お隣に天使様が住んでるけど、もう片方の隣に住んでるカプ厨には命を狙われている件   作:周くんと真昼ちゃんいいよね

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かけたから出した。


作戦開始

「周うるさい」

 

「(まじで風邪引いてやがる……)」

 

 

地獄の釜で煮込まれたような悪夢に等しい雨の日の翌日、いつも通りに登校してみれば件の駄目人間こと藤宮周くんは転生者殿が言っていた通り、ウイルスから敗北を突きつけられていた。

 

そんな原作主人公様の様子を見ながら、俺は昨日の会話を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

『そんじゃあんた、明日以降しばらくは真夜中ギリギリまで帰ってくるんじゃないわよ』

 

『それで通報されて困るの俺なんですけど』

 

『この時期なら、そうね……うん、ゲーセンでもいって時間潰してなさい』

 

『ちょっとぐらい話聞いてくれてもよくありませんかね朝比奈さん!?』

 

 

確かに、物語の主軸である2人に関わらない様にするというのであれば、接点のない学校は当たり障りのない位置にいれば済む話であり、いちばんの危険性が高いこのマンションも生活リズムをずらしてしまえば万が一も起こり得ないだろう。

 

 

なおこの作戦は高校生の単独深夜徘徊に対する国家権力、ポリスメンからの補導という俺の社会的地位を著しく下げるリスクを伴う。

 

だが目の前の転生者からは俺の存在はコストとすら思われていない為、関係ないものとする。

 

 

『言ったでしょ。物語は今日から始まってるって。ここであの2人の関係性が崩れる様な事は起こしたくないの』

 

『えぇ……ってかお前だって遭遇する可能性あるんだろ? まだ隣の天使様達にここに住んでるってバラしてないって言ってたし、そうなると色々とやばいんじゃないか?』

 

 

しかし、その作戦は当然ながら目の前の女子高生の形をした化け物にも適応されるわけで。本人としてはまだW主人公との関係を持つつもりは無いと言っていた手前、どうするのかが少し気になっていた。

 

 

『それとも俺と同じ様にどこかで暇潰ししたりするのか?』

 

『私は大丈夫』

 

『……その根拠は?』

 

『隙見つけて下から私の部屋のベランダへ向かってジャンプして飛ぶから』

 

『ふざけんなクソチート』

 

 

Q.転生者は原作キャラクターと同じマンション、同じ階に住んでいる為、遭遇する可能性が少なからず上昇しています。どうすればこの危険を回避できますか?

 

A.人外しか進めないルートによりその可能性を木っ端微塵に粉砕します。物理法則無視も大概にしろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(……しょうがない、従うと言ったからには言われた通り大人しく時間でも潰しておくか)」

 

 

ため息を一つ、二つ、いや三つ。重ねる度に重くなる様な気がしなくもないが、ボロを出す確率の高い俺という爆弾を抱えたこの世界と転生者殿はもっと気が重い事だろう。

 

しょうがなく、本当にしょうがなくだが、警察にお世話になる危険性を承知で夜遅くの街に繰り出すとしよう。

 

 

「にしてもゲーセンか……実は行った事ねぇんだけど、どうだかな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにこれたのしぃー!!!!?」

 

照明と電気が迸り、爆音鳴り響く店内の片隅、テレビ画面では遠く及ばない臨場感で遊んでいるレースゲームのハンドルを握りしめながら込み上げる高揚感に堪らず叫ぶ。結構大きな声を出している筈なのに、周りの騒音が掻き消し誰の迷惑にもなっていない。

 

 

俺もうここに住んでもいい。

 

 

 

 ̄ー_

 

 

 

「遊んだ遊んだ、いやー思ったより楽しいなこれ」

 

ひとしきりレースゲームに興じた後、備え付けられたベンチに腰を下ろした。消費するお金の量に目を瞑れば趣味にしてもいいかもしれん。

 

もっとも、熱中してしまえば破産コースまっしぐらなので、節度を持って楽しまねば地獄行きもやむなし。注意しなければマジでやばい。

 

 

「ん……?」

 

 

そんな風に休憩していると、カラコロと器用に転がりながら突進してくる小銭が足に当たった。

パタリと倒れた小銭を拾うと、あらまびっくり硬貨の王様五百円。

 

普通ならラッキーとなるかもしれないが、こちらにパタパタと向かってくる人間がいるのでそうはいかない。恐らく近くにある自販機で飲み物を買おうとしてぽろっとこぼしたのだろう。

 

 

「すみません、その五百円俺のっ」

 

「だろうな。ほら、もう落とすなよ」

 

 

少し申し訳なさそうな表情を浮かべながら駆け寄ってくる男に向かって、拾い上げた五百円を投げ渡す。慌てて投げられた硬貨をキャッチする男

 

しかし、なんというかすごいイケメンだな。俺と同じ制服を着てるって事は、同じ学校か?接点がないからわからん。

 

 

「……返してもらってなんだけど、俺のじゃないかも知れないぞ」

 

「あれだけ慌ててたのに、俺が拾った瞬間ホッとした顔してたからな。まぁ、もしそれで本当にお前のじゃなかったら、そっちの方が一枚上手だったってだけだ」

 

「なんだそれ」

 

「第一、俺は損してないからな。ぶっちゃけどっちでもいいし」

 

 

笑顔もサマになっちゃって、これだからイケメンは。

 

……しかしなんだ、さっきから感じるこの言いようのない違和感は。なんか大事な物を見落としている致命的な失態というか、喉に詰まった小骨を取り出せないモヤモヤとした気分は。

 

 

 

「変わってるんだな。同じ制服着てるって事は、もしかして同じ学校?」

 

「たぶんね。柴崎光輝、一年生だ。……もしかして、上級生だったりします?」

 

「いや、俺も一年。敬語もなしでいいんじゃないか?」

 

「そうか? じゃあ、遠慮なく」

 

 

イケメンのくせにフレンドリーな奴だ。これならさぞモテるだろう。

 

……だが先ほどから感じる違和感、いやもはや悪寒ともいうべきか。すでに引き返せないアウトを何度も重ねてしまった様な感覚がどうにも拭いきれないのは何故だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は門脇優太。一年生同士よろしく」

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

お 前 原 作 キ ャ ラ じ ゃ ね ぇ か




作戦失敗


『もうどうにでもなぁれ♡』血を吐きかねないプレッシャーの中、異次元の角度から迫る原作の手。イレギュラーはこの死線を掻い潜り、無事何事もなく帰宅する事は出来るのか!?



次回、『光輝爆散 こころ怒りの高速ビンタ』

更新日、未定
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