呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか? 作:Wi-Fi
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「せんせー、報告書出しに来たー」
「まとめてそこに置いておけ、そして寝ろ」
「さっきエナドリ飲んじゃったから無理です」
「はぁ……」
最近は報告書を出しに来る暇がないので週に一回まとめて出すために高専に来る。顔を会わせる度に先生がため息つくんだけど、失礼じゃない?
「あ、先生に頼みがあるんですけど」
「なんだ?」
「呪具がいくつか欲しくて、種類の違うやつ」
「両手を開けるために武器は持たないんじゃなかったのか?」
「使えないから使わないのと使えるのに使わないのじゃ天と地ほどの差があると思いまして」
不意に必要になるかもしれないし、増やせる手札は今のうちに増やしておきたい。
「誰に学ぶ気だ、お前は勘とか苦手だろ」
「……お金払ったら教えてくれる人とかいないですか?」
「いる」
「そうですよね、そんな都合のいい人……え? いるの?」
え? ラッキーじゃん。これで正式な理由が出来れば仕事を一部断れる。休めるわけではないけど底上げに時間を割けるならありがたい。
「かなり持ってかれるぞ」
「先生に預けてるお金から切り崩して貰えますか?」
「わかった、こっちで話をつけておく」
「忙しい中、すみません」
「なに、お前ほどじゃないさ」
俺って先生より忙しいのか、けど立場が下だから理由がないと断れないんだよ。
「後日連絡して時間を組もう。呪具はこちらで用意しておく」
「よろしくお願いします」
● ● ● ● ●
夜蛾先生が窓を通して日程を組んでくれた。結構訓練の時間は多く、移動時間を考えると今までより休憩が多く取れそうだ。かなり心配されてるのがよくわかる。
今日は講師になってくれる人との顔合わせのため高専に来ている。中学生でこんなに高専に来てるの多分俺くらい。
「来たか、今回講師を受けてくれた冥冥だ」
「冥冥だ、よろしく頼むよ」
「占星です。よろしくお願いします」
なるほど、先生の念押しに納得してしまった。貯金足りるかな?
「方針についてだけど、最初はとりあえず基礎と簡単な型だけ教えるよ。私も触れた事のある程度の知識しかない物もあるからね」
「なるほど」
「後半は試合形式で駄目な所を削っていく方向でいこうと思ってる。格闘技の経験はあるみたいだし覚えるのは苦じゃないはずだ」
「了解です」
なるほど、全部実戦の中で学べタイプじゃなくてよかった。
「今日はいくつか武器を見るだけにしておこうか、選ぶのに何か条件はあるかい?」
「一応一通り試したいんですけど、術式の都合で片手は開けておきたいんですよね」
いくつか候補を挙げながら、今後のプランを調節してくれる。改めてこの人は有能だよな。
● ● ● ● ●
冥冥さんの授業はとてもわかりやすい。本人がかなり鍛えていたのか、分かりにくい部分を細かく指導してくれる。それを加味しても高い授業料だけど。
「今日はここまでにしようか」
「はい、今日は結構緩めでしたね」
「あぁ、この後君には予定があるからね」
「え、予定?」
この後予定なんて組んでたっけ、緊急の依頼かな。けど、それなら冥冥さんが知ってるのは良くわからない。
「占星、少しいいか。お前に頼みがある」
「夜蛾先生、なんですか?」
「俺に模擬戦をしてほしい?」
「あぁ、今一年生の担任をしているんだが。最近二級に上がったばかりでな」
「で、調子に乗り始めたから天狗になってる鼻をへし折ってほしいと」
これまた急な話だ。てかなんで俺?
「冥冥さんとかじゃ駄目なんですか?」
「ただ強い相手に負けただけじゃ言い訳をするだろう。自分より下の人間に負けたと言う事実がほしい」
「俺、呪術歴じゃかなり上だと思うんですけど」
「言わなきゃわからんだろう」
この人原作より若いからか結構無茶しようとするな。俺の事言えないだろ。
「仮にも二級なんでしょ。俺で平気ですかね」
「フフッ君は自分の実力を正確に把握してないみたいだね」
「お前は手の内さえバレてなきゃ一級、バレてて準一級レベルはある」
「しっかり対策してても二級の上位層くらいの厄介さはあるね。私も正面から相手するのはごめんだよ」
俺ってそんな実力上がってたんだ。術式の多彩さが生きてるって感じか。
「わかりました。けど俺の術式って手加減ムズいんで負けても俺のせいにしないでくださいよ」
「それの心配はいらないと思うよ」
なんだろう。二人ともどこからその自信がくるんだろう。戦うの俺なんだけど。
● ● ● ● ●
「今日の授業は彼と模擬戦をして貰う」
少し休憩した後、夜蛾先生に呼ばれて数人の前で紹介される。男子二人に女子一人。女子は多分術式重視で体術はそこまでじゃない。他二人はがっつり近接タイプ、てか呪具持ってるし。どちらも刀か、間合いさえ気にすればなんとかなるかな?
