星野アイ生まれかわりもの   作:ヤンデレ好き

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原作11巻まで読み終わりましたが、完全には頭に入ってません。
矛盾とかあったらすみません。


星野アイ生まれかわり④

 

 

『今の……幸せにでき…』

『うちの…きゃわー♡』

『…アと……はいい子でちゅねー』

 

 

『二人は……になるのかな……』

 

『愛…てる』

 

『あぁ…言えた……』

 

『この言葉は絶対……じゃない』

 

 

「(なにこれ…夢?)」

 

私は、いつもの夢とはまったく違う夢を見ていた。

今までの夢は辛くて痛くて苦しいだけで、最後に映る泣いた子供の顔を見ると胸が締め付けられるように悲しくなる、とにかくひどい夢だった。

 

「(でも、この夢は違う。とても暖かくて、幸せな夢…あっ)」

 

この感覚は覚えがある。意識が起きようとしているんだ。

 

「(もっと見ていたかったなぁ)」

 

私は名残惜しさを感じながらも、ゆっくりと意識が覚醒する感覚に身を委ねた。

 

 

 

「(そういえば、子供は二人いたんだ…どっちも金髪で…綺麗な瞳で…)」

 

どこかで見たような………

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「ん…(あれ、私何してたっけ。この感触は…ベッド?)」

 

ゆっくりと目を開いて周囲を確認する。

 

「(女の子の部屋…かな?わっ、『アイ』のポスターだ)

 

女の子らしい明るい色調の部屋だ。壁にはアイドルグループ『B小町』の『アイ』のポスターが貼ってある。ファンなのだろうか…自分に似た人のポスターが貼ってあるのは少し複雑な気分だった。

 

「(今日はアクアくんと妹のルビーちゃんと一緒に帰っていたんだよね…校門からある程度歩いてたのは覚えてるけど…何かあったっけ?)」

 

考えを巡らせていると、視界の端で部屋のドアがゆっくりと開かれていくのが見えた。

 

「!!」

「あっ(ルビーちゃんだ。じゃあここはルビーちゃんの部屋?なんで私寝てたんだろ)」

 

私がぼけーっとしていると、感極まった様子のルビーちゃんが話しかけて来た…え、なんで泣きそうな顔してるの!?

 

「ママ…目が覚めたんだ…」

「え?(え?)」

「あ、今お兄ちゃん呼んでくるから、ちょっと待っててね!」

「ちょ」

 

慌てた様子でルビーちゃんが行ってしまった―――『お兄ちゃん!ママ起きたよ!』『!今いく!』

と思ったら、慌ただしい足音とともにルビーちゃんが戻ってきた。今度はアクアくんも一緒だ。

 

「アイ…!」

「ママー!」

 

アクアくんが立ったまま表情を変えずに涙を流しているのをよそに、ルビーちゃんは勢いよく私に抱き着いてきた。

 

「わっ…と」

「ママ…!会いたかった!会いたかった…!!」

 

私は困惑していたけど、体は無意識にルビーちゃんの背中を撫でていた。

 

「えっと…アクアくん?ここってルビーちゃんの部屋…だよね?何かあったの?」

「…は?」

「3人で歩いてたのは覚えてるんだけどね…気づいたら私寝てるし…もしかして私寝ちゃった?歩きながら!?」

「………」

「アクアくん?どうしたの?」

 

なぜか、アクアくんからは先ほどとは打って変わって重い空気を感じる。

 

「…ママ?ママなんだよね?」

 

涙に濡れた顔を上げながら、ルビーちゃんがこちらを見つめている。なんだか怯えているような…

 

「えっと、私ってルビーちゃんのママに似てるのかな…?」

 

まぁ、ルビーちゃんにママって言われて悪い気はしないんだけども…

 

「…嘘」

 

これ以上ないくらい絶望した表情のルビーちゃんが、こちらを見つめていた。

「(ルビーちゃんにそんな顔されると、なんか、すごい罪悪感が…)」

 

「ママじゃないの?だってあの時…」

 

「待てルビー、その辺にしとけ…すまなかったな。うちの妹が」

「ううん、こっちこそ、なんかごめん」

「俺たちが勘違いしていただけだ。今日のことは忘れてくれ」

 

気にしないでと言いながらもアクアくんは悲し気な顔をしている。私まで悲しくなりそう。

 

「と、ところで、私なんで寝てたのかな?」

「あぁ…たぶん疲れてたんだろう。入学してまだ一週間程度、一人暮らしもしてるんだろ?気づかない内に疲れがたまっていたんじゃないか」

「そう…かな」

「きっとそうだ」

 

私は溜息をつきながら答えた。

 

「は~、体力には結構自信あったんだけどなぁ。変な夢も見るし…」

「…夢?どんな夢だ?」

「ん?気になるの?」

「あぁ、良ければ教えてくれないか?」

「まぁ…いいけど」

 

すでに夢の内容は朧気だったけど、私は出来る限り思い出しながら語った。

 

「なんか…赤ちゃん?の夢かな。二人いてそっくりだったから…たぶん双子?私はその子たちのお世話をしてたような気がする…」

「…それで?」

「ううんと…あとは…」

 

なんて言ってたっけ―――

 

「………愛してる」

「っ……」

「そう言ってたのかな。ごめんね変な夢で…私昔っから変な夢ばっかり見るんだよね」

「以前にもそういう夢を見たことがあるのか?」

「うん。まぁいつもは同じような夢だから、今日の夢は初めて見るかな」

「以前はどんな夢だった?」

 

…正直いい夢じゃないからあんまり言いたくないけど、真剣な表情をしたアクアくんを見て、これは答えなきゃいけないと思った。

 

