呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか?   作:Wi-Fi

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書き終わって見返したら、主人公の同期の癖に想定が甘くないか?ってなりましたけど、原作入る前に書くべきことを詰めてるだけだしと自分を誤魔化してます。

あと前回、家入が主人公を「先輩」と呼んでいますが「お兄さん」に修正します。作者が若干の解釈違いを起こしているので、もしかしたらまとめて先輩にするかもしれません。すいません…



31話

 

「片手は厳しいな」

 

 前後から挟まれた攻撃をいなしながら次の手を考える。とりあえず挟まれた状態で長時間攻撃をいなし続けるのは無理があるので状況を変えたい。

 

 背後から来る拳を側面から回し蹴りを当て反らし、前方からの太刀を柄に拳を当ててズラす。

 

 最初は術式を封じられるのが厄介で涙を潰すべきかと思ったけれど、片方だけ潰そうとすると時間稼ぎに切り替えられ有効打までたどり着けない。

 

 やるなら同時に攻撃されている最中で、向こうに攻めの余裕があるタイミング。

 

 鏡香をあえて視界から外して向こうに攻撃の隙を見せる。涙の太刀を左手で受け回避も防御も出来ない状態になる。

 

「とった」

「なわけ」

 

 背中を狙った拳をもう一度右腕で掴み押さえ込む。右は最初のダメージで使えないと刷り込んでおいたし、対応は遅れる。

 

 更に黒閃の不発による動揺もあり簡単に押さえ込めた。涙の腹に蹴りを入れ、距離を空けることで左手をフリーにする。

 

「何で?」

「黒閃はもう出せねぇよ」

 

 最初の一撃を受けたときにマーキングは終わってる。下手に引力なんかを使ったら涙に邪魔されそうだと思って温存しておいたのは正解だった。

 

 連続での黒閃の仕組みはまだわかっていないけれど、黒閃の発生条件さえ理解していれば塞ぎようがあった。

 

「涙!!」

「"式・珠輪(シュリン)"」

 

 水を真珠を模したであろう小さな玉の状態に変え、それを捕えるように両手を合わせ指先をこちらに向ける。

 

「"穿波浪(クウネ)"」

 

 合わせた手の先から呪力による圧力と式神の操作能力で加速された水がレーザーのように飛ぶ。穿血のパクり技か。

 

 刀を不意打ちや隠し球にしなかったのはこれがあっからか。

 

「でも遅すぎる」

 

 あえて回避せずにそのまま片手で受ける。こちらに回避させて鏡香に当てることでマーキングの解除が目的だったんだろう。

 

 術式を絡ませても解除されるだけなので純粋な呪力強化だけで抑える。本家を見たわけではないが、これが音速に届きうるとは到底思えないし速度は良くて加茂憲紀程度だろう。

 

「"式・解邪水魚(かいじゃすいぎょ)"」

 

 式神で俺を囲い捕えようとする。攻撃の要である鏡香のマーキングを外したいんだろ。させるわけないけど。

 

「"雲来沫(うんらいまつ)"」

 

 呪力出力の高い技で無理矢理突破しようとしたが俺を囲っていた術式が弾け飛び、視界内を霧状にする。

 

 位置を移動してもう一回穿血もどきで俺の術式解除を狙ってんのか、単純に合流する気なのか。

 

 左目で呪力を辿り位置を把握する。合流する気はないらしく、あくまでも俺を二人で挟んだ状態を崩したくないらしい。

 

「"穿波浪"」

「"簡易領域"」

 

 鏡香を狙った穿血もどきの進路を塞ぐ。穿血もどきの使用中は両手がふさがり刀を持つことが出来ない。

 

「"具現・星雲(ネビュラ)"」

 

 つまり接近戦において完全な無防備である。

 

「俺の目を眩ませるなら呪力は解除するなよ」

 

 先ほどと同じく約2秒の最大加速で鳩尾に拳をぶつける。しっかり殴ったので当分復帰は出来ないと思う……死んでないよな? 

