怪異の力で生きる道   作:牧葉

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修行と崩壊
十一話 狐と呪い


 あの件から魔無香とは、学校でよく話す仲になった。魔無香以外、話す相手が居ないってのもあるけど……。月夛さんも、私たちが学校にいる間は姿を隠して魔無香といるか、魔無香の家にいるか。まぁ、二人とはよく話すようになったということだ。

 

 「魔無(竜爺)香、脇を締めろ。そんな構えじゃ簡単に刀が抜ける」

 

竜爺と莉音さんはたまに魔無香も、私と一緒に鍛えていた。とは言え、魔無香は能力が桁違いに強い。私はそこまで、能力によるダメージを与えられないから鍛えてもらってるけど、魔無香は簡単な護身術とその応用くらいだけだ。竜爺はしっかり鍛えようとしてるけど……。どちらかというと、莉音さんと能力を制御する練習をしている……かも。二人でよくいるのを見るし…。

 魔無香が鍛え始めてから1週間ほど経った土曜日、インターホンが鳴った。家には私しか居なかった。

 

「はーい」

 

「宅配(???)でーす」

 

宅配?私……は頼んでないけど……竜爺?竜爺って宅配とかない頼むのかな?

 

「そこに置いといてくださーい」

 

一応、玄関前に置いてもらおう。何かわからないし。

 

「かし(???)こまりましたー」

 

……荷物は置いていってくれた……のかな?

何が届いたのだろうと思い、玄関に行く。

 

「んしょっ」

 

靴を履いて扉を横にスライドさせる。外に出て、太陽の日差しを浴びながら目線を下に向ける。だけど……

 

「あれ…?」

 

そこに置いていると思っていた荷物が、無かった。

 「しつ(???)れ〜」

 

「!!」

 

突然男の人の声が聞こえ、目線を上げる。声はさっきの宅配の人と同じだ。

 

「君(???)、鬼咲夜鈴ちゃんであってる?」

 

腕を掴まれ、ぐいっと引き寄せられる。顔が近付いて、すぐにでも額がぶつかりそうな距離だ。金色の髪を片方で短いおさげにしていて、背が高い。近付くと、吸い込まれるかのようにも感じる紅い瞳のその人は、掴んだ腕を離し、こう言った。

 

「ちょ(???)っと時間、もらってええ?」

 

 「おい(竜爺)、何してる」

 

ゴツンという音と共に、竜爺の声が聞こえた。

 

「いっ(???)たいなーっ!爺さん!」

 

竜爺が殴ったであろう頭をさすりながら、男の人は竜爺に話しかける。竜爺はその言葉を無視し、玄関に入っていく。

 

「一旦(竜爺)、家に入れ」

 

手招きをして、家のリビングまで案内し、私と男の人を座らせた。

 

「この人……竜爺の知り合い……?」

 

男の人を指さして、竜爺に問いかける。

 

「ああ(竜爺)、知り合い……と言えば知り合いだな」

 

竜爺から返ってきたのははっきりとしない答えだった。頭にハテナを浮かべていると、男の人が自己紹介をし始めた。

 

「じゃ(孤月)、まぁ初めまして。俺は明星(あけぼし)孤月(こづき)。歳は19歳。莉音さんの部下みたいな感じやと思っといて」

 

「!」

 

莉音さんの部下?…部下がいるなんて、初めて聞いた……。驚いている私を置いて、孤月さんは続けた。

 

「俺だ(孤月)け君の能力知ってんのは不公平やな。………俺の能力は『九尾の狐』、炎とか幻惑とか、妖術みたいなもんを色々使える。」

 

「九尾の狐……」

 

聞いたことはある。有名な妖怪だ。100年生きると一本尾が増える、と同時に妖力が蓄えられる……みたいな。

 

「来る(竜爺)なら連絡くらいによこせ」

 

「いや(孤月)ー、急に莉音さんに来い言われたから」

 

…莉音さんが……?