「…最初にお腹がとても痛くなるの。何かで刺されたみたいに…それから全身が熱くなって、熱くて熱くて…でもすぐに寒くなって…」

 

言葉に出していると何だか実際にお腹が痛むような気がして、ルビーちゃんを抱きしめて気を紛らわせる。

 

「手足の、感覚がだんだんなくなって、目が見えなくなって…何も聞こえなくなって…」

「…」

 

こちらを見つめるアクアくんの顔を見返す。そうだ、この顔…

 

「最後に、泣いてる男の子の顔が見えて、そこでいつも終わるの…死んじゃったみたいに」

 

「悪かった…」

アクアくんがハンカチを取り出して近づいてくる。

 

「あ…」

「辛いこと思い出させてごめん」

 

私、泣いてたんだ…

 

「ありがとう。そういえばね、その男の子の顔がアクアくんに似てた気がする…気づいたのは最近だけど」

「そうか…」

 

私は変わらずルビーちゃんを抱きしめていたけど、気づいたらいつの間にかルビーちゃんも私の背中に手を回している。

 

「ルビーちゃん大丈夫?」

 

私が声をかけると、ルビーちゃんは顔を上げた。さっきよりは明るい顔をしていて安心した。

 

「うん、ごめんね。変なこと言ったりして」

「いいよ。私寝ちゃったし、ベッドも借りちゃって…って今何時!?」

「そろそろ17時だな…」

 

よ、よかった。思ってたより時間が経っていたわけではないようだ。

 

「ごめんね。お世話になっちゃって。親御さんいるかな?挨拶しないと」

「あぁ。下の階にいる…立てるか?」

「肩貸そうか?」

「大丈夫!あ、ベッド片付けないと」

「いいよいいよ!気にしないでいいから!」

 

ルビーちゃんがなぜか妙に慌てている。

 

「そ、そう?」

「うん!ほら行こう!」

 

 

 

その後、私は家主である斎藤ミヤコさん(超若い!)に挨拶し、送ろうとするアクアくんを断って一人で帰った。

まだ明るいからね…さすがにこれ以上はお世話にはなれないよ。

 

「(そういえば斎藤さん、私の顔見てすごい驚いてたなぁ…一家そろってアイのファンなのかな?)」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「はー…びっくりした。二人が妙にそわそわしてるからどんな子かと思ったら…」

「驚いたでしょ?」

「驚くわよ…幽霊なのかと思ったわ」

「そっくりだよねー!私も最初は驚いたなぁ」

「…まぁでも、他人の空似ってやつでしょ。アクアは今日は一緒に晩御飯食べるでしょ?」

「あぁ、食べるよ」

 

ミヤコがキッチンへと向かっていなくなったことを確認し、アクアとルビーは話し合いを始めた。

 

「ルビー、わかってるよな?」

「うん…やっぱりママだった」

「そうだな。だが、今は記憶がない…原因はわからないが、俺達と会ってからはアイだったころの記憶を思い出しつつある」

「思い出してもらうんだよね!?記憶を全部思い出せば、また一緒に…!」

「そうだ…ルビー、頼みがある」

 

アクアは真剣な顔でルビーへ今後の動きを話す。

 

「おそらく記憶を思い出してもらうには俺達と過ごすのが一番だ…だが俺はこれから恋愛リアリティショーに出ることになる。収録は土日だから、平日なら時間はあるが…」

「まぁ、私は今は仕事ないし…平日は出来るだけ二人で攻めるって感じ?」

「そうだな。出来ればもっと近しい関係…土日に一緒に遊ぶのが普通、くらいには持っていきたいな」

「じゃあお兄ちゃんが忙しい間は私が頑張らないとだね」

「あぁ。頼むぞ、ルビー」

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「(これでいい)」

 

部屋に戻って一人考えに耽る。

 

「(学校ではある程度はフォローするが…実質的には記憶はルビーに任せることになるだろう)」

 

アイだったころの記憶が戻って、再び一緒に暮らしていけるようになったとして…しかしアクアにはどうしても見逃せない懸念があった。

 

「(アイを殺した黒幕…俺たちの父親、奴がアイを再び狙うかもしれない)」

 

月宮逢は間違いなくアイの生まれ変わりだ。しかし、自分達と違って容姿が前世とまったく同じだ。逢を見た黒幕が、アイに似た彼女をもう一度狙わないとは限らない。

 

「(黒幕は苦しめて苦しめて、徹底的に追い詰めて殺そうと思っていたが…それじゃだめだ。今必要なのはスピードだ。いち早く見つけて即殺す)」

 

復讐心は消えてはいない。しかし、今なによりも優先すべきはアイなのだ。アイが幸せになれるなら自分の復讐心なんてどうでもよかった。

 

「(問題は、ルビーが彼女をアイドルに誘いかねないってことか)」

 

もしまたアイドルデビューなんてすれば、彼女の容姿は間違いなく目立つ。B小町のアイと結び付ける人間は少なくないだろう。

 

「(そこは俺がルビーを説得するしかないな。出来れば芸能界には関わらせたくない)」

 

やることは多い。しかし、その先にあるであろう、失われた幸せを取り戻せることに比べたら、アクアにとっては大した苦労ではなかった。

 

「(アイ…待っていてくれ。お前は俺が幸せにしてみせる)」

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

アクアが決意を新たにしていた頃。

 

「ママが寝てたベッドだ…匂いも変わってない。まだ生暖かい…」

 

ルビーは逢が寝ていたベッドで幸福に浸っていた。

 




月宮逢
 一般女子生徒(?)
今回のことがきっかけで爆速で記憶が戻る予定。
原作で描写が殆どない学校生活とかで関わることになると思います。
関わろうとしてもアクアが阻止しちゃうので。
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