに美人さんだし、完璧だよね。」

 

みんなでシャロさんを褒め称えていく。シャロさんはリゼさんの方を向く。

 

「シャロにとってはこのカップも小物当然だろうな。」

 

「五万を撃ち抜いた人が何言ってるんですか。」

 

僕は思わずツッコミを入れたが確かにそうだ。中には数万という僕たちが絶対手に入らないような物もあるが、シャロさんなら簡単に買えるんだろう。

 

シャロさんはカップを持ち、髪をかき上げた。

 

「末代まで家宝にしますけど?」

 

「お嬢様ポーズだ!」

 

「本当…様になってますね。」

 

「髪もカールしてて気品があります。」

 

「癖っ毛なんですけど……」

 

どうやら二人の中でシャロさんはお嬢様ということで定着したらしい。まぁ実際そう思われても仕方がないと思うが…

 

「やっぱりキャビアとかトリュフとか食べるんですか?」

 

「そ、そういうのはリゼ先輩に聞いた方が…」

 

確かに、リゼさんも同じ学校の学生なのだからシャロさんと同じような物を食べているかもしれない。

 

「う〜ん?私がよく食べるのはジャンクフードと…レーションかな?」

 

「え?レーション?あの軍用携帯食の?」

 

僕は思わず聞き返す。どの世界に主食軍用食の人間がいるんだ…

 

「え?そうだぞ?」

 

リゼさんはそれをさも普通かのように答える。お嬢様ってなんだっけ……?

 

「即席で食べられる物っていいよな!」

 

「分かります!卵かけご飯とか美味しいですよね!」

 

なんか微妙に話が違う気もする。

 

「きっと卵ってキャビアのことだよ。」

 

「ココア!?」

 

ココアがついに壊れた……僕はそう思ってしまった。




ということでこれで終わりです。決して投稿をサボった訳ではありません。ただ夏を謳歌し、病気に3度罹っただけです。
ではまた次回!
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