 

「ああ(莉音)、来たか…」

 

そこに、魔無香と特訓していた莉音さんが帰ってきた。リビングに来た莉音さんは座っている私を一瞥すると、私に疑問を投げかけた。

 

「夜鈴(莉音)たちの学校は、あと1週間ほどで夏休みだったな」

 

「えっ、……はい、そうですけど……」

 

そう、私たちはあともう少しで夏休みに入ろうとしていた。そういえば、もうそんな時期なのかと思いながら、莉音さんの横にいた魔無香と目を合わせた。そして、二人で、次の莉音さんの言葉に驚いた。

 

「なら(莉音)、夏休みに入ったら私のい……私たちの家にお前たちを連れていく」

 

「準備(莉音)しておけ」

 

「………」

 

「ええっ?(魔無香・夜鈴)!!」

 

 莉音さんからそんな話がされ1週間が経った。私たちは夏休みに入り、この前の話にあった、莉音さんたちの家に行くことになった。

 

「山の中にあるんですか…?」

 

魔無香と莉音さん、あと私を含めた3人は孤月さんが運転する車に乗っていた。車の窓から見える景色は田舎道……というか山だ。人の気配が全然ない。莉音さんが、私の質問に答えた。

 

「ああ(莉音)、あまり人が近づかない、山の麓に家がある。」

 

「………私達はそこに行って何するの…?」

 

「勿論(莉音)修行だ」

 

「ですよね……」

 

「魔無(莉音)香はともかく、夜鈴、お前はまだテケテケや鵺、最近獲得した能力はまだ使えてないんじゃないか?……まずはそれらを使えるようにしろ」

 

 「さ、(莉音)着いたぞ」

 

着いたのは山の中にポツンと立っている一軒家だった。全体的に白くて、屋根だけが黒い家だった。

 

「ここが…」

 

「莉音(魔無香)さんたちの家……」

 

「そ、(孤月)綺麗な家やろ!」

 

そんな事を家の前で話していたら、家から一人の女の子が出てきた。少しぼさっとしている黒色の髪膝まで伸びていて、顔にも、前髪が被っている。白衣?を着ていて身長は……私よりもちょっと大きい……かも?

 

「おか(???)えり、莉音さん、孤月」

 

少女がそう言うと、孤月さんが「ただいま」と言った。

 

「あの人は………?」

 

小さく、莉音さんに聞くと、すぐに答えが返ってきた。

 

「あい(莉音)つは、明星(あけぼし)怨華(おんか)、孤月の双子の妹だ」

 

………。……えっ?!

 

「双子?!」

 

「そ、(孤月)可愛い自慢の妹な」

 

と、後ろから孤月さんがドヤ顔をして言ってきた。孤月さんと怨華さんを交互に見る。………双子…??似て……ない、わけではないけど……雰囲気が違いすぎる…。

 

「この(怨華)2人が莉音さんが言ってた子たち?」

 

「!」

 

怨華さんが少し屈んで私たちの顔を前髪から覗く。………距離が…近い……。…なるほど、確かにこの2人は双子だ。初めて会ってする行動が2人とも同じだし……。怨華さんの顔は少し前髪がかかっていたが、目が大きくて、可愛い顔をしていた。そんな事を考えていると、莉音さんが怨華さんの問いに答える。

 

「ああ(莉音)、七つの大罪の悪魔を能力にもつ黑希那魔無香と、きさらぎ駅、メリーさん、テケテケ、鵺の能力を持つ鬼咲夜鈴だ」

 

と私と魔無香のことを紹介する。

 

「詳し(莉音)いことは中で話す、ここだと、疲れてる体が更に疲れるしな」

 

「運転(孤月)したの俺で莉音さん特になんもしてへんけどn」

 

「ぐは(孤月)っ!」

 

孤月さんが何か言おうとすると、莉音さんが孤月さんのお腹を思いっきり殴ってふっ飛ばした……。ひえ……。

 私たちは家の中に入って、怨華さんの自己紹介を聞いていた。

 

「私は(怨華)明星怨華。孤月の双子の妹で19歳。能力は…」

 

「コト(怨華)リバコ」

 

「コト(魔無香)リバコ……?」

 

疑問を孕んだ魔無香の声に怨華さんが答える。

 

「コト(怨華)リバコは呪い系の能力。元は都市伝説だから、夜鈴…ちゃんのきさらぎ駅と同じ、伝説格の能力。」

 

そこで莉音さんが声を出す。

 

「これ(莉音)から夏休みの期間、夜鈴と魔無香(お前たち2人)には孤月と怨華(この2人)と特訓してもらう。魔無香は7つの能力を軽くでいいから全て使えるように。夜鈴は能力を全て、ある程度は使えるくらいに、あと体術だな。」

 

「1ヶ(莉音)月、たっぷり鍛えてやる」

 

そう言って、莉音さんはフフッと笑った。

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