呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか?   作:Wi-Fi

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作者は 迷走 している


第13話

 

 またもや上層部にお呼び出しを受けて高専に来ている。中学校生活も後半に差し掛かり呼ばれる回数が増えてる気がする。

 

 それだけ俺の術式は価値があるものなんだとか、あいつらが本当にほしい力は手に入らないんだけどね。

 

 あのジジイ共が欲しがっているのは、元呪術師の家系である占星家の相伝術式だ。平安時代から星占いの名家として代々受け継いできた先祖は、とある理由で呪術界を見限り、二度と占いをしないと言う縛りを結び姿を消したらしい。

 

 まぁその縛りの結果、また別の方向性で術式が遺伝した結果が俺の"星霊創操"らしい。呪術って不思議だねー。この話は呪術師になると決めたとき父さんから聞いた。

 

 俺も一応占いが出来ない訳じゃない。先祖が結んだ縛りは血の繋がった子孫全員に科された縛りなので、使ったら何が起こるかわからないけど。

 

 上層部はそれを知った上で、占いが出来なくても俺の術式がほしいのか、それとも占い用の捨て駒がほしいのか。どちらにせよろくでもないのは確かだ。

 

「占星誠也、到着しました」

「うむ」

 

 ついに休日に呼ぶことに謝罪もなくなりましたよ。未来の五条はこいつらの事を腐ったみかんって言ってたけど、みかんがかわいそうだよ。

 

「そろそろ気が変わったか」

「いえ……」

「女ならいくらでも用意できるぞ」

「そういう問題じゃないって何度言えばいいんですか」

 

 脳が完全に腐ったらしく前の会話は覚えてられないらしい。俺も五条くらい強かったら言い返せるのになぁ。

 

「もう考え直す気はないのだな」

「? はい、ないですけど……」

「なら、父親の占星誠一郎を差し出せ」

「は?」

 

 体が固まる。言葉の意味はわかるのにうまく理解できない。

 

「術師ではなくとも血があるのであればお前のように相伝を継ぐ可能性は大いにある」

「別に占星誠也に固執する必要などないのだ」

「未来予知にも匹敵する占星家の術式はどの家もほしいのだから」

 

 待て、話が入ってこない。なんで、こいつらおかしいのか? だって父さんは非術師で

 

「いつまでも死んだ女を引きずるのも飽きたであろう」

「それをどこで!!」

「少し調べれば簡単に出てくるさ」

「ふざけんな……」

 

 つい声に出てしまった。いや、声になってたかすら怪しい。それほどの衝撃で、それほどに目の前の化け物に嫌悪した。

 

 こいつらは生まれながらに人の心などなかったのかもしれない。そんな化け物、いっそこのまま殺してしまった方いいのではないか? 

 

 "具現・火……

 

 ほぼ無意識に殺してしまおうと手が上げたとき、黒い手袋が目に入る。夜蛾先生、もし今俺が離反したら先生はこの後の地獄を止めてくれますか? 

 

 このタイミングで呪詛師に堕ちて、傑は俺をどう思う? 最悪の場合、俺の後を追おうとするかもしれない。ギリギリ繋がった理性は自分の目的を思い出す。

 

 俺は地獄を回避しなきゃいけないんだ。

 

「わかりました。俺がどこかの家に入ります」

「ふっやっと気が変わったか」

「その代わり父さんには手を出さないで下さい。それと、どこの家に入るかは俺が決めます」

「下手な家に入れば呪術界のバランスが崩れかねない。ある程度の制限はこちらでするぞ」

「はい」

 

 ここで反発すれば父さんに何をされるかわからない。下手をすれば命だって、コイツらはやりかねない。

 

「今日は一度下がれ、後日見合いを用意する。後はわかるな?」

「はい、失礼します」

 

 沸き上がる殺意を抑えながら部屋を後にする。もうこの先に術師としての自由はなくなった事が今決まった。

 

 ● ● ● ● ●

 

 高専内を適当に歩き続ける。今は何も考えたくなかった。

 

 なんとなく適当な教室の中に入る。無意識に普段中学で座っている位置の席に腰を掛けてしまう。

 

 席が多いということは普段使っていない空き教室なのだろうか。どうでもいいや。

 

「上の連中、全員殺してしまおうか?」

 

 五条悟のセリフ、その言葉の重さが良くわかるよ。そんな力は俺にはないけどさ。

 

 もう疲れた、この後だって仕事がある。いくら精神が大人でも肉体的な体力は限界がある。父さんに守りをつけたいけどそんな人脈も地位もない。何もかもが足りてない。

 

