呪詛師になる?俺を見てまだそんなことが言えるのか?   作:Wi-Fi

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今回は短めです。



第8話

 

 そろそろ本格的にゴリラにならなければならない。

 

 前回の魚呪霊との戦闘で近接の実力不足を痛感した。触れば勝ちの戦いであんだけボコられるって弱すぎだろ俺……

 

 なので本格的に星雲の完成を目指す。これまでも部分的な発動を試したりしてみたが、やはり常時発動が出来るようになりたい。

 

 問題は俺の処理速度が足りないことにある。そこを補うための方法として神経の呪力強化を優先してみればいいのではと考えた。

 

 まず脳に呪力を送り、そこからつながる神経に流していく。そうすることで情報の伝達速度と処理速度を少しづつ上げる。

 

「これはうまくi、いでででででででで!!」

 

 頭に激痛が走った。機能面の強化と強度への強化の釣り合いをミスったらしい。これ一気に上げてたら神経が焼き切れてたな、火星のときの前例があったおかげで助かった。

 

「少しずつバランスを整えて上げてく感じで」

 

 少しでも違和感を感じたら強度をあげ、問題なければ出力を上げる、この繰り返し。あんまり上げすぎてもコスパが悪くなるので抑え込めに、

 

「おぉ、良い感じ」

 

 元々、視力は良い方だがそれでも違いがわかるほどに周りがよく見える。

 

 見えるだけじゃない、音も匂いも感触もよくわかる。けど今欲しいのはそっちじゃない、目を閉じ指の先まで集中する。

 

「"具現・星雲(ネビュラ)"」

 

 その場で構え、シャドーボクシングにあわせて体を引く。できるだけ発動と体の動きのタイムラグを減らしながら、位置を調節していく。

 

「だめだ、めっちゃ痛い」

 

 今まで肉体強化に回していた呪力の一部を神経強化に集中しているからか、何度も使っていると痛みが出てくる。皮膚ちぎれそう。

 

 いい線いってると思ったんだけどなぁ。いや、落ち込まず切り替えていこ!! 次!! 

 

 今度は事前に引くパターンを設定しておく方法。肉体にあわせて発動するのではなく、発動に合わせて動く。誰だ投射呪法のパクりって言ったやつ、その通りだよコンチクショウ。

 

 まず、頭の中で数秒後の自分の動きをイメージします。発動する星とタイミングを設定、それに合わせてうごku……

 

 スピードについていけず木に激突しました。設定を間違えたらしい、なら少し遅くして同じようni……

 

 逆に体が先に動いたせいで引力に足を取られて転けました。なら発生する星の数を増やして動作中のズレを修正しよu…

 

 増やしたせいで設定自体にバグが生まれたらしく全身が引き裂けそうになりました。……次!!!!!! 

 

 次は自分の動作をある程度パターン化する方法。それなら引力の発動タイミングと出力を固定化出来るので一回に行われる演算量を減らせる。

 

 ゲームで例えると、今まではその場で毎回プログラムをパソコンでガチャガチャ組み立てていた感じ。それを、先にパターンを決めておくことで、リモコンのような少ないボタンでも動かせるようにするようなイメージだ。

 

 これは上手くいったので、試しに後日夜蛾先生に相手してもらったのだが、ボッコボコにされた。

 

 やっぱり、現実とゲームは違うらしい。唯一有効打になったのは、ふざけて作った昇龍拳だけだった。

 

 ● ● ● ● ●

 

 万策尽きた。あとは自動(オート)とかも考えたけど、あいにく六眼も反転術式も持ち合わせがない。

 

 もう諦めて別の方法を考えるべきか? けど、前に思い付いた強度の高い鉱石の付与も全身が固まってしまってだめだったし。

 

 あれは内臓とかも機能不全になってマジで死ぬとこだった。脳が停止したことで術が解けるというなんとも言えない命拾いをした。

 

「うーーーーむ」

「困っているみたいだね」

「そうなんですよ、上手く術式を肉体に作用できなくって」

「話は聞いてるよ、肉体そのものへの影響があり過ぎるんだってね」

「はい、で誰ですかね?」

 

 後ろから急に声を掛けられて自然と会話してしまった。見た目に見覚えはあるしあの人だろうけど一応聞いておく。

 

「ん? 私は九十九由基、名前くらいは聞いたことあるだろう?」

「任務も受けずにブラブラしてるで有名の?」

「急に帰りたくなったよ」

「すみません、相談乗ってください」

 

 この特級はたまたま日本に帰ってきたときに俺の話を聞いて興味を持ったらしい。こちらとしては特級に話を聞いて貰えてラッキーである。

 

「ふむ、君は一つ履き違えてることがあるんだよ」

「履き違えてること?」

「近接って言うのはね、別に肉弾戦に限った事じゃないんだよ」

「へ?」

「接近されたときに対処が出来ればいいってことだよ」

 

 なるほど、前世の知識からゴリラ最強意識が強すぎて固執しすぎていたのかもしれない。

 

「君の長所は手数の多さだろ。やり方はいくらでも見つかるはずさ」

「今の所、失敗続きですけどね」

「失敗なんて当たり前だよ。私も失敗だらけだしね」

 

 確かに、この人の夢を知ってると言葉の重みが違うな。

 

「明日も空いているからね。期限はそこまでだよ」

「期限あるんですか」

「男の子はそのくらいが燃えるだろう」

「まぁ否定はしないですけど」

「だろう?あ、そういえば聞き忘れてたよ」

 

 俺なんかに聞きたいこと? 

 

「好きな女のタイプは?」

 

 あーそれか

 

「んーダウナー系?」

「薬の話しかい?」

 

 あれ、ダウナー系って流行ったのいつからだっけ?

 

「えっと、あとは術師じゃないことですかね」

「ほう、意外だね。一緒にいて居づらいとか思わないのかい?」

「術師にまともなのいないでしょ」

「それ私にも失礼だよ」

 

 わかってて言ってるんだよ、それに

 

「あんなの見えて、ろくなことないでしょ」

「それは同感かな」

 

 ● ● ● ● ●

 

 九十九さんが帰った後、ひとりで頭を悩ませ続けている。肉弾戦以外の近接方法。

 

 術式の効果は触れなければいけない。なら星を直接ぶつけるのがいいか。けどぶつけてダメージが出せるようなサイズと質量は同時に操れる数に限りがある。

 

 もし複数出すならサイズは小さくしなきゃいけないし質量もそこまで付与できない。あとは

 

「スピードか」

 

 今まで以上に加速させた衛星を複数射出して、いやコスパが悪い。それに毎回攻撃の度に具現を挟んでいたら隙が大きすぎる。

 

 なら射出せずに手元でコントロール? そんな精密操作を複数で出来るのか。そんなの処理し切れない。

 

 処理……そうかそれこそパターン化すれば良いのか。肉体と違って単純なパターンになるからバグもでないはず。

 

 そうと決まったら試作だ、どうせいつものパターンで失敗が続くんだ。はやいに越したことはない。

 

 今日は徹夜が確定したぜ

 

 




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