原作の出来事はほぼダイジェストか回想になると思います。
原作のイベントにオリ主挟むとかとても書けないです…
「(帰りにスーパー寄ろっかなぁ)」
…高校生になって一週間。
私が入学した学校『陽東高校』は芸能科が存在する珍しい学校だ。芸能人やその卵が数多く通っており、ちょっと周りを見渡せばどこかしらで見たことのある顔が散見している。
「(まぁ、私は一般科だから、あんまり関係ないんだけどね)」
両親が海外に行き、日本に残った私は今年から一人暮らしをすることになった。陽東高校を選んだのは特に理由はない。行きたい高校が特になかったので、とりあえず偏差値低めのところならどこでもよかったのだが、両親が『面白そうだから』という雑な理由で選ばれたのが陽東高校だった。
今は都内にあるマンションに住んでいる。初めての一人暮らしだが家事は一通り母に教えられていたし、高校入学の一か月前からすでに一人暮らしを始めていたのだ。それなりに安定した暮らしが送れるようになって安心していた。
「今日の晩御飯はどうしよっか―――わっ!?」
「うぉ!?」
と、考え事をしていたのが悪いのだろう。隣の教室の前を通る際、教室から出て来た直後の男子生徒とぶつかってしまった。
幸いお互いに転ぶようなことはなかった。私は体幹鍛えてるし、相手の男子生徒もそれなりに鍛えてるようで、多少ふらついた私と違ってほとんど動じていなかった。
「ごめん!怪我とかない?」
「あぁ、俺は大丈…夫…」
私は相手の男子を見た。
身長はだいたい170くらいだろうか。スタイルは悪くない。
綺麗な金髪に整った顔立ち…というか、かなりイケメンだ。
ちょっと雰囲気が暗いのが気になるけど。
「ほんとに大丈夫?ごめんね、私の不注意で」
「…」
「あの…?」
…なんだろう、すごく私の顔を凝視してくる。
うぅむ、この感じはもしかして―――
「アイ…?」
「あ~…(やっぱりか)」
「アイ…なのか…?」
アイ…たぶん、昔のアイドルグループ『B小町』の『アイ』のことだろう。私は容姿が彼女に似ているということで、両親と暮らしていた地元では、よくアイのファンだった近所のおじさんおばさんから『生き写し』とか『生まれ変わり』とかしょっちゅう言われてきたのだ。もう慣れている。
でもそれなりに昔のアイドルなのに、よく知ってるなぁ。
「もしかしてB小町のアイのこと?私よく似てるって言われるんだよね~」
「似てる…アイじゃない、のか?」
「もう、そんなわけないじゃん。アイって10年くらい前に亡くなってるでしょ」
そういえばこの男子は一般科か。クラスは違えど私も一般科だ、これを機に違うクラスの人と友達になるのもいいかもしれない。
「初めまして。私の名前は月宮逢…隣のクラスだから、君と同じ一般科の1年生だよ。よろしく」
「星野アクアだ…本名はアクアマリンだが、長いからアクアでいい」
「え、いきなり名前呼びでいいの?」
「芸能科に双子の妹がいるんだ。紛らわしいから名前でいい」
双子がいるのか、しかも芸能科…お兄さんに似て可愛い人なのだろうか。それとも美人さんかな?
「じゃあ、私のことも逢って呼んで。アクアくん」
「…よろしく、月宮」
「いや、名前でいいって」
「…すまん。しばらくは苗字で呼ばせてくれ」
「? まぁいいけど」
私の名前を呼びたくないのか…不思議な子だ。アイという読みの名前なんていくらでもいるだろうに。
「ねぇ、アクアくんこれから帰り?」
「あぁ、そうだけど」
「じゃあ一緒に帰らない?」
「は?」
…あ、あれ?私なに言ってるんだろう。
会ったばかりの男子を誘うなんて。
「ほら、お互い入学したてで知り合いも少ないでしょ?そういえばアクアくん中学からいるの?」
「いや、俺は高校からだが」
「やっぱり!私もそうなの、まだまだ友達も少ないからさ。友達になろうよっ」
この男の子を見ていると、なんだか不思議な気分になる。
イケメンだから?…いや、惚れた感じじゃないんだよね。なんだろうこの気持ち…
母性?…って母性はないか……でも、構いたくなるというか。
「…そうだな、わかった」
「よし!じゃあ行こう!あ、私スーパー寄ってくけどいい?」
「あぁ、いいよ。俺も日用品買わなきゃないし」
…一緒にいたい…いっぱい褒めたい…よしよししたい…抱きしめてあげたい…
この子の笑顔が見たい
◇◆◇
「私のお父さんがアイのファンだったらしくてさー。だから娘に推しのアイドルと同じ名前つけたんだよ~。ヤバくな~い?」
隣で楽し気に話している女子に相槌を打ちながら、俺は表面的には冷静な態度を取り繕っていた。が…
「(似すぎだろ…しかも声まで…。こんなことがあるのか…?)」
世界には自分に似た人が3人はいるというが、それにしてもこの女子はアイに似すぎていた。
身長、体格、顔のパーツ、声。髪型はポニーテールにしているが、色はアイと同じで紫がかった黒髪…完全に一致している。アイが持っていた特徴的な雰囲気―目力というべきか―もある。
「(ただ外見が似てるってだけじゃない…この経歴はいったいどういうことだ…)」
先ほどから彼女は聞いてもいないことをバンバン話しているが、内容が衝撃的すぎた。
「今日の晩御飯はパスタ作るんだー!ミートソースいっぱいかけたやつ!」
「そ、そうか」
「アクアくんどう?うちに来ない?」
「(は!!??)」
「うちで晩御飯食べていきなよ!ね?」
距離の詰め方がヤバい…だが、俺の想像が正しければ彼女のこの反応はおかしなことではないかもしれない。とはいえ、今は考える時間が欲しい。
「わ、悪いけど、今日は家族で晩飯食う日だから…」
「家族かぁ…それなら仕方ないね」
「(その顔で悲しそうな顔するのやめてくれよ…罪悪感が尋常じゃない…)」
「じゃあまた今度ね!絶対うちに来てね!絶対だよ!」
「あ、あぁ、今度な、また今度……じゃ、俺帰るよ」
つ、疲れた。
とりあえず家に帰るまでに考えをまとめよう。どういう対応をするにせよ、ルビーにも相談しなければいけないだろう。
「じゃあねアクア…」
「?」
「…また明日ー!」
彼女は走り去っていったのだが…
「(頭を撫でた…のか。しかし今の感覚は…)」
まるであの頃に戻ったような…
◇◆◇
「…」
「あー!お兄ちゃん帰ってきたー!」
「…」
「この時間まで何してたのー?てかライン送ったのに無視したでしょ!」
双子の妹、ルビーが問い詰めるように話しかけるが、アクアの反応はいつもと違った。
「…ルビー、ちょっといいか?」
「?突然なに?」
「少し話したいことがあるんだ…ミヤコには言えない」
「それって…」
「あぁ…俺達だけの事情ってやつ…わかるよな?」
「…わかった。お兄ちゃんの部屋でいい?」
不可解そうな表情をしながらも、ルビーは話に乗ることにした。
・月宮逢
一般科の一般女子生徒。ポニーテール。
趣味は料理とダンス。料理は結構得意だが米を使った料理はあまり好きじゃない。作るのはOK。ダンスはプロ並みだが歌は平凡レベル。
名前は3分で考えたので実質カップラーメンです。