呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか?   作:Wi-Fi

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今回急いで書いたので誤字の確認をしていません。
いつものこと?許してください…
誤字報告、いつもありがとうございます。


第16話

 

今回の任務はいつもと違い、初めての一級呪術師さんと一級呪霊の討伐任務だ。帰りたい。

 

 今回の任務先は、仙台にある数年前に潰れた廃病院。ホラー映画の舞台として選ばれたんだけど撮影中にスタッフ何人か亡くなってる。その原因の呪霊退治が今回の仕事。

 

「呪霊の情報はあるんですか?」

「残穢から一級レベルと言う情報以外ない、気を引き締めていけ」

 

 せめて術式の一部くらい知りたかった。今回は一人じゃないからか不思議と安心感がある。いや、気を引き締めないと足元を掬われる。

 

「一級相手の経験は?」

「一回だけ」

「ないよりマシだな」

 

 正直、自分でもその程度の認識だ。経験があるだけマシ。普通に1対1で一級相手に勝てるか自分でも不安がなくならない。

 

 補助監督に帳を下ろして貰い探索を開始する。

 

「呪力を使った明かりを出せますけど使います?」

「向こうにバレるぞ」

「むしろ誘き寄せたほうが良いかと思って」

 

 下手に相手の土俵に入れば危険だ。こちらの戦いやすい立地で誘き寄せたほうが勝率が上がる。

 

「余計なことをするな」

「……へい」

 

 怒られた、だって生得領域とか入ったら嫌じゃん。特級相手じゃないからそんなことないとは思うけど。

 

「正直今回の任務は乗り気じゃない」

「へ?」

「お前のように調子に乗って上層部に歯向かったり、教師に媚びを売って昇級するような奴は嫌いだ」

 

 もしかしてあらぬ疑いで嫌われてる? 別に媚び売ったつもりはないし、上層部にあからさまに逆らった事は一回しかない。

 

「そんなつもりは……」

「言い訳を聞くつもりはない、俺は今回お前を昇級させる気はない。努力を知らぬ物に一級など不相応だ」

 

 うぜー、全くこっちの話を聞かないし。上に何か吹き込まれてるのか? そうじゃなかったらただただうざいだけなんだけど。

 

「少なくともあと一年/

スパッ

/ほど努力を積んでから……

 

 

 ドサッ

 

「え?」

 

 目の前のものが首だと言うことに一瞬気が付かなかった。

 

 ヤバイ!!! 

 

「"具現・土星"!!」

 

 土星で防御を固め、前に使った脳と神経の強化で敵を探す。攻撃が全く察知できなかった。多分肉眼と呪力感知のどちらも追い付かないスピードで動いてる。

 

 多分、普通に避けるのは無理だ。攻撃の察知に全力を注いであとは術式で無理やり防御する。

 

 五感すべてを使い敵を探し、反射神経を一気に強化する。軽い頭痛がするが気にしてる余裕がない。

 

 ギシッ

 

 後ろから鳴る音に会わせて、土星の軌道を調節する。それとほぼ同時、金属がぶつかるような音とともに土星の軌道が歪む。

 

「見つけた」

 

 真後ろに立ってたのは右腕に刀を持ち、着物を着た呪霊だった。

 

「廃病院に侍系、何かの由来の地とか?」

 

 一級術師が一撃、特級レベルの呪霊なのは確か。俺一人じゃ確実に荷が重い

 

「なるほど、さきほどの男と違いそれなりの実力者と見える」

「へぇ、しゃべれるんだ」

 

 会話可能の特級、荷が重いなんてレベルじゃない。

 

「果たし合いを申し込む。一対一の殺し合いだ」

 

 ……こちらのメリットがない。乗る必要はないか。けど乗らなかったら確定死亡の可能性もある。

 

「条件を飲んでくれるなら良いぜ」

「内容は」

「外の仲間への連絡」

「良いだろう、仲間が増える前に決着をつければ良い」

 

 自信満々かよ。刀の呪霊が侍の呪霊が、はたまた全く別のタイプか。スピードに自信があるのはたしか。

 

「わかったタイマンだろ? やってやるよ」

「では先に連絡をするが良い」

「"具現・衛星"」

 

 衛星を作り出し事前に作っておいた手紙をくくりつけ、補助監督に飛ばす。これで助けが来るまで耐久すればなんとかなるかも

 

「そんな甘くないか」

「準備はよろしいか」

 

 呪霊が刀を構え待ち構えている。

 

「あぁ、どうせ止めてもやるんだろう」

「呪霊だからな」

「スタートの合図は?」

 

 呪霊は少しニヤつきながら、そこら辺の小さな瓦礫を拾い親指の上に乗せる。

 

「これが落ちたらスタートだ」

「落とさなきゃ見逃してくれるってこと?」

「そうしたら拾った腕ごと切って落とす」

 

 ひぇ、こわーい……

 

 ごめん、ふざけてる余裕全くなかった。正直殺気で震えが止まらない。

 

「始める前にひとつ聞いて良いか?」

「……手短に」

「呪霊がなぜ正々堂々と?」

 

 呪霊はどれだけ知能があろうと所詮は呪いだ。狡猾で嫌がる事を進んでする。そんな奴が正々堂々? 裏があるかそれかもしくは

 

「好きなんだ」

 

 趣味嗜好かのどちらかだ。

 

「強くなるために、何年も何年も何年も何年も何年も何年も何年も何年も何年も努力した人間を真っ正面から希望も見せずに真っ二つにするのが……堪らなく気分がいい」

「やっぱり呪いは呪いだな」

「そのためにはある程度の実力がいる。最初の一撃は試験なんだ」

 

 話しながら呪霊は瓦礫を弾く。

 

「さぁ始めようか」

「OK、覚悟は決まった」

 

