今回でミアレシティは一旦終わりです。
翌日、俺たちは再びポケモン研究所へ訪れていた。
「やぁ!待っていたよ。取り敢えず中に入ると良い」
1階ロビーにいたプラターヌ博士の案内で3階へとのぼり、話しを始める。
「昨日、シロナ君に手紙を送っておいた。そのうち返信が来るだろう」
「わざわざありがとうございます」
どうやって連絡を取ったか聞いたところ、ナナカマド博士にシロナさんの別荘と自宅の住所を聞いて、ポケモンリーグを含めた3カ所に送ったらしい。
「それよりもこれから来客があってね。良かったら会って行くと良い。彼らもこれからバッジを集める旅を始めるんだ。旅には知り合いが多い方がなにかと便利だろう」
「お気遣いありがとうございます。じゃちょっとだけ会っていきますね」
「私も興味があるわ」
暫くプラターヌ博士と話しをしていると、エレベーターの方から声が聞こえて来た。
「プラターヌ博士はいらっしゃいますかー?」
その声は女の子の声だった。どんな子か楽しみに待っていると、博士が「ついてきなさい」と言ってこちらに戻って来た。
「っ!」
なんとか言葉を飲み込む。なぜなら、そこにいた女の子は、赤い帽子とスカートを来た長い髪の女の子だったからだ。
見間違いようも無い、ゲームでは女主人公として登場するキャラそのものだった。
「こんにちわ。私はセレナって言います。まだ新人トレーナーですけどよろしくおねがいします」
「あ、あぁ。俺はサトウだ。よろしくたのむ」
「私の名前はパンジーよ。ポケモンルポライターをやっているわ。よろしくね。将来有望なトレーナーさん」
パンジーさんとセレナちゃんが話しを進める。するとまたエレベーターの方から声が聞こえた。
「あぁ、遅れちゃった!プラターヌ博士ー」
どたどたと走ってきたのは4人の男女だった。
「やぁ、良く来たね。かれらはたまたま来ていた友人でね。ポケモンルポライターのパンジー君とトレーナーのサトウ君だ」
「サトウだ。よろしく」
「パンジーよ。皆よろしくね」
俺とパンジーが自己紹介すると、4人も自己紹介をしてくる。
「あたしの名前はサナだよ!よろしく!」
「ティエルノって言います。ダンスが好きです!」
「ボ、ボクはトロバです。ポケモン図鑑の完成が目標です」
「俺の名前はカルムって言います。チャンピオンになるのが目標かな」
4人とも良い子達だ。それにしてもこの人数だと少し狭く感じるな。
「ははは、この人数だとこの部屋は狭いかな?裏にバトルフィールドがあるんだ。そっちに行こう」
そしてバトルフィールドにいどうした。
「そういえばサトウさんはなんで旅をするんですか?」
急にセレナちゃんが聞いて来た。俺は少し悩んだ後、答える。
「とあるポケモンたちを探していてね。プラターヌ博士ならなにか知っていると思ったんだ」
「へぇー、そうなんですか」
「旅をしているって事は強いんですか?」
今度はカルム君が聞いて来た。俺は笑みを浮かべながらこう答えた。
「強いよ。俺は」
そう言うとカルム君もにやりと笑みを浮かべて来た。そこで博士が提案をしてきた。
「そうだ!皆でポケモンバトルをしようじゃないか」
唐突に言い出した提案だったが、反対する者は特にいなかった。それどころか、カルム君たちは賛成のようだ。
「じゃあ俺はサトウさんと…」
そう言った所で博士が割って入る。
「いや、彼とは私が戦おう。彼はとてつもなく強いからね」
「そんなことないですよ」
実際、今の手持ちのパーティーはそこそこだし。
「じゃあ私はセレナちゃんとやろうかしら」
そう言ってパンジーさんはセレナちゃんの手を取った。
「よろしくお願いしますね!」
反対側では、ティエルノ君とカルム君が待機していた。
