転生男の娘vs悪ガキ(星)   作:桜ナメコ

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 生存報告。
 エタりかけた理由については後書き参照。
 


12話

 

 

 

 

 

「……なんだか、上機嫌だなお前?」

「そうかな? うん、そうかも。たった数日なのに、パイモンと二人きりは久しぶりな感覚だからね。少し浮かれてるかも」

「……へへっ、そう言われると、悪い気はしないな!」

「それに天華のためになるなら、ね。盗賊退治も安いものだよ」

「…………ぅぅ、それだとなんかおいらよりも天華の方が仲良しみたいだぞ」

「ふふっ、嫉妬かな? 大丈夫、私の最高の仲間はいつだってパイモンだから」

「…………お、おいらも同じだからな!」

「ありがとう……よし、それじゃあそろそろ始めようか」

 

 蛍の中で、一つのスイッチが切り替わる。

 パイモンもそれを察して邪魔にならない位置へと浮かび上がった。

 

 取り出した剣を二、三度振るってから、小さく頷いた。

 地上をひと蹴り。

 さらに木の側面を蹴り付けて、枝の上に跳び乗る。

 

「…………先に見つけた方が、頭を撫でてもらう。約束は守ってもらうから」

「……ん、なんか言ったか?」

「何でもないよ」

 

 

 直後、蛍は全速力で無妄の丘を駆け始めた。

 

 

 

 ✳︎

 

 

 

「…………やい、ステラさんや」

「……どうかした?」

「流石の俺も、今は呑気に手繋ぎデートをしてる場合じゃないと思うんだが、そこんとこどーよ?」

「デート……確かに、デートだね。いちゃいちゃする?」

「しないしないしない。おい、手をにぎにぎするんじゃない。お前、一応怪我人なんだからな? 用心するに越したことはないぞ」

「周囲警戒なら、チートさんがやってくれてるでしょ」

「そう言われると何も言い返せないからやめて?」

 

 ここでチートさんの性能を疑うとかは今更選択肢にない。

 ……多分、アーカーシャの性能に依存していたスメール人たちもこんな気持ちになっていたのだろう。

 まあ、チートさん本人が妙に人間味のある性格をしているため、操り人形にされている感覚がしないので特に気にしていないのだが。

 え、してないよね?

 

『されたいんですか?』 

 丁重にお断りさせて頂きます。

 

 そんなわけで、宝盗団探しはチートさんに任せて俺とステラはのんびりと無妄の丘周辺を歩き回っているのであった。

 

 因みに、二手に分かれたのは純粋に効率を重視したためである。

 俺とステラは石門の方向から進み、蛍とパイモンが軽策荘の方向から捜索を行うというものだ。

 一応、互いの進捗を知るために十二時になっても見つからなかったら、軽策荘に集まって食事を取ろうということになっている。

 逆に宝盗団を見つけることができた場合は、蛍が持っていた花火を幾つか預かっているため、それを使って居場所を知らせる予定だ。何周目の海灯祭経験者ですか? なんてメタい質問はどうにか呑み込み我慢した。本編時空はともかく、イベントの時系列とか気にし始めたら頭バグるのは目に見えている。

 

 何やら、ステラと蛍がどちらが先に宝盗団を見つけられるかなんてことを言っていたが、仲良くなってくれたようで何より。

 何の賭けかは知らないが、金銭などのあまりにも直接的なものでない限りは見過ごしてやるとしよう。

 

 ふと隣を見たときに、ステラが真剣な顔で何かを考え込んでいるのがわかった。

 

「…………傷、大丈夫か?」

「……痛くて泣きそうって言ったら、慰めてくれるの?」

「お前が本当にそうしたいならな」

「…………もうそこまで痛くはない。ただ、あんなに苦戦したのは初めてだったなって」

 

 視線を落としたステラが、ポツポツと初めて味わった苦境に対する感想を漏らしていく。

 

「別に、相手の一人一人が強かったわけじゃない。一対一を人数分こなせって言われたら、凄く疲れると思うけど不可能じゃないと思う」

 

 自然と、握られた手には力が入っていた。

 

「でも、あの状況じゃ無理。少なくとも今の私じゃ、絶対に」

「…………そっか。ありがとな、話してくれて」

 

 多分、俺には彼女のことをどこか特別視してしまう癖がある。

 だって想像ができない。

 彼女が敗北し、膝をつき、誰かに屈するような、そんな姿が俺には思い描けない。

 

 きっとあの日見た銀星に、脳が焼かれてしまったに違いない。

 いつか、その認識を正さなければ後悔するであろうことは既にわかっていた。

 