 さぁ行こうか

 

 

 

 コンッ

 

 

 

 小さな音が廊下に響き渡った瞬間、お互いに一歩踏み出した。

 

 ● ● ● ● ●

 

「クッソ!!」

「どうした、どうした!! キレがないぞ!!」

 

 速すぎて神経強化を続けないと避けきれない。かといって呪力強化が疎かになれば体がついてこない。

 

「"具現・水星"」

 

 前の魚呪霊の時のように自爆覚悟で距離を取ろうとするが、冷気が捕らえる前に避けられる。氷壁も切られるので数秒も稼げない。

 

 星雲は発動と同時に位置が決まってしまうので下手に使えば呪力の無駄になる。

 

 速い、シンプルだけどとにかく厄介。当たらないし当てられないのに、こっちは避けきれない。

 

「けど、種はわかった」

「……なに?」

 

 呪霊の動きが止まる。そうだ、そうやって時間を稼がせろ。

 

 とにかく今は他の術師が来るまでの時間を稼いで生き残る。本気で倒すことなんか考えるな。

 

「"侍の呪霊"かと思ってたけど、お前"刀の呪霊"だな? お前が加速しているのは刀を振っている最中だけ」

 

 基本的に刀を振るとき以外は普通に詰めてくる。もし、それがブラフでなければ

 

「お前の術式は"刀と同じ速度で動く術式"だろ」

「それを暴いて何になる?」

「術式開示の手を潰せる」

「なるほど」

 

 そう言いながら刀を鞘に収める。

 

「ならば仕方ない」

 あぁそうだよな

「ならば対策も意味をなくすほどの」

 手の内がバレたら

「最速で殺してやろう」

 真っ正面から叩き潰すよな!! 

 

 刀を引き抜きながら呪霊が一歩踏み出す。

「"具現・火星"」

 

 自分より速い奴の対策法は知ってる。進行方向に攻撃を置いてやればいい。そう思ってた。

 

「な!!」

「甘いぞ坊主」

 

 まさか土星も躱されて、熱の塊ごと切られるとは思わなかった!! やべぇ、傷口の感覚が薄い、マジで深く入ってる!! 

 

「誘いも対処も悪くはない、だが相手が悪い」

「チッ」

 

 そのまま膝ををついてしまう。脇腹から大量の血が吹き出し、頭がクラクラする。土星が制御から外れ地面に落ちる。

 

 特級を舐めてた訳じゃない、土星で防げた前例から刀の切れ味を見誤った。

 

「この刀はな、儂と一心同体なんだ。刀の速度が上がれば儂の速度も上がる。儂の肉体強化を強くすればこの刀の強度や切れ味も上がる」

 

 呪霊の呪力が強くなる。術式開示かよ。

 

「フッこれでお前が必死に止めようとした術式開示も済んだぞ」

 

 ホントに性格悪いよコイツ、やべ足に力が入らねぇ。

 

「さぁ、引導を渡してやろうか!!」

 

 こちらに一歩ずつゆっくりと近づいてくる。いや、神経強化でゆっくり見えてるだけか。

 

 呪霊が目の前に立ち刀を振り上げ狙いを定め振り下ろす一歩手前

 

「"引"」

 

 落ちた土星を引き寄せ拘束する。特級相手では不意打ちでも一秒も持たない。けどこの距離ならそれで十分。

 

 呪霊の肩を掴み腕力で無理やり立ち上がる。あとは根気で踏ん張り、頭を大きく後ろに引く。

 

 時間がないので神経強化に使っていた呪力を最短で肉体強化に回し、顔面を狙って頭を全力で振り下ろす。

 

 轟音と黒い閃光が空間を裂く。

 

「ナァ!!」

「念のため付与の準備をしておいて正解だった」

 

 奴が抜刀する瞬間、まず土星で攻撃範囲を制限した。そのあと攻撃の軌道上に置いたのは火星だけではなかった。

 

「叩き潰すとか言う傲慢なお前ならとどめはゆっくりと絶望を味あわせながらだと思ってた」

 

 悪役としてテンプレなとどめの刺し方。だが人のイメージの塊である呪霊なら、確実にそう来ると思ってた。

 

「ふざけるなぁ!!!」

 

 呪霊は立ち上がり刀を振ろうとするが、その手元に刀はない。

 

「は?!」

「探し物はこれかい?」

 

 刀を見せつけるように前につき出す。頭突きのあと、刀にも触れて引き寄せおいた。

 

「がえ゛ぜぇぇぇぇ!!!」

「ほらよ」

 

 刀から離れたせいか知能が下がってるらしい。まっすぐ突っ込んで来るので、呪霊の前に刀を放り投げる。呪霊は刀を拾おうとするが手が届く前に地面に倒れ動かなくなる。

 

「お゛も゛い゛ぃぃぃぃ!!」

「刀の質量を上げた。一心同体なんだろw」

 

 予想通り刀にかかる重さがフィードバックした。やっぱりメリットだけじゃないなその術式。

 

「もういいや、燃えろ」

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 呪力消失、任務終了!! あぁ帰って風呂入りた「お疲れ様」

 

「は?」

 

 腹からさっきの刀が生えてる。違うこれは

 

「ちょっとお話しないかい?」

 

 最後に見た光景は見覚えのある傷を頭につけた女性だった。

 

 ● ● ● ● ●

 

 2004年4月□日

 

 ・昇級査定中の二級術師占星誠也、一級術師■■■■が昇級試験のため一級任務に派遣。

 ・その後、特級呪霊の消失反応と■■■■の死体を発見。残穢から占星誠也が祓ったと推測。

 ・占星誠也の遺体は発見出来ず現在捜索中

 




変な手心加えてたら時間かかりました。ごめんなさい。

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