「えっと占星誠也、13歳です。よろしくお願いします」
とりあえず無難な挨拶しとけばいいだろ。別に友達になるわけでもないし。
「えー、中学生とやるんですか? 怪我させても責任取れないですよww」
金髪のチャラそうな奴がなんか笑ってる。あー俺の苦手なタイプだームリー
「ちょっと、先生が推薦してるってことはそれなりに強い人なんだから変なこと言わないの!!」
「いや、けど一理あるよ。年齢の差で体の作りはかなり変わる。ハンデが出来てしまうのは当たり前だろ」
「もう二人してやめなよ!!」
あーなるほど。シンプル調子乗ってるチャラ男、術師のクセに常識から抜け出せてないメガネ、ある程度周りが見えてるけど緊張感のないゆるふわ系。これは一回しばくべきだわ。
てか、年齢とかそれなりとか。無意識に貶されてるのか思ったよりイラっとする。
「てか、パッと見ひょろいし術式だよりのお坊ちゃんってとこかww」
「そうだね、術式も近接も鍛えなければ生き残れないよ」
「もう知らないんだからね二人とも!!」
プチッ
「おしゃべりはそこまでだ、まず順番を決めるぞ」
「いや大丈夫ですよ、先生。そんな時間がかかることしなくても」
「なに怖じ気づいた?」
「いや? 口だけ達者なガキ共に現実を教えてやろうと思って」
「ア゛?」
「全員同時に来い、遊んでやる」
目の前の二人が臨戦態勢に入る。後ろの女子は戸惑っててついてこれてない。なら対処は後で良さそう。
「先生、合図お願いします」
「二人とも下がってろ、俺から行く」
お互い姿勢を少し下げ、チャラ男は刀に手を掛け俺は体を少し伸ばし体勢を整える。冥冥さんと訓練してるから準備運動は終わってる。
「はぁ……仕方ない。始め!!」
「"術式展開・白虎式術"」
「"具現・
チャラ男が抜いた刀身を術式で受け止める。刀身に込められた呪力が虎のように変形して噛みつくよう攻撃している。なるほど、刀を媒体とした式神のようなものか。
とりあえず刀を弾き返し、対複数戦闘なことも考え星雲を出せるように準備しておく。
「隙だらけだぜ」
刀から出る虎が顔から爪に変わり、地面を削るように加速する。ある程度応用の効く術式らしい。刀を振り切る前に手首に具現化した衛星をぶつけ止める。
「なっ!」
「いちいちうるせーよ"引"」
そのまま土星を引き当て、上から潰すように拘束する。後ろから呪力を感じるので衛星を一つ鳩尾に当て距離を作る。
「っなんで」
「呪力が漏れすぎだよ。位置がわかりやすい」
「チッ」
メガネは悪態をつきながら地面に手を当てる。そうすると辺りに煙が現れる視界を奪ってくる。
「そういうタイプならなおさら呪力感知に引っ掛かるなよ」
格上相手に慣れて無さすぎる。刀メインならどうせ近寄ってくるのでこちらから動く必要もない。
周りを警戒しながらその場で待っていると呪力を感知し、首を傾け回避する。
「動物型の火。また式神タイプか」
多分ゆるふわの術式だろう。今までは煙で視界を塞ぎ、式神で安全地帯から呪霊を払っていたようだ。
「"具現・
水星を俺を中心に円形に移動させる。多分これで運動が苦手そうな女子の方は捕まる。
「キャ!!」
ほらね。あと一人は煙の中でやりあってもいいけど正直めんどくさいので離れることにする。
「"具現・
星雲を範囲ではなく高さを優先して配置しそのまま上に飛ぶ。そのあと先ほど捕縛したチャラ男に体を引き寄せて煙から離れる。
「さーてどうくる?」
煙の塊がこちらを追ってくるので多分あの中にいる。
「と思わせて」
「近接は苦手だろ!!」
最初に煙を蒔いた時に移動してたらしい。あの煙少しなら離れてても操作が可能なのか。便利だな。
とりあえず上から振り下ろされる刀を手首を押さえるように止め、逆手で顎と足で膝裏を連続で打ち、体勢を崩す。そのあと押さえた手首を引っ張って地面に倒し背中を踏みつける。
「グフッ」
「ひょろいんじゃなくて動くのに無駄な筋肉を省いてつけてるんだよ。近接が苦手かは体格じゃなく体幹や重心で判断した方がいい」
これで二人目、先ほどからゆるふわが呪力を貯め続けてる。これで終わりになりそうだな。最後は火力勝負でくるようだ。お互い呪力を集中する。
「"術式解放・
「"具現・
炎同士がぶつかり合い熱と衝撃波がグラウンドに広がる。
最初は拮抗していたが、段々と狐型の炎が形を保てなくなり吹き飛ぶ。怪我をしないよう威力を下げながら火星を目の前で止める。
「終わりでいいですか?」
後で先生に聞いたら、最後は満面の笑みだったらしい。
冥冥さん大好きだけど口調が難しい
珍しく主人公が強いですがイメージ的にはメカ丸1体対三輪3人くらいの戦力差があります。
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