黒幕希望のクロウン   作:一般通過犬

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見切り発進上等の精神でやります。
ただやりたいシーンとかは考えてます。
全部頭の中です...


Ep0
Ep0-0「始まり」


 

 -Blue Archive-

 

 それは「日常で奇跡を見つけるRPG」「透き通るような世界観で送る学園RPG」をコンセプトとした萌え系アプリゲーム。

 

 物語の舞台となるのは、数千の学園が連邦を形成する超巨大学園都市「キヴォトス」。

 ここでプレイヤーはキヴォトス外からやって来た先生であり、シャーレという組織に所属している。

 プレイヤーは先生として生徒たちから舞い込む相談や厄介事を解決していく

 

 ...と言った感じのゲームなのだ。

 

 

 まず、何故この説明を挟んだのかに関してだが、一言で説明するならば私はこの世界に転生していた。

 

 もちろん最初は困惑と錯乱をしたが、何故だかすぐに落ち着いて納得してしまった。

 まずは自分は何をしていたのか、ここに転生する前は何をしていたのかを思い出そうとした。

 

 しかし、前世の自分自身と言ったような内容は何も思い出せなかった。

 

 逆に、自分はついさっきまで普通にこの世界で暮らし、過ごしていたように感じる。

 そして、それに違和感すら覚えなかった。

 

 何故なのか、どうしてなのか。

 そんな興味が胸中を渦巻いていたが、一先ず抑えて今後どうするかを悩もうとして今に至る。

 

────────────────────────────

 

「しかし、不思議なものだなぁ...」

 

 そう言いながら、自室の机の上に置かれていた生徒カードを見る。

 そこには糸目に黒髪ボブ、何を考えているのか分からない表情の自分の写真と「浅見 カナコ」という自分の名前が書かれている。

 

「とりあえず...今後はどうするか...」

 

 冷蔵庫から好物のコーヒーのペットボトル飲料を取り出し、そのまま直飲みする。

 もし、この世界が本編ならばいつの時間軸だ? 

 本編じゃないのなら、どの二次創作の世界だ? 

 知っているのか、知らないのか。

 

 そして、"先生"はいるのか、来るのか。

 

「そこが問題だよなぁ...はぁ...」

 

 

 

 

 そもそも、Blue Archiveのメインストーリーは先生が生徒の手助けをしながら、生徒自身が自分で前に進んでいくストーリー...だと私は思っている。

 そしてそれと同時に、それらのストーリーは全て奇跡の上で成り立っている。

 まるで針の穴に糸を通すような奇跡だ。

 

 故に、この世界でハッピーエンドが訪れるとは限らない。

 

 もしかしたら先生がどこかで病気を患うかもしれない。

 もしかしたら先生が流れ弾に当たって死ぬかもしれない。

 もしかしたら先生がゴミ屑野郎かもしれない。

 もしかしたら───先生が、来ないかもしれない。

 

 この物語の通過点は知っていても、結局は現実だ。

 だから、それは"可能性の一つ"でしかない。

 そもそも、あのPVのスチルたちのようになる可能性だってもちろんある。

 こちらは本編ではなく、"色彩の嚮導者"の世界線かもしれない。

 

 

 

「とりあえず...一ファンとしては先生には生徒たちと仲良くして、救って、前に進んで欲しいよなぁ...」

 

 ため息をつきながら、ふと言葉を溢す。

 そして、自分が何となく零した言葉でピンと来た。

 

「そうだ...別に自分がいる時点でこの世界は"イレギュラー"なんだから、好きにやっていいんだ」

 

 立ち上がり、生徒カードをもう一度よく見る。

 そこには自分の名前と「ゲヘナ学園 中等部 一年」と書かれた文字。

 記憶の中を振り返る限り、存在しない「D.U.復興」と「シャーレ」の単語。

 

「...私が、先生を導いて...先生に、生徒を導いてもらう」

 

 こうすれば、未来は変わらない。

 ハッピーでもバッドでもない、"トゥルーエンド"。

 みんな笑顔にはならないが、キヴォトスは滅ばない世界。

 これを作り上げる。ついでに悪役気分も味わってみたいかも。

 

「端的に考えれば、先生が来るのは恐らくまだ先...だったら、今は土台を整えるしかない」

 

 机の上にノートを置き、ペンを取る。しかし、何を書こうかとペン先が宙を舞う。

 

「仕込みをするには先ずは信用だ...それに金もマンパワーもいる...」

 

 そして、もちろんそれらを私は持っていない。

 当たり前とはいえ、無駄に壮大な目標にため息が出る。

 

「無理かなぁ...? いや、でも過去の記憶は無くてもブルアカ知識はある様に...前世の知識は覚えてる」

 

 宙を舞っていたペン先が音を立てながら文字を書き込んでいく。

 

「金と信用とマンパワー、これらすべてを補うには会社を立てるしかない。でも、デカくし過ぎれば"カイザー"に目を付けられる...精々、甘い汁を吸って生きているようなレベルの会社にしよう」

 

 カイザーはカイザーコーポレーションを親企業として製造業、建設業、民間軍事事業、金融業などを担当する子会社を持っている。

 これが単なるホワイト企業ならまだしも、生徒に対してかなりグレー...というか、一部ブラックな取引を行っている。

 何なら犯罪の温床と言われているブラックマーケットで銀行を開いている。

 一部というか全部真っ黒だったわ。

 ともかく、キヴォトスの様々な事業に手を出しており、簡単に切っては離せない企業なのだ。

 

「だが、それでも様々な事業には手を出せるレベル位は欲しいな...まぁ、先ずは結果を出さなきゃ意味がない」

 

