医者でコメンテーターのクトゥルフ神話   作:柳瀬塔矢

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製作 USB様

推奨技能:基本三代探索技能(目星、聞き耳、図書館)
準推奨技能:ラテン語、精神分析、心理学、説得、医学、戦闘技能
プレイ人数:2~5人
プレイタイム:5~7時間(ボイセ)
シナリオ形式:半クローズド

なお私にしては珍しくシリアス要素ありです。


二話 美しく咲く花のように

ただそこにあるように、ただその風景を眺めている。

 

それは確かに存在していた『狂愛』と『最愛』の中で。

 

最近は例の失踪事件も落ち着いて来ましたので新しいネタを探しておりましたの。え?本業の医者?それは真面目にやっておりますわ。そして調べてる途中でこんな情報を見つけましたわ。

 

 

 

ここ最近町の川から異様なものを発見した

心臓、肝臓、肺などの臓器が川を流れていたという話だった。

人間の内臓に限り無く似ていたそれは、後に豚の遺伝子で造られた精巧なレプリカである事が解った。

しかし、その町には生きた豚を扱う牧場などは無く、ましてやそうした精巧なレプリカを作れるだけの施設は無い。

更に不可解なのが本当に豚の遺伝子かどうかは定かではないとまで書かれている事だ。

 

「これですわ。あの失踪事件は人には話せませんがこれなら話題になると思いますわね」

 

そう思ったからにはまずは調査ですわ

 

その川の畔にある駄菓子屋に行くと、30代の無精ひげを生やした男性が暇そうに店前の椅子に座っている姿が見えますわね。いかにもって感じですわ。

 

「そこの店主、少しよろしくて?」

 

すると店主はやっとこちらに気が付きましたわ

 

「ん?なんだい?」

 

「臓器のレプリカの発見者だと聞いて色々聞きに来ましたわ」

 

すると店主は待ってましたと言わんばかりに話し始めましたわ

 

「俺もあれを見た時はびっくりしたもんだよ!なんせ、ここらは事件も何にもない田舎だからな!また変な噂が出回るかもしれねぇな」

 

「ふむ・・・では何かそういう事をやりそうな人に心当たりはありますの?」

 

こういうのは大抵この街の人間と考えるのが鉄板でしょうか・・・まぁ話のネタになれば程度で考えましょうかね

 

「あんたら余所から来たのかい?だったらわからねぇかもな。昔、藤乃宮倫太郎って奴が色んな実験をしてただの、変な文章書いてただので騒ぎがあってな」

 

へぇ・・・まるであの時の事件がそのままこっちでも起きてるような、そんな感覚ですわね

 

「そうなんですか。ではそちらを調べてみてもいいかもしれませんね・・・どこにあるか教えてくださっても宜しくて?」

 

「あいつの事を知りたいのか?あ、待ってろ。あいつがばら撒いた文章があんだ」

 

昔のものを取っておいてあるとは物持ちいいですわねこの店主

 

「これだよこれ」

 

そう言って見せてくれた文章は以下のものでしたわ

 

人が人である為に必要となるのは何だ

人は知るべきだ。この世に人を生み出す術があるという事を。

私はそれを見つけた。ある人物から買い取った本によって。

ああ、今まさに愛しいあの子を再び手に入れる時。

私を愚弄する者たちよ、死という概念を否定し

倫理を裏切ろうとする私を裁くならば、今この瞬間しかない。

私が成し遂げた後、裁こうとするのならば、

私の全てを殺すほかないだろう。

 

・・・これまんまあの時と同じなのでは?となるとこれ娘を生き返らせようとしてるのでは?