 

 まぁ、これで一対一、黒閃も封じたわけで解除方法も潰してある。火力重視のごり押しで終わるでしょう。

 

「簡易領域が合計で5.6秒分、術式のフル運転に部分的にとは言え最大出力での呪力強化」

 

 残った呪力もかなり少ないが普通に術式を運用する分には問題ない。普通に運用する分にはだけどね。

 

「それだけ削ればコレを防げ続けられるほどの簡易領域は維持できないだろ」

 

 おいおい、マジかよ……

 

「"領域展開 鏡乱照顧(きょうらんしょうこ)"」

 

 視界内の全てが鏡で埋め尽くされてゆく。

 

 ●●●●●

 

 占星誠也は領域に対抗策として結界の閉じきる前に簡易領域を展開する。残った呪力と攻撃に使う呪力を考え発動可能時間は約1秒。

 

「"引"」

 

 星雲を広げる時間もないので天野鏡香に付けたマーキングから引力を発生させ最短で懐に潜り込む。

 

 それに対して天野鏡香は完全な待ちの体勢に入る。占星誠也の残り呪力を考えれば最後の攻撃は呪力強化でいくらでも耐えられると判断した。

 

 1撃でも耐えてしまえば簡易領域も剥がれ、領域の必中効果が届く。だからこそ1撃耐えることだけに集中する。

 

 だが、それは占星誠也の素の攻撃のみを考慮して考えた結果である。

 

「なんでそれを持ってる」

 

 涙との近接戦闘で特級呪具にマーキングを付け、引き寄せていれば話は変わる。引き寄せた刀を逆手に構え殴るように振りかぶる。

 

 特級呪具 奇縁の剣。その術式は使用者と呪具の特性を共有する。術師の速度に刀を振るう速度が乗り、刀を振るう速度に術師の速度が乗る。実質的にノーコストで倍の加速が可能となる。

 

 今回の場合は刀を振るう速度に引力による引き寄せの速度、さらにそこへ呪力強化が上乗せで入る。

 

「対人経験の不足だな」

 

 天野鏡香の想定していた以上の威力が鳩尾に入る。

 

 ●●●●●

 

「悟は中の様子とかわからないのかい?」

「六眼を何でも出来る便利アイテムだと思ってんだろ?」

「あながち間違いじゃないだろ」

 

 流石に結界の呪力が壁になって中の様子はわからないみたいだ。ただ強い呪力や反応には気付けるらしい。やっぱり便利アイテムじゃないか。

 

「お、帰って来た」

「早かったですね」

「領域だとわかってから最短で終わらせに行ったからな」

 

 左手に空井先輩の刀を持ってるあたり利用されたのだろう。あれさえなければ勝敗が変わっていたかもしれない。

 

 いや、あの呪具がなければ空井先輩のダウンが早まるだけだし関係ないか。先輩のマーキングの外し方だけ考えておこうか。今後何かの役に立つかもしれない。

 

「くそ疲れた」

「先輩が勝ったんですか?」

「ギリギリでね」

 

 気絶した天野先輩を肩に担いでいるけど女性の運びかたとしてそれはどうなんだろう。そのまま地面に寝かせて、保健室まで運ぶとかは……あ、そんな体力残ってない。そうですが……

 

 私たちが除いていた窓枠に座るように体重をかける。呪力はギリギリだったかもしれないが傷はそこまで多くないところを見るとそこまでギリギリだったようには見えない。

 

「こいつの黒閃の仕組みどうなってんの?」

「確か、疑似魂と肉体の動きに誤差が全くないから少し意識するだけで魂に乗った呪力と打撃の誤差が黒閃条件内に収まるらしいよ」

「なにそれチートかよ」

 

 それを初見でいなす先輩もどうかと思うという言葉を飲み込み先輩を見つめる。全員考えは同じだったらしく、顔に出ていたのか「なんだよ、本心だぞ」なんて念押しをしてくる。

 

 別にそこを疑ってるわけではないですけど。

 

「どうやって封じたんですか?」

「本人が気付かないレベルの質量(重さ)を追加して誤差を広げた」

 

 鏡香先輩の黒閃は全自動(フルオート)ではない。他の人より簡単になっているだけで本人が狙って出している以上、本人が元々想定している状態と違えばやはりズレが生まれる。

 

 それをあの一瞬で気付きその場で対処を思い付くあたり頭の回転が早いな。

 

「家入、右腕直してくんね?」

「外した肩どうやって戻したんですか」

「いやまだ外れたまんま、引力で間接同士を引っ張って無理矢理動かしてた。呪力切れかかってるからもう動かないんだよね」

 

 自分の腕をプラモデルみたいな使い方しないでほしい。これ実戦じゃないんですよね? 