 あ、ついでに連邦生徒会に入れたらいいなぁ...あそこ入ればさらに裏工作がしやすくなる。

 バレたら何もかもがおしまいだけど、まぁ何とかやればいいか。

 

 思い立ったが吉日、直ぐに支度をして外へ出る。

 

「さぁて...いつか先生に会えると信じて、行きますか」

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

 あれから少しして、何とか起業することに成功した。

 現在は色んな事業に手を出し始めているが、そちらも何とかうまく行っている。

 

「とりあえず、資材を採掘してそれをカイザーインダストリーに売却...そこで作られた物資は卸業者や同じ子会社のカイザーコンストラクションへ流れる...」

 

 自室の椅子に座り、天井を見ながらグダッとしている。

 今日は休日で、社長としての仕事もない。というか、一応社長だけど副社長みたいなポストに実質メインの仕事を任せてる。

 乗っ取られない様に、信頼できる人間を置いているから大丈夫...のはず。

 

「さて、今のうちに不動産業と建設業...あとは、PMCの前身部門も立てておかないと。自分も全部しっかり覚えているわけじゃないからなぁ...」

 

 ため息をつきながら、頭を搔く。

 今はまだ中等部二年。先生が来る気配はない。

 というか、そもそもアビドスがまだ数人レベルまで減っていないところを見ると、まだ先か...

 

「...今のうちに、影の特殊部隊みたいなもん作っておかないとなぁ...カイザーにちょっかいを出せるように」

 

 もちろんメインの部分では先生に関わるつもりはない。

 私は裏で動く黒幕か、黒幕モドキのチンピラ風情でしかない。

 彼女たちの問題の根本は、彼女と先生で解決してもらう。

 それが、私の方針。

 

「でも、信頼できる人間を今から探すって言うのも...あ、そうだ...」

 

 一つ、引き抜いても問題ない"身寄りがない生徒"が集う学校があった。

 アリウス分校地域、ここからなら大きな問題にはならない。

 何ならベアトリーチェがまだ来ていないなら、今頃内戦塗れのやべー場所だったはず。

 人がいなくなっても、死んでも"大事にならない"地域。

 

「結構危険だな...でも、これも未来の為...先生の為だ」

 

 重い腰を上げて椅子から立ち上がり、室内着を脱ぎスーツに着替える。

 この服装が、何時もの仕事着だ。なぜか、不思議と落ち着く。

 

「さて、さっさと動くとするか...時間はあるが、有限だ」

 

 机の上に置かれていたスマホを手に取り、副社長に電話をかける。

 

「...あーもしもし? 急で悪いんだけど腕に自信がある人材を4~5人くらい寄越してくれないかな?」

 

 電話の向こうで副社長が不安そうな声で目的を聞いてくる。

 優秀だが、優秀過ぎて私が何をするのか予想できてしまうのが玉に瑕だな。

 

「え? あぁ、ちょっと人材確保のためにね。危険なことはしないよ、大丈夫」

 

 副社長を雑に説得しながら靴を履き、トリニティへ向かう電車に乗る為に家を出る。

 

「それじゃあ、私の家の最寄り駅に寄越しといて。頼んだよ」

 

 そう言って、副社長の反応を待たずに電話を切る。

 さて、どれくらい早く見つかるかな...

 

 

 

 

 

 

 結論を言うと、直ぐには見つからなかった。

 人数を増やしたとはいえ、トリニティのミカですら直ぐには見つけることが出来なかった。

 ならゲヘナ学園から来た私が見つけることが容易なはずがない。

 唯一の救いはテストの結果と出席日数さえあれば進級できる事だろう。

 故に、ここ数日は学園を無断欠勤している。

 

 そしてついに、見つけた。カタコンベからアリウス自治区へ向かう方法を、

 

「はぁ...長かった...とりあえず、手ごろな子供を数人攫うか...」

 

 護衛を付けながらアリウス自治区の中を歩いていく。

 見るからに治安は最悪...というか、子供を探しに来て歩いているだけで何度も襲撃に遭う。

 金目の物や身代金を盗れるかもしれないからか...? まぁ、自分はアリウス自治区に住んでいるわけではないので不明だ。

 

 しばらく歩いていると、とある子供を見かけた。その子供のヘイローはまるでブルアカのロゴに似ている様な──

 

「──サオリ?」

 

 ポツリと、口から言葉が漏れる。直ぐにその子供の姿は見失ってしまったが、初めて知っている生徒に会えた喜びが何故か沸き上がって来た。

 

「...社長、どうしましたか?」

 

 護衛の一人に声をかけられ、現実に引き戻される。

 

「あ、あぁ...いや、何でもない。とりあえず子供を四人ほどでいい、見繕ってくれ。警戒するなら衣食住を保証することを伝えて連れて来い。しっかりと保証しながら駒として育てる」

 

「はっ、了解しました」

 

 さて...有望な子がいればいいが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、飢えていた4人姉妹を見つけたので、攫うことにした。怯えた様子だったので保護する旨を伝えた後に全員を攫った。まぁ、双方の合意の下だからこれは保護だな。

 訓練についてはこれも副社長に一任してある。私も多少噛ませてもらったが、人材育成関連は私がやるよりも副社長に任せた方がいい。

 何なら副社長にはやらなくていいですとまで言われてしまった。

 

 現在はアリウス自治区から撤退して護衛を乗せた車両で子供達を会社まで運んで副社長に預けた後に自分は自宅へ向かっていた。

 今日まで色々あって疲れたが...まぁ、まだ何とかなるだろう。

 何とかなるはずだ。

 だって、ここで私がへましても...きっと、"先生"が何とかしてくれるはずだから。

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