 

なんだがギャグのようにも思えてしまいますわね・・・似たような事件に遭遇なんて

 

「ふむ・・・(あ、これ私と似たようなことしてるのかもしれませんわね)」

 

まぁ私も人を作り出したと言う意味では似たような事をしていますからなんとも言えませんわね

 

「最後にこの藤宮という人のお宅について教えてくださいます?」

 

「あいつの家はあっちいってあそここあたりにあるけどな、気味が悪くていってねぇんだ。倫太郎の姿もみてねぇっていうし……。ここだけの話、うるう年になると必ずここらに住んでる人間が消えるって話だ……俺はあいつがなんかやってんじゃねぇかって、ずっと思っててよ……。今年も、ほら、うるう年だろ?それで」

 

なるほど・・・それは恐ろしいですわね・・・

 

「そうですか・・・いい話が聞けましたわ」

 

ではその家に向かうとしましょうか。多分きかれるでしょうし。そのコメントも考えないといけませんからね。

 

 

 

 

 

 

さて、その家に着いたは良いものの先客ですか・・・警察と・・・ウマ娘のコスプレですかね?

 

 

 

門を抜ければ、両側には枯れた芝生と弱りきった木々があしましたわ。白い石畳を歩いた先には、古く大きな洋館があり、白い壁には蔦がいくつもまとわり付き、屋根は黒ずんでいましたわ。足元には暫く手入れがされていない植木鉢が三つありました。扉は一般住宅のものと比べれば大きなもので、装飾が施された取っ手も付いているが引いても押しても開きませんわね・・・

 

植木鉢の丁度真ん中のものにだけ藤色のアンプルが刺さっていましたわ。そこを持ち上げてみれば鍵が隠されていましたわね・・・不用心だと思いますわ

 

私達が扉から洋館に入ると、その瞬間に扉が強い力で閉められましたわ。 内側から見た窓は真っ黒に塗り潰され、外からの光が全く入らない状態になっていましたの。それと同じくして、両側からボボッと蝋燭が点る音が聞こえてきますが、そちらには誰もおりませんわ・・・ポケモンで似たような演出見たことありますわ。

 

「何かしらのサプライズですかね・・・」

 

それはそうと一つ私は懸念している事がありますわ。前回と言い今回と言い人じゃない人が居りますわ。つまりまた何かに巻き込まれたということでしょうか・・・しかしまだ行動は人ですわ。つまり暫定コスプレということにしておきますかね。・・・あの魚人を忘れることはできませんわ・・・

 

蝋燭は弱々しい光ではあるが、屋敷の全体は辛うじて見えますわ。

目の前には広い空間、その奥には大きな階段が見え、二階にも部屋がある事が解りますわね。玄関から見て左にも右にも扉はあるようで、少し奥を見てみると階段を挟むようにして左右に一つずつ扉があるのを確認できましたわ。一階には部屋が四つあるようで、屋敷の中には古い建物独特の臭いに混じり、幽かな薬品の匂いが漂っていますわね・・・どこからの匂いでしょうか?

 

するとウマ娘(名前を知らないので暫定こう呼びますわ)は何やら獰猛な笑みが出ておりますわね・・・慣れているのでしょうか?だとしたら頼もしいですわね

 

そのウマ娘が「後ろには気をつけろよ」と言うと冷たい生気を感じられない手が触れた感触に遭いましたわ。警察は「ファッ!?」と驚いてますわね。私も一度目なら驚くところでしたわ。

 

「とりあえず自己紹介しませんこと?私は野上桜花ですわ。テレビでコメンテーターをやらせてもらってますの。短い間ですがよろしくお願いいたしますね?」

 

ウマ娘が次に名乗ってくれましたわ。

 

「黒猫で平気だ」

 

その次が警察でしたわ。

 

「俺は木島巡、28の駐在の警察官」

 

にしても黒猫はどう考えても偽名ですしこの警官もなんかサボってそうな感じがしますわ。偏見ですが。

 

「とりあえずバラバラに行動しませんこと?それが一番手っ取り早いですわ」

 

「誰かいるの?」

 

という弱々しい声が聞こえましたわ。

その方向を見ると、黒い髪を項程で切り揃えた橙色の瞳をした女性が階段に立っておりましたの。首に青いスカーフを巻き、白いワンピースを着て、彼女は周りを見てからゆっくりと私達を見つめておりますわ。

 

そうして少しばかり悲しそうに顔を歪め、両手を握ってますわね

 

「初めまして、私は野上桜花と申しますわ。お名前は?」

 

「凛子……藤乃宮凛子と言います」

 

