怪異の力で生きる道   作:牧葉

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番外編:月夛(つきた) 心奏(かなで)

 気付けば、私は空を飛んでいた。これは夢ではないと、なんとなくわかった。何故なら、先ほどまでいた場所が、まるで爆発でもしたかのような惨状だったからだ。私は死んだのだと悟った。ただ、そんな場所で一人、生きている子がいた。その子以外は身体の上半分が無くなっており、皆、死んでいた。

 

「きゃ(先生)ああああああああああ!!!!!!」

 

先生が来て、騒ぎになって、それから……そう、小学校は廃校になった。

生き残った少女は、あれから廃校になるまで一度も、学校には来なかった。

 少女が中学生になって2年が経った時、また、少女は学校に来るようになった。元気になったんだと思い、安心した。だが、また、同じことが起こった。次は少女の家族が、あの時と同じ状態で見つかった。少女はまた、引きこもってしまった。………誰が、何故こんな事を起こしたのだろう、…私には見当もつかなかった。

 彼女は、高校生になった。引きこもっていたはずの彼女は、いつからか、学校に行くようになっていた。……他の子と話したりしているところは見なかったが。そのまま一年が経過し、2年生になってから少し経った時、彼女と話している子がいた。白髪で、赤い眼、白い肌、普通ではない見た目の、女の子。名前を、鬼咲夜鈴と言うらしい。

 それから更に少しして、鬼咲さんが、彼女の過去について調べていることがわかった。どうにかして伝えたいと、伝えないとと思い、願った。どうしてか、その願いは叶った。誰かもわからない子に、私がどの学校にいるか、鬼咲さんに教えるようにし、どこかも知らない学校で、鬼咲さんが私の話を聞けるようにする。何故、そんなことが出来たかわからないが、伝えられた。

 

——「魔無香ちゃんを助けてあげて下さい、夜鈴さん…!」——

 

そうして私はまた、霊の姿に戻っていた。

 

 話は現在に戻り

 

 「そう言えば、魔無香に一つ、聞きたいことあったんだけど」

 

「?(魔無香)

 

「月夛さんって……知ってる?」

 

「月夛(魔無香)さん……、月…夛……?」

 

「……(魔無香)…心奏ちゃん……」

 

「いっ(魔無香)!」

 

突然、魔無香が頭を抱えてうずくまった。

 

「魔無香?!」

 

少し経って魔無香の雰囲気が変わった。

 

「……ベルゼブブ…」

 

「うん(ベルゼブブ)、ボク」

 

それ(ベルゼブブ)は、魔無香の体に乗り移り、動かす。そして、私に話しかける。

 

「それ(ベルゼブブ)についてはボクから話すよ」

 

「とは(ベルゼブブ)いえ、そこまで話すことがあるかと言われれば……ないけどね」

 

それからベルゼブブは、月夛心奏と黑希那魔無香の話を聞かせてくれた。……ほんとに内容薄かったけど…。

 

「まず(ベルゼブブ)、月夛心奏だ。彼女は昔魔無香と仲が少しよかった…友達くらいの関係かな?」

 

「ただ(ベルゼブブ)、最初の能力暴走の時に巻き込まれちゃったみたいでね、死んじゃったんだ。」

 

「っ!?」

 

そこで、ベルゼブブの話を遮る。

 

「待って!?」

 

「私……昨日、月夛さんと会ったんだ……けど…」

 

「会っ(ベルゼブブ)た?…死んでる人間に?」

 

「あれ(メリー)は死人だったわよ。」

 

いつの間にか、メリーさんは私から出てきていた。

メリーさんは最近、「家で留守番してるのは退屈だ。」といい、私についてくるようになった。

 

「メリーさん…」

 

「あれ(メリー)は死んでいたわ、人間の気配じゃなかったから」

 

死んでいた……ならば、どうして、私たちと話すことが……?いやそれよりも、何故、話を聞いたあの人は月夛さんのことを知っていた?

