呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか? 作:Wi-Fi
※五条悟が若干弱く見えるかもしれませんが彼はまだ1年生です。
彼はまだ一年生なんです…そういうことにしてください…
(簡易領域、それは完全な悪手だろ。……いや?)
簡易領域は使用者を中心とした結界術であり、デメリットとしてその場から動けなくなる。術式を中和出来ない以上、蒼の回避ができなくなる。
だがそれは結界術を用いた普通の運用での話だ。
全力で振り下ろしたハルバードを蒼の加速で避けられる。やっぱり六眼でバレてるな。
(結界で領域を閉じてないのか?)
俺の使っている領域は厳密には簡易領域とは呼べる代物じゃない。ただ領域を垂れ流しにしている不完全な領域だ。
(結界を使わなければ領域は保てない。空中に器を使わずに水を留めておくようなもんだ)
なら絶え間なく蛇口から水を出し続けるように一定の量を流していれば擬似的にだがその地点に水を存在させ続けられる。
(けど呪力の消費量はハンパないだろ)
やってることは高速で連続的に簡易領域を開き続けるのと同じ。長時間の運用はできず全体で約10秒が限界。
(この数秒間なにもせず避け続けることだって出来る)
けどお前がしたいのはただ俺を倒すことじゃない。俺の存在の否定だ、そんな奴が逃げ続けるなんて雑魚のすることはしないはず。
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「五条が避けた?」
「何かしらの方法で無下限を貫通したみたいだね」
二人の邪魔をしないため距離を取っている影響でどうやっているのか正確にはわからない。けど簡易領域に近い何かで術式を中和してるように見える。
「にしても先輩は五条の蒼を何回も避けてるみたいだけどそんなの可能なの」
「普通は無理だね、悟の術式は速度も出力もレベルが違う」
「じゃあどうやってんの?」
「……多分だけど、発動速度は先輩が一歩速いんだ」
悟の蒼は位置設定や出力、指向性なんかをその場で行っている。それに対して事前に配置している先輩の方が初速が一歩速い。
「蒼を起動してから最高速度になるまでの一瞬。それまでに範囲外に逃げれば理論上は回避可能だ」
「理論上はってことは普通無理ってことでしょ」
「悟の術式の起点が見えないからね。発動前に準備でもしてないかぎり避けきれない」
「呪力そのものでも見えない限り無理ってことね」
もし見えてたとしてもあの速度で動き続けながら術式を発動して領域まで維持し続けるなんてマルチタスクは無理だ。
ここからみても使ってる呪力量がおかしい。あれを長時間続けるのは無理があるはず、もっても残り数秒程度。
「それに大前提としてこれ試合だからね。悟も死なない程度に出力を絞ってる」
「元々ルールなんて守る気ないみたいだけど」
とりあえず悟には夜蛾先生の生け贄になってもらうことにした。
● ● ● ● ●
俺の領域は領域展延よりも中和の性能が格段に弱い。
領域展延で使われる領域は元々領域展開で使われるものであり簡易領域と比べればあまりにも質が違い過ぎる。それを新しい領域を張り続けることで誤魔化していたがやはり本物には届かない。
なので無下限バリアは中和出来ても出力の高い蒼は中和しきれず当たるのだ。
しかし向こうにも決めきれていないのは事実、あと数秒でどちらがボロを出すかの勝負だと思っていた。
蒼を回避するために距離を取った瞬間、五条が纏う呪力が落ちる。無下限バリアを切ったのだ。
「!?」
「"蒼"」
さっきまで発動していた術と比べ物にならない速度で俺を襲う。今までもギリギリ避け続けていたのにこれ以上は無理があるって!!