すると警察(なんか名前を呼ぶのは癪ですわ)は残念そうに

 

「なんだ飯島啓子じゃないのか」

 

と言いましたの。知らない人なので私も疑問に思ったのですがそれは彼女も同じでしたわ。

 

「飯島、啓子?」

 

それでもこちらの方が気になりましたから聞きましたの

 

「富士宮倫太郎さんとはどのような・・・娘さんですか?」

 

「はい、娘です」

 

すぐに答えるあたり本当なのでしょうね・・・しかしおかしいことがありますわ。店主が子供の時に藤野宮倫太郎は実験をしていた。その時には娘ができていたはずです。なら現実の年齢は40〜60にならなければおかしいのに目の前の人は20代に見えますわ・・・本当のことだろうとこの矛盾点が今回の真相でしょうか?

 

すると黒猫が素っ頓狂なことを聞きましたわ。

 

「なぜ帰らない?」

 

「帰る...というのは、ここが私の家なのですが...」

 

ですわよね?

 

「凛子、何か大きな音がしたが大丈夫か……!」

 

という男の声が急に聞こえましたわ。声の方を見ると、ライフルを持ちサングラスをかけた男性が手すりに掴まりながら辺りを見回していますの。彼はその位置からなら見える筈の凛子を探しているように見えますわ。私達にも気付いていないようですわね・・・盲目なのでしょうか?

 

「守さん……、私は大丈夫です。ここに居ます」

 

凛子さんがそう言うと、彼はゆっくりと彼女の元に行き、差し出された手を覚束無い様子で握ったのですわ

 

目の周りが爛れている為それが原因だとすぐに分かりましたわ。またそれが薬品によるものだと言うことも。・・・そして長い間ここから出れていないと言うことも

 

彼は気配は分かるようでこちらにライフルを向けて来ましたわ・・・自衛の為とはいえ思い切りが良いですわね

 

「ああ、銃は下ろしてくださいな。私たちは誘われてここに来たのですわ」

 

「警察官の木島です。行方不明者を探しにここへ来ました」

 

行方不明?先程の飯島とか言う人のことでしょうか・・・気になりますわね

 

彼は私の言葉に驚いたようですわ。

 

「誘われた?誰にだ」

 

「藤野宮倫太郎ですわ。彼のばら撒いた紙を読んでここに来ましたの」

 

「・・・そもそも門をくぐった時点で不法侵入だと思うがまぁそれは置いておくか。儂の名は永井守。凛子と共にこの屋敷に住んでいる者だ」

 

・・・恐らく、おそらくではありますが助けられなかったのでしょう。だから今も守っている、と言う感じでしょうか?

 

その上で分かりきったことを聞いておきますわ。確認は大事ですもの

 

「あら?ここは富士宮倫太郎のお宅だと伺ったのですけど、そこはどうなってるんですの?」

 

「倫太郎は一昔前に死んだ。知らないって事はよそ者か?」

 

「そう言えば今年は閏年。住民の皆さんもこの家を怖がっておりますわ」

 

「あぁ、そうらしいな」

 

「と言う事で特に隠し事が無いならこの家を調べても構いませんね?私はコメンテーターとして調査に来ましたの。何も調べられなかったとなったら今後の仕事も減ってしまいますわ・・・」

 

まぁそんな感じで言いくるめていると

 

「まあそれなら自由に調べな・・・だがあんたら二人は特に調べる理由はないよな?さっさと帰ったらどうだ?」

 

すると警察が

 

「それが開かないんですよ」

 

と言う。まぁそうでしょうね。

 

彼は出入り口や窓を蹴破ろうとしたり、ライフルを撃とうとしたりなどの行動を取ってくれますが勿論開ける事は出来てないですわ。

 

「何が起こっているんだ……まさか……閉じ込められてしまったのか?こんなことは初めてだ・・・」

 

と言ってますが・・・あぁなるほど、全て読めましたわ。あとはこの考えを補強する為の証拠集めですかね?