「ねぇアンタなにしてるの?」

「……だれですか?」

「おや占星君じゃないか」

 

 冥冥さんとだれ? 女の人だけど見覚えがない。

 

「えっと、ちょっとしんどくて休憩してて」

「また仕事を詰めたのかい?」

「まぁそんな感じです」

「仕事って中学生でしょアンタ」

 

 うん、俺もそう思う。なんで働いてるんだろ。

 

「ほら、前に話した子だよ」

「あ! あの先輩をボコボコにしたって言う!?」

 

 ボコボコって見に覚えがないんですけど。いや、前に相手した3人組か? 

 

「えっとその先輩ってチャラ男とメガネとゆるふわっぽい人たちですか?」

「多分そうだけど」

「あの人たち一年生じゃ」

「もう二年生だよ、模擬戦からもうそろそろ1年くらいだろう?」

「最近時間の感覚がおかしくて」

 

 つまりこの女の人が一年生、俺の2個上で傑たちの3個上ってことはこの人もしかして

 

「高専一年生、庵歌姫よ。よろしく」

「えっと占星誠也です。多分14歳です」

「多分ってなによ」

 

 最近は祓って寝てのルーティーンで学校の事は良く覚えてない。呼び出しないしなんとかなってるっぽいけど。

 

「で、何かあったの?」

「……」

「君は愚痴は言ってもしんどいなんて言わないからね」

 

 とりあえず無言で財布から1000円を取り出し冥冥さんに向ける。

 

「どこらへんから見てました」

「上の連中、全員殺してしまおうか」

「読唇術まで覚えてるんですか」

「私の術式では必須の技術さ」

 

 流石に上層部との話は覗けなかったらしい。カラスじゃ限界あるか。

 

「ちょっと上と揉めまして」

「ちょっとでそんな殺意向けないでよ」

「フフッ珍しく弱ってるね」

 

 ツッコむ気にもならないのは完全に心が弱ってる証拠なのか。もうゲロった方が楽なのかもしれない。

 

「実は……」

 

 ● ● ● ● ●

 

「なによそれ!!」

「上層部も珍しく強硬手段に出たね」

 

 術式の占いの部分を除いて話してしまった。

 

 強硬手段に出たのは、それほどに未来予知の手駒がほしいんだろ。一度占ったら縛りが起動するから数が必要だし。

 

「結局消耗品扱いですよ」

「そんなのあんまりじゃない!!」

「呪術師なんてこんなもんなんですよ」

 

 だから家の先祖は呪術師なんぞやめたんだ。俺も本当はくるべきじゃなかったのかもしれない。俺が余計なことをする必要なんて。

 

「なるほどね、なら回避する方法が一つだけあるよ」

「ここから入れる保険でもあるんですか?」

「ふざける余裕はあるのね」

 

 ふざけてないとやってらんないよ。正気でいていいことないし。

 

「私はいくつか上層部に借りを作っていてね。それを利用しようか」

「利用ってなにする気ですか冥さん」

「占星くん、私の許嫁にならないかい?」

 

「「はぁ?!」」

 

 また突拍子のないことを、てか許嫁って。

 

「何、形式上だけさ。君が結婚出来る年齢になるまでの延命処置に近いかな」

「なるほど。名目だけでも許嫁がいれば見合いをはね除けられる」

「ちょっと待ちなさいよ。だからって許嫁って冥さんはいいんですか!!」

「利益があれば別に構わないさ」

 

 そりゃ提案してるの本人なんだからその返答が返ってくるだろ。てか利益ってもしかして。

 

「いくらですか」

「月の7割」

「いくらなんでも生活出来ないですよ。4が限界です」

「7」

「4」

「7」

「じゃあ5!!」

「8」

「なんで上がるんですか!!」

「8」

「わかりました、6でどうですか……」

「フフッ、契約成立だね」

 

 この人やべぇよ、鬼だ

 

「なんかその、大変ね。アンタも」

「そのセリフ出るの遅くないですか」

「フフッよろしく頼むよ」

「悩みが減ったのか増えたのかわからないや」

 

 とりあえずこれで4年延命したらしい。まぁ呪詛師に堕ちるのはあと4、5年後くらいだしギリギリセーフか

 

「じゃあ、あとお願いしますね。冥冥さん」

「支払いがある内は何とかするよ」

 

 やっぱり悩み増えたかもしれない

 




作者は恋愛を書けないので冥さんとどうなるとかはないです。

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