 

「うわーお兄さんもちゃんとイカれてますよね」

「へへっよく言われる~」

 

 喜んだ先輩にイラついたのか反転を使わずに強引に右腕を押し込み元の位置に戻す。うわ痛そう。

 

「痛ったぁぁ……」

「誉めてないですしめんどいんでやめてください」

「ハイ……」

 

 こればっかりは自業自得だな。

 

 

●●●●●

 

 

『続きまして昨日、静岡県浜松市で起きた爆発事故。原因はガス管の経年劣化だと思われ…』

 

 仕事で移動が多いからと言う理由で買った愛用の携帯ラジオを流しながら飴を口に放り込む。

 

普段ならイヤホンで聞くのだが今日は嫌がらせを含め、あえてスピーカーで流す。

 

「んで、帳を忘れて怒られたんだって?」

「そもそもさぁ、帳って必要?」

「開き直るなよ」

 

 俺のツッコミに対して五条がさらにやいのやいの言ってくるが全スルーして対処を傑に押し付ける。最近わかったのだがコイツに構ってたらキリがない。

 

 家入、そのサングラス俺にも貸して。

 

「弱い奴に気を遣うのは疲れるよホント」

 

 最強がゆえの傲慢な発言、わからなくもないがわざわざ口に出すかね

 

「弱者生存それが社会のあるべき姿さ。弱きを助け強きを挫く、いいかい悟」

「呪術は非術師を守るためにある」

 

 こっちもこっちで思想が極端。守った先の利益を考えられなきゃ心が持たないだろうに。

 

「それって正論?俺、正論嫌いなんだよね」

「…何?」

 

 うわ、はじまったよめんどくせー。隣で家入がまたかコイツらみたいな視線を送ってるのが見えんのかね。

 

「お兄さんはどう思う?」

 

 とか言いながら視線は「面倒だから止めて」と訴えてくるので、視線でドアを差し「無理、逃げとけ」とアイコンタクトを取る。

 

「そうだなー俺は」

 

 まぁ、とりあえず面白そうだから燃料追加する方向でいこうと思う。

 

「俺強いから弱い奴なんて知らんみたいな自己中も、俺強いから守ってやるよみたいなマウントもどっちもうぜーって感じかな」

「「ア゛?」」

「ポジショントークで気持ち良くなれるほど非術師は下じゃねぇよバカども」

 

 あれ?この煽り方だと俺にヘイト向くのか?…ミスったぜ!!

 

「外で話しましょう。先輩」

「表出ろよ。誠也」

「甘えん坊か?先輩離れしたらどうだ」

 

 この二人相手にしたらボコボコにされるのはわかっているが、ここまで来たら引くにも引けずかっこつけた返事をしてしまう。

 

「お前らなぜ3年の教室に…なにをしてる?」

「さぁ?」

「別になにも?」

「気のせいでしょ」

 

 とても良いタイミングで夜蛾センが来てくれた。まぁ、なんとなく来るのは知ってたんですけども。

 

「まぁいい、任務だ。2年の教室に戻れ」

「えぇここでいいじゃん、めんどくせぇ」

 

 流石に任務は個人情報とかも含まれる場合があるしそう簡単には行かないんですよ五条さん。今回はそれが理由じゃないと思うけど。

 

「わざわざ戻るってことは理由があるんだろ。ほら行ってこい」

「へぇーい」

 

 俺は天元様のお眼鏡にかなわなかったらしい。その方が動きやすくて助かるんだけど。

 

 もしかしてバレてるとか?一応聞かれてバレるような内容を高専内で話してないとは思うんだけど。ギリギリは結構あるけどそこまで拾ってるとは思えないし。

 

「まぁそれにしても動き出したか。正直うまく行くか微妙なんだよなぁ」

 

 かなり綱渡りな内容ばかり。下準備はかなり終わらせているが、それでも一度でも疑われたらアウトな部分が多い。

 

「でもここが一番の正念場なんだよ、占星誠也」

 

 ここでさえ越えれば原作からレールが大きくズレることになる。

 

「そんじゃ動きますか。とりあえず最初の難関からだな」

 

 携帯を取り出して電話番号を入力する。やべぇ若干だけど手が振るえてる。

 

「もしもし、お疲れ様です…あの…よろしければなんですけど」

 

 大きくなる心臓を手で無理やり押さえるようにして呼吸を整える。ヤバイくそ怖い…言え!!言うんだ!!

 

 

 

 

 

「クレジットカード貸してくれません?()()()

 

 たぶんだけど、ここが一番しんどいかもしれない。

 





悲報、主人公、初手から詰む
…2006年ってポケットラジオ使われてんのかな?
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