 

すると突然凜子が蹲ってしまう。

 

永井が彼女に声をかけるも、辛そうに彼女は息を荒げるだけだった。

 

「ゲホッゲホッゲホッゲホ、ハァハぁハァ」

 

「ちょっと失礼しますわね・・・」

 

詳しくはわからないが、安静にしておかなければならない容体ですわね。弊害でしょうか・・・?

 

「とりあえず安静にしなくてはなりませんわね。永井さん。ベッド等はどこにありますの?」

 

「あぁ、部屋にある。申し訳ない……。凜子の体調がすぐれないようだから、彼女を部屋まで運ばせてくれ。出来れば良くなるまでついていてやりたい。……凜子の部屋はそこの階段を上がった左側だ。何かあればすぐにそこに来てくれ」

 

彼は慌てた様子で彼女を抱き上げた。そうしてゆっくりと場所を確かめるようにして歩き、階段を上がっていってしまいましたわ・・・まぁ分かりますが。

 

「とりあえず探索を始めましょうか」

 

そう言ってそれぞれ別れましたわ。

 

私は左の扉の部屋を調べようとしましたが鍵がかかってますわね・・・

 

「こう言う時のピッキングツールですわ」

 

実は前回の事件の時にツールが有れば現実でも使いやすくなると思って用意してたのですわ。

 

「簡単に開きましたわね」

 

扉を開けると、濃い緑色のカーペットが敷かれた厳かな雰囲気の部屋であることが解りますわ。大きい木製の机と、すわり心地の良さそうな黒い背もたれ付の回転座椅子。窓は相変わらず黒く塗りつぶされておりますの。その窓の近くには本棚が置いてあり、この部屋からは僅かに金木犀の香りと、別の植物の香りを感じる事が出来ますわ。・・・どこかで嗅いだことのあるようなないような、そんな匂いですわね

 

本棚は使い込まれた雰囲気を感じることが出来ますわ。最近まで誰かが使っていたような痕跡すら確認出来ますわね。

 

とりあえず目につくものから読んでいきましょうか・・・これは大学ノートですかね?何が書いてあるのでしょうか

 

 

 

●●●●年●●月●●日

ムカイ サオリ(5歳)

体重16kg 身長110cm

●●●●年●●月●●日

タナカ ユカリ(10歳)

体重34kg 身長140cm

●●●●年●●月●●日

スズキ レイカ(13歳)

体重45kg 身長157cm

●●●●年●●月●●日

ヤマザキ ヨリコ(16歳)

体重50kg 身長160cm

●●●●年●●月●●日

ヤマダ リンカ(19歳)

体重52kg 身長165cm

●●●●年●●月●●日

セキグチ ユミ(22歳)

体重55kg 身長168cm

●●●●年●●月●●日

カガワ ヒカル(25歳)

体重56kg 身長168cm

●●●●年●●月●●日

ユカワ シズカ(25歳)

体重56kg 身長168cm

●●●●年●●月●●日

コバヤシ レイナ(25歳)

体重56kg 身長168cm

●●●●年●●月●●日

サクライ ヨウコ(25歳)

体重56kg 身長168cm

●●●●年●●月●●日

イイジマ ケイコ(25歳)

体重56kg 身長168cm

 

 

 

・・・あー・・・なるほど、そう言うわけですか・・・反吐が出ますわね・・・これだけは許されてはいけないですわよ?・・・殺してやりたいくらいですわね・・・【人】だけは殺さないと決めてるのですが・・・まぁあの時も人は殺してますからまぁ良いのでしょうか・・・?

 

とりあえず全体像は読めましたわ。あとは・・・手記ですか。何か追加のピースでもあると良いのですが。

 

 

 

