大体アクアが誰とくっつくかで変わるイメージ。
ルビーは原作読んでると『ゴロー以外の男に靡くの?』となって困ります。
やっぱり兄妹で禁断の恋しかないのでは…?
「アクアー!」
「今行くよ」
あれから幾日が経ち、私はお昼休みはよくアクアと一緒に過ごすようになった。他の友達付き合いもあるから毎日ではないけどね。
「今日はルビーも一緒だね。先輩は来るの?」
「有馬も来るそうだ…今更だが、有馬とはどうだ?ちょっとあいつの当たり強くないか?」
「全然大丈夫だよ!先輩はどちらかというとアクアのことが心配なんじゃない?」
「俺が心配?なんでだ…?」
「ふふっ、それは秘密♪」
「はぁ…まぁいいさ」
待ち合わせ場所の食堂に向かいながら、私はここ最近のことを思い出していた。
アクアとルビーの家にお世話になってから、私は毎晩夢を見るようになった。見る夢の内容は色々だけど、そのどれもが幸福に満ち溢れたもので、私は毎日快眠で絶好調!夢の内容もかなりはっきりしていて、起きた後も内容をほとんど覚えている。
夢を見る…いや、正確には思い出すって言ったほうがいいかな。思い出すたびに私が変わっていくのがわかる。同時に、アクアとルビーが私と積極的に関係を深めようとする理由も察していた。
………最初は怖かった。今までの自分とは違う自分になっていくことが。付き合いは短いけど、周りのクラスメートたちも戸惑っていたし…けど、私は変わっていくことを受け入れた。
だって幸せだから。
私が変わるたび、アクアとルビーが喜んでくれる。笑顔を見せてくれる。幸せになってくれる。
二人が幸せになってくれるなら、自分のことなんてどうでもよかった。
今までの人生で感じたことのない多幸感を得ることが出来るのだ。
だから私は思い出すことに積極的になった。
記憶を夢という形で追体験している間、私が『もっと見たい!』と望めば、今まで見れなかったことが見えるようになった。聞こえるようになった。感じるようになった。
中にはあんまり面白くない記憶もあったけど、まぁそれもあわせて私だったんだろう。
「あ、来た!」
「…」
待ち合わせ場所に来るとルビーと先輩…有馬かなさんが待っていた。先輩が来るのは実は珍しい。ルビーが結成したアイドルユニット、新生『B小町』に加入した先輩は放課後は苺プロダクションにいることがほとんどだ。でも学校では意外とアクアとルビーとの絡みは少ない。まぁ先輩は先輩で交友関係があるだろうし、当然なんだけどね。
「先輩お久しぶりです」
「…そうね」
「ロリ先輩テンション低くない?」
「ロリ言うな!あんたはもっと先輩を敬いなさい!」
「(う~ん…記憶には先輩っぽい子供もいたんだよねぇ。何かあったのかな)」
私はどうも先輩に避けられているようだった。
…いや、先輩が私を避けてる理由は記憶は関係ないだろうけどね。
私はアクアと強引に腕を組んで連れていく。
「混んでるし早く行こー…ほらっ」
「っ!おいっ」
「あ、待ってよーマ…逢ちゃん!……?先輩何してんの?」
「な、何でもないわよ…(気安く腕なんて組んで、あの子なんなのよ…!)」
気になる男があまり知らない女と近い距離にいるんだもんね。そりゃ気になるよ。
でも仕方ない。私はアクアとルビーの近くにいたい、もっと二人と触れ合っていたいんだ。
アクアはつい先日始まった恋愛リアリティショーに出るようになって、収録や他の演者との付き合いもあるからあまり毎日は一緒にいれない。
ルビーは芸能科だから学校ではあまり話す機会がない。帰りは一緒だけど、さすがに苺プロダクションまで行くことは出来ないしね。
と、そんなことを考えながら食事をしていると、突然の頭痛が起きた。同時に記憶がフラッシュバックする。
「っ(これは…アクアかな。赤ちゃんなのに一人で哺乳瓶飲んでる…すごい飲み方。でも可愛い♡)」
「大丈夫か?」