サナちゃんとトロバ君はやらないそうだ。
まず始めにやったのはティエルノ君とカルム君の戦いだ。とはいえ、二人ともまだまだポケモンも弱いので特に言う事も無く良い勝負をした。
さて、次は…
「行ってきて、フォッコ!」
ほう、セレナちゃんはケロマツを選んだのか。
「行きなさい、オンバーン!」
パンジーの初手はオンバーン。相性は悪いが、圧倒的なレベル差があるので、まず負けはしないだろう。
予想通り、パンジーさんのオンバーンの勝利で幕を閉じた。空中にいるオンバーンに上手く攻撃を当てる事が出来ず、オンバーンの攻撃を食らってしまったのだ。
「うぅ、良い経験になりました…」
「ご、ごめんなさいね」
さすがにパンジーも悪いと思っているのか謝罪していた。そして最後は俺と博士のバトルだ。
「さぁ、はじめようじゃないか」
「よろしくおねがいします」
パンジーもカメラを構えて準備OKといった感じなので俺はポケモンを出す。
「行って来なさい、リザードン」
「エーフィ、君に決めた!」
プラターヌ博士の初手はリザードンか。
「まずは小手調べからいこう。ねっぷうだ!」
リザードンは空に飛び上がり、エーフィに向けて炎の乗った風を送りつけてくる。
「エーフィ、光の壁で躱しながらすすんであくび」
エーフィは光の壁を斜めに展開し、風を逸らしながらリザードンに駆け寄る。以外と距離があり、苦労しながらもリザードンへとあと少しという所まで辿り着く。
それを見たプラターヌ博士は次の指示をだす。
「きりさくで迎え撃て!」
このままだとエーフィは切り裂くの餌食になってしまう。だが俺は慌てずに指示を変える。
「サイコキネシスで腕を止めろ!背後に回り込んであくびだ!」
リザードンの腕がピタッと一瞬動かなくなる。その隙にエーフィーが背後からリザードンの背中を伝って上り、耳元であくびをした。
「よし!一回下がれ!」
「リザードン、そらをとぶで空中に逃げるんだ!」
リザードンが空中に飛び出す前に、エーフィーは背中から飛び降りて回避する。
「落下しながらフレアドライブ!一気に決めるんだ!」
「エーフィ、めいそうだ」
俺は避ける指示を出さずに、今のうちに強化をしておく。
「余裕そうだね。さけなくても良いのかい?」
「そうですね」
「なんで…!?」
なんでなんだい?と聞こうとしたらしき言葉は途中で止まる。なぜなら空中にいたリザードンがバランスを崩してエーフィの横を通り過ぎたからだ。
「眠っている!?」
そう、あくびの効果でフレアドライブを発動する前に眠っていたのだ。
「止めのサイコキネシス!」
エーフィがサイコキネシスでリザードンを浮かせ、そのまま地面に叩き付ける。いくらリザードンでも一積みのサイキネを耐える事は出来ずに、戦闘不能となった。
エーフィは最初の熱風で以外とダメージを食らってしまったのか、見た感じ残りHPは3割程度だと推測できた。
「凄いじゃないか!じゃあボクの次のポケモンはこいつだ!」
ボールからでてきたポケモンはカメックスだ。
たしか、プラターヌ博士は初代御三家を使うはず。だったら残りはカメックスとフシギバナ。しかもこちらのエーフィは一積み。このまま3タテも行けるか?
カメックスの攻撃ならハイドロポンプでも一積み状態で3割削れないはず。念には念を、もう一回積んでおくか。
「エーフィ、前方に光の壁を作ってからめいそう!」
「カメックス、波乗りで距離を縮めながらハイドロポンプ!」
カメックスの足下から水が溢れ出し、こちらに向けてハイドロポンプをしながら突進してくる。ハイドロポンプだけならは光の壁があるのでイタく無かったが、その後に飛んで来る波乗りまで食らったらやばい!