鈴子が不妊治療をして三年三か月。漸く子供を身籠った。長かった。

私たちの子供に出会えるのかと思うと嬉しくて堪らない。

けれど、これから何が有るか解らない……いや、そういう事は考えないでおこう。

こうしてはいられない。私も医者として、もっともっと成功して、鈴子も、お腹の子も幸せにしなければ。

知り合いに誘われて移動型の本屋に寄った。

なんでもバスで移動しながら古本を売っているようで、決まった場所に来ている訳ではないようだ。

店主の男は大層整った顔をしていて、この世のものとは思えない美しい笑顔を向けてくれた。

「ああ、貴方、さぞかし大変だったでしょう」

まるで私の全てを知っているかのような発言に驚いたが、彼は大きい封筒にある本を入れて、私に持たせてくれた。

「いずれ、必要になるだろうから。何、お代は要らないよ」

その本からは、不思議な雰囲気を感じたが、その古そうな見た目に心惹かれてしまった。

興味深い本だ。いまいち、何と書いてあるか解らないが、これを読んでいると色々な発想が生まれる。

それは倫理や人知を超えたもののように思えて、自分が神になったのではないかと思えるほどのものだった。

これは、凄い本だ。この発想をどうにか形に出来ないだろうか。

おめでとう、おめでとう。今日は何といい日だろう。

……………

………

…

ああ、これでも駄目か。大丈夫だよ凜子。凜子。

お前は、最初の、あの時、しっかり耐えてくれた。

そんなお前なら、きっと大丈夫だ。

永久的に使う事が出来ないのならば、永久的に生き続けられる身体があればいいのだ。

制限があるのならば、やはり交互に体を調達しにいかなければ。

もって三年……今日は、そうか、うるう年か。

頭部だけでも限界が出てきた……。研究を急ごう……。

私の子だ。私の血をたんと使ってあげよう……。

この体だったら、きっと永遠のものになる。

さぁ、凜子。漸く完成した。私の完璧な娘。

 

 

・・・あれ、これ・・・いや、私とは似て非なる物ですわ。

 

まぁまた死んだ娘を蘇らせた父親ですか・・・とは思いますがその生きながらえさせた方法も大体分かってますし・・・できるだけ救いたいですわね・・・例えどれだけ恨まれようとも。

 

あー地下が有りますわね・・・となると別の場所にもあるのでしょうか・・・

 

地下には一面オレンジ色の花・・・これケシですわね。麻薬の原料・・・幻覚というよりも安定剤・・・?

 

突然の眩暈に襲われる。

 

セピア色の世界で、何故か探索者の両手足は縛られている。

 

誰かの追体験をさせられているようですわね

 

その横で白衣の男が薬品棚で液体の入った瓶を持ち、近寄ってきていた。もしや藤野宮倫太郎・・・?となるとこの身体は永井守さん・・・?

 

「君が本当に凜子を愛するのならば、このぐらいの代償、なんてことないだろう?」

 

そう言って、男は身動きが取れない自分の目元に何かを垂らした。

それは焼けるような痛み、いやそれ以上の激痛となり探索者を襲う。

恐怖で閉じられなくなった視界は、徐々に溶けていくように狭まっていく。その間、男の低い笑い声が耳に届いている。

 

やがて完全な暗闇が訪れる。

 

それでも皮膚の焼ける匂いは自分の鼻を掠め、自分の目元ではプスプスという音が鳴っている事が確認できる。

 

その痛みから逃げようと手足を動かすも縛られていて叶わない。

 

もう一度目を開けると、元の色彩に戻っていましたわ・・・

厭な汗だけはかいているが、視界も通常通りで特に怪我らしきものも無いですわね

 

さて・・・何かの気配を感じますが・・・霊体ですかね?

 

まぁ・・・

 

「色々と聞きたいことがありますの。shall we dance?」

 

彼は私を支配しようとしてますわ・・・まぁ避けれますから問題ないですが。

 

「この花、貴方そのものなんでしょう?なら燃やしたらどうなるかしら?」

 

ラベルにはこの花は私の想いそのものだと書かれてありましたわなら燃やせば・・・

 

あー正解でしたわ。やっぱり苦しんでおりますわね。

 

「それ以上の苦しみを被害者は味わってますわ・・・因果応報ですわね」

 

・・・とりあえず現状を考えてみますか・・・

 

凛子さんは蘇った存在、その維持に閏年のタイミングで人を補充してる。永井さんは助けようとした・・・と見るのが正解でしょうか。となると何か干渉出来る場所があるはず・・・他に地下に潜れるところがあるのでしょうね。どこでしょうか・・・庭の井戸?いやあそこは入れませんわ。なら・・・糠床?ありえますわね。ならなんで今はまだ出れないのでしょうか・・・これが分体だった?追憶がフラグで現れるのなら納得ですわね。なら向かうべきは糠床でしょうか。