 そんな思考で頭が埋め尽くされる。

 

「ああ(ベルゼブブ)、なるほど」

 

ベルゼブブは、何かに納得したように頷いた。そして私に、「君は、周りの人間に彼女のことを聞いたのかな?」という質問を投げかけてきた。私は「そうだけど」と肯定し首を傾げる。私がわからないでいる事を理解し、ベルゼブブが言う。

 

「つま(ベルゼブブ)りだ、君は死人と接触した。彼女はもう死んでいるなら、君が見た存在はこの世に肉体を持たない魂、霊だ」

 

幽霊?月夛さんが?あり得ない………とも言えないけど…、だけど、なら、月夛さんを知っていた人たちはなんなんだ?既に死んでいる人間を、あたかも存在しているように話していた。

 ベルゼブブは私を無視して独り言を呟く。

 

「他者(ベルゼブブ)の記憶を弄ることができ、実体化もできる……よっぽど強い力を持ってるみたいだね」

 

そこで、メリーさんが話し始める。

 

「らし(メリー)いわね、ただの霊じゃ、こんなことできない。」

 

「待って、じゃあ、月夛さんは幽霊で、私に情報を教えるために、本当に存在する人間のようにしていたってこと……?」

 

「…そ(メリー)うなるわ」

 

「もし(メリー)かしたら、今も近くにいるかもね」

 

そんな事を言い、メリーさんは上を向いた。私も、同じように上を向く。

すると、小さくて黒い何かが、空に見えた。

 

「あれは………?」

 

メリーさんは「ふふ」と少し笑い、「待っていなさい」と言い、能力を使った。

 

 空にて、(心奏)あの二人(魔無香と夜鈴)を見ていた。

 

「魔無(心奏)香ちゃん……!……良かったぁ………」

 

どうやら、夜鈴さんは魔無香ちゃんを助けてくれたようだ。

 私は膝を抱え三角座りのような状態になる。

 

 「見つ(メリー)けた」

 

声が聞こえた方に、急いで振り向いた。

 

「さっ(メリー)きから視線を感じてたから見にきたら、まさかほんとにあんただったなんてね」

 

急に現れたその子は、まるでフランス人形のように綺麗な女の子だった。なのに、人ではない、私のように死んでいるわけでもない、『何か』。その『何か』は、私が戸惑っている間に何か言っていた。そして全て言い終わったのか、私に近づき、抱きついて来た。

 

「えっ(心奏)

 

「行く(メリー)わよ」

 

行く?どこに?何が起こるかわからない私は咄嗟に目を閉じた。

 声が聞こえる。驚く声だ。何だと思い、閉じていた目を開く。と…そこは先ほどまで私が見ていた………あの二人(魔無香と夜鈴)の前だった。

 

「えっ(心奏)?」

 

「月夛……さん?」

 

何で!?瞬間移動!?!?

 

また戸惑っている私に、魔無香ちゃんが問いかける。

 

「心奏(魔無香)……ちゃん…?」

 

ブワァと、風が吹いたような……そんな感覚だ。私はあれ(死んで)から魔無香ちゃんがしっかり話しているところを、初めて……初めて見たんだ。自然と、涙が頬を伝う。

 

「…う(心奏)ん………心奏…だよ」

 

感情が…溢れ出すみたいで、止まらない。

 

「魔無(心奏)香…ちゃん………っ」

 

「……(心奏)良かった……。…よがったぁ"っ……ぁ!」

 

魔無香ちゃんに抱きつく。それに応えるみたいに、魔無香ちゃんは私の背中に手を回して、言う。

 

「うん(魔無香)……!ごめんね……っ!」




今回の番外編は心奏(かなで)さんでした。ベルゼブブさんとどっちにするか悩みましたが、ベルゼブブさんは後でいっぱい出番作ろうと思ってたので心奏さんにしました。楽しんで読んでくれたら嬉しいです。では。
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