「避けろ、エーフィ!」
エーフィは避けようとするが、少し進むといきなり転んでしまう。
「なんで…っ!」
地面を見てみると、ハイドロポンプの水によって地面はぬかるんでいた。これを狙っていたのか!
次の指示を出す暇も無く、波乗りに飲まれるエーフィ。急いでボールに戻す。
「良くやってくれた」
「さぁ、次のポケモンはなんだい?」
ボールを腰のホルダーに戻し、新たなボールを取り出す。
「サンダース、行ってこい!」
俺が出したのは、タイプ上有利なサンダースだ。だが油断は出来ない。サンダースの特徴はその素早さにある。だが地面がぬかるんでいるのであまり派手な移動は出来ない。
「またイーブイ系列のモンスター。イーブイが好きなのかい?」
「嫌いじゃないですよ。可愛いですし」
サンダースを見ると、体を震わせて答えてくれた。
「じゃあ行きますよ。サンダース、かみなり!」
「カメックス、避けてハイドロポンプ!」
カメックスは濡れた地面を滑る様にして、かみなりを回避する。かみなりはカメックスの後方に落ちる。
「よし!…っ!」
だが次の瞬間、カメックスは痺れた様に体を振るわせる。
「どうしたんだ!カメックス!」
「地面ですよ」
「地面…そうか!」
そう、いまこのフィールドの地面はアクジェとハイポンの水によって水浸しの状態だ。その水を伝ってカメックスに電撃が届いたのだ。まぁ威力は大分へっているだろうが。
「この隙を逃すな!ボルトチェンジ!」
サンダースが電気に包まれ、そのままカメックスに向かって飛びかかる。
「頑張ってくれ!アクアテールで迎え撃て!」
カメックスは勢い良く後ろを向き、尻尾を振ってくる。
サンダースのボルチェンにぶつかり、カメックスは倒れてしまう。
だが、サンダースもアクアテールで打ち返す様に攻撃を食らってしまった。そのままの勢いでこちらに向かってくるので慌ててボールを出してサンダースをボールに戻す。
勢いがついていたのと、特性『げきりゅう』の効果で予想より大きなダメージを食らっているようだった。フシギバナと対面させるのは多分もう無理だろう。
「いやー、本当に強いね。しかし、なぜあんなに上手くジャンプを?このフィールドはぬかるんでいるはずだ」
「エーフィの光の壁ですよ」
そう普通だったらぬかるんでいてジャンプなんてまともに出来ない。しかし、エーフィの光の壁で、俺のまわりは水を撒かれなかったのでぬかるんでいなかったのだ。
カメックスが遠くに距離を取らずに近くで戦ってくれたのも大きい。遠くにいたらジャンプじゃ届かなかっただろうしな。
「じゃあこれで最後だ。行け!フシギバナ」
「俺も行きますかね。」
俺の最後のポケモン…それは。
「イーブイ!」
そう、進化前のイーブイだ。さらに、こいつには持ち物を持たせてある。それは…。
「ふむ、その鉢巻きは、こだわり鉢巻きかい?」
「しっているんですか?」
「うむ、前に訪れた町で売っていたのを覚えている」
まさか効果をしられているとは思わなかった。だがしっていても遅い!これがイーブイの力だ!