 

 

 

・・・当たりですわね、ですが鍵が・・・ピッキングで開けられるか試してみますか・・・

 

 

 

 

開きましたわ・・・やっぱり万能ですわね・・・

 

「あの・・・」

 

「あれ?凛子さん、体調は大丈夫なのですか?」

 

「え・・・?」

 

と、すぐに倒れましたわ。

 

「なんで・・・?そんな素ぶり無かったじゃない・・・!」

 

あー、そういうことですね?とりあえず安静にさせて・・・と

 

どうやらこの地下室はギロチンとか置いてありますし・・・なるほど、身体の選別ですか。趣味が悪いですわね。奥の棚には女性の身体がありましたわ。身体からは金木犀の香りがしますから・・・地下室に誘われたのでしょうか。安らかな顔をしていることからやはりあのケシは安定剤として使われてたみたいですわね

 

・・・あー・・・助けられそうにないですわね・・・なんか全部分かりましたわ・・・めんどくさいですわね・・・

 

・・・・・・

 

「・・・あれ?」

 

おや、凛子さんが目を覚ましましたか・・・辛いですわ・・・真相が読めてしまったからこそですが辛いですわ・・・

 

「・・・凛子さん、貴方はこの家から出たいのでしょうか?」

 

「出たいですが・・・私は生きるべきではない人間です。」

 

「私は...死んだ直後に父に首を落とされ、頭部だけで生き残ることができました。私が死んだショックで母は鬱になってしまったのですが、私さえ元に戻れば母のうつ病も回復すると父は本気で思っていたらしいです。母が死んだあと、より強く私を生かそうと執着するようになりました。頭部だけで生かす魔法も連続での使用には寿命があり、永くは持たないのですが、それに気づいた父は私に会う体を持つ他人の首を切断し、私の頭部に接続しようとしていました。ふつうは考えられませんが頭部はすんなりと他人の体を受け入れて、動かすことができたんです。しかし他人の肉体でも限界があり、3年もすると内側から体が腐っていってしまいました。父は完璧な肉体を求める様になり、その時間稼ぎとして3年ごとに他人を殺しては自分の頭部と接続させました。私が25歳になったとき、完璧な肉体は完成しました。老いることも腐ることもなく、傷も治り、毒も聞かない完ぺきな肉体でした。もう父は殺人を行わなくて済むと思っていたらしいのですが、すでに父のなかでは反復行動として成立してしまい、やはり3年ごとに殺人は行われました。」

 

彼女は自分の首の後ろを見せ、そこには血のように赤い宝石が奥深くまで埋め込まれていましたわ。

 

「父が作った石です。これを一瞬で粉々に出来れば、流石に生きてはいられません。何度か自分で試してもみたんですが……駄目ですね、死にきれないぐらいに丈夫な体というのは不便です……」

 

「…………、私は、守さんと一緒に、生きていたかった」

 

「同じように年を取り、子供を産み、幸せに生きてみたかった……」

 

「『ありふれた幸福』……それが叶わないのならば、せめて……彼に……」

 

・・・はぁ・・・これは助けられないですわね・・・その【彼】はもう取り憑かれてますから手遅れですわ・・・とりあえず聞いておきましょうか

 

「ねぇ凛子さん、貴方は幸せを感じたいのかしら?」

 

「そうですね、感じれるものなら...感じたかった」

 

その顔はとても苦しそうで、とても辛そうでしたわ・・・

 

「なら感じましょう?私の家に来ませんこと?」

 

「それで出れたらいいんですけどね...」

 

「貴方と同じ状態の人と住んでいますの。独りにならずに済みますわよ?」

 

えぇ、【彼女】ならずっと貴方の側に居る事ができますわ

 

「おーい、開けるぞー」

 

と、黒猫さんが開けてくれたみたいですわ

 

「えぇ、ここまでは予想通りですわ」

 

凛子さんの顔には決意が・・・大体読めてしまった私からしたらとても悲しい決意が浮かんでましたわ

 

「出れるのなら、出ましょう...こんな場所...居たくない」

 

「私は凛子さん、貴方と帰りたい。貴方に普通の幸せを味わって欲しい。だから、帰りませんか?私たちの家に」

 

いざエントランスから外に出ようとすると予測していた通り永井さんが・・・いえ、藤野宮倫太郎がクツクツと笑っていましたわ・・・なんたる外道なのかしら・・・!