「…………だから、強くなるよ」

 

 俺の思考も他所に、ステラは顔を上げて前を向いていた。

 どうやら、今回の敗走は彼女に大きな影響を与えたらしい。

 

「誰からでも、何からでも、たとえ世界が敵になってもあんたを守り抜く為に」

 

 真っ直ぐと瞳の奥を貫くような真摯な視線。

 うっかりたじろぎそうになったのを、どうにか抑えて視線を返す。

 驚くほど純粋なその有り様に、一つ息を吐いた。

 

「…………そういう格好いいこと言ってるから、勘違いしそうになんだよな」

「…………?」

「……あんまり気を張り詰めんなよって言った。何事も程々が一番だからな」

 

 一先ず、この話はこれで終わりだと、言外に伝えて捜索の方に意識を戻していく。

 

 さてはて、そろそろ見つかってもいい頃合いだとは思うんですがねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「強くなる。絶対に……あんたを守れなきゃ、私に意味はないから」

 

 それは、彼女の根底に棲みついている認識。

 

「………………もし、私があんたより弱くても、あんたは私と一緒に居てくれるのかな?」

 

 言の葉が少女の口から紡がれることは終ぞなかった。

 

 

 

 

 

 

『嘆息:前途多難、ですね』

 ……んぁ? なんか言ったか?

『いえ何も』

 

 

 

 

 ✳︎

 

 

 

 

「……はい、どうぞ召し上がれ。ちゃんとよく噛んで食べるのですよ?」

「ありがとう、ヨォーヨ。治療もしてもらったのに……手持ちで返せるものがあればいいんだけど」

「そんなのいらないよ! 私がステラねぇねを助けたいって思ったから助けたの……本当はまだ休まなきゃダメなのに」

 

 は? おい、待て。

 ステラねぇね……だと……ッ!?

 なんだそのクソ羨ましい呼ばれ方。

 俺だって、天華ねぇねって呼ばれたいんだけど!?

 

『正気に戻れ、天華にぃに』

 

 おっと危ない、そうだった。

 俺、男だったわ。

 

「…………ほんと、ありがとな……それなら厚意に甘えさせて貰うけど、この先、ヨォーヨが困ったときは遠慮せずに言ってくれ。助けになれるかはわからんが、少なくとも一緒に悩むことぐらいならできると思う。それで、おあいこだな」

 

 ヨォーヨの頭をポンと撫でると彼女はくすぐったそうに、そして照れくさそうに笑った。

 金銀コンビから何か言いたげな視線を感じるのだが変な事は言ってないよね?

 外聞的にも、この姿なら事案じゃねーだろうし。

 

 

 さて、そろそろ状況の確認と行こうか。

 

 

 時刻は、丁度お昼時。

 結局、午前中の捜査で宝盗団につながる手がかりは見つけることができなかった。

 

 事前の予定通り軽策荘に集まった俺たちは腹ごしらえをしようと話していたのだが、そこに救いの手を差し伸べてくれたのが採れたての大根を抱えたヨォーヨだったのだ。

 

 再び、村長宅のキッチンを借りさせて頂き、それぞれが持ち寄った材料で調理を開始。

 

 戦力外通告を出されたパイモンとステラを放置し、ヨォーヨと蛍に挟まれて過ごしたその時間はまさに幸せそのものだった。

 

 もうね、耳が幸せ。目が幸せ。

 手料理で口も鼻も、なんなら作業中に触覚でも幸せにしてくれるのだから、隙も死角も何もない完璧な時間でした。

 はぁ……いつでも、死ねるわ。

 

 そして現在。

 出来上がった料理を全員で囲んで、美味しく頂いている所である。

 

 あぁ、大根団子なんて初めて食べたけど、想像よりもちもちしてて美味い。

 ほっぺた落ちそう。

 ちょっと気を抜くとバブりそうなぐらいの包容力なんですけど、何この幼女。

 ほんと末恐ろしいぜ、めっちゃ推せる。

 

 蛍の料理技術については、もはや説明する必要がないだろう。

 ゲームの都合上仕方がない、という理由があるのでそれもそのはずなのだが、蛍は凄まじいほどに多才な人間だ。

 幸い今のところは素材を求めて精鋭狩りを毎日行う、などのようなバーサークっぷりを見せる気配は感じられないのだが、それ以外の能力はゲーム時代と大差ない。

 なんなら、タルタリヤ戦でのムービーで見せていたように、同時に複数の元素を扱うことも不可能ではないらしく、こと強さに関してはゲームのときよりも強化されている可能性の方が高そうなぐらいだった。

 

 蛍お手製、美味しそうな揚げ魚の甘酢あんかけを満面の笑みで食すステラを見る。

 コイツは幸せそうでなによりだな、なんて感想を抱いているとステラは何か言いたげな顔をする。

 

「…………別に、できないわけじゃないから」

「………………何も言ってねえよ」

 

 戦力外通告を受けたことに、少々思うところがあったとのこと。

 別に気にしなくてもいいと思うんだけどね。

 時代錯誤の亭主関白ってわけでもないんだから、頼まれりゃ料理ぐらい俺がやるぞ。

 

 え、何? 