とりあえず攻撃を諦めて回避に全振りする。けど時間がないのはこちらであり避け続けるわけには行かない。
この簡易領域は肉体を守るためにも使っており、加速中の体への不可も減らしてくれている。逆にいえば簡易領域が使えなければ蒼を避けるのも難しくなる。
けれど反撃手段がなく、そのまま10秒の加速時間が終わる。それに気付いた五条も一時的に攻撃の手を止めた。
星雲の加速は領域による肉体の保護が前提。残りの呪力量もカツカツ。
「もう終わり? 短かったね」
「あぁ勝つための方法はこれしかなかったんだけどな」
「閉じない領域、発想は悪くないんじゃない。まぁ意味はなかったけど」
「正確には閉じないと言うより閉じれないんだけどな」
実は閉じない簡易領域を思い付いたのはただただ俺が結界術が使えないだけなんだよね。未だに決まったサイズの帳しか降ろせないし。
「動かない相手を捕まえる鬼ごっこなんて初めてだよ」
「次は俺が鬼かな」
「あぁ」
俺が勝つにはもう一度簡易領域を張るしかない。10秒は無理でも数秒間は発動できるだけの呪力を回復したい。
「じゃあいこうか」
「"引"」
自己補完の範疇に出力を抑えて星雲を起動する。本当は呪力を使いたくないが蒼の速度を生身で回避なんておかしな事俺にはできない。
星雲をいくつか五条の周りに増やしてチャフ代わりにするが攻撃の手はなくならない。
五条の視界内にいる時点で呪力0でもない限り目眩ましは効果がない。もっと強い呪力の反応を作る事も考えたが今は回復優先なのでそんなことはできない。
「俺の術式は呪力でマーキングした相手に元の形や性質に関係なく星の特性を付与する」
術式開示で無理やり呪力の回復速度を上げる。回復のため最大速度が出せないから蒼を振り切れず体が引っ張られる。
「俺が付与する特性は発動後、付与した物に影響を与えるので過度な出力は付与対象を壊してしまう場合がある」
体を地面に叩きつけられ、校舎の外壁に吹き飛ばされる。それでも全力で声を振り絞る。
「なので呪核を利用した式神を作ることで付与効果を維持している。これが具現化」
一瞬でも意識を逸らすためにハルバードを顔面めがけてぶん投げる。だがあっさり無下限で止められる。けれど無下限を起動した瞬間。一秒にも満たない停止時間が生まれた。
「簡易領域」
回復した呪力による約1秒間の無下限無効と加速。さらにアドリブで新たに縛りをつける。この1秒間、直進移動以外を禁じる。
十種影法術の貫牛と同じ距離を増すほど威力が上がる効果。さっき蒼で飛ばされたおかげでそれなりに距離がある。
最高速度でブチ抜いたる!!(死亡フラグ)
さっきの術式開示で五条はマーキングを警戒してる。だからバリアではなく蒼による迎撃を優先するはず。
なら裏をかいてこっちはトップスピードの一撃で決める。こっちの速度は見てるから蒼の威力も出し惜しみしないはず。なら予想を超えた速度を出してやる。
地面をえぐり一歩で五条の懐に潜り込む。校庭に亀裂が入り、風圧でハルバードが五条の後ろに吹き飛ぶ。
右手が鳩尾を捕らえたと思った時、触れた部分が弾かれる。
「なっ!?」
「甘いね」
無防備になった胴に五条の膝が入る。速くてガードが全く間に合わない!!
「カハッ!!」
「俺が完全術式頼りだと思ったのが間違い」
弾かれた右腕が痛む。引く力でも止める力でもない。こっちの攻撃に反応して弾いたみたいな……
「落花の情……」
「ビンゴ~!! よく知ってるね!!」
踞っている俺に対して笑って返答する。くっそ、読み合いで負けたら勝つ術ないだろ。てか術の切り替えが速すぎる。
やば、いいの入った……意識が……
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「そこまでだね」
決着と同時に傑が空中から降りてくる。まさかここまで出来る相手だとは正直思ってなかった。
「五条が負けるなんてね」
「うっせ、言うなよ」
背中に突きつけられていたハルバードが制御を失い地面に落ちる。最後の最後で自分を囮に使うかよ。
「呪力感知で気付かなかったのかい?」
「チャフで誤魔化された。わざわざ視界の外から狙ってきやがって」
ハルバードを拾いサングラスを外す。刃の中心に呪核が埋め込まれており引き寄せの術式が組み込まれてる。中心以外のハルバード自体に呪力がこもってない、そのせいで他の星に紛れ込んでた。
「無下限で止めようとしたら直接自分で殴って、蒼で防がれたら後ろからズドンか」
正直、落花の情を使ってる時点で叩き落とせた。けどなんとなくそれをこの場で言う気にはならなかった。
コイツは、今まであった奴とはまた違った方向で面白そうだと思ってしまった。少しでも認めてしまった。
それは、今の俺にとって負けと同義だった。だから勝てたことを伝えなかった。
「まぁ本気でやりあってたら一手目で終わってるし」
「そうかもね。でも初めてだろ、呪術で負けたの」
「……コイツ面白いな」
「だろ?」
「お前ら喋ってないで先輩運べ、ほっとくと死にかねないぞ」
なんで傑がコイツを先輩と呼ぶのか。どこを尊敬してるのか少し知りたくなった。
「その辺転がしとけばそのうち起きるでしょ」
「いや夜蛾センに見つかる前に……」
「おいお前たち!! 何をしている!!」
あ、まっず。そういやガッツリ校舎壊したって。
「「先生私たちは怪我人を運ぶので詳しいことはそいつに」」
「お前ら汚ねぇ!!」
「悟、またお前か!!」
とりあえずダッシュで夜蛾センから逃げる。そういえばアイツが使う簡易領域、異常に濃かったけどどういう理屈か見切れなかったな。起きたらもう一回やらせよ。
「悟!!!!!!!!!」
A.アク○ルフォームと不意打ち
加速バトルってセリフ増やせないんで難しいですね。
感想欄の方でもいくつか対五条案を頂いたので今後リベンジマッチも考えております。