 

「ああ、酷いじゃないか凜子……。この洋館から出ないと約束をしたから、この男を家に入れてやったというのに……。それに、お父さんにこんな仕打ちをするだなんて、悪い子だ」

 

そう言って藤野宮倫太郎は持っていたライフルの銃口を自分の喉元に向ける。

 

「お前がここを出ていきたいのなら、もう仕方がない……止めやしないさ。でもこの男がまだ愛しいのなら……ここに残るんだ……。いいね?

 

「馬鹿な男ですわね?そこまでして娘を縛りたいのかしら!?」

 

凜子が絶望の表情を浮かべ、床に崩れ落ちてしまいましたわ。

 

にしても馬鹿なんですの!?そこまでして縛りたいのでしょうか!?

 

すると藤野宮倫太郎・・・いえ、もう外道で良いでしょう。まぁそいつが

 

「そうだった・・・ここには魔術師も居たね・・・」

 

突如永井さんの腕が燃えましたわ・・・え?あーそういう?そこまでして縛りたいのかしら!?

 

「さぁ、早く戻ってこないとこの男が死んでしまうよ?こっちへ戻ってきなさい」

 

馬鹿しかいないんですの!?この館には!

 

「貴方は娘を縛りたいだけなんでしょう!?その為に他の人まで犠牲に・・・!到底許されることではありませんわ!」

 

「私がこの子を生かすためにどれだけのものを犠牲にしたと思っている。それを残しておいて何が悪い?」

 

こいつ・・・!人の心の欠片もなくしてしまったんですのね!

 

「親が子に使ったものはいずれ子がその子に還元されますわ!貴方がやっているのはその流れを止めている行為!それを分かっておりますの!?」

 

まぁそれが分かってないからこんな凶行に及んでいるのでしょうけど!まだdollの時のアイツとか魚人の方がまともでしたわ!

 

というか黒猫さん風を操ってますわね!?これって使えるのでは・・・?いえ、今はそれ以外に考えられませんわ・・・私も馬鹿ですからね

 

「黒猫さん、一つ提案があります・・・できるかは分かりませんが」

 

「どうした?」

 

「扉を開けた直後彼女を家の外に飛ばせませんか?」

 

これは一つの賭けですわ。黒猫さんにそこまでの火力があるかどうかの・・・!

 

「行けると思うぞ、ついでにお前達も飛ばしてやる」

 

「えぇ、助かりますわ・・・あいつは任せますわ」

 

えぇ、ここで自ら手を下せないのは残念ですが・・・ここは黒猫さんに任せますわ。ですが問題は・・・

 

「私はもういいです...皆さんだけでも、逃げてください」

 

そう、凛子さんですわ。この状況になるのが分かってて・・・いや、想定よりも酷くなってますわ・・・でも凛子さんをここで独りにさせるわけにはいかないので腕を掴んでおきますわ・・・

 

「え?何を....」

 

「貴方を見捨てて私がここから出るとでも!?」

 

「やめてください!私が出たら永井さんが!」

 

「黒猫さんに任せましょう!あの人なら全部綺麗にしてくれます!」

 

「プレッシャーかけんなー」

 

「そんなこと!できるわけないじゃないですか!やめてください!」

 

希望的観測ですが・・・魔法使いなら絶望も希望にしてくれると信じてますわ・・・!

