医者でコメンテーターのクトゥルフ神話   作:柳瀬塔矢

3 / 4
作者 軽山様
推奨人数:1~4人
プレイ時間目安:2~4時間


三話 幸福な悪夢の夜

ある冬の日の出来事だった。香澄と一緒にテレビを見てたら渡り鳥の特集をやっておりましたの。

 

「こういう鳥の写真撮る人って凄いよねぇ」

 

「そうですわね。何の分野においても撮影と言うものは見た目よりも難しいものですわ。なのでこの様な方達は素直に尊敬できますの」

 

「ふーん・・・」

 

「あ、そういえば今度とある館に向かうことになりましたの。もし写真が取れそうなら取ってきましょうか?」

 

「うーん・・・ならお願い」

 

「分かりましたわ」

 

私は屋敷から適度に近い駅のロータリーで待ってると同じ館に向かう他の方々と合流しましたの。しかし私にとって大切ではないので名前などは忘れましたわ。

 

屋敷は周りが自然に囲まれており、都会の喧騒から離れて休息をとるにはうってつけの場所ですわね。

しかし当日、送迎バスで屋敷に向かう道中に急な悪天候に見舞われまして、猛吹雪で視界がホワイトアウトし、迂闊に動けない状況の最中、なんとか屋敷まで辿り着きました。その時の時刻は18時を回っていましたわ。

 

オーナー夫妻は私達の荷物を引き取りタオルを貸してくれましたわ。

内装は綺麗に掃除が行き届いていますが、全体的に古めかしく、家具もアンティーク調のものばかりで、正面には2階へ続く階段があり。階段の横にはソファと大きな振り子時計がありますわね。・・・振り子時計のあの部分、かなり古くなってますわね。

 

その後は部屋に案内され、簡単に屋敷の構造把握に努めましたの。その途中でオカルト雑誌の記者とも会いましたが彼もまた私には関係の無い人物。

 

しかし彼はなにやら興味深い話をしてくれましたわ。その話とは

 

・この館に泊まると悪夢を見る

 

・使用人に裏切られ失意のまま死んだ主人が亡霊となってこの屋敷に現れ、「使用人に盗まれた大切な宝石」を探し歩く夢。

 

・話によると、その宝石は【持ち主に幸せをもたらす宝石】と呼ばれているらしい

 

と他の人からしたら眉唾物と言わざるを得ないーーーしかし私には目的を果たす為に必要になるかも知れない情報でしたわ。

 

(賢者の石を作ってた人が他にも居た・・・?いや、それならもっと数が無いとおかしいし当の本人が生きてない・・・いや、それは死んでてもあり得るのか。なら悪夢は何故?・・・悪夢の中に入らないと分からないことばかりですわね)

 

まぁそんな事を考えながら振り子時計の下の方の部分を見てみるとそこには【燕の写真】と【しばらくの間開かれていないと思われる鍵のかかった扉】がありましたの。

 

(・・・確か悪夢の内容は当時の館の主人が歩き回ると言うもの。なら何かを探しているのだとして。何を探している・・・?子供?いや、確証がないですわ)

 

(他に今分かる事・・・一度部屋に戻ってネットで情報収集ですわ。当時の記事全文なら思想の介入は避けられるでしょう)

 

すると以下のようなニュースを見つけましたわ

 

 

 

50年前に山奥の邸宅の主人である椿原宗太郎氏が使用人を惨殺した事件があった。椿原氏はその後自殺。その他、椿原氏と一緒に住んでいたはずの息子誠司郎君(10歳)は行方不明

 

 

 

(これですか・・・ならばあの場所にあるのはこの息子の・・・心臓?だとしたらなぜこんな場所に?悪夢の元凶でしょうが少しばかり分からないですわね)

 

(もしかしたらとは思いましたが流石に夢の中で手に入れても今手に入るわけではないですし情報も得られ無さそうですわね。ならばさっさと帰りましょうか。雪が止んだら、ですが)

 

その後少しして眠りに着くと・・・私はなぜか目が覚めましたの。すると周りがすこし変わってましたわ。しかしすぐにこの事象が何なのか宛が付きましたわ。

 

(これが悪夢・・・明確に悪夢だと分かるのは賢者の石のおかげ?・・・って無くなってる!?道具までは持ち込めなかった!?それともあれが正しくアーティファクトの類だから!?早く取り戻さないと・・・)

 

すると、近くにあった人形から声が聞こえてきましたわ

 

「大切なもの。どこを探しても見つからない、真っ赤な、大切なもの。助けて。助けて。みつからない」

 

(真っ赤・・・大切・・・そもそも当時の再現ならこれの所持者は?当然あの男の子。見つからないって事はそれ即ち【五十年間開けられてこなかった】場所。ならばあるのは振り子の下の鍵を開けた先の空間・・・いや、それだけですの?もし鍵を変えてないだけで今のオーナーになった時に開けていたら?見つからないのは【更にそこからもみえない場所】に有ったからなのでは?て事は天板と床板の二択・・・天板だと振り子に干渉する可能性がありますし床板ですわね)