 万能合成マシンがあればいけた? 

 何言ってんだ、おめー。

 

 それからしばらくは、それぞれの食事のペースに合わせてのんびりとした時間を過ごした。

 そこまで大食いではない俺と蛍は適量に抑えて、パイモンとステラは後先なんて考えないでパクパクとご飯を口にかきこんでいく。

 ヨォーヨに「きちんと噛んで食べるんですよー」と仲良く注意される姿には、蛍と二人で笑ってしまった。

 

 そんなこんなで賑やかな昼食を終えた後は――

 

 

「楽しい楽しい盗賊退治ってか」

「……うん、食後の運動」

「俺から言ってなんだけど、エクササイズ感覚で楽しむのやめて?」

 

 宝盗団捕獲作戦の続きである。

 

『提案:二組の午前の捜索地域を踏まえた上で、隠れ潜む逃げ場として適した場所を絞り込みました。共有しますか?』

 ぐうゆうのー。

 相変わらず出来る子ですね、チートさん。

 

 そして、ポンと表示される脳内マップ。

 軽策荘及び無妄の丘周辺を拡大したその図には、色が暗くなっている部分と赤い丸に囲まれた場所が幾つかあり、それとは別に一つの星印が付けられていた。

 

『説明:灰色が探索済み。赤丸が可能性有り。星印が私の本命です』

 さんきゅー、べりーまっち。

 毎度助かるわ。

 

 マップを確認して、すぐに気がついた。

 星印がついているのはあるワープポイントの近くだった。

 俺がまだ開けていないその場所はゲーム時代に何度もお世話になった地点。

 また、最も多くの初心者プレイヤーを苦しめたであろうエリアボス――純水精霊の棲家の目の前にあるワープポイントであった。

 

 

 

 

 ✳︎

 

 

 

 

 

「……確かに、地下は盲点だったかも」

「……ま、まぁ、おいらもそんなことだろうと思ってたけどな!」

「何でそこで張り合ってるの、パイモン?」

「……ぅぅ、だ、だって、天華の中にいるその、ちーとさん? の方が、おいらよりもガイドみたいなことをしてる気がして」

「もう……パイモンの良さはそれだけじゃないでしょ。例えば……ほら、非常しょ――」

「非常食じゃない!」

 

 あぁぁぁぁ、蛍とパイモンの絡みが尊い。

 全身に染みわたるようなこの幸福感。

 ムキになってるパイモンは言うまでもなく可愛いし、呆れたように宥める蛍には包容力を感じる。

 定番の弄りも生で見られたことだし、そろそろ死んでもいい頃合いなのでは?(錯乱)

 

 と、これがチートさんに関する本格的な情報の開示と、宝盗団の居所についての目処を話した際の二人の反応だった。

 

 

 

 そんなこんなで宝盗団捕獲作戦を始めようと思ったのだが、念には念をということで俺たちは宝盗団を挟み撃ちにすることにした。

 

 まず状況だが、ワープポイント・純粋精霊前は石門の側にある横穴から入ることのできる洞窟の先に存在している。

 洞窟内に宝盗団は屯しているだろう、というのが俺たちの想定だ。

 蛍とパイモンにはワープポイントへと直接跳んでもらうことにする。

 時間を合わせて、俺とステラが石門の方から洞窟に侵入し、一網打尽にするというシンプルな作戦である。

 

 洞穴の前にやってきた俺とステラは、突入の時間を確認した。

 軽策荘から直行する蛍たちには、14時ぴったりに洞窟を強襲すると伝えてある。

 

「もうすぐだね」

「そうだな……無理すんなよ」

「……ふふ」

「なんで笑ったのさ」

「…………少し、嬉しくなっただけ」

「…………急に素直になるの、こっちまで照れるからやめてくれ」

 

 チートさんによるカウントダウンが10秒をきる。

 最後にステラがぎゅっと手を握ってきた。

 

「離れねーよ」

「なら、いい」

 

『3、2、1――』

「――ゼロ!」

 

 

 そして、飛び出す。

 チートさんの読み通り。

 