 

「もう!離れたくない....」

 

「指咥えて待っとけ、すぐに終わらせる」

 

「・・・今はほんの少しの我慢ですわ」

 

「いや...やだ...もう...いやよ...」

 

それから少し・・・彼女にとっては長い時間が経ちました。家を覆っていた結界は晴れ、その光景は・・・家が崩れておりました。永井さんが確実に死んだという証明であり、それは彼女にとって生きている理由を失った、ということでもあります

 

「...ふふ...あはは...あははは...あははははははは....あははははははははははははは!!!!!」

 

突如凛子さんが狂気的な笑みを浮かべましたわ・・・最悪の結末ですわね・・・

 

 

「もう!何もかも!消えてしまえ!」

 

「この世界なんて!いらない!」

 

「まだ貴方は何も知らないですわ!」

 

「なによ!何が知らないのよ!

 

「私より生きてる年数は短いでしょう?この世界は腐ってることに思い知らされて生きてきた私にとって!この世界はいらないのよ!」

 

「ありふれた幸せも!人を愛することも!守るべき存在がいる事も!何もかも貴方は知らないですわ!」

 

馬鹿なんですの凛子さんは!?ここで生きる事が母親の残した本当の思いだとも知らずに・・・!

 

「人を愛していた。けれどあなたたちのせいで殺されたじゃない!あそこにとどまっていれば前みたいに過ごすことができた!」

 

「そうじゃないの!」

 

「だけどそれもすぐに終わってましたわ!」

 

「最後に貴方は独りになってしまいますわ!そうなったら今よりも酷い事になりますのよ!?」

 

「悪かった。俺なりの謝罪だ」

 

「なによ!」

 

「誤ったところで何も生まれない!」

 

「そうだ、あなた今まで多くの人を殺したのよね?ならここで死になさいよ!」

 

「死んでお詫びぐらいしなさいよ!」

 

「・・・」

 

「そうだな」

 

「だけど俺を必要としてくれるやつがまだいるんだ。その為にまだ生きたい。だからその責務が終わったらお前の前で死のう」

 

「そう!ならもう消えて頂戴!私の前から!もう全員消えなさい!消えろ!」

 

「私はここに残りますわよ」

 

「は?」

 

「貴方と帰ると決めたのですから」

 

強烈な一撃が迫って来ましたがそれが当たることはなかったのですわ

 

「どうして...もう.....一人にして!」

 

「一人にして!」

 

「貴方は一人になってしまった。ですが孤独ではありませんわ」

 

「何言ってんのよ!」

 

「私が居ます。帰れば貴方と同じ境遇の人も居ますわ」

 

「あなたの家なんかに帰りたくはないわ」

 

「そんなことしたところで!もうここにいる必要なんてない!」

 

「もう死んでやる!」

 

凛子さんは首の宝石に向かい、思い切り石を充てますが・・・それは許されませんわ

 

「!人が!簡単に死ぬとか言うんじゃねぇよこの馬鹿が!」

 

・・・ヒートアップしてきましたわ・・・!目の前で死のうとする奴に遠慮は要りませんよね!?

 

「あなたに何がわかるのよ!そもそも当事者が何言ってんのよ!」

 

「早く消えなさいよ!」

 

「あ!?死んだ人間に固執しすぎなんだよテメェは!さっさと前見やがれ!」

 

「あなたは周りにたくさんお仲間がいるからそういうことが言えるんでしょうが!私はこの屋敷に生まれた時からずっと閉じ込められてた!その苦しみがわかるはずない!」

 

「死ねないんだろう!?なら生きろよ!それが親の望んだ事だろうが!」

 

宝石が砕ける

 

それとともに凛子は地へと倒れこみましたわ・・・助けられなかった・・・!目の前で死にやがった・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は特に何もなく家に帰りましたわ。しかしこの心はとても重くのしかかっている【目の前で救いたい人が死んだ】という事実が襲ってきますわ・・・その顔は香澄にも「とても酷い顔してる・・・大丈夫?」と心配されるほどでしたわ・・・

 

「今度は全員助ける・・・!もう誰も死なせたくないから、助けて見せますわ・・・!」

 

とりあえずは香澄にも心配させてるしどこかにリフレッシュに行きたいですわね・・・

 




KP:狗音さん(pixivもやってるらしいです)
他PL:あーたんさん、麓村幸一さん
他PC:黒猫(本名はAliceと言うらしいです)、木島巡

・・・かなり重かったです。お勧めですよ(狂気の笑み)
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