 

部屋から出ると雑誌記者の叫ぶ声が聞こえてきましたしそちらに向かった方もいらっしゃいますが。それは彼らがまだ人を助けると言う心を持っているから。・・・最悪の終わりを迎えない限り死なないこの世界で人助けする理由にはなりませんわね。

 

「コロス・・・コロス・・・」

 

と素通り(彼の死体は大広間方面でしたわ)して振り子の鍵を開けるとやはり何も見えませんでしたわ。しかし床板は簡単に開ける事が出来ましたの。

 

途端、私の背中を銃弾が貫きましたわ。その衝撃と共に私の意識は一度ブラックアウトしましたの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、私に走馬灯があるなら始まりは香澄と会うことになったあの空間から始まるのでしょうね。あの場で理外の生物がいる事を知り、人間の在り方を決め、香澄を家に招き入れた。それには一切の曇りは有りませんわ。そして賢者の石を知り。神と呼ばれてもおかしくない存在と出会い、私は目の前で救えなかった。そして今、また宝石に呼ばれてここに来た。ここで死ぬのか?いや、一旦気絶してるだけ。この赤い宝石を棺に嵌めれば私は起き上がれる・・・いや、それで良いのか?許されませんわよね。

 

「・・・」

 

私は意地で起き上がりましたわ。そして棺がある(そもそもどこに棺があるのか、それは分かってましたわ。この屋敷は倉庫か屋根裏、もしくは吹き抜けの中庭しか棺を置く場所は有りませんわ。それならば1番明るい中庭に置くのは当然の事ですわね)中庭に向かって走り、予(・)測(・)通(・)り(・)に(・)存(・)在(・)す(・)る(・)棺(・)を(・)開(・)け(・)、(・)宝(・)石(・)を(・)嵌(・)め(・)ま(・)し(・)た(・)の(・)。

 

「ありがとう、誠司郎を見つけてくれて。これでやっと、安らかな眠りにつける」

 

「えぇ、安らかにお眠り下さいな」

 

その言葉を聞いた私(この時他の方が何をしているのかは分かりませんわ。恐らく正しく屋敷の調査をしていたのでしょうが・・・リスク込みでもこっちの方が早かったので正直申し訳ない気持ちもありますわ)は、棺の中の宝石の正体が「誠司郎の肉片」で。それと同時に、先ほどに入れた赤い宝石が「誠司郎の心臓」である事が確定しましたわ。

 

館の主人は棺の中にある息子の心臓に手を伸ばし、慈しむように優しく撫でてますわね。その時の主人の表情は、とても穏やかなものでしたわ。そして私に向き直り軽く会釈をすると、主人はゆっくりと、姿を消していきましたわ。

 

次の瞬間、探索者の視界は暗転しましたの。

ハッと目が覚めると、そこは元居た部屋のベッドの上でしたわ。

長い夜が明け、窓からは暖かい日の光が差し込んできていましたわ。

あなたは悪夢から無事生還を果たしましたの。まぁあの程度で死ぬとは・・・いや、気絶した時は割と危なかったですわね。

 

その後私は、オーナーに振り子時計の件を話し、一緒に中を調べてもらいましたわ。あの時のが悪夢ならば、宝石ーーー本物の心臓は変わらない場所にあるはずですもの。

すると中からは夢で見た時と同じ小箱が見つかり、蓋を開けるとそこには見る影もなく干からびた「なにか」が納められていました。

後日調べによると、それはミイラ化し原形をとどめていない「人間の肉体の一部」だということがわかりましたが、それが心臓であると言う事をいっても誰も理解してくれないでしょうね。

 

「50年前に行方不明になった少年の遺体の一部」が発見されたことはメディアでも取り上げられ、話題となりました。勿論その発見者たる私は普段から出てる番組以外にも出る機会が増えましたわ。

「総司郎の肉片」は父である当時の主人の墓に埋葬され、それ以来、あの屋敷で「主人の亡霊を見た」という話は途絶えたそうですわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もし、賢者の石も同じだったら?あの時は近くにあった石で壊した。明確に力が残っているのはこれだけでも破片もちゃんと持ち合わせてますわ。ならば治せる人の所に行けば。知る事ができるのならば。その時こそ・・・」

 

 

私の目的は果たされず。故に悠久を思い未来を見るのですわ

 

 




他PC:実は一回も名前が出てませんの。しかし一応載せておきますわ。
栄 澄乃(PL名:ぺる)
爆牙 晃(蜜乃)(なんか色々あって二重人格になってるらしいですわ)(PL名:焼き爆ぜ)(オンセなので正確なネット名称は知りませんわ)





作者(PL)から少し。このシナリオ本当はもっと探索してとかあるはずなんですが。当時もう深夜で次の日も平日だった、もう答えが分かっててそれに他の人が辿り着けそうでは無かった(これ書いてる時にシナリオ読んでたら杞憂だと分かりましたわ)、などなどの事からRTAやってしまいましたわ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。