「いかに攻撃力が高いと言っても進化前のイーブイじゃあこれは耐えられないだろう?フシギバナ、ヘドロばくだん!」
「捨て身タックル!」
イーブイはヘドロ爆弾を受けるが、それを耐え、相手に向かって一直線で進んで行く。
「避けない!?」
プラターヌ博士が驚いた様な声を上げる。まぁ耐えられないと確信していたのなら避けると思ってるわな。なぜ避けなかったのかというと、元の世界での経験でHDならメガバナのリフストを乱数耐えすることを知っていたので、バナの攻撃くらいなら耐えると思ったのだ。
そして捨て身タックルがフシギバナに突き刺さる。そして、フシギバナはその一撃で戦闘不能になった。
「一撃…」
「これがイーブイの力です」
危なかった。これが前の世界なら一撃では持って行けなかっただろう。防御の個体値が低い個体のようで助かった。
「すっげー!」
そう声を上げたのはティエルノ君だ。
「進化前のポケモンで最終進化形のポケモンを倒しちゃった!」
そう言って驚いているのはセレナちゃん。
「強ーい!」
サナちゃんはピョンピョン飛び跳ねている。
そしてカルム君は無表情で俺の事を見ていた。え?なにそれ怖い。
「さすがね」
そういって近づいて来たのはパンジーだ。また今夜も映像を見ながら技の解説をする事になるのだろう。
「さすがだね。負けるとは思わなかったよ」
「ありがとうございます。俺もギリギリでした」
その後、博士は記念だという事で5人に卵とポケモン図鑑を渡していた。
…俺が持ってる図鑑はもう完成済みなのはだまっていよう。
「じゃあ、君たちの冒険が良いものになるように祈っているよ」
向こうの話しも終わったようだ。皆俺たちにお別れを言って研究所を出て行く。だが何故かカルム君とセレナちゃんは残っていた。
「…いつか絶対に倒してみせます!」
そう言い残して走り去るカルム君。彼ならば良いトレーナーになるだろう。まぁ、負ける気は一切無いが。
「あ、あの!」
セレナちゃんはこちらの顔色をうかがう様に顔を覗き込んでくる。
「弟子にして下さい!」
「…はぁ?」
つい間抜けな声が出てしまった。いきなり弟子にしてくれと頼まれたのだから当然だろう。
「パンジーさんにも聞きました。チャンピオンと互角の戦いをしていたって!」
パンジーさんの方を見ると、手を合わせて頭を下げていた。
「お願いします!」
頭を下げて手を差し出してくるセレナちゃん。どうしようか迷っていると、意外な所から援護がきた。
「良いんじゃないかな?どうせ旅の目的は同じなのだろう?」
プラターヌ博士がそう言ってくる。
「分かった」
「!」
ガバっと頭を上げて俺を見るセレナちゃん。
「本当ですか!」
「あぁ、だけど結構キツいと思うよ?」
「大丈夫です!どんな事でも耐えてみせます!」
ん?いま…ってこのネタは止めておこう。
「じゃあ明日の朝に5番道路に集合しよう」
「分かりました!」
それでわー!と言って去ってしまった。さて、プラターヌ博士を問いつめるか。
「博士、なんで賛成したんですか?」
「ん?嫌だったのかい?」
「いえ、単純に気になっただけです」
「なに、女性それもあんな女の子を一人で旅させるのは色々と危険だろう?旅に出したのは私なのだし、少しでも安全にしてあげようと思っただけだよ」
まぁ一理あるか。パンジーも言っていた事だしな。
「あれ?パンジーは?」
「オジャマかしら?と言って先に帰ったようだよ」
「じゃあ俺も帰りますね。色々ありがとうございます」
「気にしないでくれ。シロナ君から連絡がきたらパンジー君に知らせよう」
そして俺は研究所をあとにした。
☆★☆★
俺とパンジーが5番道路へのゲートに着くと、そこにはもうセレナちゃんがいた。
「やぁ、遅れちゃったかな?」
「いえ、私も今来た所ですので」
「ようやく旅が始めるわね」
そうして俺たちは一緒に5番道路へと踏み出した。
あれ?一人大事な人を忘れている様な…と思った人は安心して下さい。あとでちゃんと出てきますので。
では今回はこのへんで。
8/14 カメックスのアクジェを波乗りに変更。
フシギバナがヘドロ爆弾を選択した時の博士の台詞を若干追加。
感想等お待ちしております。
ではではー