 そこには、大勢の宝盗団の姿があった。

 

 ニヤッと片頬を上げたステラが呟く。

 おい待て、と声をかけようとしたが、もう遅い。

 

 

「『ルールは――』」

 

「て、敵襲ーーーーッ!!!」

 

 

 洞窟に反響する男の絶叫。

 パチパチと、霆がバットに宿る。

 

 

「『――破るためにある』ッ!」

 

 

 直後、振り抜かれた一撃が、大の男を五、六人まとめて空中旅行へと誘った。

 

 

 

 

 

 

 同時刻。

 ワープポイント前。

 

「…………ふふ、やってるやってる」

「た、旅人、顔が怖いぞ」

「何のことやら」

 

 そこに転移してきた蛍たちへと気を留めるほど余裕のある者は一人もいなかった。

 ぎゃーぎゃーと騒がしくなっているのは、洞穴の入り口の方向。

 

 少し待っていると何人かの宝盗団のメンバーが、ワープポイントの方へと逃げ込んでくる。

 そして、ついに彼らが金髪の旅人をその視界に捉えた。

 

 直後、表情を一瞬で恐怖に染め上げた彼らは、ついさっき自らが逃げ出してきた方向へと死に物狂いで走っていく。

 

「……まったく、酷いよね。人のことをなんだと思ってるんだろう」

「お、おいらたち、結構、宝盗団を倒してきたからな……」

 

 生き延びるためには情報が命の宝盗団は、当然のように知っていた。

 白い浮遊生命体を連れた金髪の旅人が、多くの同胞たちを仕留め続けていることを。

 なんなら、彼らはこの少女一人に完敗したことがきっかけで無妄の丘へと追いやられたのである。

 この宝盗団のメンバーからしたら、彼女はトラウマの象徴のような存在であった。

 

 

「……兎にも角にも、天華に迷惑をかけたんだから逃すわけにはいかないよね」

 

 

 スキップをするような軽い足取りで、散歩でもするかのような気楽さで、彼女は自身の剣を手に走り出す。

 

 ヤケクソになって突っ込んできた数人の男を前にして、彼女はゆらりと天へ舞う。

 

 

「風と共に去れ」

 

 

 そして、逃げ場なき一本道にて無慈悲なまでの竜巻が宝盗団へ襲いかかった。

 

 

 

 

 

 ✳︎

 

 

 

 ……はい。

 いや、はいじゃないが。

 

 なんだ、この惨劇は。

 

 洞窟の隅っこで体育座りをしながら、ぼうっと目の前の光景を眺める。

 

 一方には、吹き荒れる嵐の如き少女。

 墜落する人間。

 手加減なんて言葉は知らない悪ガキが、満面の笑みでバットを振り抜いている。

 

 また一方には悪魔の如き冷静さの少女。

 逃げようとした者の身体は彼女の風によって一塊にまとめられ、そして岩の球体が彼らを地面へと縫い付ける。

 

「…………なんだ、これ」

「……おい、おま……ここまでしなくても、いいだろ」

「俺もここまでやれとは一度も言ってないんだよねぇ……」

 

 ずりずりと這いずってこちらに近づいてきた宝盗団の一人……いつかの誘拐犯に「やっほー」と手を振っておく。

 俺を人質に取るようなら話が変わってくるのだが、そこまでの戦意は残っていないみたいだ。

 

 インベントリからタオルを取り出して、ほいと投げつける。

 こいつには顔を拭くタオルを借りたことがあったのを、ふと思い出したからだった。

 

「…………久しぶり?」

「二度と会いたくなかったわ」

「……それは俺の台詞だと思うんだけど」

「俺が言ってんのは、あの金髪のことだよ」

「あーね」

 

 砂埃に塗れた男は、よっこいせと少し離れた壁にもたれて顔をタオルで拭う。

 それから、おらよ、と茶色が滲んだタオルを返却してきた。

 

「……これ、あと何分で終わると思う?」

「さーな。五分も耐えりゃ上出来だろ」

「だよね……で、姿が見えない親分さんは?」

「親分は出稼ぎ中。俺たち留守番」

「嘘だろ。面白すぎるでしょ、お前ら。ほんとに宝盗団か?」

「宝盗団だよ。見りゃわかるだろ……まあ、人殺しにはなれねえような半端もんの集まりだがな」

 

 男の言葉に対しての「ただのチンピラじゃねーか」というツッコミはどうにか呑み込み、改めて吹き飛ばされている宝盗団たちの様子を観察する。

 

 

「おいこっち来んな、向こうに逃げやがれ!」

「無茶言うなって! 俺たち友達だろ?」

「てめっ、もう怒った。絶交だ! 絶交!」

 

「邪魔」

「「ぎゃぁぁああああっ!?」」

 

 

 中学生の昼休みか何かだろうか?

