呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか? 作:Wi-Fi
「…広いですね」
「アホみたいに広いですね」
「なんでこんなバカ広い場所をたった3人で担当しなきゃいけないのよ!!」
今日は歌姫先輩と涙と俺の3人で遊園地に来ています。任務ですけどね、遊園地は数年前に閉鎖してるしね。今回は取り壊し前の調査にだしね。今日ホントは休みだしね。
「微量な呪力を検知してるから見回りですって」
「だったらもう少し人数寄越しなさいよ!! 窓とかいるでしょ!!」
「…一応呪霊の危険性があるからって」
歌姫先輩が荒れてらっしゃる。多分これでも頑張った方っぽいけどね。だってわざわざ休日の俺を引っ張ってこないといけないくらいだし。まず準一級が受け持つレベルじゃないのよ。
「んじゃどうします先輩」
「へ? アンタが指揮とるんじゃないの?」
「逆にそれでいいんですか?」
先輩でしょアンタ、確かに総合的な呪術歴は俺の方が長いし階級も上だけども。原作であんなに先輩だって気にしてたじゃん。
「えっとじゃあ二組に別れて行動しましょうか」
「全員別々でもいいんじゃないの?」
「歌姫先輩は平気だと思うんですけど、涙を一人にするのは……」
「そっかまだ入学して日が経ってないもんね」
「いえ、迷子になります」
実力の問題ではなく、涙は基本一人で広い任務に行けない。八、九割方迷子になる。二級に上がったらどうするつもりなんだろ。
「…すいません」
「はぁ、こればっかりは仕方ないみたいね」
「少なくとも今どうにかなる問題ではないですね。リュック掴んで離さないでください」
最終的に俺だけ別行動をすることにして背負ってるリュックを手綱代わりにしてもらった。よく考えると三級の涙を一人にするのもマズイし。
「うちの同期をよろしくお願いします。ある程度見回ったら連絡ください」
「了解」
「…占星くんも気をつけて」
よし、パトロール開始……こういう探索で毎回ハプニング起きるんだよなぁ(盛大なフラグ
● ● ● ● ●
「それじゃあ私たちも行きましょうか」
「…はい」
「まずは一番近いお土産売り場かしらね」
占星と別行動刷ることになったのはいいが、正直行って私に後輩を先導するほどの強さはない。今も不安でいっぱいで仕方ない。
今まで一緒に任務に向かった後輩はある程度実力がある子ばかりだったから尚更緊張している。
「えっと空井くんの術式は水を媒体にした式神だっけ」
「あっはい」
「「……」」
き、気まずい!! 多分この子もあんまり会話が得意じゃない子っぽい、こっちから何とか話を続けなきゃ!!
「どんなしk……「せ、先輩は……
「「あ」」
「ごめんなさい、どうぞ」
「い、いえ先輩こそ」
きっ気まずい!! 向こうも同じことを考えてたのかしら、なら今度は向こうから喋りかけられるのを待つ? そうよ、先輩としてどっしりと構えてればいいのよ!
「「……」」
また思考が被った!! そうよね、先輩が喋るかもしれないのにむやみに話せないわよね。
「あ、あの!!」
話しかけて来た!! ここでいい感じに返して話を続ければこの空気感を壊せるはず!!
「えっと、いい天気ですね?」
「え? いや、帳降りてるけど」
「あ」
素でツッコんでしまったぁぁぁぁぁ
いやまさかこの状況で天気の話だと思わないでしょ!! 占星、助けに来なさいよ!!
「なっチェロスが異常に安い!! 閉園前に来たかった。使える機材残ってないかな?」
なぜかしら、少しイラッとしたわ。アイツ余裕ぶっこいてたらぶっとばしてやる。そんなことより今この状況をどうにかしないと、とりあえずまた喋りかけてみる?
「えーっと、どう高専はもう慣れた」
「あっはい。まだ緊張しますけど同期も仲良くしてくれますし」
「そう、それはよかったわ」
「「……」」
私のバカ!!!
● ● ● ● ●
歌姫先輩といくつかのアトラクションを見回っているのだけど、僕の会話ベタが出てしまいあまり話が続かない。先輩に申し訳なくて仕方ないよ……
「式神ってタイプによって大きく変わるって習ったけど空井くんのはどういうタイプ?」
「えっと、僕の式神は攻撃特化なんです。脆いから壊されやすいし防御には使えないんです」
僕の解邪水魚は触れただけで呪霊を祓う代わりに水が汚れた部分から維持が難しくなる。
「流動体が媒体の式神は強度に難点があるんです。だから本当はもっと体術を鍛えないと行けないんですけど」
「あっまぁえっと、うん。がんばって!!」
何かを察した先輩がフォローしてくれる。先輩は本当に優しいな……あんまり甘えてちゃいけないよね、僕も呪術師なんだ!