「逢ちゃん最近頭痛多くない?」
「大丈夫大丈夫。すぐに止むし…あ、先輩!またご飯抜いてるー、大きくなれないよ?」
「うっさいわね!てかあんたたちが食いすぎなのよ!」
「(参ったな…記憶を思い出すのはいいんだけど、頭痛が結構酷いんだよね…二人には心配させたくないのに)」
最近はよく頭痛と同時に記憶をフラッシュバックのような形で思い出すようになった。以前は寝ている間しか記憶が見れなかったから、起きてる間も思い出せるのは効率的で大歓迎。でも頭痛が結構酷いのがちょっと問題かな…何となくだけど、前の私ならこれくらい余裕で誤魔化せた気がする。
「(もっと記憶を思い出さないと…)」
◇◆◇
「お前はどう思う?」
家に帰宅してしばらく。
寝るには少し早いであろう時間帯、アクアの部屋にはルビーの姿があった。
「ママのこと?」
ルビーは嬉しそうに笑顔を見せながら答えた。
「もう完全にあの頃のママだよ!私しょっちゅうママって呼びそうになっちゃうもん!」
「…だがもう少し慎重に行った方がいいかもしれないな。毎晩夢を見るっていうのはいいけど、頭痛がするようになったのは最近だ。負担になっているかもしれない」
「それは…そうだね」
「とりあえず、方針としては今までと同じく友達として仲を深めていく。そして、俺の仕事が終わったタイミングでうちに呼んで、昔の話やアルバムを見せて反応を見るのもいいかもしれないな」
アクアは、逢がすでにかなりの記憶を思い出しているのではないかと考えている。初めて会ったころに比べて、今の逢はさらにアイに近づいていた。見た目こそ変わっていないものの、仕草、口調、身振り手振りが生前のアイと見分けがつかない。髪型をアイと同じにしたらもう完全に同一人物になるだろう。
ルビーは感慨に浸るように目を瞑った。
「もうすぐ…もうすぐ元に戻るんだね」
「あぁ、もう少しだ」
しばらくの間、アクアの部屋には静かな時間が流れていた。
もうそろそろ寝る時間になったころ、ふとアクアがルビーに問いかけた。
「そういえば、逢をアイドルに誘わないんだな。俺はてっきり…」
「…この前ね。ママと二人っきりの時に話してみたの。そしたらママ―――
『アイドル?』
『そう!うちは今メンバー募集中だから、どうかなって』
『アイドルかぁ…』
逢は少し考え込むと、きっぱりと断言した。
『アイドルはいいや』
『な、なんで?私と一緒にやるの嫌…?』
悲し気な顔をするルビーをまっすぐ見つめて答える。
『アイドルになりたいって気持ちがないわけじゃないけど、今の私にはそれよりも大事なことがあるから』
『大事なこと?』
『そう!ルビーはアイドルとしてドームに立つのが夢なんでしょう?』
『う、うん』
『私はそんなルビーを応援したいの。ステージの上でキラキラして、たくさんの人から声援を送られて……そんなルビーを私は見たいの。一人のファンとしてね』
『ママ…』
『…一緒にアイドルは出来ないけど、応援ならいくらでもするし、協力できることなら何でもするから』
『…うん、ありがとう!私絶対ドームに行くから!』
―――だから私、改めて決めたの。ママが叶えられなかった夢を代わりに叶えるって。ママには頼らない。応援してもらえるだけで、私は何でも出来るから」
「そうか…俺も出来る限りサポートはする。頑張れよ」
「うん!これからもよろしくね、お兄ちゃん♪」
月宮逢
同級生にママと呼ばれても受け入れる一般女子生徒。
星野アイを構成していた記憶は大体戻ってる。今は細々とした記憶を毎日回収している感じ。
3歳頃にアイの魂インストールされたけど、13年間記憶が戻らなかったので別人として生きた記憶や自我もちゃんとある。記憶が戻ってからは、経緯は違うけどアクアと同じく前世と今世が混じっている状態。
ドラゴンボールでいう神コロ様。あるいはTOAラストのアッシュみたいな。