下宿先がはちゃめちゃすぎる件   作:日本国民

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できる限り早く投稿すると言ったな。あれは嘘だ。


好き嫌いと身長

ある日の朝。僕が作った朝食を3人で食べている時にそれは起こった。

 

「「……」」

 

先ほどまで美味しそうに食べていたココアとチノさんの手が止まる。僕は何事かと思い2人の視線の先を見る。

 

(なるほど。)

 

ココアの視線の先にはコップに注がれたトマトジュースが、チノさんの視線の先には皿に乗っているセロリがあった。おそらく嫌いなのだろう。

 

「ごちそうさまでした。」

 

僕が完食し片付けに行こうとすると、突如視線を感じる。

 

振り向くと2人が期待の込められた視線を僕に向けていた。

 

「そんなにそれが嫌いですか?」

 

「「……!うん!(はい!)」

 

ほぼ同時。もう君たち姉妹でしょ。それで、こう言われたならば仕方がない。

 

「………分かりました。」

 

僕は2人の苦手なものを処理した。正直2人のためには良くないのだろうけど。

 

------

 

「チノちゃん。好き嫌いせずにセロリも食べなきゃダメだよ?」

 

3人での登校中、ココアがチノさんに対してそんなことを言う。

 

「そういうココアさんだって、トマトジュース一口も飲んでませんでしたよ?」

 

それに対してチノさんは反論する。ココアはそれを聞くと笑って誤魔化した。どんぐりの背比べとはこのことを言うのだろう。

 

「………どちらも、でしょう?」

 

「「うっ……!」」

 

僕の一言は2人には相当刺さったようだ。

 

「で……でも!好き嫌いは私よりもチノちゃんの方が多いよ?我慢して食べなきゃ大きくはなれないよ?」

 

ココアが苦し紛れにそう言い放つ。

 

「心配はいらないです。ココアさんと同じ年の頃には私の方が高くなっています。」

 

「そっか〜。」

 

チノさんの言葉にココアは納得したようにそう返した。いやなぜ今の言葉が納得できるんだ?

 

「根拠はどこに……?」

 

僕は小さくそう呟く。その数秒後、ココアが僕の方を向く。

 

「ユキくんも好き嫌いあるよね?」

 

「えっ?あ、うん。苦いもの全般がダメだね。」

 

「ユキさんも人のこと言えないじゃないですか。」

 

チノさんが少々不満そうにそう言った。

 

「そうですね。」

 

痛いところ突かれたな………そう思いながら少し苦笑いをする。

 

「そういえば……チノちゃんって毎日頭にティッピーを乗せてるよね?それで身長伸びるのかな?」

 

「はっ……!」

 

ココアの発言にチノさんは結構なショックを受けたのだった。

 

------

 

その日の帰り、僕は野暮用で帰るのが少し遅くなっていた。遅れる連絡はしたが急がなければ。

 

「やばいやばい!」

 

そうして慌てていた僕はラビットハウスの正面のドアを開ける。

 

「ぃいらっしゃっせえぇ!!」

 

「………」

 

リゼさんの喫茶店には過剰すぎるその感謝の言葉は僕が言おうとした「すみません遅れました!」という言葉を宇宙空間へと吹っ飛ばした。

 

「あ、ユキ……」

 

「ユキさん……」

 

「ユキくん……」

 

客だと思ったのが僕だったせいか、3人は少し恥ずかしそうにしていた。

 

「えっと………僕がいない間に何があったんですか……?」

 

------

 

服を着替えてから話を聞いた。なんでもチノさんの身長を存在感で補填しようと考えたらしい。いや無理でしょそれは。

 

「……一応聞きますが、発案は?」

 

「私だ。」

 

僕がそう問いかけるとリゼさんが手を挙げた。

 

「リゼさん……チノさんにこの案は合いませんよ。それにここ喫茶店ですし………」

 

「そ、そうだよな……」

 

「そしてチノさんも、別に無理に頑張ろうとしなくてもいいんじゃないですか?別にいつかは大きくなりますから。」

 

僕のその言葉にチノさんはそれじゃダメだと言った。

 

「最低でもココアさんよりは大きくなりたいんです!」

 

「ユキさんはなにか身長が高くなる方法は知りませんか?」

 

チノさんがそんなことを聞いてくる。

 

「うーん………よく食べてよく寝るというのはよく聞きますね。」

 

「もしかして、セロリを克服すれば大きくなりますか!?」

 

「えっ?それは………多分?」

 

僕がそう答えるとチノさんは何かを決心したように拳を握った。

 

「なら私、セロリを克服します!」

 

「おお!チノちゃん偉いね!よし、私も苦手なトマトジュースを克服するよ!」

 

ココアもそれにつられて苦手なトマトジュースを克服すると宣言した。

 

ココアはそうと決まればとチノさんと一緒に奥の方に行ってしまった。お客さんがいないとはいえまだ営業中なんですが?

 

「ちょっ!……行っちゃった。」

 

この十数分後ココアとチノさんがトマトジュースとセロリと共に机に突っ伏しているのが発見されるのはまた別の話。

 

------

 

なんやかんやあって終業後。

 

着替え終えて一階に降りようとしていると女子更衣室からココアの声が聞こえてくる。

 

「チノちゃんは大きくなっちゃダメ!食べちゃダメ!寝ちゃダメぇ!」

 

ココアはチノさんに死ねと言っているのか?まあいいや。………ん?

 

「あれ?千夜からメール?珍しいな。」

 

僕は手に持っていたスマホに千夜からメールが届いたのを確認した。

 

メールを開くと、「チノちゃんが夏バテみたいなの!ちゃんと栄養と睡眠をとらせてあげて!」と書かれていた。

 

……チノさんが夏バテ?そうは見えなかったけど。

 

僕は半信半疑で着替え終わったであろうチノさんに聞いてみることにした。

 

「チノさん、体調大丈夫ですか?」

 

「いきなりどうしたのですか?」

 

「いや、千夜からチノさんが夏バテって聞きまし「え!チノちゃんが夏バテ!?」

 

いきなりの大声に思わず声がした方を向く。そこには遅れて着替えを済ませたココアが驚愕の表情でいた。

 

ココアは台所にあったトマトジュースを手に取って駆け寄り……

 

「栄養とって、いっぱい寝なきゃダメぇー!」

 

「どっちですか!?それと私は夏バテじゃないです!」

 

大変だな、チノさん。そんな事を思いながら目の前の状況を見る。

 

「とりあえず、夏バテじゃなくて良かったです。」

 

それにしてもなんで千夜はそんな事を言ってきたんだ?




今回はかなり文章量少なめです。次回書く内容も今回にまとめれば良かったと少し後悔しています。
それと投稿の件は……もうノーコメントにします。
ではまた次回!
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