「…先輩、行きましょう」
「指してる方向逆よ」
「…すいません」
今日はとことんダメみたい。きっと占星くんは一人でテキパキ終わらせてるのかな
「小さめのフライヤーあるじゃん!! 予備かな? ラッキー」
気合いを入れ直そうと思った瞬間、急に背筋に嫌な感覚が流れる。最近やっと慣れてきた呪力感知がずっと危険信号を出し続けてる
「止まらないで!!」
その一言で我に返り声の方向に走り出す。敵の正確な位置はわからないけど適当に走ると迷子になる。とりあえず声のする方なら一瞬は安全なはず。
「走るよ、振り向かないで」
「は、はい!!」
早く距離をとらないと体力が少ないので追い付かれる。とりあえず一心不乱に先輩の後ろを付いていく。
「最悪当たらなくてもいいから式神を後ろに飛ばして」
「わ、わかりました」
ベルトに付けているペットボトルを開けて後ろに投げながら術式を発動する。
上手くいったか確かめる余裕もないのでなけなしの体力で走り続ける。
限界が近くなり始めたとき、振り向いた先輩に背負っていたリュックを引っ張られ地面に転がる。
「いてっ」
「しっまだ追って来てる」
反射的に両手で口を覆ってしまう。式神は上手い具合に相手の足止めが出来たらしい。けれど冷や汗は止まらない、多分そこまで距離は取れてないのだと思う。
「ミスったわね」
「へ? 何をですか……」
「周りを見て」
言われた通り周りを見渡してみる。噴水を中心に生け垣が円形に並んでいる。たしかこの遊園地の中心にある広場だったはず。
「なにがマズイんですか?」
「遮蔽物が少ないのよ、逃げるとき確実に見つかる」
今僕たちは生け垣の裏に隠れているが生け垣同士の感覚は1mほど開いていて通りすぎたら多分見える。他の建物までも距離があり下手に移動できない。
「じゃあ、占星くんと連絡を取れば」
「それが、繋がらないのよ」
「え?」
「携帯が圏外なのよ、普段使わないから忘れてた」
そうだった、帳は電波を妨害してしまう。この前先生から忠告を受けたばっかりだったのに。
「どっどうすれば」
「派手に戦いながら時間を稼いで占星を呼ぶ」
「なっ」
アレと戦う? まだ見てもいないのに背筋を凍ってしまうようなあの化け物と?
「むっ
「無理だと思うならここにいなさい、私だけで行く。もうすぐ追い付かれると思うから合図したとき覚悟が決まってたら出てきなさい」
無理だと最初に思った。勝ち目なんてないって本気で思った。けど先輩の手が震えてることに気が付いて、まだ甘える気なのかって頭のなかで声が響いた。
「ぼ、僕は」
● ● ● ● ●
あれは多分1級相当の呪霊、呪力の隠蔽があまりにも上手すぎる。あの距離まで気が付かなかった。
もしも初手で攻撃されてたら二人ともあそこで死んでたはず、遊ばれてるんだ。なら、時間稼ぎだってできるはず。
本当に? あの化け物相手に時間稼ぎ? もし少しでも奴の気分が変わったら、少しでもヘマをしたら、本当に生き残れる?
あぁ怖い、とても怖い。今にも我を忘れて逃げ出してしまいたい。けどそれは隣にいる後輩も一緒、私よりも怖いのかもしれない。だから、弱音なんて吐かないしむしろ余裕を見せる。虚勢を張って戦うそれしか私に出来ないから。
「お゛ぉッブゴーンだべる゛ぅぅぅ」
呪霊の姿は腕が以上に長く、頭と胴体が繋がったような姿だった。とにかく派手にやりあって気付いてもらうしかない。
「空井くん、どうする」
「僕は…やります。僕に出来ることを」
「わかったわ、なら式神を出来るだけ出して奴の注意を引き続けて、サポートする」
「わかりました」
「出し惜しみはなし、とにかく占星が来るまで時間を稼ぐ!!」
「は、はい!!」
珍しく主人公以外の視点ですね
書いてたら長くなりそうだったんで真ん中あたりでバッサリいきました
毎日投稿続けた方がいい?
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文字数そのまま毎日(増やす努力はします)
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増やして週2回投稿
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もっと増やして週1回投稿