 なんてことを思わせるような絶叫っぷりを見せながら、彼らは宙へとすっ飛んでいく。

 

 ……まぁ、そうだよな。

 

 原神世界の宝盗団は歴とした犯罪集団。

 こんなチンピラ共を一緒にしてやるのは少し忍ばれる。

 だって、宝盗団というには余りにも()()()()()から、俺はこの男と雑談なんぞに興じているわけなのだから。

 

「……おい、ステラー! そろそろスッキリしたろ? 捕縛に移って貰ってもいいか?」

「……ん、わかった」

「俺も手伝おうか?」

「危ないからそこに居て」

「はい」

 

 過保護か。

 いや、一回誘拐されてるお前が言うなって感じはするんだけどね。

 

 インベントリから縄を取り出して、ステラに渡す。

 彼女は俺のすぐ隣にいる宝盗団の男を一瞥したのちに、彼をドン引きするほどのグルグル巻きにしてからその場を離れた。

 

「…………愛されてるねえ」

「………そうか?」

 

 やれやれ、といったため息を吐く男に首を傾げていると、俺とステラが入ってきた洞窟の入り口の方から聞き覚えのある特徴的な声が聞こえてきた。

 

「……やだわ。んもぅ、壊滅状態じゃない」

「……あんた、誰?」

 

 姿を見せたのは出稼ぎに行っていたらしい変態、もといオジ様オネェ……カリスマオネェみたいでなんか嫌だなこの言い方。待って、そもそもカリスマオネェって何?

 

「……小娘に用はない――けど、そこの男の娘には興味津々なのよねぇ。ひ・さ・し・ぶ・り♪」

 

 ステラに対してゾッとする程の殺気を放ってから、親分は俺の方に投げキッスを飛ばしてくる。

 

「――決めた」

 

 途端、ステラの放つ圧が爆発的な勢いで膨れ上がった。

 

「あんたは、殺す」

 

 蒼雷が轟き、紫電が奔る。

 もはや見慣れた超加速にて、ステラは親分へと特攻し――

 

「――はい、降参よ」

「止まれ、ステラっ!!」

 

 バットの先端が親分の肌にピタリと触れる。

 

 ギリギリで勢いを殺してみせた殺気全開のステラを前にして、そのオジ様はくつくつと愉しげに笑い声をあげた。

 

 俺がステラを止めた理由は明快だ。

 

「…………正気とは、思えないな」

「あら、褒め言葉として受け取っておくわ」

 

 どこから取り出したのか親分の手には、束になった手榴弾のようなものが吊り下げられていた。

 連なった爆竹の筒をそのままぷっくら膨らませたような形の物体だ。

 原神の世界観を思うと近代兵器――手榴弾って近代か?――の印象は弱いがクレーちゃんを思い出してみれば、何も不思議なことではない。銃とか大砲はポンポン存在するしなぁ。

 

「……取引をしましょう?」 

 

 老獪さの際立つダンディーな渋い声で頭がバグりそうな話し方をするそのオジ様は、半ば脅迫にも似た手口を取りつつ、俺に向かって微笑んだ。

 

 ……悪寒がはしるから、こっち見ないでくれない? ウインクすんな。「もー照れちゃって!」じゃないんだよ。ステラが怒るでしょうが。爆発オチはゴメンだからな!?

 

 

 

 

 

 






 まず一言、すいませんでした。
 続きはまだ書けてませんが、一応生きてます。
 スペース空けた後、エタった原因について記載。
 興味ない方はスルー推奨です。
















 はい。
 正確な時期は覚えていないのですが、バージョン4.0の大分前にホヨラボでリーク信者がフリーナのAIイラストをあげていまして、それを見事に踏み抜きました。
 うっきうきで楽しみにしていた分、ガン萎えしてバージョン4.2まで原神から離れてましたねー! 
 ここ数日でフォンテーヌを五章分踏破したりしましたがそれはそれとしときます。やっぱ原神楽しいですね。

 あとは萎えてる間に一次創作の幼馴染ものを書いてたり、とか色々やってたらこんな事態に……という感じです。
 これからはほどほどに投稿していけたらと思いますが、是非とも長い目で見守っていただきたいです。


原神とスタレ 本作読者の履修状況確認用

  • 両方やってる!
  • 原神だけ!
  • スタレだけ!
  • どっちも知らんが読んでやろう!
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